【日本】高城剛6【脱出中】
今週は、大阪にいます。 いまから三十年ほど前、ほぼ毎週のように仕事で門真に訪れていたことがあります。 大阪在住者には運転免許試験場がある町として有名な門真は、関西を代表する企業パナソニック(松下電器)の城下町で、愛知の挙母市が豊田市に変わったように、門真市も松下市に改名しようと何度も議論されていたほど、市政と企業が一体となった地域でした。 ところがグローバル化と共に工場は次々海外へと移転。近年の「インバウンド一本槍」政策も折れ、現在は空洞化が進み、大阪のなかでも地価の下落が著しい地域になってしまいました。 今週は、浜松にいます。 仕事の合間を縫いまして、静岡に来た限りにはうなぎを食べずにはいられません! 一般的にうなぎのシーズンと言えば真夏だと思われていますが、あくまでもそれはマーケットにあわせた養殖うなぎの話しで、実は10月から12月が天然うなぎの旬の季節です。 天然うなぎは胸が黄色いため、かつては「胸黄(むなき)」と呼ばれ、「万葉集」にも「むなぎ」と記されています。 確かに脂がのった天然うなぎは、胸が金色です。 今の若い世代で高城剛に代わる存在は誰かと考えたんだけど 多分Daigoなんだと思う ひろゆきはまた違うしね 今週は、京都、滋賀、姫路、岡山、奈良と移動しています。 和牛の歴史を追いかけ戦後時代の戦跡を巡りながら旅をしていると、思わぬ興味深い史実と出会うことがあります。 奈良時代に仏教国となった日本では、長い間に渡って牛肉を食べることは禁忌とされていましたが、実はこっそり食べていた人たちがいました。 それが、キリシタン大名です。 今週は、金沢、京都、東京と移動しています。 週の後半は少し肌寒くなりましたが、先週今週と秋晴れというより夏日が続きました。 気象庁による秋の区分は9月から11月まで、天文学的な区分では秋分(9/23頃)から秋だと言われていますが、まだまだ残暑厳しい日も多く「秋冷の候」と書くには忍びありません(撮影時に好天なのは助かりますが)。 今年、10月に入ってから30度を超える真夏日が3日間続くのは観測史上初めてのことで、日本で観測がはじまった1870年代の10月平均15度前後でしたが、近年は20度を超えることも珍しくなくなってきました。 自著にも書きましたように、日本は徐々に四季を失っています。 遂に各国のSIMすっだんだね eSIMあれば便利だしいらないうよね 今週は、 大分県竹田市直入町にある長湯温泉にいます。 「じゃらん人気温泉地ランキング2021」で秘湯部門1位を獲得した長湯温泉は(2位は長野県野沢温泉、3位は秋田八幡平温泉郷)、過度なインバウンドにより、わずか10年でまったく別の街になってしまった湯布院や、近年、秘湯っぽい感じで売り出し、多くの観光客を集めて秘境ではなくなった黒川温泉とは相反するように、格段、大きなプロモーションは行っていない温泉郷です。 大型旅館や地域のまとまりがいまひとつだったことも功を奏して、インバウンド客に知られなかったことから、コロナ禍でも他地域と比べ、そこまで大きなダメージが見られません。 僕が泊まった宿屋も、平日でもほぼ満室。 その秘密は、リピーターが愛してやまない世界屈指の炭酸泉にありました。 炭酸泉とは湯中に重炭酸イオンが溶け込んだ天然温泉のことで、地元温泉病院の院長で温泉研究家でもある伊藤医師によれば、炭酸泉による作用が血流を増やし、老廃物や痛み成分の排出を促す働きにより「血管そのものが若返る」と、他に類を見ない温泉効果を話します。 確かに、湯上がりの感じが違います! 今週は、 富士山、宮崎、東京、金沢と移動しています。 金沢では、浦田クリニックの施設をお借りしながら初の断食ツアーを敢行しまして、代官山クリニックの田中先生にお越しいただき、血液栄養解析のデータを元に、脈診しながら個々によって最適なプログラムを組んでファスティングに挑んでいます。 参加者は、普段、僕と共に仕事する撮影部隊やポストプロダクションに従事する面々、それに近しい友人たち計10名ほどで、各人の血液栄養解析のデータに準じ、ハードコース、ミディアムコース、ライトコースにわけて取り組みを開始。 目的は、体内のデトックスと半ば強制とも言える脳のオイル交換です。 今週は、富山、東京、岡山県児島、新見、兵庫県朝来と日本海側と太平洋側を移動しています。 日本海側の山間部に多く滞在してることもありまして、日に日に冷え込みを強く感じるようになって参りましたが、僕以外にも3週間前とはまったく違う気温による「寒暖差疲労」にお悩みの方も多くいらっしゃると思います。 人は体温を調整する際、自律神経を使って血管を収縮させ筋肉を硬くすることで体温を上げる機能があり、一方、汗をかくことで体温を下げる機能が働きますが、短い期間で何度も切り替わると自律神経が過剰に働き疲労を誘発します。 これが「寒暖差疲労」です。 今週は、東京にいます。 このようなご時世じゃなきゃ住むことは一生ないだろうな、と思って東京の住処(ホテル)を銀座にしてから半年ほど経ちました。 いままで世界中の様々な都市に住んできましたが、決まって大型デパートの徒歩圏内を拠点にしておりまして、ニューヨークのミッドタウンやロンドンのナイツブリッジにも、徒歩数分で街を代表するデパートがありました。 以前、東京の拠点にしていた新宿や、昨年長く滞在していた丸の内も、大きなデパートが近くにあったことが理由のひとつです。 今週も、東京にいます。 新型コロナウィルス感染拡大が一息ついたいまのうちに、久しぶりに開催された展示会(InterBEE)や身体メンテナンスに出かけておりまして、滞在している銀座周辺の人出もかなり戻ってきた様子が伺えます。 銀座をぶらぶら歩き回る「銀ぶら」という言葉が出てきたのは大正初期頃ですが、ショッピングなど特別な用事がなくても銀座を歩くことが当時は持て囃され、1970年代初頭に歩行者天国が日本ではじめて銀座で実施されるようになると、「銀ぶら」は社会現象のようになります。 今週は、愛知県長久手にいます。 いまから二十年近く前、愛知万博の仕事を手がけていた僕は、幾度となくこの地を訪れましたが、1970年に開催された大阪万博以来の2回目の総合的なテーマを取り扱う大規模な国際博覧会なのに、博覧会協会が定めた「愛・地球博」というダジャレ・ネーミングに嫌気がさし、この国のグローバル感覚のなさに失望したことから、早々に拠点を海外に移すことを決意した思い出深い場所です。 県の三役や愛知を代表する大企業の面々に、「そのダジャレは、海外ゲストからは意味不明な上に失笑を買いますよ」と誰も言えない様子で、しかも、「自然の叡智」をメインテーマに掲げながらも、会場の跡地利用として宅地造成の新住宅市街地開発事業や道路建設をセットで実施する「ゼネコンありき」の万博だったことから、頻繁に「万博を隠れ蓑にした土地開発事業」と揶揄されていたのをよく覚えています。 この構造は、今年実施された東京オリンピックも同じで、日本はいまだに古めかしい土建国家を脱することはできない様子が伺えます。 今週は、東京にいます。 毎年この時期になると北半球の日照時間の関係から撮影がひと段落し、執筆や溜まった写真の現像、動画の編集時間へとシフトします。 あわせて食事の見直しやトレーニングの時期でもあります。 ここ数年は、細胞内シグナル伝達に関与するタンパク質キナーゼ「mTOR遺伝子」のオンオフを心掛けており、この時期になると飢餓モードと蓄積モードを徐々に切り替えるようにしています。 弁護士、起業家から転身した異色の生物科学研究者ジェームズ・W・クレメントによれば、遺伝子mTORの働きが抑制されオートファジーが起動する「細胞の自己浄化(飢餓モード)」と、mTORが活性化する「細胞の成長(蓄積モード)」の割合は、1年のうち約8カ月を異化状態=飢餓モード(オートファジーをオン)に、4カ月は同化状態=蓄積モード(オートファジーをオフ)になるような比率にすることが理想であると、長年の研究結果から述べています。 今週は、神奈川、茨城、栃木、埼玉、千葉と近郊をまわっています。 これに群馬をいれた一都六県を関東地方と呼びますが、地名の由来は672年に日本古代で最大の内乱戦争に壬申の乱が起きた際、天武天皇が都を守る為、3つの大きな関所(不破関、東海道に鈴鹿関、北陸道に愛発関)を建てたことに端を発します。 以降、三つの関所より東側を「関東」と呼び、人の往来は大きく遮断され、関の西側と東側でそれぞれ異なった文化・風習が生まれました。 この分断が、現在に至るまで残っています。 ご存知の方も多いと思いますが、味付けは関西と関東で大きく異なり、例えばうどんの汁だけみても、関東では鰹節出汁をベースに濃口醤油で味付けした黒味の強い汁に対し、関西では昆布と鯖節をベースに薄口醤油で味付けした汁で色が薄いのが特徴です。 いまから二十年ほど前、僕がカップラーメンのプロデュースを手がけていた際も、東西で味がどの地から異なるのか調査したことがありました。 この「境目」は、いまや定説になった関ヶ原一帯にあり、これが壬申の乱のときに「関東」(東国)からの侵入者を排除した「不破関」が置かれた地域一帯で、ここに目には見えない「天下の分け目」がいまも存在するのです。 さて、件のカップラーメンを作っていた担当者と二十年ぶりに偶然にもお目にかかると、のちに退社してサプリメントメーカーを起業。 奇遇なことに母親が愛用する製品を出していました。 この二十年でいかに自分たちの食生活と仕事が180度変わったのか、積もる話しはやみません。 それなりに長く生きていると、一見、まったく関係ないことが次々とつながる「言葉で言い表せない不思議ななにか」が起きると実感します。 今週は、東京にいます。 年末のイルミネーションが眩しい銀座を歩くと、歩道がある道とない道があることに気がつきます。 銀座は大動脈とも言うべき晴海通りや中央通りのほか、碁盤の目のように整備された細い道が並びますが、これは、明治5年に大火災に見舞われた際、先進的な街づくりのために雇われたイギリス人建築家トーマス・ジェームス・ウォートルスが再設計した際に作られた道です。 大火災復興計画は、街路整備と煉瓦を主材料とする不燃性洋風家屋の建築の二本柱から成りましたが、これらの建設費のために当時の政府予算の約27分の1という巨額の支出が投じられるほどの大事業となりました。 こうして出来上がったグリッド状の瀟洒な銀座の内側の細い道ですが、実は道によって異なる「格式」があり、並木通りが世界的なブランド街になった理由もここに隠されています。 現在、歴史的なハイスペースを続ける自社株買いを見てもわかりますように、社会システムの基盤が「カジノ型資本主義」に設定され、民主主義は二の次になってしまいました。 これをサイバー空間で展開しようとしているのが、メタバースの本質だと僕は見ています。 いわば世の中、すべてが課金ゲーム化に向かい、「ゲーム業界、エンタメ全体」が「カジノ型資本主義」へと回収される過程に現在あります。 この反動により「メタバースとNFT」に限らず、インターネット、引いては情報社会と距離を取る人「デジタル隠遁者」たちが続出するでしょう。 なぜなら、「メタバースとNFT」の成否を握るミレニアルズの多くが、「カジノ型資本主義」に異を唱えているからです。 最近だと、リドリー・スコット監督の映画「最後の決闘裁判」が、ミレニアルズがそっぽを向いたことにより、散々な結果となりました。 また、映画「コングレス未来学会議」より、「Max Headroom」のようなバグが、サイバー空間における「あたらしいリアリティ」になると僕は考えます。 