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スポーツ総合スレ
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0001創る名無しに見る名無し
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2010/08/14(土) 17:28:00ID:95LtTUF3
小説でも絵でもスポーツに関連してればなんでもアリ
雑談もお待ちしてます

前スレ:スポーツをテーマにした小説を書くスレ
ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1226658606/
0661創る名無しに見る名無し
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2013/06/21(金) 01:52:48.16ID:8CwgAosY
コンフェデレーションズカップ、日本はイタリアに敗れ予選リーグ敗退が決定しました…
0662創る名無しに見る名無し
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2013/06/23(日) 21:08:50.87ID:SFmhph0A
>>658
まさか、本当にこうなるとはw

本番のワールドカップまではまだ一年あるが…もう一年しかないとも言えるな
0663創る名無しに見る名無し
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2013/06/25(火) 23:43:34.68ID:PQuScxAj
>>658
0664創る名無しに見る名無し
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2013/06/25(火) 23:44:11.65ID:PQuScxAj
››658
0666創る名無しに見る名無し
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2013/06/28(金) 23:15:59.43ID:iXG2o9Cr
中日ドラゴンズの山井投手が、ノーヒットノーランを達成しました。
山井投手と言えば、日本シリーズで8回まで完全試合だったのを
9回にストッパーの岩瀬投手に交代…というシーンを思い出しますね。
0667創る名無しに見る名無し
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2013/06/28(金) 23:53:35.96ID:OJixvMbM
テスト
0668創る名無しに見る名無し
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2013/07/05(金) NY:AN:NY.ANID:GWHU4bIN
セ・リーグは巨人と阪神のマッチレースかな
パ・リーグは楽天がロッテと並んで首位になってるね
0671創る名無しに見る名無し
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2013/07/17(水) NY:AN:NY.ANID:2H/HkeaE
日本のオールスター、3試合もやるなら1試合くらいセリーグ対パリーグじゃない組み合わせに
したらいいのにと思った
日本人対外国人とか
東日本出身対西日本出身とか
若手対ベテランとか
0675創る名無しに見る名無し
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2013/07/30(火) NY:AN:NY.ANID:W3HLQPZ3
ソフトバンク斉藤和巳、引退
何年も前からリハビリ中だったけど、ついに現役復帰を断念・・・
全盛期が凄かっただけに、復活する所が見たかった。残念です
0679創る名無しに見る名無し
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2013/08/07(水) NY:AN:NY.ANID:V/Vo6+Sa
最近の野球はあんまり見てないんだけど斎藤がバリバリだったころってやたら投手のレベルが上がった印象。
0681創る名無しに見る名無し
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2013/08/24(土) NY:AN:NY.ANID:+LdN2U2W
ヤンキース・イチロー外野手が日米通算4000安打を達成。
こんな凄い選手はもう当分出てこないだろうね
0682創る名無しに見る名無し
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2013/08/25(日) NY:AN:NY.ANID:TFBwV1K5
例えば実際の試合結果に合わせて即興で話を作るのは
二次創作になるんだろうかとか考えたけど
いまいち良く解らなかった
0684青空町耳嚢 〜創作発表板五周年企画SS〜  ◆ftPUzYFINd55
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2013/08/27(火) NY:AN:NY.ANID:+PHEKoDF
青空町耳嚢 第6/21話
【脱げた靴】

 6歳の息子が「靴を落とした」と泣きべそかいて家に帰ってきた。
 聞けば、公園でサッカー遊びしている時に脱げてしまったのだという。
 それなら履いて帰ってくればよいものを、と思いながら、息子と一緒に公園へ行ってみた。
 そこには、どうしてそうなったのかはわからないが、息子の身長の倍ほどもある靴が転がっていた。
 たしかにこれでは履いて帰るのはおろか、ひきずっても帰ってこれないだろう、と妙に納得した。


【終】

-------------------------
【8/27】創作発表板五周年【50レス祭り】
詳細は↓の317あたりをごらんください。
【雑談】 スレを立てるまでもない相談・雑談スレ34
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1361029197/
0686創る名無しに見る名無し
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2013/08/28(水) NY:AN:NY.ANID:QKyBoSbx
サッカーしてたから、ここでいいかな、と……スレ違いぎみぎりぎりでごめんなさい。
0688創る名無しに見る名無し
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2013/08/29(木) NY:AN:NY.ANID:OHL4Mp8p
この板の5周年記念企画SSの投下先を探してたどり着いて、
これまでの書き込み見て、なんか楽しげなスレだなと思ったから。
あいにくインドア派でルールもあまり知らないから、GirlsBaseballClassicさんみたいに本格的なのは書けないんだけど。
GirlsBaseballClassicさんの試合の書き方、すごいね。試合ハイライトはじっくり、それ以外はさくさくと、テンポよく試合が進んで読んでてきもちいいや。
0691創る名無しに見る名無し
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2013/09/08(日) 23:12:18.40ID:k/LxJw9u
2020年のオリンピックの開催地が東京に決定しましたけど、
どうなんでしょう
0692「GirlsBaseballClassic〜スタジアムの女神たち〜」第二十一話
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2013/10/27(日) 15:33:36.63ID:pLLhGd2z
1/8
 1回表のマウンドに上田夏穂が立つ。サイドスローの技巧派右腕だ。
 対する東京シャイニングヴィーナスの先頭打者は小宮奈美。スイッチヒッターの彼女は
左打席で上田の投球を待つ。
 一番打者として、その日の第一打席は重要だ。
 セーフティバントだった。一塁線にボールが転がる。ファーストのレニー・バーンズが
処理に手間取っている間に、奈美は俊足を飛ばして一塁ベースを駆け抜けた。
「さあっ、まずは先制パンチっスよ!」
 一塁ランナーになった奈美がナインを鼓舞する。

 二番の川原恵美が送りバントでランナーを二塁に進め、初回からチャンスを作った。
 そして、打順はクリーンナップへ。
 三番の大木姫子はセンターフライに倒れるが、2アウト二塁で四番の御堂あづさの打席
を向かえる。
 監督の栗田は前日に言われたとおり、ノーサインであづさに任せる。果たしてこれが、
吉と出るか凶と出るか。

 初球は落ちる変化球に大きく空振り。当たればどこまでも飛んでいきそうなスイングだ
が、それは相手バッテリーも解っているので、易々と甘いコースには投げてこない。
 技巧派の上田なら尚更だ。
 御堂あづさのバットが三度空を切る。第一打席は空振り三振に終わった。

「勿体なかったっスね」
 塁上に一人残された小宮奈美がベンチに戻ってきて、そう発言した。
「ああ、せっかく二塁まで行ったのにな」と栗田。
「そうじゃなくって、送りバントのことっスよ」と奈美。
 ノーアウト一塁から川原恵美のバントで二塁にランナーを進めた件について、奈美は
何やら物申したいようだ。
 聞けば、上田夏穂との相性(つまり対戦成績)がチームで最も良いのが恵美らしい。
 そういった情報は前もって調べておくべきだが、まあいい。二周り目以降に期待しよう
と栗田は考えた。
0693「GirlsBaseballClassic〜スタジアムの女神たち〜」第二十一話
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2013/10/27(日) 15:50:25.05ID:pLLhGd2z
2/8
「それじゃ、私も今シーズン1勝目を狙おうかな」
 シャイニングヴィーナス先発投手の三上英子は、ピンク色のフレームの眼鏡を指で軽く
直しながら小さく呟いた。
 英子はあらゆる変化球を操り、強打者たちを手玉に取る。
 まずトライアンゴッデスの上位打線、福森、亀丸、バーンズを三者凡退に抑えた。

「最高の立ち上がりです! 英子さん!」
「うむ。ピンク色フレームのモモちゃんの効果は、絶大だな」
 1回裏の守備を終え、バッテリーの丸山みのりと三上英子がベンチで会話している。
「いえいえ、英子さんの実力ですよ〜」
「ふ、ふ、ふ。本当の事を言われると照れるじゃないか。謙遜というヤツだよ」
「これは失礼しましたです」
「ところで、みのりんは私とさくらのどちらのボールが受けやすいんだ?」
 英子から唐突に質問がぶつけられた。果たしてみのりはどう答えるのか。
「えーっと、誰が投げても同じボールですから。どちらとかは無いです」
 みのりは無難な答えで返した。英子はつまらなそうな顔をした。
「でも、そういう所がみのりんの良さだな」
 やれやれ。といった表情で英子はみのりの頭を撫でる。
 一体何をやっているのか。とにかく試合に戻ろう。

