角田が“賭け”に勝ち、東京五輪代表への望みをつないだ。1階級下の48キロ級に出場すると、得意のともえ投げが威力を発揮した。初戦から4試合をオール一本勝ち。
「負けたら引退なんじゃないかと思うぐらい悩んだ階級変更だった。素直にうれしい。未練もあったけど、48キロ級でやろうかなって気持ちは強くなった」と晴れやかな
表情だった。
本来の52キロ級では世界選手権V2の阿部詩、17年世界女王の志々目愛に次ぐ存在だが、今年の世界選手権代表を逃すなど追い込まれていた。「52キロ級は
阿部選手や志々目選手もいる。減量が全くなく戦っていたので、もったいない気持ちもあった」。五輪へのわずかな可能性を模索し、9月の全日本実業個人選手権
で試験的に48キロ級で出場。柔道で階級を下げる選手は珍しいが、筋肉量も落ちなかったことで「この身長(162センチ)とパワーで48キロ級で戦えるなら、
有利じゃないか」と本格転向を決めた。
だが、52キロ級のGS大阪大会出場資格を返上し、全柔連の強化選手も辞退する必要があった。17年世界選手権銀メダルなどの実績も白紙に。強化関係者によると
48キロ級では「ほぼ新人の扱い」。優勝を逃せばGS大阪代表に選ばれなかった可能性が高かったという。
退路を断った挑戦もいばらの道は続く。女子の増地克之監督は五輪へ「出る大会を全て勝つことが最低条件」と高いハードルを課したが、48キロ級の代表争いは
渡名喜風南(24)=パーク24=が大きくリードする。ただ、世界選手権は2年連続でビロディド(ウクライナ)に決勝で敗戦。角田のともえ投げや寝技、関節技などの“必殺技”が
攻略の切り札となる可能性も秘める。「1回も負けられないのは52キロ級も同じ。20年に向けて短い期間だけど精いっぱい頑張りたい」。27歳が人生を懸けた5か月間
の勝負に挑む。

角田夏実、48キロ級で全4戦一本勝ちV「素直にうれしい」
https://hochi.news/articles/20191103-OHT1T50320.html