20分後の未来を描いた80年代のチャンネル4によるテレビ番組「Max Headroom」は、絶え間なく浴び続ける情報によって人間は判断ができなくなり、それを操るメディアを調査していた人気キャスターが事故に遭ったことをきっかけに「メタバース」に仮想キャスターを作り上げますが、事故の時に起きたバグにより、別の存在となってしまう物語です。 監督は、アナベル・ヤンケルとロッキー・モートン。 20分後の未来にはじまるだろう「メタバースとNFT」とその結末を、はるか昔に描いています。 ミレニアルズによる特定の企業が統治しない「逆メタバース」(オンライン上の社会主義)も、はじまるでしょう。 今週も、東京にいます。 毎年冬至を新年と考え、時間があれば三輪山に登るようにしていましたが、今年は思いのほか忙しく、久しぶりに大宮に出向きました。 一年で陽が一番短くなる冬至は、古来から「太陽が生まれ変わる日」=新年と考えられていました。 実は、イエス・キリストが生まれた日は不明でしたが、ローマ帝国で民衆に人気があった太陽神と為政者にとって都合のいいキリスト教を習合させる際、太陽が生まれ変わる日がキリスト生誕日に書き換えられます。 つまり、クリスマスとは冬至祭なのです。 また、冬至は「死に一番近い日」とも言われていました。 最も太陽の力が弱まり、生命の源ともいえる太陽の恵みを享受しにくいことから、人間の魂も一時的に仮死すると考えられていました。 この冬至を境に再生して運気が上昇すると考えた日本人は、運を呼びこむ前に体を清め、温めることで厄を払おうとしました。 そこで、邪気を払うと言われていた「ゆず湯」に入ったり、運がつくので「ん」が付く食べ物、例えば「南京」(かぼちゃ)を食べたりする習慣が根付きます。 今週も東京にいます。 毎年吉例、年末にこの一年間で購入したベストガジェットを公開しておりますが、今年はガジェットとはちょっと言い難い「Appleシリコン」を圧倒的第一位にしたいと思っています。 目に見えるデザイン部分の変更があまり見られないことから、「ガジェット」としての魅力が伝わりづらいのでしょうが、「Appleシリコン」の登場は、今後十年間のデジタル関連業界全般の行方を占うと言っても過言ではありません。 モトローラ68000系からはじまるAppleのCPUの歴史は、IBMのPowerPC、インテル(x86)と供給元を変え、都度OSをあわせてアップデートするのが常でした。 しかし、自社設計の「Appleシリコン」は、いままでとは逆にチップをOS設計にあわせるよう開発したことから、速度やバッテリー性能が大幅に向上。寄せ集めのパーツで作られたWindowsとは完全に別のコンピュータを作り上げた、コンピュータ史上初のパーソナル・ターンキーシステムとなりました。 この流れは、70年代から連綿と繋がってきた「あらゆる分業」が、新たなステージに入ったことを意味すると考えます。 いままで、他社で設計された部品を購入していたのを自社で設計し、生産だけ外部に委託する、グローバリゼーションが次のステージに上がったことをAppleがほのめかしています。 つまりは、インテルのようなCPUメーカーの凋落は言うに及ばず、nVIDIAのような好調だと言われるGPUメーカーに暗雲が忍び寄り、さらには当たり前だった分業が、「知的所有者」とその他に二分される「完全な知識世界」に突入しました。 今週も東京にいます。 ここ数年、年末年始は普段と変わらない日々を過ごしておりまして、(糖質過多の)お正月らしい料理を食べることもなければ、レコード大賞や紅白歌合戦などを見ることもなく、また、初詣に行くこともなければ、一年の計を立てることもしていません。 子供の頃には、テレビで放送される隠し芸大会などの年末特番を楽しみにしてまして、おせち料理やお餅、また、お書き初めに凧揚げまでたっぷりと楽しんだもので、スーパーやデパートなども休業していましたので買い物に出ることもありません。 それゆえ、冷蔵庫いっぱいの買い出しが年末の恒例行事でした。 しかし、いまではコンビニに限らず、スーパーやデパートも営業どころか元旦から新春大売り出し。寒い冬に外で遊ぶより中でテレビゲームに勤しんだほうが愉しいのも事実で、正月ならではの「不便」を一切感じなくなりました。 もはや「風物詩」という言葉自体が使われることも少なくなりましたが、もしかしたら「新型ウィルス感染拡大が正月らしさ」と言われる時が来るかもしれません。 それほど十年前とは全く違う未来に生きていると感じます。 正月らしさが失われた理由は、コンビニエンス・ストアの普及や各デパートが凌ぎを削って元旦オープンに踏み切った「新自由主義による競争社会」、買収できることが発覚したレコード大賞や芸能事務所の力学で変わる紅白歌合戦の裏側などが暴露された「テレビの凋落」など環境の大きな変化もありますが、個人的に思うのは、お正月がなにかのキャンペーンになってしまったように感じることです。 単なる記念日的意味合いのように渋谷のスクランブル交差点に集まり、イベント同様に参拝する初詣客も後を立ちません。 サッカー戦で日本が勝つのも、いつからか賑わうようになったハロウィーンやお正月すらも、いまやすっかり広告主の意向に沿ったキャンペーン・イベントの一環のようです。 オリンピックもインターネット検索も、すべて広告費で運用されていることからわかるように、資本主義も民主主義も基本的には広告に支配されたキャンペーンによって、人々の動向が決まります。 今週も東京にいます。 12月からほとんど移動せず、また年末年始を利用しまして、長年書きたいと思ってました「歴史的なサイクル」に関する一冊を書きあげました! 歴史には不思議なサイクルがあり、およそ80年周期で「大波」が社会を襲います。 1929年の世界恐慌時に米国大統領だったルーズベルトは、「出来事には不思議なサイクルがある」と述べましたが、確かに米国ではおよそ80年ごとに政治制度の仕組みが変わる「不思議なサイクル」が存在します。 第一のサイクルは、独立戦争と憲法が制定された1787年からはじまります。 ここで米国が誕生し南北戦争終結まで78年間続きます。 第二のサイクルは、南北戦争が終わった1865年に始まり、第二次世界大戦終結まで、ちょうど80年間続きました。 そして第三のサイクルは、第二次世界大戦が終わる1945年に始まり、この「不思議なサイクル」のパターンが同じように続けば、次のサイクルは2025年ごろに終わりを迎えることになるのです。 米国建国、南北戦争による米国統一、そして第二次世界大戦と続いたおよそ80年周期の「不思議なサイクル」は、いよいよ次の節目に差し掛かろうとしています。 実はこの「不思議なサイクル」は、米国に限りません。 日本を見れば米国で独立戦争がはじまった同じ頃、1782年(天明2年)から1788年(天明8年)にかけて、悪天候や冷害により日本の近世では最大の飢饉「天明の大飢饉」が発生し、「百姓一揆」や「打ちこわし」が次々と勃発。 徳川幕府の体制が大きく揺らぎ、この頃を境に幕府より列強な藩が強くなりました。 そして、およそ80年後の1868年に徳川幕府が崩壊し明治政府が樹立します。 その77年後に1945年第二次世界大戦が終結するのです。 今週も東京にいます。 まん延防止等重点措置が東京都に適用されました。 これの是非については多くのご意見があるのでしょうが、今週はそろそろポスト・パンデミックの世界につきまして、僕なりの見解をお話したいと思います。 多くの識者が様々な意見を述べていますが、僕は基本的に向かっている方向は変わらず、ただ様々な事態が加速し、どこかで飽和すると考えています。 まず、コロナ禍は社会を大きく変えたのではなく、それまであった問題を浮上させたに過ぎません。 滞っていたデジタル社会への移行から、日本の生産性が落ちていることは誰の目にも顕著になり、必要とされる医薬品も作れなくなっていることもわかりました。 中途半端なグローバリズムでも中央集権的国民国家システムも共に機能不全に陥り、米国に倣った金融緩和によってさらなる二極化が顕著になって、現在、思想や人種によって「リキッド化」に世界は向かっています。 リキッド化とは、いまから15年ほど前に僕が提唱した「ポスト・フラット化」、つまりポスト・グローバリズムの概念で、世界はひとつに向かうのではなく、床に水をこぼした際にいくつかの「島」のような塊に分かれ、ひとつひとつは非常に柔らかく壊れやすいイメージです。 このような現象をを、フランスの政治学者ジェローム・フルケは「群島」と読んでいます。 ジェローム・フルケは、2019年に出版した著書「フランス群島」のなかで、この数十年でフランスの社会システムは変貌し、フランスがさまざまな「島」から成る社会になりつつあり、それぞれの「島」で所得も思想も文化も人種も違い、各グループが相互につながりをもたないまま暮らし、バラバラの島国みたいになったと述べています。 今週も東京にいます。 毎年、陽が長くなりはじめる3月後半からの「旅の季節」に入ることもありまして、準備をはじめる2月初旬からサプリメントの見直しを徹底しています。 数年前まで、医師に言われるままに飲んでいたサプリメントですが、その後世界中のメーカーをまわって品質を確かめ、いまでは自分の朝起きた体感で必要なサプリメントを選べるようになりました。 なかには、自分の遺伝子(SNPs)的に脆弱性が見られる定番「ビタミンD3」などもありますが、いくら定番と言っても随時製造メーカーの見直しは続け、アップデートしています。 この甲斐ありまして、いまでは不定愁訴はすっかりなくなり、医療知識も年々高まり、花粉症に苦しめられることなく、風邪などもまったくひかなくなりました。 そこで今回は、昨年僕が使ってみて効果を実感したサプリメント・ベスト3を、読者の皆様にご紹介したいと思います。 第1位は、Nutrasal社の「PPC」です。 多価不飽和脂肪酸と結合したホスファチジルコリンを多く含んだ良質な「PPC」は、人体の各細胞や小器官を保護するバリアである細胞膜の修復や再生に効果的な製剤で、米国だけでも1億回以上の投与が医師によって行われてきました。 しかし、誰でも手に入れられる良質な製品が、いままで市場にありませんでした。 現在、誰もが戦わねばならない加工された炭水化物、砂糖や高脂肪食、アルコール、薬物などの過剰摂取によって細胞膜が損傷しつづけられており、損傷した細胞膜の修復や再生は急務なはずです。 Nutrasal社は、多くの大手上場企業やヘッジファンドが所有するサプリメント企業とは異なり、卓越した品質で提供する健康への強いこだわりを持った家族経営の企業で、「万が一、当社製品がこれまでに使用した製品の中で最も効果的でないと感じられた場合は、お電話にて全額返金いたします」と言い切るほど。 「PPC」は脂肪を代謝しますので、間違った糖質制限で陥りがちな脂肪肝も予防します。 第2位は、Seeking Health社の「5HTP」です。 セロトニンを分泌するL-トリプトファンは、含まれる食品を食べてもナイアシンの生産など他の機能に転用されてしまうため、十分に接種できません。 経口摂取されたL-トリプトファンのうちセロトニンに変換されるのはわずか3%。 しかし、5-HTPなら経口摂取量の70%以上がセロトニンに変換されますので、イライラ改善から深い眠りまでバツグンの効果を発揮します。 なかでも高い効果を実感するのが、Seeking Health社の製品です。 