 両先発の好投で、序盤は両チーム共に点が入らず。
 試合は、4回の表まで進んだ。
 この回先頭の川原恵美がヒットで出塁し、続く大木姫子がツーベースヒットで繋ぐ。
 そして、四番の御堂あづさが2度目の打席に入る
 大振りはやめてくれよ。そんな栗田の心配も届かず、あづさはフルスイングを続ける。
 最後は落ちる球に空振り三振。決め球はシンカーだった。
 続くエイミー・マクスウェルには、右方向へ打たせる指示を出したものの、ファースト
へ真正面のゴロ。ランナーは動けずツーアウト。
 六番の小松田沙織を四球で歩かせ、七番の中本寛子をキッチリ打ち取りスリーアウト。
 上田はピンチを切り抜けた。
0694「GirlsBaseballClassic〜スタジアムの女神たち〜」第二十一話
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2013/10/27(日) 15:59:09.30ID:pLLhGd2z
3/8
「アカンわ。何や、あのチョロチョロした球は」
 ベンチに戻ってきた御堂あづさが声を荒げる。
 打てないんなら代わるか? 栗田はそんな言葉をグッと飲み込んだ。
 しかし、監督が一選手のワガママに振り回されてどうする。栗田は自らに問う。

「どうしたんですか? 監督……」
 ふと、三島みらいと目が合ってしまった。
 同じ三塁を守るあづさとみらいを比べると……みらいの方が素直でいい子だと思う。
 いや、いかんいかん。プロ野球は実力の世界だ。もちろん女子であっても同様だ。
 みらいは自らの実力で、御堂あづさをレギュラーから引きずり降ろさねばならない。

 試合は、またもこう着状態に。技巧派の二人のピッチングに、両チームの打者のバット
が次々と凡打を生み出す。
 そして6回のウラ。先頭打者として、大阪の一番打者、福森一葉が打席に入る。
「0対0かいな……まるでスコアボードに、たこ焼きが並んでるみたいやね」
「何を言ってるですか、福森さん」
 福森一葉の独り言(?)に、キャッチャーの丸山みのりが反応した。
「ほな、たこ焼きには爪楊枝を刺しとかんと」
 福森の言う爪楊枝とは一体……? それよりも試合に集中だ。ここまで二打席とも凡退
している福森に対して、英子とみのりのバッテリーは警戒を怠らない。
 福森は初球から鋭いスイングで振り回してくる。それでもバットに当てて、ファールに
してくるのが厄介だ。
 4球目、甘くなったカーブをライト前に打ち返し、先頭打者の福森が出塁した。

 福森のヒットにゴッデスのベンチが沸く。このランナーを先制のホームへ還せるか。
 二番の亀丸たまきが打席へ。
 亀丸はセーフティバントを試みた。三塁方向に打球が転がる。サードの御堂あづさが
捕って、一塁に送球した。
 一塁は間に合った。とりあえずワンナウトで、ランナーは二塁へ。
 三番のレニー・バーンズが、大きな歓声に包まれながら左の打席に入る。
 そろそろクリーンナップらしい一打が見たい。そんな期待感が球場に広がる。
 しかし、力んでしまっては投げる三上英子の術中に嵌まる。
 バーンズはファールで追い込まれながら、しっかりとボール球を見極め、フォアボール
を選んだ。
0695「GirlsBaseballClassic〜スタジアムの女神たち〜」第二十一話
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2013/10/27(日) 16:11:21.26ID:pLLhGd2z
4/8
 一死一二塁とさらにチャンスが広がり、打順は四番の真淵みゆきに回る。
 昨日は先発投手としてマウンドに上がった真淵だが、この日はバッティングに専念。
 このチャンスの場面で四番としての存在感を示したいところだ。
 真淵は初球から変化球を狙っていく。大きな打球がファールグラウンドに飛ぶ。
 その度に大きな歓声が起こるが、マウンド上の英子は表情一つ崩さない。
 2ストライクから、アウトコースへのスライダーを投げる。
 真淵はこれを打ち返す。打球はその打球は二塁手の頭上を越えて、地面に落ちた。
 二塁ランナーの福森は三塁を蹴って、一気にホームへ向かう。ライトのマクスウェルが
慌ててバックホームするが、福森の足が早かった。まずはゴッデスが1点を先制した。

「まだ1点です! 次、抑えるですよ」
 マスクを被る丸山みのりがナインを鼓舞する。大丈夫だ。みんな解っている。
 栗田はバッテリーに任せた。状況は一死一二塁、打席には五番の金山智香が立つ。
 強打者の金山をセカンドへのポップフライに打ち取るも、まだまだピンチは続く。
 六番の今西美琴が打席へ。塁上に走者がいる場面では、無類の勝負強さを発揮する。
 英子とみのりのバッテリーは無理をせずに今西を歩かせて、次の打者を打ち取った。

 7回表。追いつきたいシャイニングヴィーナスは、下位打線からの攻撃だ。
 ここで三塁側のヴィーナスベンチが動く。清美瑞希を代打として打席に送った。
 マウンドには、先発の上田がまだいる。さて、反撃の口火を切れるか。
 清美は初球から打っていった。打球はしぶとく三遊間を抜けていく。
 さあ、先頭打者が出た。続く八番の丸山みのりは送りバントの構えを見せる。

「じゃあ、私は先にシャワーでも浴びてくるかな……」
 そう言って、先発投手の三上英子はベンチの裏に引っ込んだ。
「ふふっ、覗きに来ても良いんですよ?」
 英子はベンチから消える直前に、栗田にそう耳打ちした。
 何を言ってるんだ……それはともかく、次打者の英子には代打が送られる。
 1点を追う場面だが、ヒット1本で同点になるチャンスを迎えた。
 この場面で栗田が代打に選んだのは、三島みらいだった。
 少し早いかなという展開での登場だが、栗田はここだと確信してカードを切った。
0696「GirlsBaseballClassic〜スタジアムの女神たち〜」第二十一話
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2013/10/27(日) 16:22:22.01ID:pLLhGd2z
5/8
「このコが三島みらいかー。生で見ると、ちっちゃくてカワイイやん」
 マウンド上の上田夏穂は心の中で呟いた。
 そう言う上田もチームの中では小柄な方だが、ここは譲れない。
「英子さんの代打か……。まずは同点にして、負けを消さないといけないですね」
 打席に立ったみらいは、気合いが入っていた。
 上田の初球は決め球のシンカーだった。みらいは必死に食らいつき、ファールに。
「ほう。ウチのシンカーを当ててきたか……」
 上田はみらいの打撃センスにやや驚いた。
 2球目はボールになる球を見送った。選球眼もまずまずだ。
 それから2ストライクに追い込んだ後に、上田は再び決め球のシンカーを投げた。
 ふわっと浮いて、するりと落ちる。しかし打者のみらいは、それにバットを合わせた。
 打球は三遊間に飛んだ。ショートの高岡あきらが腕を伸ばすもわずかに届かない。
 お見事。ショートの後方にポトリと落ちた打球は、転々とレフトの左を抜けていく。
 二塁ランナーの清美が悠々とホームイン。打ったみらいも二塁に到達した。
 これで同点に追いついた。代打策は見事に的中した。
 この回で一気に勝ち越せるか。その期待を背負って、一番の小宮奈美が左の打席へ。
 だが、奈美はシンカーを引っ掛けてショートゴロに倒れる。
 二塁ランナーのみらいは動けない。これでツーアウト二塁に。
 続く川原恵美は四球を選ぶも、三番の大木姫子が凡退し、この回は同点止まり。

