6車線化や新トンネルを…アクアライン渋滞緩和へ抜本策、県が国に要望へ
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千葉県木更津市と川崎市を結ぶ東京湾アクアライン(全長15・1キロ)の渋滞緩和に向け、県は現行の4車線を6車線(片側3車線)に増やすことや新たなトンネルの開通を目指し、中長期的な検討に入る方針を固めた。7月22日から、時間帯によって料金を変える「ロードプライシング」を試験的に導入するが、より抜本的に渋滞をなくして交通量を増やすため、国土交通省などに要望していく考えだ。

■拡幅「可能」
県は、6月中旬にまとめた重点提案・要望で、国交省に対して「アクアラインの6車線化など、交通容量の拡充について、中長期的な視点から検討する」ことを求めた。6車線化を要望に盛り込むのは初めてだ。
具体的には、アクアラインの橋の部分は「(現在の)4車線から、6車線に拡幅が可能な構造となっている」と記した。「3本目のトンネルを掘り進めることが可能」とも指摘し、更なる交通需要の増加に対応していく必要があるとしている。
複数の関係者によると、東京湾を横切って走るアクアラインの橋の部分は約4・4キロで、片側3車線に広げられるよう幅が設計されている。海底トンネルは現在2本(各2車線)だが、技術的には3本目を掘削することができるという。県は今後、アクアラインの将来を見据え、6車線化やトンネル工事の可能性を「研究」していく方針だ。

■やまぬ渋滞
アクアラインは2022年度、1日あたりの平均通行台数が約5万1700台で過去最多となった。開通当初の5倍ほどに増え、1年間に起きた渋滞は2073回。木更津市内でも、アクアラインの本線に入るまでの車で激しく渋滞する。県はこれまで、県外客が混雑を嫌って来県するのをやめたり、渋滞を避けるために県内での滞在時間を短くしたりするのを懸念してきた。
こうした中、国交省と県が7月22日から試験導入に乗り出すのがロードプライシングだ。現在の通行料は、自動料金収受システム(ETC)搭載の普通車で800円だが、土日・祝日の川崎(東京)方面に向かう上り線で午後1~8時は1200円、午後8時~午前0時は600円となる。
ロードプライシングは、料金に差をつけることで、すいている時間帯に車を誘導する狙いだ。すでに英国やシンガポールで導入されている。

■半島性を克服
県はロードプライシングの試験導入を発表するのとほぼ同時期に、6車線化を国に要望した。県幹部は「地元の千葉県から声を上げることが重要だ。アクアラインの効果を更に発揮するため、あらゆる取り組みを進める」と解説する。
熊谷知事はアクアラインを「(県の)『半島性』を克服するため、非常に重要な道路」と位置づける。6車線化に関連して、入り口周辺の渋滞緩和やジャンクション(JCT)の機能強化なども課題となり、国と県の連携が重要になりそうだ。