このメールマガジンでも何度も紹介した「Dirty Genes」の著者ベン・リンチ率いるSeeking Health社は、Nutrasal社と同じように60日間の完全返金保証をつけており、食事療法を提案するサプリメント業界で唯一認定された米国国家規格を保有している企業です。 「ハッピーサプリ」をお探しの方は、一度お試しくださいませ。 第3位は、HERB PHARM社の「アシュワガンダ」です。 インドやアフリカに生育するナス科の一年草の常緑低木アシュワガンダ(学名:Withania somnifera)は、古くからアーユルヴェーダ等の代替医療で薬草として有用とされてきましたが、あまりに効能が高いことから厚生労働省の「医薬品の範囲に関する基準」の改正により医薬品として区分されました。 一般的に滋養強壮に効果があると言われる「アシュワガンダ」ですが、コルチゾールが枯れかかっている副腎を奮い立たせるため、朝起きられない時や午後眠くなった時に、スポイト1回分を水に溶かして飲むと効果覿面! カプセルタイプの製品も多々ありますが、吸収性が高く、効果が早いリキッドタイプを最近は愛用するようになりました。 年々、食品から栄養が奪われ、化学的に付加された味と食感だけの食材が目立つようになったことから、不調を訴える人が増え続けています。 しかし、日本の医学部では、栄養について教えていません。 その上、製品の表示の義務や濃度に関する基準値がない食品が大半なのです。 いったい、日々私たちはなにを口にしているのでしょうか? この時代、自分の身は自分で守るしかないと、近郊のモールに燦然と輝くフードコートで考える今週です。 「NEXTRAVELER FILMS」の業務拡大に伴い、本年は高城剛をフルタイムでサポートしていただける方々を大募集いたします! 昨年は多くの方々にご応募いただき、現在、読者の皆様と数本の映画を製作中です。 そのうちの一本は、本年秋公開予定の美味しい和牛の真実を追いかけたドキュメンタリー「ケトサピエンスは、牧草牛の夢を見るか」です。 本作は、昨年同時期にご応募いただきました読者の皆様と日本各地を巡り、撮影から音楽制作までご一緒いたしました。 この他、意欲的な数プロジェクトの映画制作が進行中です。 そこで本年は、監督、カメラマン、プロデューサーとして新しいスタイルに挑戦し続ける高城剛をフルタイムでアシストいただける方々を若干名募集いたします。 ぜひ、この時代の変革期に、自分の人生を大きく変えたい!とお考えの皆様からのご応募をお待ち申し上げます! ■職務内容 高城剛が製作する映画および映像作品をお手伝いいただける、以下のプロフェッショナルとしての経験者を募集します。 1.スチール、ムービー撮影のアシスタント 2.映像制作プロダクション・マネージャーおよびプロデューサー補 ■応募資格 ・スチールおよび映像関連業務のアシスタント経験者、もしくは映像制作進行等のプロデュースおよび補助業務経験者 ・Premiere ProもしくはDavinci Resolveの最低限の知識を持っていること ・1~1.5ヶ月程度の海外渡航に同行できること ・渡航に必要なワクチン接種が済んでいること ・要普通自動車免許 ・性別、国籍不問、年齢35歳まで ■ギャランティ ・最低月給50万円?能力に応じ80万円程度まで(数ヶ月ごとの血液栄養解析、各種保険等応相談) ■提出書類 1.履歴書(写真貼付) 2.職務経歴書 今週も東京にいます。 冬季に入って撮影も落ち着き、撮り溜めた映像の編集や写真の現像に勤しみながら、春からはじまる撮影シーズンにむけて、準備を着々と進めています。 昨年を振り返りますと、半年間で200テラ近い映像と写真を撮り、与那国島から北海道まで国内だけでも150日間以上移動しました。 すべての素材は、10ギガイーサネットワークで繋がれた巨大RAIDドライブとバックアップのためのクラウド、また、遠隔地でも作業できるようローカルな自家製小型SSDにも落としています。 実は「今週も東京にいます」とは言っても、自作ドローンは都心では飛ばせないこともありまして、毎週日帰りで茨城などに出向きフライトテストとトレーニングを続けています。 市販されているカメラのボディケースを外してセンサーと基盤を分離し、軽量化および小型化して、映像や写真に振動が出ないようテストを繰り返します。 もはやカメラは原型をとどめていません。 また、体調を整えるのもこの時期です。 この時期に体調を整えておかないと、来シーズンの撮影半ばから後半に不調に陥ってしまうのもので、遺伝子的に見れば、徐々にmTORオフにスイッチングします。 年末年始と緩かった食事を、そろそろ見直すときでもあります。 昨年末にお話ししましたように、毎年北半球の太陽光が長く撮影&旅行している3月から10月を、飢餓モード=mTORオフ=オートファジーをオンにして細胞活性化&デトックス=脳のオイル交換を行い「キレ」を出し、執筆や映像の編集にあてている11月から2月を、蓄積モード=mTORオン=オートファジーをオフ=細胞成長=筋力増強期間にして「パワー」を作り、体調を調整しています。 いまはおよそ3ヶ月程度あった蓄積モードから、徐々に飢餓モードに切り替えはじめたところです。 今週も東京にいます。 先週土曜日に港北イオンシネマで開催しました「green bean to bar CHOCOLATE Film Festival」に、コロナ禍にも関わらず大変多くの方々にご来場いただきました。 この場を借りまして、厚く御礼申し上げます。 誠にありがとうございました。 今回の上映では、現存する世界最高の解像度を誇る8Kプロジェクターを持ち込みまして、70mmフィルムを超える体験をご提供したいと考えました。 と申しますのも、僕が子供の頃に見たジョージ・ルーカスの「スターウォーズ」やスティーブン・スピルバーグの「未知との遭遇」などの強烈な映像は、シネラマと呼ばれる湾曲した巨大スクリーンを装備していた映画館で上映されていたソフトとハードの融合がもたらした唯一無二の体験で、これを超えるものを目指しました。 「シネラマ」とは、3本に分割された70mmフィルムを同時に再生してひとつの映像として繋げ、アスペクト比2.88:1という超横長サイズのワイドスクリーンで上映する特殊規格のことで、デジタルの解像度に置き換えれば、20Kを凌駕し、現在、上映されている劇場映画の100倍以上の情報量を持っていまます。 まさにリアル!(つまりVR)。 スクリーンの幅も横30メートルを超え、劇場の定員も1500人。 7チャンネルのサラウンドのため、各映画館には専門の音響エンジニアが配置され、劇場の広さや観客数などを考慮しながら、都度サウンド調整をしていました。 かつて映画を見に行くというのは、ライブ体験も同然だったのです。 しかし、「シネラマ」方式による劇映画を製作するのはコストがかかります。 そこで、70mmフィルムを撮影時に縦圧縮し、上映時に横伸長するアナモルフィック方式が生まれました。 また、ブローアップと呼ばれる拡大技術の精度が向上し、35mmで撮影された映画も湾曲した「シネラマ」方式の劇場で上映されるようになります。 僕が見た「未知との遭遇」や「スターウォーズ」は、この方式です。 第2位は、Seeking Health社の「5HTP」です。 セロトニンを分泌するL-トリプトファンは、含まれる食品を食べてもナイアシンの生産など他の機能に転用されてしまうため、十分に接種できません。 経口摂取されたL-トリプトファンのうちセロトニンに変換されるのはわずか3%。 しかし、5-HTPなら経口摂取量の70%以上がセロトニンに変換されますので、イライラ改善から深い眠りまでバツグンの効果を発揮します。 なかでも高い効果を実感するのが、Seeking Health社の製品です。 このメールマガジンでも何度も紹介した「Dirty Genes」の著者ベン・リンチ率いるSeeking Health社は、Nutrasal社と同じように60日間の完全返金保証をつけており、食事療法を提案するサプリメント業界で唯一認定された米国国家規格を保有している企業です。 「ハッピーサプリ」をお探しの方は、一度お試しくださいませ。 第3位は、HERB PHARM社の「アシュワガンダ」です。 インドやアフリカに生育するナス科の一年草の常緑低木アシュワガンダ(学名:Withania somnifera)は、古くからアーユルヴェーダ等の代替医療で薬草として有用とされてきましたが、あまりに効能が高いことから厚生労働省の「医薬品の範囲に関する基準」の改正により医薬品として区分されました。 一般的に滋養強壮に効果があると言われる「アシュワガンダ」ですが、コルチゾールが枯れかかっている副腎を奮い立たせるため、朝起きられない時や午後眠くなった時に、スポイト1回分を水に溶かして飲むと効果覿面! カプセルタイプの製品も多々ありますが、吸収性が高く、効果が早いリキッドタイプを最近は愛用するようになりました。 年々、食品から栄養が奪われ、化学的に付加された味と食感だけの食材が目立つようになったことから、不調を訴える人が増え続けています。 しかし、日本の医学部では、栄養について教えていません。 その上、製品の表示の義務や濃度に関する基準値がない食品が大半なのです。 いったい、日々私たちはなにを口にしているのでしょうか? この時代、自分の身は自分で守るしかないと、近郊のモールに燦然と輝くフードコートで考える今週です。 今週も東京にいます。 毎年吉例、年末にこの一年間で購入したベストガジェットを公開しておりますが、今年はガジェットとはちょっと言い難い「Appleシリコン」を圧倒的第一位にしたいと思っています。 目に見えるデザイン部分の変更があまり見られないことから、「ガジェット」としての魅力が伝わりづらいのでしょうが、「Appleシリコン」の登場は、今後十年間のデジタル関連業界全般の行方を占うと言っても過言ではありません。 モトローラ68000系からはじまるAppleのCPUの歴史は、IBMのPowerPC、インテル(x86)と供給元を変え、都度OSをあわせてアップデートするのが常でした。 しかし、自社設計の「Appleシリコン」は、いままでとは逆にチップをOS設計にあわせるよう開発したことから、速度やバッテリー性能が大幅に向上。寄せ集めのパーツで作られたWindowsとは完全に別のコンピュータを作り上げた、コンピュータ史上初のパーソナル・ターンキーシステムとなりました。 この流れは、70年代から連綿と繋がってきた「あらゆる分業」が、新たなステージに入ったことを意味すると考えます。 いままで、他社で設計された部品を購入していたのを自社で設計し、生産だけ外部に委託する、グローバリゼーションが次のステージに上がったことをAppleがほのめかしています。 つまりは、インテルのようなCPUメーカーの凋落は言うに及ばず、nVIDIAのような好調だと言われるGPUメーカーに暗雲が忍び寄り、さらには当たり前だった分業が、「知的所有者」とその他に二分される「完全な知識世界」に突入しました。 今週は、愛知県長久手にいます。 いまから二十年近く前、愛知万博の仕事を手がけていた僕は、幾度となくこの地を訪れましたが、1970年に開催された大阪万博以来の2回目の総合的なテーマを取り扱う大規模な国際博覧会なのに、博覧会協会が定めた「愛・地球博」というダジャレ・ネーミングに嫌気がさし、この国のグローバル感覚のなさに失望したことから、早々に拠点を海外に移すことを決意した思い出深い場所です。 