 次の回のマウンドには、2番手として川野弘子が上がった。
 さらに、代打で出た三島みらいが三塁の守備についた。
 スタメンサードの御堂あづさは、押し出されるようにファーストに回った。
 あづさは納得がいかない様子だったが、ベンチに下げられるよりはマシだろう。
 7回裏のゴッデスの攻撃は、八番の山村真実子から。
 マウンドの川野は変化球を低めに集めて、三人で切って取った。
 ちなみにファーストに回ったあづさは、二つの内野ゴロの送球を無難に処理した。
「まあウチは天才やから、三塁以外もこなせるで」
 あづさは自慢げに語った。どうやらコーチに褒められたらしい。
0697「GirlsBaseballClassic〜スタジアムの女神たち〜」第二十一話
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2013/10/27(日) 16:34:19.52ID:pLLhGd2z
6/8
 そして8回表。打順は四番の御堂あづさから。
 ここまでゴッデス先発の上田夏穂に対して、三打席とも三振という散々な内容だ。
 因縁浅からぬ上田とあづさの対決は、既に決着が付いたかの様に思える。
 だが、試合は1対1の同点。ここで一発をスタンドにぶち込めば勝ち越しとなる。
 となればその一発を狙わない御堂あづさでは無い。
 相手バッテリーもそれは当然解っている。そうそう甘いコースには投げてはくれない。
 それでもあづさは強引に打ちに行くが、2球連続してファールに。
 追い込まれたバッターの御堂あづさ。対するマウンドの上田夏穂は何を決め球に選んでくるのか。
 シンカーかチェンジアップか。打席のあづさは低めの変化球に的を絞る。
 上田の3球目は空振り狙いのシンカー。これをあづさは無理に引っ張らずに右へ打つ。
 打球は一二塁間をしぶとく破るライト前ヒットになる。
 四打席目にしてようやくヒットが出たが、一塁ベース上の御堂あづさの表情は重い。

 ノーアウト一塁で五番のマクスウェル。
 走者を進めたい場面だが、さすがに送りバントというわけにはいかないか。
 結果、大きなセンターフライで1アウト。一塁走者を進められなかった。
 ここでヴィーナスのベンチは、代打に塩原由佳を送る。
 疲れの見えるゴッデス先発上田夏穂に、代打の切り札が襲い掛かる。レフトオーバーの
会心の当たりで、1アウト二塁三塁とチャンスを広げた。
 続く清美に四球を与えて満塁になったところで、一塁側のベンチが動いた。
 どいつもこいつも頼りないゴッデスのリリーフ陣だが、一体どの投手を送り込むのか。

「ピッチャー上田に代わりまして、モエミー・ノノミーヤ。ナンバー、エイティーン」
 背番号18、野々宮萌実がマウンドに上がった。大学からプロ入りしたルーキーだ。
 先発候補として入団したが、まずはリリーフとしてプロ初登板となる。
 しかも一死満塁というピンチの場面で。だが、マウンド上の野々宮は落ち着いている
ように見える。
 打席には八番の丸山みのり。ピッチャー野々宮はセットポジションから、体を大きく
捻って投げる。
 みのりは直球に詰まって内野フライ。これでは三塁ランナーもタッチアップできない。
0698「GirlsBaseballClassic〜スタジアムの女神たち〜」第二十一話
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2013/10/27(日) 16:44:42.78ID:pLLhGd2z
7/8
 これで二死満塁に。そして、打席には三島みらいが向かう。
 代打で出場してそのまま守備に就いたみらいの、2打席目が回ってきた。
 先ほど同点タイムリーを放った勝負強さは、この場面でも発揮されるのか。
 年齢が違うとは言え同じルーキーとして、野々宮は負けたくないはずだ。
 だが、マウンド上の野々宮はやはり表情を変えずに真っ直ぐただキャッチャーミットを
見据えて投げ込むだけだった。
 対するみらいも必死に食らいつくが、最後は三振に倒れた。ピンチをしのいだ野々宮は
ゆっくりとマウンドを降りる。

 同点のまま試合は8回裏に。ゴッデスは二番からの好打順。ヴィーナスのマウンドには
3番手としてサウスポーの岡村智沙が上がった。
 ゴッデスの攻撃は先頭の亀丸たまきがセーフティバントを試みるも、ファーストを守る
御堂あづさが華麗に捌いてワンナウト。
「これならスタメンファーストでも充分いけるな」
 栗田はそう確信した。一塁に御堂あづさ、三塁に三島みらいという布陣もアリだな。

 打席には三番のバーンズ。ランナーはいないが、一発に警戒しなければならない。
 そんなバーンズもやや力んだのか、打球は大きな弧を描いてライトのグラブの中に。
 これで2アウトになった。続いて四番の真淵みゆきが打席へ。左が並んだ後の右打者だ
が、ヴィーナスのベンチは岡村の続投を選択した。
 これが裏目に出たのか、真淵はフェンス直撃のツーベースヒットを放った。
「っしゃあーっ!」
 打った真淵は二塁ベース上でガッツポーズを見せた。
 2アウト二塁から五番の金山智香が左の打席へ。果たして二塁ランナーを返せるか。
 左対左だが、打者不利をものともせずに金山は豪快なスイングを見せた。
 その打球は一気に右中間を破る。二塁ランナーの真淵が生還してゴッデスに勝ち越しの
1点が入った。
 完全にやられたな。なおもマウンドには岡村の姿があった。
 次打者の今西美琴には四球を与えたが、その次の高岡あきらを打ち取ってスリーアウト
となった。
0699「GirlsBaseballClassic〜スタジアムの女神たち〜」第二十一話
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2013/10/27(日) 16:55:23.49ID:pLLhGd2z
8/8
 試合はいよいよ大詰めの9回表に。1点を追うヴィーナスの攻撃は一番の小宮奈美から
の上位打線。もし一人でも塁に出れば、四番打者のあづさに打席が回ってくる。
 だが、その前に立ちはだかる大きな壁。
 大阪トライアンゴッデスが誇るストッパー。その名は御子神零(みこがみ れい)。
 名前の零と、最終回を無失点で抑えるその完璧な投球から、“パーフェクト・ゼロ”と
一部で呼ばれている。ちなみに本人は恥ずかしいらしいが。
 御子神がマウンドに向かうと、ゴッデスファンのボルテージが上がる。
 さあ、あとは三人だけだ。一塁側のスタンドは既に勝利を確信している。
 一番の小宮奈美、二番の川原恵美と、何とか粘ろうとするも共に凡退。
 あと一人コールを背中で受けながら、三番打者の大木姫子が左の打席に入った。
 主砲の御堂あづさに繋ぐ。それだけを考えて打席に立つ姫子だったが、御子神の直球に
押され、あっさり追い込まれる。どうする姫子。

 球場内のあと一人コールに乗せられたのか、御子神は遊び球無しの三球勝負に出た。
 姫子のバットが空を切り、スリーアウト。そして、ゲームセット。
 東京シャイニングヴィーナスの最終回の攻撃は、三人であっけなく終了した。
「向こうの投手にやられたな……昨日連敗を止めた勢いで連勝と行きたかったんだが」
 栗田は記者にそう語って球場を後にした。
 これでヴィーナスとゴッデスの対戦成績は1勝1敗に。明日は三連戦の三戦目が今日と
同じくこの大阪ドームで行われる。果たして、このカードを勝ち越すのはどちらか。

 つづく。
0701創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/10/30(水) 23:15:20.60ID:duLxbC/r
投下乙です
>カワイイやん
っていう上田さんの口ぶりこそカワイイのであります!
0705創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/12/01(日) 13:55:34.95ID:eSmeWw/l
   彡川川川三三三ミ〜
   川|川/  \|〜
  ‖|‖ ◎---◎|〜        / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  川川‖    3  ヽ〜      < イケメンオシャレメン人気高いやつ以外は売り上げの為に券は買えけど行くな

