9月入学「受験が公平に」「未就学児はデメリットだけ」 渦巻く賛否「いろんな人の声聞いて」(2)

■反対の生徒もいる

 一方、通信制高校に通いながら大学を目指す静岡県沼津市の高3女子は「9月入学に反対の生徒もいると知ってほしい」と書き送ってきた。
「娯楽も特になく、ただひたすら課題や受験勉強の毎日。もう限界だよってくらいしている人もいると思う。
それなのに受験を半年延ばすなんてつらい」と本音をつづった。
 高3の子どもを持つ京都市北区の会社員女性(50)は「受験時期が延びた場合の授業料、塾代、予備校代は誰が支払うのか。
冬に向けて逆算して勉強している子のメンタルはどうしてくれるのか」と問い掛けた。
 就学前の子どもがいる親からも、9月入学は就学年齢が遅くなったり、1学年の人数が増えたりといった影響があるとして、複数の反対意見が寄せられた。
愛知県に住む会社員女性(37)は「高校生にだけスポットライトを当てないでほしい。未就学児はデメリットしかない」と強調した。
 看護専門学校の教員であるという女性(52)は、新型コロナへの対応で疲弊した看護師が大量退職する恐れがあるとして
「(2月に行われる)看護師の国家試験が後送りになると、新人ナースは4月から勤務できない」と医療現場に与える影響の大きさを指摘。
「もっといろんな人の声を伝えるべきだ」と訴えた。
 京都市内の公立高に勤める50代の教員男性は、9月入学になると、
「インターハイや高校野球の甲子園などは、そのまま行うとするならば、卒業式が終わってからになる」と述べ、
スポーツにかける生徒の思いも踏まえた議論を求めた。
 政府は9月入学制の可否について、6月上旬にも一定の方針を示す考え。
国民に与えるさまざまな利害や社会への影響を勘案し、判断を下すことが求められる。