県の三役や愛知を代表する大企業の面々に、「そのダジャレは、海外ゲストからは意味不明な上に失笑を買いますよ」と誰も言えない様子で、しかも、「自然の叡智」をメインテーマに掲げながらも、会場の跡地利用として宅地造成の新住宅市街地開発事業や道路建設をセットで実施する「ゼネコンありき」の万博だったことから、頻繁に「万博を隠れ蓑にした土地開発事業」と揶揄されていたのをよく覚えています。 この構造は、今年実施された東京オリンピックも同じで、日本はいまだに古めかしい土建国家を脱することはできない様子が伺えます。 今週は、東京にいます。 年末のイルミネーションが眩しい銀座を歩くと、歩道がある道とない道があることに気がつきます。 銀座は大動脈とも言うべき晴海通りや中央通りのほか、碁盤の目のように整備された細い道が並びますが、これは、明治5年に大火災に見舞われた際、先進的な街づくりのために雇われたイギリス人建築家トーマス・ジェームス・ウォートルスが再設計した際に作られた道です。 大火災復興計画は、街路整備と煉瓦を主材料とする不燃性洋風家屋の建築の二本柱から成りましたが、これらの建設費のために当時の政府予算の約27分の1という巨額の支出が投じられるほどの大事業となりました。 こうして出来上がったグリッド状の瀟洒な銀座の内側の細い道ですが、実は道によって異なる「格式」があり、並木通りが世界的なブランド街になった理由もここに隠されています。 今週は、金沢、京都、東京と移動しています。 週の後半は少し肌寒くなりましたが、先週今週と秋晴れというより夏日が続きました。 気象庁による秋の区分は9月から11月まで、天文学的な区分では秋分(9/23頃)から秋だと言われていますが、まだまだ残暑厳しい日も多く「秋冷の候」と書くには忍びありません(撮影時に好天なのは助かりますが)。 今年、10月に入ってから30度を超える真夏日が3日間続くのは観測史上初めてのことで、日本で観測がはじまった1870年代の10月平均15度前後でしたが、近年は20度を超えることも珍しくなくなってきました。 自著にも書きましたように、日本は徐々に四季を失っています。 今週も東京にいます。 12月からほとんど移動せず、また年末年始を利用しまして、長年書きたいと思ってました「歴史的なサイクル」に関する一冊を書きあげました! 歴史には不思議なサイクルがあり、およそ80年周期で「大波」が社会を襲います。 1929年の世界恐慌時に米国大統領だったルーズベルトは、「出来事には不思議なサイクルがある」と述べましたが、確かに米国ではおよそ80年ごとに政治制度の仕組みが変わる「不思議なサイクル」が存在します。 第一のサイクルは、独立戦争と憲法が制定された1787年からはじまります。 ここで米国が誕生し南北戦争終結まで78年間続きます。 第二のサイクルは、南北戦争が終わった1865年に始まり、第二次世界大戦終結まで、ちょうど80年間続きました。 そして第三のサイクルは、第二次世界大戦が終わる1945年に始まり、この「不思議なサイクル」のパターンが同じように続けば、次のサイクルは2025年ごろに終わりを迎えることになるのです。 米国建国、南北戦争による米国統一、そして第二次世界大戦と続いたおよそ80年周期の「不思議なサイクル」は、いよいよ次の節目に差し掛かろうとしています。 実はこの「不思議なサイクル」は、米国に限りません。 日本を見れば米国で独立戦争がはじまった同じ頃、1782年(天明2年)から1788年(天明8年)にかけて、悪天候や冷害により日本の近世では最大の飢饉「天明の大飢饉」が発生し、「百姓一揆」や「打ちこわし」が次々と勃発。 徳川幕府の体制が大きく揺らぎ、この頃を境に幕府より列強な藩が強くなりました。 そして、およそ80年後の1868年に徳川幕府が崩壊し明治政府が樹立します。 その77年後に1945年第二次世界大戦が終結するのです。 今週は、愛知県長久手にいます。 いまから二十年近く前、愛知万博の仕事を手がけていた僕は、幾度となくこの地を訪れましたが、1970年に開催された大阪万博以来の2回目の総合的なテーマを取り扱う大規模な国際博覧会なのに、博覧会協会が定めた「愛・地球博」というダジャレ・ネーミングに嫌気がさし、この国のグローバル感覚のなさに失望したことから、早々に拠点を海外に移すことを決意した思い出深い場所です。 県の三役や愛知を代表する大企業の面々に、「そのダジャレは、海外ゲストからは意味不明な上に失笑を買いますよ」と誰も言えない様子で、しかも、「自然の叡智」をメインテーマに掲げながらも、会場の跡地利用として宅地造成の新住宅市街地開発事業や道路建設をセットで実施する「ゼネコンありき」の万博だったことから、頻繁に「万博を隠れ蓑にした土地開発事業」と揶揄されていたのをよく覚えています。 この構造は、今年実施された東京オリンピックも同じで、日本はいまだに古めかしい土建国家を脱することはできない様子が伺えます。 今週も東京にいます。 まん延防止等重点措置が東京都に適用されました。 これの是非については多くのご意見があるのでしょうが、今週はそろそろポスト・パンデミックの世界につきまして、僕なりの見解をお話したいと思います。 多くの識者が様々な意見を述べていますが、僕は基本的に向かっている方向は変わらず、ただ様々な事態が加速し、どこかで飽和すると考えています。 まず、コロナ禍は社会を大きく変えたのではなく、それまであった問題を浮上させたに過ぎません。 滞っていたデジタル社会への移行から、日本の生産性が落ちていることは誰の目にも顕著になり、必要とされる医薬品も作れなくなっていることもわかりました。 中途半端なグローバリズムでも中央集権的国民国家システムも共に機能不全に陥り、米国に倣った金融緩和によってさらなる二極化が顕著になって、現在、思想や人種によって「リキッド化」に世界は向かっています。 リキッド化とは、いまから15年ほど前に僕が提唱した「ポスト・フラット化」、つまりポスト・グローバリズムの概念で、世界はひとつに向かうのではなく、床に水をこぼした際にいくつかの「島」のような塊に分かれ、ひとつひとつは非常に柔らかく壊れやすいイメージです。 このような現象をを、フランスの政治学者ジェローム・フルケは「群島」と読んでいます。 ジェローム・フルケは、2019年に出版した著書「フランス群島」のなかで、この数十年でフランスの社会システムは変貌し、フランスがさまざまな「島」から成る社会になりつつあり、それぞれの「島」で所得も思想も文化も人種も違い、各グループが相互につながりをもたないまま暮らし、バラバラの島国みたいになったと述べています。 Future Report研究員:参考に伺いたいのですが、コロナはもう1年以上続いています。 封じ込めに有効な手段は何ですか? 白澤:対策として最も確実なのはロックダウンです。 インフルエンザは鳥や豚がリザーバー(宿主)となって感染します。 今のコロナウイルスはコウモリから来たと言われていますが、その後は人から人に感染してるわけです。 交流がなければ広まりません Future Report研究員:ということは、みんな家にいて待機してれば落ち着いてくるということですね。 どれくらいの期間、ロックダウンが必要ですか? 白澤:コロナがなくなるまでですね。 とはいえ、死亡率が1%の病気に対して、ロックダウンまでする必要があるかどうかは疑問です。 もっと死亡率の高い病気、例えばペストでは人口の半分くらいが亡くなりました。 それでも文明は途絶えなかったわけです。 1%の死亡率の病気は、文明を壊すというレベルではありません。 Future Report研究員:CDCによれば、季節性インフルエンザも同じくらいの死亡率があるとのことでした。 でもインフルエンザでロックダウンという話は聞いたことがないですね。 白澤:ロックダウンをした時の経済的な影響の方が大きいので、普通はしません。 Future Report研究員:確かに、コロナより経済苦で自殺する人のほうが多くなりかねません。 ということは、そこまで大騒ぎする問題ではないということですか。 今「医療崩壊」と言われているのは、具体的に何を意味しますか? 白澤:何が問題かというと、コロナで肺炎を起こして、呼吸不全になっている患者に対して、レスピレーター(人工呼吸器)の数が足りないのです。 今新聞で出ているキャパシティは、実はレスピレーターの数のことを指しています。 最初にニューヨークでレスピレーターが足りなくなりました。 患者が呼吸不全で次々と亡くなるので、社会問題化したわけです。 今週も東京にいます。 ここ数年、年末年始は普段と変わらない日々を過ごしておりまして、(糖質過多の)お正月らしい料理を食べることもなければ、レコード大賞や紅白歌合戦などを見ることもなく、また、初詣に行くこともなければ、一年の計を立てることもしていません。 子供の頃には、テレビで放送される隠し芸大会などの年末特番を楽しみにしてまして、おせち料理やお餅、また、お書き初めに凧揚げまでたっぷりと楽しんだもので、スーパーやデパートなども休業していましたので買い物に出ることもありません。 それゆえ、冷蔵庫いっぱいの買い出しが年末の恒例行事でした。 しかし、いまではコンビニに限らず、スーパーやデパートも営業どころか元旦から新春大売り出し。寒い冬に外で遊ぶより中でテレビゲームに勤しんだほうが愉しいのも事実で、正月ならではの「不便」を一切感じなくなりました。 もはや「風物詩」という言葉自体が使われることも少なくなりましたが、もしかしたら「新型ウィルス感染拡大が正月らしさ」と言われる時が来るかもしれません。 それほど十年前とは全く違う未来に生きていると感じます。 正月らしさが失われた理由は、コンビニエンス・ストアの普及や各デパートが凌ぎを削って元旦オープンに踏み切った「新自由主義による競争社会」、買収できることが発覚したレコード大賞や芸能事務所の力学で変わる紅白歌合戦の裏側などが暴露された「テレビの凋落」など環境の大きな変化もありますが、個人的に思うのは、お正月がなにかのキャンペーンになってしまったように感じることです。 単なる記念日的意味合いのように渋谷のスクランブル交差点に集まり、イベント同様に参拝する初詣客も後を立ちません。 サッカー戦で日本が勝つのも、いつからか賑わうようになったハロウィーンやお正月すらも、いまやすっかり広告主の意向に沿ったキャンペーン・イベントの一環のようです。 オリンピックもインターネット検索も、すべて広告費で運用されていることからわかるように、資本主義も民主主義も基本的には広告に支配されたキャンペーンによって、人々の動向が決まります。 今週も東京にいます。 毎年、陽が長くなりはじめる3月後半からの「旅の季節」に入ることもありまして、準備をはじめる2月初旬からサプリメントの見直しを徹底しています。 数年前まで、医師に言われるままに飲んでいたサプリメントですが、その後世界中のメーカーをまわって品質を確かめ、いまでは自分の朝起きた体感で必要なサプリメントを選べるようになりました。 なかには、自分の遺伝子(SNPs)的に脆弱性が見られる定番「ビタミンD3」などもありますが、いくら定番と言っても随時製造メーカーの見直しは続け、アップデートしています。 この甲斐ありまして、いまでは不定愁訴はすっかりなくなり、医療知識も年々高まり、花粉症に苦しめられることなく、風邪などもまったくひかなくなりました。 そこで今回は、昨年僕が使ってみて効果を実感したサプリメント・ベスト3を、読者の皆様にご紹介したいと思います。 第1位は、Nutrasal社の「PPC」です。 多価不飽和脂肪酸と結合したホスファチジルコリンを多く含んだ良質な「PPC」は、人体の各細胞や小器官を保護するバリアである細胞膜の修復や再生に効果的な製剤で、米国だけでも1億回以上の投与が医師によって行われてきました。 