松濤館空手の香川先生のお言葉を紹介しておこう

空手道以前、沖縄からやってきた「唐手術」の稽古が、
かなりの部分を型に依存していたという歴史を、もう一度思い出してみてください。
型が一足飛びに、競技の祖型となる自由組手に発展していくことは、まずありえませんでした。
型で用いられる突きや受けを、実戦的につかう稽古が充実しなければ、
空手道の動きを最大限に生かすための「寸止め」という発想は浮かばなかったでしょう。
となれば唐手術は、型や基本に宿る武道の精神とはかけ離れた、
ノックダウン方式の格闘技となるしかなかったかもしれません。
あるいはかたくなに試合を否定しつづけ、「古武術」として秘めやかに技を伝承していったか。
「約束組手」を重要に考えたことは、「唐手」ともマーシャルアーツともちがう次元に向かう
空手道らしさの発見だったともいえます。
それは競技化、国際化へと展開する真新しい道筋でもあり、
一方で武道としてのダイナミズムを維持する普遍的な古道ともなりました。

「変わる力 変える力 現代空手道論」 香川政夫 第4章 武道か スポーツか p.166

つまり、型だけじゃどうしようもないって事だね。