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 「ありとあらゆる人体実験を主導してきた国が、その実験方法を真似ただけの他国を非難し、罰せるのか。
それに安楽死でさえ! ドイツを見よ、その苦境は操られ、わざと引き延ばされてきた。人類の歴史上、
広島と長崎の罪を永遠に背負わねばならない国が、誇張された道徳を隠れ蓑に自らを隠そうとするのは
当然で、驚きではない。法を捻じ曲げるな。正義は絶対そこにない! 全体を見ても個々を見ても。支配して
いるのは権力である。そして、この権力は犠牲者を欲している。我々はその犠牲者だ。私はその犠牲者だ」
 ブラントはすぐに絞首刑に処され、死の直前に残した不可解な主張はその真意を問われることもなく
忘れ去られた。だがその意図を仄めかすものがある。ニュルンベルク国際軍事裁判で、ナチス幹部の
弁護側が発した問いかけである。
 「米国の強制不妊手術プログラムが、他ならぬ最高裁判所が公認したものであるなら、ナチス・ドイツの
強制不妊手術プログラムを、果たしてどれくらい悪いものだったと言えるのだろうか?」
 この問いかけは何を指しているのだろう。