【仮説】江戸柳生分流・天心流兵法を名乗る団体は、明治期以降創流の「現代流派」天心一刀流の系譜にあたる天心流であって
「天心独明流」や「三日月藩・福本藩の天心流」とは全くの無関係であり、下記の同名異流の三流派はそれぞれ別物である。

1. 天心一刀流(天心独明流)
 東京国立博物館蔵「天心一刀流秘伝書」流祖は伊藤(伊東)一刀斎景久、天心独明流(一刀新流トモ云)の流祖は根来獨身斎重明と
 記載されているので、天心一刀流は天心流兵法とは無関係であると考えられる。故に四代目中村天心の名と繋がらない。

2. 天心流(福本藩、三日月藩)
 国際水月塾支部長の調査によると、
・国富家は代々嫡男(宗家)しか「忠左衛門」を名乗れない(→兄弟親戚に同名はない)
・国富姓も福本藩にはその一件のみ(→分家はない)
・幕末の国富家や福本藩の士籍を数千人を調べても「国富五郎衛門」の存在が確認できなかった。
 以上の事から、国富家の系譜を受け継ぐと主張しながら天心兵法の発表する
 国富忠左衛門(→国富弥左衛門→国富弥五左衛門→国富五郎衛門→)石井家という伝系の( )内が創作・捏造の可能性が非常に高いと判明した。

3. 天心流兵法(元、石井家伝天心一刀流)
 古剣法保存会という紙切れに記載されていた「浪中刀」という技法を有する、天心一刀流のこと。綿谷雪の武芸帳の流派名鑑に
 「天心一刀流第四代 中村天心 東京都三鷹市」と記載があるが、現在の江戸柳生分流天心流兵法では中村天心は第九代となっており、
 鍬海前師家が「剣術に関しては天心一刀流を名乗る」と宣言したことから伝系について更なる疑惑が生じた。

【検証】天心流は江戸柳生どころか、福本藩の天心流と縁もゆかりもないだけでなく、
歴史的には剣術流派であったはずの天心流が、抜刀術を主とする型構成に変質していたり、
川村氏や井上氏の所有する天心流目録とは技や伝承内容が全く一致しないこと、
三日月藩・福本藩は討幕派なのに対して、天心流兵法は裏柳生を称し、葵御紋を使用する等、
数々の歴史的事実との矛盾を露呈しているため、
「伝系の正当性を証明できないのに、却って開き直って色々怪しい伝承を付け加えてる団体」「真っ当な古流というには根拠がない怪し過ぎる団体」と指摘されている。