  川川    ∴)д(∴)〜       \_______________

  川川      〜 /〜 カタカタカタ

  川川‖    〜 /‖ _____

 川川川川___/‖  |  | ̄ ̄\ \

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  /  \___      |  |    |__|

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 |       | ̄
0706創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/12/01(日) 13:56:44.62ID:eSmeWw/l
   彡川川川三三三ミ〜
   川|川/  \|〜 プゥ〜ン
  ‖|‖ ◎---◎|〜        / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  川川‖    3  ヽ〜      <イケメンオシャレメン人気高いやつ以外は売り上げの為に券は買えけど行くな
  川川    ∴)д(∴)〜       \_______________
  川川      〜 /〜 カタカタカタ
  川川‖    〜 /‖ _____
 川川川川___/‖  |  | ̄ ̄\ \
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  | \      |つ   |__|__/ /
  /     ̄ ̄  | ̄ ̄ ̄ ̄|  〔 ̄ ̄〕
 |       | ̄
0708創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/12/04(水) 23:47:06.92ID:CGGyJ6xW
どちらかと言えば架空の競技よりも、競技はそのままで架空のリーグやチームを考えてるな
0710創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/12/11(水) 21:36:53.00ID:Vpr/Gb79
地方ネタとか色々使えそうなんだけどな
でも地元以外はあんまり詳しくないという
0712創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/12/20(金) 23:44:15.82ID:F76jRg48
阪神タイガース、36年ぶりチアガール復活というニュースを見て
36年前にやってた人達が復活するのかと思ったら違った

つか今現在、チアがいないのって阪神と広島だけだったのか
0714創る名無しに見る名無し
垢版 |
2014/01/05(日) 22:33:53.44ID:QnzcwAOT
おっと、今年はワールドカップの年か
0720創る名無しに見る名無し
垢版 |
2014/02/26(水) 19:38:57.29ID:UWtjEJsX
例のオリンピックのロシア人美女選手の作品はないだろうか
0721「GirlsBaseballClassic〜スタジアムの女神たち〜」第二十二話
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2014/03/30(日) 22:25:50.68ID:qWnzI58W
1/7
 試合前の打撃練習中。
 ポンポンと外野に飛んでいくボール。
 東京シャイニングヴィーナスの主砲、御堂あづさが快調に打球を飛ばしている。
 昨日は上田夏穂にシングルヒット1本に抑えられたが、調子自体は悪くないようだ。
 打撃投手を務めているのは、二年目の右腕投手である渡辺侑子だった。
 もちろんピッチャーとして選手登録されているが、今年はここまで登板は無い。
 打撃投手以外にも用具の出し入れ等を率先して行っている為、栗田もスタッフか何か
だと当初は勘違いしていた。
 よくよく見れば、相手の得意なコースにきっちりと投げる抜群のコントロールだ。
 これは一朝一夕で身に付く物では無い。
 栗田はこの投手に少し興味を持った。ア、リトルね。
 快音を連発し気を良くしたあづさが練習を切り上げたタイミングを見計らって、栗田が
マウンドに歩み寄る。
「キミ……名前は? 」
「わ、渡辺侑子ですっ」
「渡辺か……覚えておくよ」
 所属選手の顔と名前と背番号くらいは把握しておけよ……というツッコミはさておき、
侑子にとっては今のが監督の栗田から掛けられた最初の言葉だった。

 3連戦3試合目のシャイニングヴィーナスの先発は末永陽子。開幕カードと同じだ。
 前回の登板では、6回5失点で負け投手になっている。
 対するトライアンゴッデスの先発は、予想通り井波圭だった。開幕3戦目に先発して、
完封勝利を挙げている。速球とチェンジアップが武器のサウスポーだ。

 まずマウンドに立ったのは、ゴッデス先発の井波。
 ヴィーナスの上位打線は、井波の立ち上がりを打ち崩せるか。
 だが井波の速球が冴え、一番二番と連続三振。三番の大木姫子は初球を叩くもショート
へのフライに倒れた。
0722「GirlsBaseballClassic〜スタジアムの女神たち〜」第二十二話
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2014/03/30(日) 22:28:32.21ID:qWnzI58W
2/7
「よしっ、行くか」
「はいです!」
 シャイニングヴィーナス先発の末永陽子と、マスクを被る丸山みのりのバッテリーが、
三塁側ベンチから登場した。リーグ屈指の破壊力を誇る打線にどう立ち向かうのか。

 初回から容赦なく攻めていくゴッデス打線。ワンナウト一塁三塁で四番の真淵みゆきを
打席に向かえる。いきなり先制点のピンチとなった。
 だが、ここは陽子が後続を力で抑え、事なきを得た。

 2回表。ヒットの御堂あづさを一塁に置いて、この日は五番に入っている三島みらいが
打席に入った。
 勝負強いバッティングを期待されてクリーンナップ、しかも指名打者としてスタメンに
名を連ねたみらい。だが、あくまでも平常心で左腕投手の井波に対峙する。
 塁上の御堂あづさは動かない。決して怠慢というわけではないが、走るのは瞬足を武器
とする小宮奈美にでも任せておけばよい。
 みらいは右方向へ流して打ってみた。打球が一二塁間をコロコロと抜けていった。
 ライト前へのヒット。一塁走者のあづさは二塁ベースを回りかけて止まった。ライトを
守っている亀丸たまきからの送球がセカンドに送られる。
 チャンスを作って打席には左打者のエイミー・マクスウェルが入る。
 直球に強いマクスウェルに対して、井波はチェンジアップで三振を奪った。
 続く六番の小松田沙織がダブルプレーに倒れ、この回は走者を得点圏まで進めたものの
先制点とはならず。

 マウンド上の井波はこれで乗ってきたのか、続く3回表には三者連続三振を奪った。
 対する陽子も走者を出しながら何とか0点に抑える。序盤は両先発投手が互いに譲らず
試合は進んでいく。

 4回表。二塁に川原恵美を置いて、ツーアウトから五番の三島みらいがライトの前に落ちるタイムリーヒットで先制点を挙げた。
 試合は中盤、5回を終わって1対0とシャイニングヴィーナスがリードしていた。
0723「GirlsBaseballClassic〜スタジアムの女神たち〜」第二十二話
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2014/03/30(日) 22:31:31.73ID:qWnzI58W
3/7
 6回表のヴィーナスの攻撃は三人で終わり、その裏のマウンドに末永陽子が向かう。
 このイニングを抑えれば、いよいよ完投も見えてくる。だが、相手もクリーンナップが
牙をむいて襲いかかってくる。
 まずは先頭のバーンズがライト前に運ぶヒット。四番打者の真淵みゆきが打席へ。
 ホームランが出れば一挙に逆転となる場面、この打者が燃えないわけが無い。
 それに対抗するには、打者以上に燃えなければいけない。
 かわそうなどとは考えない。陽子はインコースへストレートを続けて投げた。
 2球ほどファールになったが、強打者の真淵はそう簡単には打ち取ることは出来ない。
 ボール球を挟んでからの4球目、またも直球がインコースに向かっていく。打席の真淵
はこれを見逃さずに渾身のフルスイング。
 真淵の打球は大きく空を飛んでいく。いや、ドームなので空は無いのだが。
 さらに投手の執念がボールに乗り移ったのか、スタンドまでは届かない。
 センター大木姫子の頭の上を越えて、そのボールが外野を転々とする。
 バーンズは三塁で停まった。打った真淵は二塁まで進んだ。
 点は入らなかった。と、安堵している場合ではない。次から次へと強打者がベンチから
出てくる。

 ブルペンでは、右の渡辺侑子と左の畑中良子が準備中だ。
 続く打者は左の金山智香。ワンポイントで左の畑中か、あるいはその後の打者も考えて
コントロールの良い渡辺を投入するか。
 栗田はマウンド上の陽子を見た。次の打者を睨みつけている。代わるつもりは毛頭無い
ようだ。
 結局、この回は末永陽子が続投した。
 金山の痛烈な当たりは、ライトのマクスウェルが飛びついて何とかキャッチ。
 マクスウェルの強肩の前に三塁走者はタッチアップできず、ランナーはそのまま。
 六番の今西には四球を与えて満塁にしてしまうが、後続を何とか抑えた。

