フランスの所得税制 
https://www.clairparis.org/ja/clair-paris-blog-jp/blog-2019-jp/1239-2019-2

フランスの所得税は個人課税でなく、1946年から、家族政策の要素も加味して、世帯課税の方式で行われています。これはいわゆるN分N乗方式として有名ですが、まず世帯のうち、成人を1、未成年を0.5(3人目以降から1)とし世帯単位の家族除数を算出し、世帯の控除後所得合計を家族除数で除した所得に累進税率(0%〜41%、45%)が適用され、算出された税額を家族序数で乗じたものが世帯の所得税額となります。

税率は、2018年は例えば、下の表のようになっています。この方式の場合は、一般に子供が多い世帯の税負担は少なくなり、少子化対策を克服したとされるフランスの政策例としてよく挙げられます。
例えば世帯年収42,000ユーロで独身の場合、累進税率0%、14%、30%がそれぞれ課され実効税率約16%で税額約6900ユーロとなる一方、夫婦2人子供2人の場合、家族除数が3となり、世帯課税所得が14,000ユーロとなり、累進税率0%、14%のみが課され、実効税率約4%で税額約1,800ユーロとなります。

(追記)
フランスでは子育てにかかる費用は、社会でカバーされるべきリスクと考えられている
年間で100万円以上の追加費用が発生する案件は、その世帯には間違いなく、日常生活の安定を脅かすリスクだ
しかもその案件は、国の社会保障制度全体を維持・継続していくために、市民の誰かが背負わなくてはならない
そのリスクを背負う人を社会全体で助けるのは当然と、フランス市民は理解している
子どもを持たない人も子育てを終えた人も、みんなで、です

家族の形に関わらず、子を持ち育てる人が「世代を更新」するから、社会の制度を持続させることができる (持続可能社会)

その認識が明確に共有されているため、フランスでは国が子育て支援に大きな支出を割くことに、異論を挟む声はほぼ無い
それはフランスという国にとって、その市民の生きる社会にとって、当たり前に必要な役割分担だからだ
(高崎順子・東大卒)

OECDの2015年度のファミリーデータでは、フランスは3.68%、日本は1.61%。対GDP割合にしてフランスは日本の2倍以上、子育て支援にお金を出しており、OECD加盟32カ国中でもトップ

日本は過去30年に渡って平均給与は400万円台で伸びていません