公立小学教員の採用2.8倍で過去最低 「危険水域」割る
2019年12月23日 20時2分

 公立小学校教員の2019年度採用の試験の倍率が全国で2・8倍(前年度比0・4ポイント減)と、
1991年度と並んで過去最低だったことが23日、文部科学省が発表した調査結果で明らかになった。
組織で人材の質を維持するのに必要とされる倍率は3倍とされ、「危険水域」を割った。
70年代前半に生まれた団塊ジュニア世代の小学校入学に備えて80年代に大量採用した教員が退職を迎えて採用数が増えたことに加え、
多忙な職場環境が敬遠され志望者が減少傾向にあることが要因とみられる。

 都道府県・政令市別でみると、地域差があり、最低の新潟県が1・2倍なのに対し、最高の兵庫県は6・1倍。
文科省担当者は「採用者数を中長期的に安定させている自治体は倍率が高い。
子どもの数、退職教員数に応じて場当たり的な採用を続けてきた自治体は倍率が低い」と説明する。
低倍率の自治体については「質の高い人材を採用できない可能性がある」として改善を求める方針だ。

(中略)
名古屋大大学院の内田良准教授(教育学)の話
 学校が「ブラック職場」だとして敬遠した学生は私の周りにもいる。ただし、今回は2018年度に受験した学生の採用倍率だ。
この1、2年で教員養成学部に入った学生はシビアに学校の現状を見ている。
長時間労働を問題視する声の高まりを受け、今後、倍率がさらに低下する懸念もある。受験数減に歯止めをかけるため、働き方改革の推進が急務だ。

小学校教員の採用倍率
<倍率の低い都道府県・政令市>
新潟県1・2
福岡県1・3
佐賀県1・6
北海道・札幌市1・7
北九州市1・7
(後略)
https://mainichi.jp/articles/20191223/k00/00m/040/217000c