しかし、誰でも手に入れられる良質な製品が、いままで市場にありませんでした。 現在、誰もが戦わねばならない加工された炭水化物、砂糖や高脂肪食、アルコール、薬物などの過剰摂取によって細胞膜が損傷しつづけられており、損傷した細胞膜の修復や再生は急務なはずです。 Nutrasal社は、多くの大手上場企業やヘッジファンドが所有するサプリメント企業とは異なり、卓越した品質で提供する健康への強いこだわりを持った家族経営の企業で、「万が一、当社製品がこれまでに使用した製品の中で最も効果的でないと感じられた場合は、お電話にて全額返金いたします」と言い切るほど。 「PPC」は脂肪を代謝しますので、間違った糖質制限で陥りがちな脂肪肝も予防します。 今週も東京にいます。 ここ数年、年末年始は普段と変わらない日々を過ごしておりまして、(糖質過多の)お正月らしい料理を食べることもなければ、レコード大賞や紅白歌合戦などを見ることもなく、また、初詣に行くこともなければ、一年の計を立てることもしていません。 子供の頃には、テレビで放送される隠し芸大会などの年末特番を楽しみにしてまして、おせち料理やお餅、また、お書き初めに凧揚げまでたっぷりと楽しんだもので、スーパーやデパートなども休業していましたので買い物に出ることもありません。 それゆえ、冷蔵庫いっぱいの買い出しが年末の恒例行事でした。 しかし、いまではコンビニに限らず、スーパーやデパートも営業どころか元旦から新春大売り出し。寒い冬に外で遊ぶより中でテレビゲームに勤しんだほうが愉しいのも事実で、正月ならではの「不便」を一切感じなくなりました。 もはや「風物詩」という言葉自体が使われることも少なくなりましたが、もしかしたら「新型ウィルス感染拡大が正月らしさ」と言われる時が来るかもしれません。 それほど十年前とは全く違う未来に生きていると感じます。 正月らしさが失われた理由は、コンビニエンス・ストアの普及や各デパートが凌ぎを削って元旦オープンに踏み切った「新自由主義による競争社会」、買収できることが発覚したレコード大賞や芸能事務所の力学で変わる紅白歌合戦の裏側などが暴露された「テレビの凋落」など環境の大きな変化もありますが、個人的に思うのは、お正月がなにかのキャンペーンになってしまったように感じることです。 単なる記念日的意味合いのように渋谷のスクランブル交差点に集まり、イベント同様に参拝する初詣客も後を立ちません。 サッカー戦で日本が勝つのも、いつからか賑わうようになったハロウィーンやお正月すらも、いまやすっかり広告主の意向に沿ったキャンペーン・イベントの一環のようです。 オリンピックもインターネット検索も、すべて広告費で運用されていることからわかるように、資本主義も民主主義も基本的には広告に支配されたキャンペーンによって、人々の動向が決まります。 今週は、那覇にいます。 暖かい気候の沖縄では、桜(寒緋桜)が1月中旬ごろから咲き始め、毎年2月中旬頃まで今帰仁村などで盛大な花見イベントが開催されています。 今年は5月15日に日本復帰50年を迎えるため、各地で「50」の文字が見られました。 一方、那覇随一の国際通りは、新型コロナウイルス感染症拡大予防のため臨時休業(もしくは廃業)している店舗が多く、また「まん延防止等重点措置」期間中ということもあって、飲食店の大半は20時~21時に「一応」閉店しています。 年末には、ほぼ満室まで戻ったホテルの稼働率も現在は30%前後まで落ち込み、観光タクシーのドライバーも4勤1休が3勤2休へと変わり、もはや補助金なしでは暮らしていけません。 今週になっても沖縄県では新型コロナウイルスの新規陽性者が1日700人を超えるほどの増加傾向にありますが、ピークは超えたと判断され、来週には措置が解除される見込みです。 しかし、沖縄イオンは、「まん延防止等重点措置」が解除以降となる3月1日から営業時間を短縮すると発表。 人々のライフスタイルが変わって、当面元に戻らないと考えている様子が伺えます。 今週も東京にいます。 もうじきはじまる春からのツアーシーズンの前に、デトックスを本格的にはじめました。 多くのご質問を頂戴していることもありまして、今週から数週間に渡り、「脳のオイル交換」をはじめとした僕なりの最新デトックス方法についてお話ししたいと思います。 人間のゲノム(DNAのすべての遺伝情報)は、太古の時代から0.5パーセントしか変異していませんが、食生活を含む人類の環境は驚くほどに変貌、というより毒まみれになっています。 現代人の食生活は、控えめに言っても身体が進化の過程で築いてきた遺伝的遺産とまったく一致していません。 ですので、誰しもが毒を入れない生活を心がけ、また、毒を入れてしまったら逐次排出しなければなりません。 つまり、デトックスです。 しかし、遺伝子的(SNPs)に解毒(肝臓のフェーズ1とフェーズ2共に)が苦手な僕は、少しだけユルい食事をとっただけでも、調べると様々な化学物質やカビ毒、そして重金属等が体内に蓄積してしまいます。 本来なら肝臓に重金属が溜まってきた場合、フェーズ1で重金属が反応して外に出しやすいような形に変え、移行したフェーズ2で身体の外に出せるように包み込んで排出するのですが、僕の場合はこの両方の機能に問題があります。 かくありまして長年、古今東西のあらゆるデトックスに取り組んで、最終的に行き着いたのが、はじめに脳を掃除する方法です。 今週も東京にいます。 陽が暖かくなって春を感じるようになりました。 いよいよ体内に溜まった重金属の排出(キレーション)のシーズンがはじまります。 11月後半からおよそ3ヶ月、蓄積の時期を言い訳にしながら暴飲暴食とはいわないまでも割りと好きに食事をしてきましたが、数週間前からゆっくりと夏に向けた準備をはじめました。 遺伝子的にみても解毒作用が苦手な僕は(肝臓のフェーズ1とフェーズ2共に)、少しだけユルい食事をとっただけでも、調べるとカビ毒や重金属が体内に蓄積してしまいます。 本来なら肝臓に重金属が溜まっても、肝機能のフェーズ1で重金属が反応して外に出しやすいような形に変え、化学反応しやすい形になった重金属はフェーズ2に移行し身体の外に出せるように包み込んで排出されるのですが、僕の場合はこの機能ふたつ共に問題があります。 ですので、徹底的なデトックスを適宜行わねばなりません。 有害重金属は、水道水、排気ガス、穀物、塗料、肉類、魚介類、殺虫剤、バッテリーなどから入る「鉛」、歯の詰め物(アマルガム)、大型魚、利尿剤、ワクチンの防腐剤、床ワックス、便秘薬、タトゥーなどから入る「水銀」、缶ジュースやチーズから入る「アルミニウム」、農薬、防腐剤、穀物、除草剤から入る「砒素」などがあり、症状としては、慢性疲労、頭痛、貧血、不眠、神経系障害、うつ、難聴、薄毛、視力低下、アトピーなどの問題を引き起こします。 これらの体内重金属の有無を確認する検査はいくつかありまして、近年、注目を集めているのが、手のひらに光をあてるだけで体内のミネラル20元素と有害金属(有害ミネラル)14元素を、わずか3分ほどで測定できるディバイス「オリゴスキャン」です。 取得したデータは、オンラインで開発元のルクセンブルグに送られ、数分後に解析結果が戻ってきますが、アルゴリズムを公開していないことから、精度にやや疑問が残ると個人的には感じていまして、生まれてはじめて体内重金属の有無をチェックするなら、もう少し精度が高い検査をオススメします。 今週も東京にいます。 今週のデトックスは、体内に溜まった重金属の排出(キレーション)、EDTA編です。 従来から重金属が多いと言われた魚だけでなく、近年、農法が工業化したことから野菜に鉛やヒ素が多々検出されるようになってきました。 そこで、鍋物などの冬季の飽食の後に必ずキレーションする期間を設けるようにしています。 1940年代から始まったEDTA(エチレンジアミン四酢酸) キレーション治療は、当初、鉛中毒患者の治療として使用されていましたが、1950年代にこの治療が心臓疾患などにも有用なことが判明し、動脈硬化に対する治療としても応用されてきました。 その後、1970 年代に入るとこの治療に関する学会が発足し、安全かつ効果が証明された多くの治験結果から、いまでは歴史ある強力なキレーションとして世界中で認知されています。 EDTAは、理論上は鉛を排出すると言われていますが、実際は水銀など他の体内に蓄積された重金属も排出します。 先週お伝えしたDMSAは、主に水銀をターゲットにしたものですが、こちらも鉛の数値が低くなることから、僕は「合わせ技」としてDMSAとEDTAを期間を空けて取り組むことで高い効果を実感しています。 キレーションには点滴、内服、座薬があり、各々特徴が異なりまして、一般的にEDTAは点滴で行いますが、僕は坐薬を用いています。 その理由は、経験上、副反応がマイルドで腸内環境があまり乱れないからです。 副反応は人によって異なるのですが、体内重金属が相当溜まっている場合、下痢、倦怠感、頭痛、嘔吐などがあり、一般的に良いミネラルまで排出されてしまうことから、慣れている僕でも一時的に体が重くなってしまいます。 しかし、体内重金属は慢性的な疲労や心血管系の疾患、そして皮膚炎等の原因になりますので、「峠」を超えるまで辛抱して、春先からの撮影シーズンが始まる前のこの時期、キレーションに取り組むようにしています。 座薬の場合、1日おきの寝る前に仕込みますが、30分から1時間ほどの吸収中に排便してしまったら台無しですので、トイレに行きたくなっても踏ん張らねばなりません! 高城さんオススメのギョサンだけはガチだな 人生で一番買って良かったモノだわ << ウクライナを擁護する罪人たちへ >> マ仆レーヤの警告 Q アメリカは9.11の攻撃にどう反応すべきだったのですか。 A あなた方の政府は大きな間違いを犯しました。 9.11テロ攻撃への対処において恐ろしい間違いを犯しました。 これらの西側権力と西側支配の象徴に対する攻撃は、 悪意から起こったのではありません。 世界の先進国のすべては、 好きなだけ侵略して分け前を取り、特定の国からすべてを奪い、 それから他の国に移るというようなことをしてきました。 彼らは世界を荒廃させました。 西側諸国が世界資源を搾取してきたのです。 それが世界貿易センターとペンタゴンへの攻撃を起こしたのです。 この国や他の国に対するテロ攻撃もそこから起こるのです。 【マ仆レーヤ】 米軍基地に遊びに行くポチは反社 http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/army/1577174201/l50 今週も東京にいます。 今週のデトックスは、体内に溜まった「カビ毒」編です。 数年前に世界的ベストセラーになったデイブ・アスプリー著「シリコンバレー式食事法」で一躍注目された「カビ毒」は、貯蔵穀物などを汚染するカビが産生する植物病原菌で、人や家畜の健康に悪影響を及ぼす有害物質です。 別名「マイコトキシン」。 食品にカビが生えているかどうかは肉眼で確認できる場合もありますが、カビ毒が含まれているかどうかは、見た目ではわかりません。 カビそのものは加熱などにより死滅してもカビ毒は熱に強く、500度で熱しても減少しませんので、一度カビ毒に汚染されてしまうと取り除くことはほぼ困難であり、気がつかないうちに食品を通して基準に満たない微量のカビ毒を体内に摂取してしまいます。 