「大丈夫です。まだいけます」
 陽子は力強く言い放った。栗田もピッチャーだったので、先発したら最後まで行きたい
気持ちは痛いほどわかる。
 7回を抑えて、大岩ゆうなと城之内真緒の二枚看板に繋げれば――。
 その前に追加点が欲しい。7回表のヴィーナスの攻撃は四番の御堂あづさから。
 序盤から飛ばしてそろそろ疲れの見えるゴッデス先発の井波から、あづさは豪快な一発
をレフトスタンドへ叩き込んだ。
0724「GirlsBaseballClassic〜スタジアムの女神たち〜」第二十二話
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2014/03/30(日) 22:34:33.32ID:qWnzI58W
4/7
 イニングの先頭打者だったのでソロホームランになるのが惜しまれるが、これで2点目
がシャイニングヴィーナスに入った。

 7回のマウンドに、末永陽子が立った。
 2点のビハインドを追うトライアンゴッデスは、この回の先頭打者の九番・長村星夜に
代打として濱山広美を送る。
「ハマちゃーーーーん! いったれーーーー!」
 そんなゴッデスファンの声援に後押しされて、ベンチから濱山が出てくる。
 強打者ひしめくゴッデスナインの中ではレギュラー定着とはいかないが、一発の魅力を
秘めた将来のクリーンナップ候補である。
 流れを変えてこい。掛井監督にそう言われて打席に入った濱山は、陽子のインハイへの
直球に怯まずしっかりと振り抜く。
 センター前に抜ける綺麗なヒット。一発とはいかなかったが、逆転への口火を切る一打
になるか。打順は上位へと戻っていく。
 一番打者の福森一葉が左の打席に入る。ここから左の打者が続くが……。
 栗田は続投を選択し、その期待に応えたかのように陽子は福森を三振に切って取る。
 さらには二番の亀丸をセンターへのフライに抑えて、ツーアウト。
 次の回はセットアッパーの大岩ゆうなが控えている。あと一人を抑えれば、陽子の先発
としての仕事はおそらく終了だ。

 その残り一人が大変だ。ゴッデスファンの期待を背負って三番打者のレニー・バーンズ
が左の打席に入る。
 栗田は腕を組んでマウンドをじっと見ている。ワンポイントリリーフは無いようだ。
 一方の一塁側ベンチ、大阪トライアンゴッデスのランディ・サンダース打撃コーチは、
幼少時代からの教え子の打席に思わず前のめりになる。
 プロ野球・西宮タイタンズで三冠王に輝くなど史上最強助っ人の呼び声高いサンダース
をして、自らの後継者と呼ぶレニー・バーンズ。ついにその打棒が火を噴く。
 バックスクリーンに飛び込むツーランホームラン。陽子のインコース低めへの直球は、
いともたやすく弾き返された。
 ダイヤモンドをゆっくりと回るバーンズ。ゴッデスファンはもちろん狂喜乱舞だ。
0725「GirlsBaseballClassic〜スタジアムの女神たち〜」第二十二話
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2014/03/30(日) 22:37:20.78ID:qWnzI58W
5/7
「気ぃ早いんちゃうか、お客さん。主役はこれからやで」
 長尺バットを携え、四番打者の真淵みゆきが右の打席に入る。
 まだ同点、ここで食い止めれば……、なんとか先発投手に勝ちを付けさせたい栗田は、
末永陽子の続投を選択した。
 しかし、これが裏目に出る。
 真淵の放った打球は、これまたバックスクリーンに飛び込む連続アーチ。

 重量打線が自慢のトライアンゴッデスが、三番四番のホームランで一気に逆転した。
 さらに、五番の金山智香のバットが火を噴く。
 初球を大きく打ち上げた打球は、まるで再現VTRのように、センター方向へぐんぐん
と伸びていって、そのままスタンドインした。
 怒涛のバックスクリーン三連発! これで末永陽子を完全にマウンドに沈めた……。

 シャイニングヴィーナス2番手の渡辺侑子が、マウンドに上がった。
 一応準備をしていた侑子は、ゴッデスのイケイケムードを見事に断ち切る丁寧な投球を
見せた。六番の今西美琴はセンターフライ。打球が上がった一瞬だけ、おおっという歓声
が起こったが、それはすぐにため息に変わった。

「ナイスピッチング、渡辺」
「あ、はい。でも、一人だけですし」
 栗田からの労いに、侑子はやんわりと否定した。
「それじゃあ、次のイニングも行ってくれるかな……?」
 栗田はもうちょっと侑子のピッチングが見てみたいと思った。
「い、いいとも?」
 侑子もまた、貰ったチャンスを生かしたいと意気込んだ。
 しかし、その返しで良いのだろうか。
 ちなみに既に降板した末永陽子の姿は、ベンチには無かった。
0726創る名無しに見る名無し
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2014/03/30(日) 22:39:23.99ID:FW4LH+ht
 
0727「GirlsBaseballClassic〜スタジアムの女神たち〜」第二十二話
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2014/03/30(日) 22:40:47.33ID:qWnzI58W
6/7
 8回表。ゴッデス先発の井波が続投。このままリードを保てばおそらく9回は守護神の
御子神が登板するだろう。
 2対4。シャイニングヴィーナスが2点のビハインドで、八番からの打順だ。
 八番の中本寛子は凡退したが、九番の丸山みのりに代えて塩原由佳が代打として打席に
立った。
 本当はチャンスの場面で出したかったのだが、仕方がない。
 1アウトから塩原がツーベースヒットで出塁し、打席にはトップに戻って小宮奈美が
立つ。

「まずは1点、返すっスよー」
 奈美は気合いを入れて右打席でバットを構える。
 ゴッデスのピッチャーは井波のままだ。
 井波の初球を、奈美が思いっきり引っ張った。
 その打球はショートの頭の上を越えて、レフトの前へ。
 二塁ランナーの塩原は三塁でストップした。1アウト一塁二塁とチャンスが拡大した。

「……私か」
 二番の川原恵美が打席へ。いつもは送りバントか進塁打を求められるが、この打席では
ランナーを返すバッティングが求められた。
 井波のストレートに対してやや振り遅れていた恵美だったが、この打席ではしっかりと
打ち返した。
 ライト方向への打球。ライトの亀丸たまきが追う。なおも追う。掴んだ。
 三塁走者の塩原はタッチアップで生還し、1点を返した。これで3対4の1点差に。
 2アウトで小宮奈美を一塁に残し、打席には3番の大木姫子が立つ。
 さらにネクストバッターズサークルには、前の打席でホームランを打った御堂あづさが
待っている。
 井波にもそろそろ疲れが見えてきたか、それでもストレートで押していく。
 本来は左投手を苦にしない姫子だが、この日はここまでノーヒット。しかし四打席目に
ようやく井波の直球を打ち返した。
0728「GirlsBaseballClassic〜スタジアムの女神たち〜」第二十二話
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2014/03/30(日) 22:43:47.20ID:qWnzI58W
7/7
 ランナーを二人貯めて、四番の御堂あづさに打順が回った。
 二塁走者は俊足の小宮奈美。シングルヒットで同点に追いつく場面だ。
 御堂あづさにもスラッガーとしてのプライドがある。だが、ここはそれをぐっと堪えて
単打狙いに切り替えた。
 井波のウィニングショットであるチェンジアップを、狙い澄まして右方向へ打った。
 だが、その打球はライトの亀丸が身体を精一杯伸ばしてキャッチ。
 追加点とはならなかった。

 8回裏は、渡辺侑子が相手の下位打線を三人で抑えた。
 そして9回の表、トライアンゴッデスの守護神が登板する。
 2番手として御子神零がマウンドへ。
 一塁側のスタンドは、この試合の勝利を確信した。
 まだだ、まだ終わらない。ヴィーナスファンのかすかな願いを背中に受けて、9回表の
先頭打者として三島みらいが打席に立った。

 御子神の直球に必死に食らいつくみらい。打球はファールゾーンに転がる。
 たが、健闘も空しく三島みらいは三振に倒れる。
 続くエイミー・マクスウェル、小松田沙織も共に三振に切って取られ、試合終了。
 結論としては、やはり守護神・御子神が登板する前に何とかしないといけない。
 シャイニングヴィーナスの大阪遠征は、1勝2敗の負け越しに終わった。

 次のカードは、ホームに帰って札幌ホワイトブリザーズを迎え撃つ。
 昨年は東地区3位になったブリザーズたが、今年は好調なスタートを切った模様。
 2カード連続で勝ち越して、いざ東京に乗り込む。
 それに対して、昨年の女王として恥ずかしくない野球をしよう。大阪市内某所の焼肉店
でそう誓い合うヴィーナスのナイン達。
 まだまだシーズンは長い。一つや二つ負け越した位で立ち止まってはいられない。

