駐車場から車を出す時のこと。
俺は車外左側後方で息子と手を繋いで待っており、対角線上の車外右側前方では妻が車を誘導するために立っていた。
運転手が車のエンジンをかけた瞬間、息子が繋いだ俺の手を振り払って妻に向かって駆け出した。車体左側前方を回り、車の前方に出て妻のいる方向に。
俺は一瞬慌てたが、まだ車が動き出していなかったのと、妻が息子を確保してくれると思って何もしなかった。
そこから数秒経ってから、車が前進し始めた。

次の瞬間、右前輪がガタッと「何か」に乗り上げた。

頭が一瞬真っ白になったが「きっと大丈夫だろう」と自分に言い聞かせた。さらに前進した車の跡に「何か」が転がっていた。脈動するようにビクビク動きながら赤い液体を噴出していた。
叫ぶ俺。

そこで、目が覚めた。現実でも叫んでいた。
最近悪夢ばかり続いていたが、とうとう息子が犠牲になる夢を見てしまった。
何があっても息子を車に近づかせないように改めて誓った。