こうした長年の蓄積の結果、疲労や記憶力や認知機能、集中力の低下、そして腸が弱くなり、光過敏や筋肉痛などが症状として現れます。 カビ毒は脂肪に溶け込む特性を持っており、ある程度年齢を経るとお腹や二の腕が弛んできて運動不足を実感しますが、実はそれ、カビ毒が溶け込んでいるだけなんです。 つまり、運動せずともカビ毒をうまく排出できれば、みるみる痩せていく上に、絶対不可能と言われた「部分痩せ」も可能です!(経験談より) この部分痩せ&カビ毒排出に必要なのは、朝イチの空腹時に「クロレラ」とデトックス用のクレイと共に飲むこと。 これだけです。 ウクライナの各地に知人がおり、また、欧州各地から現地入りするジャーナリストからお聞きする限り、「日本で見る報道」とは大分様相が異なります。 確かにウクライナ東部(ロシアのパスポートを持つ人たちが多い地域)の一部では今も紛争が続いており、それは対ロシアだけでなく先週もお伝えしましたように、武器を持ったウクライナの囚人が徒党組んで強奪をはじめるなど「無法地帯」になっているからです。 これを平定しているのがロシア軍だと、ウクライナの人たちは話しています。 また、「海外ボランティア」と呼ばれる傭兵も多く、最前線のウクライナ軍の多くは、非ウクライナ人です。 何度もお話ししますように、今回の紛争は2014年からはじまっています。 あの画策された政変でロシア語が公文書からはずされ、300年以上続いたロシア正教も禁教となり、おっしゃっるように出来たばかりの「カルトとしか思えない新ウクライナ正教」が事実上の国教になりました。 「新ウクライナ正教」の中心的人物たちは、2014年に「海外ボランティア」と呼ばれた人たちの協力のもと政府を転覆させた首謀者の一味であり、2013年に世界ユダヤ人会議が「ウクライナ正教会は、聖職者がウクライナのネオナチのイベントに参加するのを止めるよう」要請した問題ある団体です。 彼らは、ナチスドイツの側で戦ったヴァッフェンSSのガリシア師団の創設70周年を記念する式典に司祭が多数参加し、2014年以降、ウクライナ各地でSSの像を建てている問題ある集団だと欧州全体(特にドイツ)に見られています。 一種の新興宗教集団とも言えるIS(イスラム国)が問題なら、こちらも同じくらい問題だ、ウクライナの知人は話していました。 ちなみに、新ウクライナ正教のフィラレット総主教は、「新型コロナは同性愛に対する神の罰だ」と発言した直後に自分が感染しています。 まだまだ紛争は続くでしょうね。 今週は、まん延防止等重点措置解除になったことから、岐阜、名古屋、静岡と移動しています。 まだ、本格的な移動シーズンがはじまってないことを良いことに(言い訳に)、最後の「冬ウナギ」を食べてまわっていますが、実は本当のウナギの旬が冬場であることはあまり知られていません。 一般的に、ウナギは夏の食べ物だと思われているかもしれませんが、夏のオフシーズンに鰻が売れないと嘆いていた当時の鰻屋が、江戸時代の学者・平賀源内頼んで作った宣伝コピー「土用の丑の日は鰻の日」によるキャンペーンから「夏ウナギ」が定着しました。 これが、今日まで続いています。 しかし、養殖ウナギは夏のうなぎの日にあわせて飼育されるため、いまでは美味しいウナギが夏になってきた事実もあります。 一方、天然のウナギは水温が下がってくる10月ぐらいから冬眠に備えて栄養を蓄えて脂がのり、日に日に美味しくなってきます。 これが翌年の2月末から3月中旬まで続くこともあって、いまは最後の「冬ウナギ」の時期。「天然物」は日本全体の漁獲高の約1%程度しかありませんが、まん延防止の余波もあって名店でもガラガラゆえ、難なく予約が取れました。 高城に飽きた人には良さそう 【生配信】極秘の健康法について[トークエッセイ2022/3/18] https://m.youtube.com/watch?v=tuigQtsHf7I ※フェイク終了後に秘密の健康法あり 今週は御殿場、三島、東京、仙台、広島、岡山と移動しています。 久しぶりに仙台の一番町を歩きましたが、あちこちシャッターが閉まってて、明らかに数年前と様相が違います。 新型コロナウィルスの影響もあったと思われますが、近隣からお話しをお聞きする限り、それ以前から閉店や撤退が相次ぎ、鳴り物入りでスタートしたアップルストアも2019年1月に閉店していました。 というのも、仙台では2011-13年の間に震災バブルと呼ばれた大量の補助金が投下され一時的に潤っていましたが、それが終わると景気が著しく落ち込みます。 三島や御殿場は、かなり前から駅前でもシャッター通りでしたが、まさか仙台一番町でこれほどシャッターが目立つようになるとは、思いもよりませんでした。 今後、「思いもよらない」風景や出来事が増えるだろうなと予感した今週です。 さて、気温が一時的に20度を超え、日本全国で桜が見頃になりましたが、その後は最高気温が10度に届かない日もあって、激しい気温の変化に体がついていかない「季節の変わり目」がやってきました。 中医学では、冬に眠っていた病が春になって起き出す頃と言われ、これが花粉症から五月病まで症状として表面化します。 原因不明の体調不良や体が重く感じるのもこの頃で、体内に潜むヘルペスなどのウィルスや、先週お伝えしたカンジダが暴れ出す季節でもありますので、腸内環境はいつも以上に整えておかねばなりません。 今週は、バルセロナにいます。 久しぶりにバルセロナに訪れましたが、空港で検査もなく、以前と変わらず入国できて少し拍子抜けしました。 日本を立つ前に、スペイン政府が発行する健康チェック・アプリケーション「Spain Travel Health」というフォームの問いに答えると、QRコードがメールに届き、それを預け入れ荷物をピックアップする前に設けられたカウンターで、2回以上接種証明があるワクチンパスポートと共に提示するだけ。 並ぶことも長時間待つことも検査もなく、入国は以前とほとんど変わりません。 現在、街中などの屋外ではマスク無しでもOKで、公共交通機関やレストラン、スーパーマーケットなど屋内に入る際には要着用と一応決まりがありますが、これも来週には撤廃される予定で、すでになし崩しになっている状態です。 カフェ等でも「グリーンパス」のチェックは、一度もありませんでした。 しかし、あれほどいた観光客の姿は、ほとんど見当たりません(体感85%減)。 街全体が閑散としていて、以前は人口160万人の20倍にあたる年間観光客3200万人超のオーバーツーリズムが大問題になっていた同じ場所とは思えません。 当時は面白いことに、バルセロナを訪れる観光客の不満60%を占める第1位が「観光客が多すぎること」。 なにしろ、ボケリア市場を擁するランブラス通りは、平日で1日に20万人、1年間に直すと延べ1億人が通行し、そのうち21%が地元の住人で、残り79%は観光客が占めていたほど毎日がラッシュ状態でした。 現在、この観光客がほとんど訪れていませんので、街が閑散としていると感じるのも無理はありません。 日系の旅行代理店にお話しを伺うと、以前は1日50名以上アテンドする日もあったそうですが、いまではひと月に1~2組程度とのこと。 街を歩いても、特にアジア人観光客が少なくなっている印象です。 数年前までバルセロナの観光収入はGDPの14%を担い、12万人の雇用を生み出していました。 現在、観光業者にたいし政府補償があるとは言っても、チップをはじめとする「裏の観光収入」は補償されません。 バルセロナ随一の観光名所サグラダファミリアは、コロナ禍のなか建設が止まってしまい、当初予定されていたガウディの没後100年にあたる2026年に完成は厳しい状況だと見られています。 また昨年、市民の「元気の素」だったバルサで汚職が発覚し、高額で契約していたメッシを放出しなければならないほど財務状況が悪化。 カンプノウ・スタジアムも命名権をはじめて売りに出し、今年から「Spotifyカンプノウ・スタジアム」になることが決まりました。 あわせて、ユニフォームも「Spotify」が獲得。 これにより「楽天」とのパートナーシップは、本年6月30日までで終了となります。 その上、「テレトラバハール」(リモートワーク)が常態化したこともあって、住人たちは以前のように街に出ていません。 ですが、気候だけは変わらず、いまも晴れた日はTシャツで街を闊歩する人も少なくありません(大抵は、北欧かドイツの移住者か旅行者ですが)。 世界随一の観光都市だったバルセロナ。 この夏、果たしてどこまで街に人が戻ってくるのか。 バルセロナの行方が、ポスト・パンデミックの未来を示すように思える今週です。 レビューを書いたらストラップがもらえるやつどうなったの?もれなく貰えると思って、最高に良かったとか書いたのに。詐欺かな 今週は、バルセロナ、ドバイ、東京、富士山と移動しています。 先週スペイン入国が余りにあっけなかったことに驚きましたが、今週日本に入国するのに4時間近くかかって、さすがの僕も辟易しました。 これは水際対策がしっかりしているのではなく、明らかな段取りの悪さ、というより「日本式システム」の弊害です。 まず、帰国便の機内で大量の書類が渡され、記入を求められます。 「誓約書」や「検疫法第12条に基づく質問」シートなど、事前のアプリケーションやWEBフォームとは別に、厳しい内容が書かれた書面に記入してサインしなければなりません。 実はこの大量の書類、到着後に一度も提示することもなく、回収されることもありませんでした(一体、この書類の束は何だったのでしょう?)。 到着ゲートに着くと係官に整列を求められ、乗客は一列に並んで行進するよう空港内を歩かねばなりません。 その間、何の説明もなく時間にして20分弱。 ここで重い荷物を抱えていれば相当大変で、カートもありません(トイレも見当たりません)。 また、搭乗前にアプリケーション登録するとグリーンパスのようなものが発行され、優先レーン「ファストトラック」を通れることになっていますが、レーンそのものを見る係官がいないためグチャグチャになってしまい、「ファストトラック」の意味がまったくありませんでした。 人との間隔も取れない狭い通路に押し込められ、咳き込んでいる人が多数います(クラスター管理は、有名無実です)。 なかには係官にレーンの問題を伝えている方もいらっしゃいましたが、とても対応できる様子がないほど毎時パニックな様相で、怒号が鳴り響いています(たぶん、相当なパワハラがあると思われます)。 およそ8ヶ月前にタンザニアから帰国した時より、明らかにいまのほうがメチャクチャで、このあたりに日本の「縦割り行政」が露呈していると感じました。 つまり、厚生労働省と国土交通省との連携が上手くいっておらず、他の省庁との横とのつながりは、双方「介入」され「自身の権限を奪われる」と考えているため、協調して何かを行うことができません(それが、組織末端まで影響を与えています)。 現在、厚生労働省の「日本式システム」と国土交通省の「日本式システム」というふたつシステムが、空港内で争う内戦が起きているのです。 ウクライナ紛争より、身近で切実な成田空港内の厚生労働省と国土交通省との紛争をテレビで報道して欲しいところですが、「お上に触れない」(体制に逆らわない)のも、また「日本式システム」のルールのひとつであることから、報道されることは決してないと思われます。 もし、これから日本に帰国予定がある方は、機内でトイレを済ませ、到着後「これから長い旅がはじまる」と兜の緒を締め直し、最低限の水や食料を確保しておくといいでしょう。 到着時間帯によっては、成田エクスプレスの終電に間に合いません。 さて、帰国すると日本はすっかり春模様。 