 つづく。
0734創る名無しに見る名無し
垢版 |
2014/04/16(水) 22:47:38.66ID:VIm2aXzF
女子プロ野球がそれなりに知名度と人気があるという設定のほうが
色々とやりやすいかな
0735創る名無しに見る名無し
垢版 |
2014/04/18(金) 22:33:05.08ID:b8DrFfXS
プロ野球(男)とシーズンが被ってるからなあ
時間をずらすとかしてくれたら両方見れるんだが
0739わんこ ◆TC02kfS2Q2
垢版 |
2014/04/30(水) 18:14:27.54ID:UbGoQIXB
はじめまして。野球物書いてみたんです。
前後篇の前篇です。


        『ほむらーん』


 「なぜ、だめなんだ。お……おれが行かなければチームを救うことができない」
 「今は自分の心配をした方がいいよ。その体では救うどころか、拓也まで再起不能になってしまうわ」
 「止めるな、ミカ。ベッドの上で……死ぬぐらいなら、マ、マ、マウンドの上で死んだ方がましさぁ!!」
 「……」
 「先生、拓也に現実を見せてあげて下さい!蝕まれた身体に何ができるのだと」
 「あの……あの」
 「先生!おれから野球を……うううう、うぐっ……奪うつもりですか!」
 「あの……えっと」

 ピーっ!ピッピッ!

 ホイッスルの音が教室を切り裂いた。
 何もかも終わった。
 流れた汗が涙に変わる。

 「やめやめ!熊ヶ根!もっと、空想しろ!舞台の上だと思え!話を途切れさせたらおしまいだぞ!」

 これで三度目。わたしを囲む視線さえも痛々しい。それでも部長はわたしにうざったいエールを送った。
 教室中央で三者足を止め、手を止め、額の汗をハンカチで拭う快感に酔いしれる中、わたし、熊ヶ根莉子たった一人だけは俯いたまま
非力な自分に打ちひしがれていた。きらきら輝く光が眩しくて、同じ演劇部の仲間たちとの距離感を覚えてしまう事にもう慣れた。

 「エチュードになると熊ヶ根は全然だな。なんでもいいから言葉をつなげ」
 「あの……部長」
 「熊ヶ根っ。お前は医者という役を振り当てられたんだ。医者が言いそうなこと、医者が考えそうなことを考えなければならない」

 部長はわたしの性格を知って厳しい言葉を投げたんだろう。
 つなげつなげ言われても、喉元で止まってしまか、頭に浮かばないんだから、仕方ないっちゃ仕方ない。
 わたしたち演劇部はこうして筋書きのない即興劇を通して、アドリブ力を鍛えるのだが、わたしはどう足掻いても
無理ゲーにしか思えない。相手が思わぬ方向へと話の変化球を投げると、わたしは立ち尽くして頭の中が完全にホワイトアウトだ。

 「よーし、少し休憩だ。15分後この教室に戻って来い!解散!」

 わたしに気を使ったのか、部長の差し出した助け舟。それによりそって、わたしはこっそりと教室を後にした。
 背中に感じるのは部員たちからわたしへの呟きだけだった。

 「本番のくまちゃんはすごいのになっ」
 「一字一句間違うことなく台詞を頭に入れるなんて、羨ましい才能ですっ」

 悪いけど、それ……わたしの欠点です。
 台本がないと、ダメなんです。
 演劇するのは好きだけど……、自分自身がわからないんです。
 筋書きの無いドラマなど、怖くてしょうがないから。

   #
0740わんこ ◆TC02kfS2Q2
垢版 |
2014/04/30(水) 18:14:58.97ID:UbGoQIXB
 人気の無い階段の踊り場で、分厚く膨れ上がった台本をむさぼり読む。
 わたしがこの高校へと入学する前に公演された、ほこり被ったような台本だ。大学ノートの色褪せた昭和の年号が入った代物。
質の悪い紙に手書きの文字が並ぶも、しっかりとした内容でわたしの魂を鷲掴み。自分も役を頂いたつもりで一節を口にする。

 「『空腹は最高のスパイスっていうじゃない?ホント、食いしん坊なんだから!』」

 突き抜ける快感を誘うセリフだ。

 先輩たちが積み上げた歴史と力と誇りをちょっとづつつまみ食いする。見たことも無いし、全く知らないオリジナルな演目だった。
 だからこそ、夢広がるし、自分のものになる気がする。でも、台本という基盤とともに、キャラクターが存在するからこそ
安心しきっている自分が居るのかもしれないという、耳の痛い分析もありうるのだ。
 しかし、お腹がすく。
 こんなときには魔法の言葉。

 「『空腹は最高のスパイスっていうじゃない?』」
 「『ホント、食いしん坊だなっ』」
 「え?」
 「くまちゃん、見つけたぞっ」

 わたしが口にしたセリフと微妙に違っている?それは、わたしが口にしているからじゃないからだ?

 「おにぎり、食べようっ」

 形の悪い小さなおにぎりが、ずんとわたしの鼻先に現れる。
 同じ演劇部員の久遠だった。
 おにぎりを片手ににこにこと、茶色のショートの髪が窓からの日光に映え、アホ毛がゆらゆらと落ち着きが無い。

 久遠はまるで子犬のような少女だ。くるくるとわたしの周りをまとわり付いて、異様におにぎりを勧めてくる。
 真っ白なひたむきさ、艶やかな三角形。どれをとっても食欲をそそる魅惑のトライアングル。それはある種のバミューダだ。
 でも、わたしは……おにぎり……おにぎりなど。見たくも無い。
 どうしてって……幼なじみを思い出すからだ。

 (うーん。逆転勝利のあとのおにぎりは格別だな)

 そんなすっとんきょうな声が鼓膜に未だこびりつく。
 昔にしがみついていたわたしの裾を引っ張る久遠がおにぎり片手に目を輝かせていた。
 
 「台本って面白いよねっ。言葉遣いを微妙に変えるだけで、キャラが変わるんだっ」
 「そうね……」
 「『じゃない?』だと、お上品さ麗しいけど、『だなっ』だと……わお!!尻尾!尻尾!」
0741わんこ ◆TC02kfS2Q2
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2014/04/30(水) 18:15:30.49ID:UbGoQIXB
 感性で動く久遠の言いたいことは分かる。
 だが、それは台本に背いているのじゃないのか。

 「おにぎり食べないなら、わたしが食べるっ」
 「……あ」

 むしゃむしゃとわたしの目の前で貪る久遠を眺めてるうちに、休憩時間が過ぎてゆくのだった。
 しかし、お腹がすく。


   #


 うまくいかなかった日にうまくいっている物を見るとやさぐれてしまう。

 「話を回すことを熊ヶ根は常に考えることだな」

 部長の言葉がちくちく刺さり、部員たちの快感なる汗が目にしみる。
 そりゃ、気持ちいいよね。あふれ出す乳酸を分解するときの快楽は他に例えようがないし。

 いいよね。

 なるべく誰かに会わず帰り道を模索したいが、やはりうまくいかないものはうまくいかない。
 わたしの後をちょこちょことついて来る、子犬みたいな子が一人。振り向けばすぐさま隠れ、尻尾がちらほらと見え隠れしている。
もちろん比喩だが、尻尾があっても不思議ではない小動物的なみどりの芝生のにおいがする。

 「久遠ちゃん……」
 「まてーっ、くまちゃんっ」
 「待たない!」
 「おーにーぎーりー!焼きおにぎりが追いかけてくるぞっ」
 
 だから、即興劇は苦手です。
 言い返すのならば、言い返せるのならば。

 (おーこーとーわーり!)