驚くことに気温が30度を超える日もありまして、東京郊外、富士山(朝霧高原)とロケが続き、早くも日に焼けました。 気がつくと、もう夏の日差し。 今年は、久しぶりに大移動がはじまります(明後日からパリです)。 今週は、パリにいます。 ウクライナ情勢の問題から、ロシア上空を迂回する安全な航路での運航のため、通常11時間半のフライトが16時間以上かかりました。 距離が伸びたこととあわせて石油高騰による燃油サーチャージもかなり高額になり、また、フライトが少ないことから航空代金も驚くほど高くなっています。 実は「燃油サーチャージ」と言われる航空運賃とは別の追加料金は、かつては存在しませんでした。 米国が起こした湾岸戦争により原油価格高騰に対する措置として今世紀に入ってから導入され、ある日を境にオイルカンパニーと航空会社のリスクを顧客が被るようになったことは、あまり知られていません。 現在、原油価格高騰、円安、航空会社不況から、燃油サーチャージが大幅にあがり、長距離線の航空運賃も3年前の二倍半から三倍に上がっていると感じます。 さらに日本の場合、為替レート変動リスクを(おとなしい)利用者に負担させるようになっており、他国の航空関連価格決定メカニズムは基軸通貨ドルで判断されていますが、日本だけ円で決定され、これもまたツケが搭乗者にまわる仕組みが見られます。 それゆえ、6年ほど前の原油価格の大幅な下落により、日本発の国際線の燃油サーチャージがゼロになって航空会社の業績が好調になりましたが、アベノミクスによる円安政策のため、すぐさま燃油サーチャージの徴収が復活しました。 つまり、航空会社はドルで燃油を仕入れることができるのに、搭乗者に円で請求する「せどり」が公然の秘密として行われているのです。 どちらにしろ当面、航空運賃は高値で推移すると思われます。 さて、フランスへの入国はいつも通りで(ワクチンパスポートなども求められませんでした)、パリ市内を行き交う人々は、誰もマスクをつけていません。 「一応」公共交通機関利用の際などではマスク着用の義務が残りますが、いまや往来でマスクをつけている人は「陽性者」だと見られるようになっています。 事実、フランスでの1日当たり14万人の新規感染者、入院中の感染者の増加、死者数も増加傾向にありますが、もはやコロナを誰も気にしない様子が伺えます。 テレビを見れば陽性者の数を発表するのではなく、「みんなで歯を見せて笑いましょう」とアンカーマンがコメント。 まるで平行世界を旅する気分です。 パリは春の訪れとともに賑わいを取り戻しました。 いま、欧州全域でコロナおよびワクチン協奏曲は、過去のものになったと感じます。 今週は御殿場、三島、東京、仙台、広島、岡山と移動しています。 久しぶりに仙台の一番町を歩きましたが、あちこちシャッターが閉まってて、明らかに数年前と様相が違います。 新型コロナウィルスの影響もあったと思われますが、近隣からお話しをお聞きする限り、それ以前から閉店や撤退が相次ぎ、鳴り物入りでスタートしたアップルストアも2019年1月に閉店していました。 というのも、仙台では2011-13年の間に震災バブルと呼ばれた大量の補助金が投下され一時的に潤っていましたが、それが終わると景気が著しく落ち込みます。 三島や御殿場は、かなり前から駅前でもシャッター通りでしたが、まさか仙台一番町でこれほどシャッターが目立つようになるとは、思いもよりませんでした。 今後、「思いもよらない」風景や出来事が増えるだろうなと予感した今週です。 さて、気温が一時的に20度を超え、日本全国で桜が見頃になりましたが、その後は最高気温が10度に届かない日もあって、激しい気温の変化に体がついていかない「季節の変わり目」がやってきました。 中医学では、冬に眠っていた病が春になって起き出す頃と言われ、これが花粉症から五月病まで症状として表面化します。 原因不明の体調不良や体が重く感じるのもこの頃で、体内に潜むヘルペスなどのウィルスや、先週お伝えしたカンジダが暴れ出す季節でもありますので、腸内環境はいつも以上に整えておかねばなりません。 今週は、ハバナにいます。 およそ二年半ぶりに訪れたキューバは、入国に関してワクチン接種の義務もPCR検査の提出もなにもありませんでした。 冬が終わり、ハリケーン前のこの時期が年間を通じて渡航に最高なシーズンということもありまして、今回はハバナ以外にも久しぶりにキューバ国内あちこち出向いてみようと思います。 ええ、心地よい気候に早速ハマったんです。 しかし現在、キューバは国家財政破綻に直面しています。 一昨年2020年3月、コロナウィルス感染拡大で国境が閉鎖されました。 島国キューバらしい緊急措置だと思いますが、これにより唯一の外貨獲得手段とも言える観光収入がいきなりゼロ。 この状況がが半年以上続き、パンデミックとあわせて国中大混乱に陥ります。 そして2020年11月、米トランプ大統領がバイデンに選挙で負けた直後、次回の大統領選に備えフロリダの亡命キューバ人の信頼を勝ち得ようと、急遽トランプがキューバをテロ国家に認定しました。 これにより、世界中からキューバへ送金出来なくなる厳しい経済制裁が課せられ、この措置は現在も続くため、日本をはじめほとんどの国々からキューバへの送金はできません。 米国がでテロ支援国家に指定しているのは北朝鮮、イラン、シリアだけです。 その後、2021年1月にキューバ政府による金融改革(通貨整理改革)が行われます。 ソ連崩壊後の1994年に、米ドルと1対1の等価で固定されたCUCを導入し、これ以降、国内に一般的に流通するペソ=CUPと二重通過制度がはじまりましたが、観光業に従事する人々や外国に住む親族から送金を受ける人々と外貨が入手しにくい国民との間で経済格差が広がり、社会主義国のキューバで二極化が広がっていました。 これを是正するため、CUCを廃止し、CUPに一本化される金融改革が行われました。 ですが、大きな社会的混乱をきたし、国内にドルがないため実際の換金レートは地下銀行を通じて4倍まで膨れ上がります。 つまり、輸入モノが突然4倍以上になってしまったのです。 また、キューバ国内の銀行に外貨口座を持っていた人たちは、自分の口座なのに、ある日を境に引きだせなくなってしまいました。 その上、世界的なロジスティックス問題とインフレーションがキューバを襲い、モノ手に入りません。ガソリンからミネラルウォーターまで、入手するのは困難を極めます。 二年半前に訪れた際に、このメールマガジンでガソリンを給油するのに3~4時間かかることをお伝えしましたが、その列は現在4~5倍まで長くなっています。 このような社会的混乱を受け、若年層を中心に続々と海外へ移住する者が後を絶ちません。 その数、2022年3月1ヶ月間だけでも数万人規模まで膨れ上がりました。 社会主義の実情と問題や、独自のワクチン政策によって感染者を大幅に減らした医療まで、これから数週間かけてキューバの深部に迫ります。 果たしてキューバは、どこに向かうのでしょうか? ポスト・パンデミックの世界を垣間見たいと思います。 今週も、ハバナにいます。 この時期のハバナは、冬が去ってハリケーンシーズン前の心地よい時期です。最高気温は28~29度、最低気温は21度前後と暑すぎず、過ごしやすい日々が続きますが、夏に向けて日に日に暑くなってきました。 また、島国キューバの海からの玄関口ということもあって、街に心地よい風が吹き抜けます。 しかし、モノがありません。 現在、ボトル入りのミネラルウォーターを買うのは至難の技で、これは観光客だけでなく、社会主義による配給制度を受けるキューバ国民でも牛肉はおろか豚肉を入手するのも大変です。 さらにエネルギー不足から停電が頻繁に起きています。 このような状況が続き、国民の不満がついに爆発。 昨年7月11日、キューバ革命以来の大型デモが国中で巻き起こりました。 社会主義の同国においてデモは極めて異例で、参加者は「電力と食べ物の状況」に憤慨し、武装した治安部隊と参加者の間でで小競り合いが発生。 1000人以上の逮捕者も出ました。 そして今年、キューバ検察がデモの参加者790人を訴追し、最長で禁錮30年を求刑したことでさらに事態が悪化。 こうした政府の強弁姿勢の背景には、反体制運動が再燃したところに米国が裏工作をはじめ、国体が揺るぎかねない危機感からだと国民は話します。 というのも、近代キューバを作った革命家であり建国の父とも言えるフィデル・カストロが2016年に死亡し、後を継いだ弟のラウロ・カストロも2018年に実質的に引退。 これにより、1959年のキューバ革命以降初めて、故フィデル・カストロとラウル・カストロ兄弟以外の人物が同国を治めることになり、かつてのような全国民一丸となって国を変えてきた一体感が見られません。 正直、現議長ディアスカネルにカストロ兄弟のようなカリスマ性はありません。 特にキューバ革命を知らない若年層にとっては、わずか数十キロ先にある「なんでもある街」マイアミと「なにもない街」ハバナの差は歴然で、SNSを通じて二つの町の差を知り、意を決して国を離れる人たちも少なくないのです。 以前はキューバから他の国へ行くのは大変困難でしたが、昨年11月、突如ニカラグアがビザなしでキューバ国民の渡航を許可すると発表して以降、若年層を中心にニカラグアまで空路で渡り、そこから陸路で米国を目指す人たちが後を絶ちません。 米国政府は特別措置としてキューバ人を「難民」認定していることから、国境まで辿り着けば、米国内に居住して働くことが可能です。 ニカラグアまで飛行機で行くコストが、およそ3000ドル。 ニカラグアから陸路でホンジュラス、グアテマラ、メキシコを通って米国国境まで行くコストが4000ドル。 合計7000ドルあれば、新天地アメリカで暮らすことができるのです。 また、マイアミには大きなキューバ人コミュニティがあり、キューバでそれなりの仕事をしていた人なら、このコミュニティ内だけでも仕事を得られます。 それゆえ、著名なミュージシャンやアーティストまで、続々と米国を目指すようになったのが現在です。 一方、キューバ政府は、ウクライナ情勢が緊迫する最中、「米国の裏庭」とも呼ばれる中南米諸国と連携を加速し、反米国家との関係を強化することで安全保障をめぐる米国との交渉を有利に進めようと動き出しました。 ニカラグアのオルテガ大統領は国営放送を通じ、全面的なロシア支持を表明。ベネズエラのマドゥロ大統領も「我々は、平和、主権、領土防衛のため、ロシアとの強力な軍事協力の道を確認した」と述べており、あわせてキューバ外務省も「米国の絶え間ない偽情報とプロパガンダ戦争に直面しているロシアへの連帯を表明する」と声明を発表しています。 ロシアのプーチン大統領は昨年12月の記者会見で、北大西洋条約機構(NATO)による東欧諸国へのミサイル防衛システムの配備を非難し、「我々が米国境近くにミサイルを配備したら、米国はどうするのか」と発言し、事実、ベネズエラやキューバなどにロシアが極超音速ミサイルを配備する可能性が高まっています。 このままでは、再び「キューバ危機」がはじまります。 1962年10月、当時のソ連がキューバに攻撃用のミサイルを設置したため、核戦争一歩手前まで進んだ「キューバ危機」の再来となるのか? この国に生まれた知己の友人たちは、いつ国外脱出を図るかどうか、今日も悩ましい日々を送っています。 今週も、ハバナにいます。 先週土曜日、いま宿泊している5軒隣のホテル(以前の定宿)で大爆発がありまして、世界中のニュースを賑わしました。 原因はガス漏れとのことですが、22人の死亡者が出るほどの大惨事になっています。 