 わたしには余裕など一ミリもない。

 「くまちゃんっ、おにぎり残っちゃったから焼きおにぎりにしたよっ」
0742わんこ ◆TC02kfS2Q2
垢版 |
2014/04/30(水) 18:16:01.40ID:UbGoQIXB
 ぷわんと醤油の香り漂う包みを携えて、久遠がぱたぱたと絡み付く。
 わざわざわたしを追ってきたのか、はたまた偶然居合わせたのかは定かではないが、久遠の焼きおにぎりは適度に焦げ目がついて、
すっぽろ飯のおにぎりとは違った風味が味わえそうだった。
 だが、頂くことを丁重にお断りさせて頂く。
 幼なじみのことを思い出すから。
 幼なじみの声がおにぎりの中からこだましてくる予感がするからだ。

 「りーこ、またおれがグラウンドに帰ってきたならば、おにぎりを頼むぞ」

 久遠と幼なじみとは性別も体格も合致するところなどないのに、おにぎりがあるだけで幼なじみの言葉が浮かぶ。

 「やはり五万の観衆からの声援の味を占めてしまったおれは」
 「うそばっかり。五万もいないし」
 「早く聞きたいぜ……」

 包帯を頭に巻いた幼なじみが素振りをする姿が忘れられないのに。

 「くまちゃんっ」

 はっ。

 我に帰る。

 もう、ここには幼なじみなどいないのだ。
 目の前で尻尾を振るのは久遠だ。

 「くまちゃんさっ。わたし、くまちゃんの演技好きだなっ。この間の『ロミジュリ』なんて、計算され尽くした
  本のうま味をあますとこなく引き出して……なんか、台本書きの意図をすんごく読み取って丁寧に演じてる感がしてっ」
 「ありがとう。でも、わたし苦手だなあ、エチュードは……台本がないとだめで」
 「エチュードも千本ノックだよっ。今度はお医者じゃなくって、高校球児の役とかで……」

 久遠っ。

 「野球の話は止めて!」

 ごめん。

 「……ごめん。でもさぁ、そんなこと言って、やっぱり舞台に立つのが好きなんだよねっ。五万の観衆からの声援の味をしめて……」
 「やめて。幼なじみ、思い出すから」
 「……わお。妬いてるっ」

 こんがりと焼けたおにぎりは物言わず、久遠の小さな胸の中で冷めかかっていた。

 幼なじみが打席に立つのを見なくなってから、おにぎりを避けていたのに。
 たった半年でなにもかも変わる。変わらないのは幼なじみだけ。

 「ごめん、お先!」
 「わおっ。待ていっ。おにぎりが泣くぞっ」
0743わんこ ◆TC02kfS2Q2
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2014/04/30(水) 18:16:32.50ID:UbGoQIXB
 そんな彼女を巻いて静かなる家路を目指すわたしは、ウサギを追うアリスだ。違う。アリスはウサギを追うんだ。
アリスを追うのはトトじゃないの。なんだか違う。トトはドロシーを追うだっけ、はたまたドロシーはウサギを巻くんだっけ。
 考え事をしながら歩くと予期せぬ事態に遭遇する。筋書きのない帰り道ほど剣呑なものはない。

 「あ……しまった」

 ざわざわと。

 「ライト、もっと下がっとけ!!」
 「うぃーっす!」

 広がるグラウンド。
 ナスカの地上絵にもまけない四角四面の線画。
 そこに兵隊のように守りを固めるプレイヤーたち。
 秦の始皇帝でさえも築くことが出来なかった王宮か。
 そこを若い歴史が塗りたくる。
 青臭い汗は勲章だ。
 一対九の四面楚歌に勇猛果敢に鉄槌を振る。
 茜雲に白球が舞い上がり、オリーブの葉をくわえたハトが希望の光をぽつんと照らす。
 眼下に広がる黄土色の海。そして、うねりにもまれる一艘の箱舟、乗組員はたったの九人。
 箱舟の行き先なんか、誰も知らない。
 海の底へ沈むかもしれない。
 光か輝く大地にたどり着くかもしれない。
 筋書きなんかみんな知らないのに、誰もが心を一つにする。
 筋書きの無い不安、わからないの?

 ハトよ。

 どこへ。

 野球場なんか……二度と来ないって、あの時誓ったのに。
 野球部なんか……二度と目に触れるもんかって、あの時心に決めたのに。
 金属音響き、若者たちの声がざわついた。もう、二度と聞くことなんかないと思ったバットの音がわたしの鼓膜を突付く。

 「バークッ!バック!」

 白球を追う若者たちは天に祈る気持ちで行方を案じていた。
 放物線を描いて、ボールはゆっくりとてっぺんに上り詰める。

 「あーっ。ファール!」
 「君!逃げて!」

 わたし?
0744わんこ ◆TC02kfS2Q2
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2014/04/30(水) 18:17:10.74ID:UbGoQIXB
 あれはハトなんかじゃない。
 飢えに駆られたタカだ。
 地を這う動物の血を嗅ぎ分けて、矢のように迫ってくる。
 牙がきらりと白く光る。
 一直線に軌道を描き、わたしの眉間狙って飛んで来る白球。
 ふと、脳裏に浮かぶのは……。

 幼なじみ。

 「わおっ」

 ずばん?

 不思議だ。
 わたしを目掛けて飛来してきた白球が見えない。
 それどころか、グラウンドに散らばる若者たちはわたしを凝視する。
 血の気が引いたわたしの足元に野球のグローブが転がって、そこからボールがころりと転がって出てきたことに気付いたのは
わたしの名前を呼ぶものの存在を確かめたときだった。
 飛来する白球をグローブを投げつけて叩き落す……常人を超えたばかげた行動をとるのはアイツしかいない。

 「りーこ!やっぱ、おれのプレイを見たくてここに舞い戻ってきたのか?」

 軽はずみのお調子者。
 すっとんきょうを極めた男。
 彼を形容する言葉など、検索するだけで無駄なことだ。
 無駄に大きな体から、軽い言葉が機関銃の乱射の如く。

 「樫木!いい加減にしろ!」
 「ちーっす!おれの幼なじみちゃんが奇跡を起こしてくれたことに、おれは今、猛烈に感動している!」
 「次、打順だぞ。準備しろ」
 「おいっす!りーこ、見てろよ。りーこは日本一の幼なじみですっ」

 わたしの幼なじみは幼かった頃のイメージを存分に残してくれていた。
 どこかにちゃぶ台ありませんか。ひっくり返したいんですけど。
 どこかに重いコンダラありませんか。轢き潰してあげたいんですけど。

 樫木柾緒。
 かしきまさお。
 わたしより一つ上の野球バカなる男子だ。


 つづく。

前篇・おしまいです。
0746わんこ ◆TC02kfS2Q2
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2014/05/01(木) 20:20:12.18ID:sTIf036P
後篇参ります。


        『ほむらーん』


 ユニフォーム姿の柾緒はぺこりと帽子を脱いで同じユニフォーム姿の若者たちに頭を下げる。それでも柾緒は笑顔を絶やすことなどない。
柾緒曰く「真面目にふざけている」らしい。そのセリフも飽きるぐらい聞いたから、脳にこびりついている。

 ファールボールからわたしを救った張本人は、すずしろ的舞台役者のように頭を抱えていた。

 「うーん。我がチームがファールの連続に苦しむなんて、なんてテンポの悪い試合運びだ!」
 「ただの紅白戦だけどな」
 「よし。この流れ、絶ってやる!筋書きの無いドラマは最高だぜ!ひゃはぁー!!」

 筋書きの無い……。

 意気揚々とペンの代わりにバットを持つ柾緒が見えた。

 なんか、足が震える。
 嬉しいとじゃなくって、ここから早く立ち去りたいような。
 きゃーっと叫びたいぐらい。

 でも、そんな媚びるような声なんか出ないし、出す気もないし。
 出るとするなら、見たくも無い現実をかき消す声だ……。

 「わたし、帰る」
 
 このシチュエーションを振り切るようにわたしが脚を一歩出すと、制服の裾を引っ張る感覚が引きとめていた。

 久遠だ。
 彼女は尻尾で動く。
 理屈などは無用。
 感性で動く久遠の伝えたいことは分かる。
 だが、それは台本に背いているのじゃないのか。

 台本では『ここでわたしは舞台から降りる』はずなのに。

 「あの人だーれっ。なんかすごいから、見ていこっ」
 「知らない」
 「わお」

 柾緒が打席に立つのを見るのは何年ぶりだろう。
 最後に見た姿と全く変わっていないこと、それは柾緒が全く成長していないことを意味しているのだろうか。
 ぶんぶんとバットを素振りする格好だけはいっちょ前、天高く、弁慶の薙刀のように突き上げる様だけは一人前。

 「バッタービビッてる!へいへいへい!」

 調子の外れた声援を柾緒が自作自演している。その割には落ち着いた構えだった。
 グラウンドは差し詰め舞台のよう。
 演者はプレイヤー。
0747わんこ ◆TC02kfS2Q2
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2014/05/01(木) 20:20:48.43ID:sTIf036P
 (もっと、空想しろ!舞台の上だと思え!話を途切れさせたらおしまいだぞ!)

 ふと、部長の声が海馬から蘇った。いやな気分だ。
 グラウンド間近で空想などは……もういやだ。

 投手、渾身の一球を腕(かいな)から放つ。
 ずばんと捕手のミットに吸い込まれる。
 バットが宙を切る匂いが鼻腔をつんざく。短銃の硝煙にも似た焦げ臭さ。

 「すーとらいく!」

 柾緒、自己申告の判定だ。
 バカ正直ならぬ、正直バカだ。

「はっはっは!グランドには銭が落ちてるぞー!がっはと掴み取れー!出来るんだったらな!」

 投手、打者。共に間合いを計りながら、二投目の時を待つ。
 水を張ったような静まり返ったグラウンドだった。

 二投目。
 力みすぎた球は打者の足元かすむ。

 「ぼるー!」

 余裕の自己申告。

 「いいねぇ!じらすテクは誉めてつかわすぞ!えっちいDVDでも、いきなりクライマックスはないからな!」
 「樫木ー!黙って打席に立てねーの?」

 チームメイトからのナイスツッコミ。

 「バットがダメなら、言葉で打ち返すのがおれの流儀だぜ」

 だ、そうで。

 そして、三投目。

 「すーとらいく!」

 柾緒は必死だ。話を途切れさせることは好まないはずだ。何故なら、打席に立っている間、ずっと投手……いや、白球と真正面から
ぶつかり合っているからだ。だから、全力で。エチュードで立ち回るように、即興の節をつけるように。

 「なんか、すごいねっ。ホームラン、でるかなっ」
 「打つわけ無いよ」
 「わお……」
 「ってか、打たないし、打たるわけない」
0748わんこ ◆TC02kfS2Q2
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2014/05/01(木) 20:21:19.93ID:sTIf036P
 ラップに包まれた焼きおにぎりを持った久遠の声で、わたしは部長の言葉を思い出した。
 久遠の存在はイヤでも演劇を思い起こさせるからだ。

 (もっと、空想しろ!舞台の上だと思え!話を途切れさせたらおしまいだぞ!)

 打者も、投手も、一塁手も二塁手も三塁手も……誰もが魅せる為に、即興劇を繰り広げている。
 きらりと汗が滲む投手がおもむろに足を上げ、大きく振りかぶって四投目。
 ロケットの勢いで柾緒を目掛けて弾道を描く。
 今後のストーリーなど、誰も保障はしない。
 だから、空想しろ。

 空想……、このシチュエーションでわたしに空想を求めるなんて。
 わたしに最悪な思い出をリフレインさせるだけの労徒を求めるのは、いかにも……トラウマなんです。

 たった一年前のことなのに。
 忘れ去ることが出来ない罰を与えてくれたメフィスト様。

 わたしの目の前で起きた、打者への仕打ち。

 あのときわたしは叫んでいた。
 息を切らして叫んでいた。

 「柾緒ーーーっ」

 苦痛に顔を歪め、地面に横たわる打者。
 転がる白球。
 なすすべないバット。
 そして、悲鳴。

 阿鼻叫喚のグラウンドでは、わたしは非力な存在だった。

 デッドボール。
 死の球。

 純粋な、純情な白球が真っ黒なローブを纏い、鎌をもって襲い掛かった。

 凶弾に斃れた名士にも劣らぬ悲劇のヒーローが幼なじみだった。

 そのとき、わたしはおにぎりを持って駆けつけていた。
 柾緒の桧舞台を楽しみに、息を切らせてグラウンドにやって来た。
 間に合ったかと胸を撫で下ろしたとき、目に入ったのは鉛の球と化したボールに倒れた幼なじみの姿だった。
 さっきまで「すーとらいく」と叫んでいた幼なじみが言葉をうめき声に変えていた。
 とある戦場写真家が撮った奇跡的な一枚『崩れゆく兵士』。その写真が柾緒とダブって見えてきた。
0749わんこ ◆TC02kfS2Q2
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2014/05/01(木) 20:21:50.78ID:sTIf036P
 それ以来、わたしは野球のやの字さえも受け付けないし、ボールのボの字も見たくもない。
 柾緒が拳を振ってダイアモンドを一周する姿など想像したくもなくなった。
 筋書きの無いドラマなど、怖くてしょうがないから。

 「はっ」
 「わおっ」

 戻った。
 闇夜に塗られたわたしの記憶から、会心の一撃が腕を引っ張った。

 ぽかちーん。

 バットが球を打つ。
 茜色の空を一粒の球が舞う。
 籠から飛び立つ自由を掴み取った小鳥のように。

 ぐんぐん伸びる。
 ぎゃんぎゃん飛ぶ。
 ざくざく走る。
 あれはなんだ、ロケットか。
 いや違う、ただのボールですよ。
 なんだ、ボールか。
 でも、そんじょそこらの球と違う。

 だって、あれは『ホームラン』。

 単純なことなのに、若者たちはいっせいに視線を集めた。

 「うおおおおおお!!!!」

 目が覚めた。
 目が覚めた。
 眼が醒めた。
 芽が冷めた。
 女鹿鮫太。

 どんなに漢字を変換しても冷静になれない現実。
 足が震える。
 呼吸が荒くなる。
 そして、尻尾!尻尾!尻尾!

 真っ暗闇の空想を打ち破った、真っ赤な現実の世界。
 幼なじみは拳を振りながら、四角四面の地上を駆け抜けていた。そして、一周を果たしバック転。

 「どう?ほむらーん!」

 柾緒は会心の『ほむらーん』で観客の喝采を一気に浴びていた。


    #
0750わんこ ◆TC02kfS2Q2
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2014/05/01(木) 20:22:35.23ID:sTIf036P
 「うーん。逆転勝利のあとのおにぎりは格別だな」
 「だから、くまちゃんも食べろいっ」
 「……」

 わたしは久遠のエチュードに騙された。
 アドリブを否定し続けてきたわたしがアドリブで全てを変えた。
 だというのに、小さい頃から全く変わることの無い柾緒と言ったら。
 久遠がわざわざ追いかけてまで届けてくれた焼きおにぎりを「美味美味」と、柾緒は心底美味しそうに食べていたのだから
微妙に腹が立つ。これ以上の高級食材を否定するほどの味わいが憎たらしい。

 そんな一言が聞きたくて、わたしはあの日おにぎりを持って走っていた。
 そして、間の前で起きた惨劇。

 「打っちゃったね。ホームラン」
 「ああ。ヤツは全力でおれに飛び掛ってきたんだ。だからおれも全力で受け止めなきゃ失礼だろ?」
 「そうね」

 わたしは柾緒の死球でボールの存在がダメになった。
 だが、柾緒は彼が遭遇した事件でさらにボールとの友情に目覚めたのだ。
 全身全霊でボールは飛んできたんだから、おれも野球を続けなければヤツの本気が無駄になる……と。

 しかし、微妙にお腹がすく。
 柾緒の空腹を満たす顔が余計にわたしを苦しめるからか。
 そして、微妙に腹が立つ。

 筋書きの無いドラマに心打たれてしまったことが悔しいからだと、今は思っておくことにしよう。



    おしまい。
 




これにて完結です。
ではでは……。
0758創る名無しに見る名無し
垢版 |
2014/06/12(木) 01:43:44.64ID:fOL4J7Ug
前にブラジルでやったワールドカップで、ブラジル代表は決勝で負けたんだっけ
だからこそ、今回は優勝するしか無いだろうね
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