僕も毎日のように通る場所なので、危なかったと言えば危なかったのですが、同時刻、別件で同行者数名が警察に勾留されていまして、それどころではありませんでした。 実はこの爆発のおかげで警察官が総動員したため、なし崩し的に釈放されました(半脱走しました)。 まあ、一般的とは言い難い旅行していますと、色々な場面に出くわすもので、爆発も勾留も格段珍しいわけではありません(一体、どんな旅行しているのかと思われるかもしれませんが、、、)。 さて、今週はお問い合わせも多いキューバのワクチン事情につきまして。 キューバの新型コロナのワクチン政策は、世界に類を見ません。 すべてのワクチンを自国で独自に開発しており、保険医療機関、学術界、製薬界が連携して、いままでに5種類の国産ワクチンを開発しました。 そのうち「アブダラ」と「ソベラナ2」、「ソベラナ・プラス」の3種類の使用がすでに承認され、いずれも90パーセント以上の有効性を示しており、各人の状況にあわせて複合的に打ち分けているのが特徴です。 また、キューバは人口1000人当たりの医師の数が8.4人と世界最高水準にあり、日本の2.4人と比べても多いため、接種も次々と進みました。 ワクチンを自国開発した理由は、60年代から米国の経済制裁下にあったため、製薬が手に入らず、自分達で作ってきた経緯があります。 先日もハバナ市内にある大きな総合病院に行ってお話しを伺うと、いまも昔も海外からの製薬輸入が厳しく、注射針がなかったことも多かったとのこと。「生き残るため」に、国家をあげて医療に取り組んでいる経緯と実情を垣間見ました。 なかでも、長年開発と安全性に取り組んできたB型肝炎ワクチンの応用技術があり、これをベースに再設計したのが、今回の新型コロナワクチンです。 リスクがあるとわかりながらも保存と輸送をすることを念頭に置いて設計されたモデルナやファイザー・ビオンテックなどのmRNAワクチンに対し、キューバ産はリスクが少ないタンパク質ワクチンを開発。 アデノウイルスを利用してRBDの一部の遺伝子を細胞内に導入するアストラゼネカやJ&J社のワクチンに比べて遥かに副作用が少ないと、キューバの医師たちは話します。 一般的にタンパク質ワクチンは開発に時間がかかり、複数回の接種が必要になりますが、キューバのワクチンで使われている遺伝子組み換えタンパクワクチン(サブユニット)技術は、子どもの予防接種にも何十年も前から採用されており、安全性の高さがなによりのメリットです。 このため、キューバでは世界ではじめて2歳からの幼児接種を開始。 すでに4回目を打つ人たちも少なくありませんが、重篤な副反応は見られません。 特に面白いのが、注射ではなく経鼻投与されるワクチンです。 新型コロナウィルスを引き起こすSARS-CoV-2 ウイルスは呼吸器疾患であり、鼻咽頭の粘膜を介して感染するため、確かに理にかなっています。 こちらも、B 型肝炎ウイルスのタンパク質に基づいており、細菌や酵母の組換え遺伝子工学によって粒子の形で生成され、その特性は免疫システムを強化します。 長年研究されてきたキューバ独自のバイオテクノロジー手法から得られた、特定のタンパク質に基づいたサブユニットのプラットフォ ームを使用しているとのことです。 このような低リスクワクチンを求め、海外からの「ワクチンツアー」が急増中。 国家も「ビーチとカリブ海、モヒート、そしてワクチン」という宣伝文句で外国人を呼び込もうとしています。 しかし、西側諸国ではキューバ製のワクチンを認めていません。 この背景には、西側諸国で作ったワクチンが、もし、キューバ製ワクチンに劣っていることや重篤な副反応が出る確率が高いことがわかってしまったら世界中パニックになり、また、米国が経済制裁する意味合いがなくなってしまいます。 国別罹患率を見ると、特定株に関してキューバ製ワクチンの優位性は確かに認められるのと、人種限らず、重篤な副反応がほとんど見られないのが特徴です。 また、ファイザー・ビオンティック製やモデルナ製ワクチンが高額で購入できない国々は、キューバ製のワクチンを求め、最大の輸出製品に躍り出ました。 今週は夜間に日雇いでドッグフードの袋詰めをしています 今週も、ハバナにいます。 キューバ革命以降、鉄のカーテンの向こう側に入ったキューバですが、1970年代から1980年代前半を通じ、キューバにとって西側最大の貿易相手国は日本でした。 いまも病院をはじめ、ハバナ市内の施設をまわると「JAICA」の文字を多々目にします。 90年代にはフィデル・カストロ議長も来日するほど両国は近い関係にありましたが、2001年に誕生した小泉政権以降、日本政府は米国に忖度する国際政策へと完全に切り替わり、キューバとの関係も疎遠になっていきます。 これは現在も続いており、貿易どころか米国の意に従い、日本からキューバへ国際送金することもできません。 このような状況から、キューバは良くも悪くも「グローバル」の圏外に位置していますが、世界に冠たる輸出産業があります。 それが、医療です。 90年代初頭、ソビエト連邦が崩壊したことにより、キューバは国家財政破綻に直面するばかりか、石油から食糧まで輸入することもできず、社会崩壊の危機にさらされていました。 その時、国家の未来のために投じたふたつの事業があります。 それが、外貨を稼ぐ観光業と医療だったのです。 なかでも国家の命運を賭けたと言っても過言ではない医療産業への投資が大躍進。 観光大国と言われるキューバ観光産業の三倍を稼ぐまでに成長し、特に中南米諸国やアフリカへの医師の派遣や独自に開発したワクチン販売などで多くの外貨を稼ぐことに成功しています。 現在、キューバは国民1000人あたり世界で二番目に医師の数が多い国家です(一位はカタールですが、カタール在住キューバ人医師が多数)。 平均寿命はおよそ80歳と米国と大差なく中国より上に位置し、対人口比率では100歳以上が世界一多く、また、街で踊っている高齢者を日々見かけることから、数字に表れていない健康寿命が長いことが伺えます。 フィデル・カストロ前国家評議会議長の医師団団長を務めていたセルマン・ハウゼン医師は「120歳クラブ」を主催し、100歳まで健康でいられる秘訣として、第一に「モチベーション」を挙げているのが面白いところです。 個人的に長寿の秘訣は、西側諸国にはない独自の医療システムと、南の島ならではの緩やかな時間の流れと社会システム、そして気候だと思ってますが、他に類を見ない予防医学の取り組みには着目すべきものがあります。 およそ100世帯に一人配置する地域ファミリー・ドクターは、調子の良し悪し関係なく日頃から住民に接しているため、病気になる前に予防的施術をはじめることが多々ありまして、もし発病しても当人や当人の家族をよく知る(つまり、遺伝的にも理解する)ファミリー・ドクターが病気の8割を治療しています。 また、頻繁に往診し、食事指導からモチベーション・ケア、時には家族関係の相談までこなす独自の地域予防医療によって、病気の発生と一人当たりの年間医療費を抑えることに成功しているのです。 そして、地域ファミリー・ドクターの手では治せない患者は、多大な投資をおこなったバイオテクノロジー施設や高度医療技術で治療します。 一方、経済制裁と世界的なインフレにより、外国産の抗生物質はなかなか手に入りません。 医療先進国と言われるキューバ。 実態は、予防医療先進国であり、一度、病気まで進んでしまうと、場合によっては治療が難しくなってしまいます。 つまり、予防こそが生死を分ける分水嶺。 日本で言うところの「予防医療」とは、大きな違いを感じる今週です 今週は、キューバの古都トリニダにいます。 かつて、近隣のロス・インヘニオス渓谷に巨大なサトウキビ農場と砂糖工場があったため古くから栄えていたトリニダは、中心地だけなら徒歩10分ほどで一周できてしまうほどの小さな街で、現在は観光地して栄えています。 地面は石畳でできていて、建物の壁はカラフルな色に塗られ、50年代のアメリカン・ヴィンテージカーと馬車が走るため、ちょっとしたタイムスリップ感覚があることから欧州からのゲストに大人気の観光地となりました。 2000年には、ロス・インヘニオス渓谷と共に世界遺産にも認定されています。 しかし、新型コロナウィルス感染拡大の影響を多大に受け、3年前の20分の1まで観光客が激減。業を煮やした政府は、昨年11月から海外渡航客に対する隔離義務も入国時のPCR検査も廃止し、閉鎖していた国内空港の大半もオープンしました。 というのも、キューバ観光のハイシーズンは11月から3月で、欧州が寒くなる時期に避寒地として人気を博しているから、ここで稼がねばなりません 是が非でもハイシーズンに観光客を呼び込まねば観光業者の生活を維持できないのですが、結果はウクライナ紛争や航空運賃の高騰などもあり、思ったより呼びこめなかったのが現状です。 この惨状は、トリニダに限りません。 カンクンやマラケシュなど、パンデミック以前、GDPに占める観光業の割合が高かった都市は、今後、復興にかなりの時間を要すると思われます。 また、トリニダはキューバのなかでもダンス・ミュージックの中心としても知られてます。 一般的にキューバの音楽で有名なのは「サルサ」ですが、実はキューバ生まれの音楽ではありません。 およそ100年前、サンティアゴ・デ・クーバで生まれ、当時一世を風靡したダンスミュージック「ソン」が、キューバ革命後、亡命キューバ人によって米国にもたらされ、それがニューヨークでドゥーワップ、R&B、ソウルやジャズ、ロックと融合して生まれたのが「サルサ」です。 このあたらしい音楽に飛びついたのは、亡命キューバ人たちだけではありませんでした。 プエルトリコ人をはじめとする米国で暮らすラティーノたちに支持され、瞬く間に大ブーム。 こうして「サルサ」は、アフロキューバンやプエルトリコの影響を受けたカリブ海の音楽すべてにつけられた商業的な名称となり、アメリカ人とラティーノたちの文化交流の切り口となっていきます。 その後、ニューヨークで生まれた「サルサ」が再び南下し、マイアミのキューバ人コミュニティで流行し、逆輸入する形でキューバに流れ込みます。 首都ハバナでは勿論、もともとダンスミュージックを屋外で踊る風習が根付く古都トリニダで、毎晩のように巨大ダンスパーティが開かれるようになるのです。 街角の広場で踊るサルサから反響音が楽しめるの洞窟ディスコのレゲトンまで。 世界遺産トリニダの街は、写真では見ることができないリズムが、閑散とした街角から今日も変わらず軽快に聞こえてきます。 今週は、カルデナスにいます。 ハバナから遠くないカルデナスは、観光地ではないため旅行客にはまったく馴染みがない街ですが、個人的にはキューバ国内でオススメしたい場所のひとつです。 と申しますのも、この街の主だった移動手段が馬車なんです! キューバは、もともと地理的に近かった米国の影響を多大に受けていました。 特に1920年代の禁酒法時代、酒とギャンブルを求めて米国からキューバに多くの人たちがやってきました。 この時、米国内で密造酒を販売し、莫大な利益を上げたのが、ケネディ家とブッシュ家です。 それゆえ、いまも米国の古い支配層にケネディ家とブッシュ家が「密造酒屋」(Boot Liquires)と呼ばれているのは、そのためです。 こうして米国の欲望の吐口となって退廃したキューバは、革命後に社会主義へと変わり、隣国米国と敵対関係になって国交が断絶。 これ以降、米国からの輸入品はなくなりましたが、それまで大量に輸入されていた1950年代の米国の自動車がいまも乗り継がれているため、ハバナ市内には当時の最先端アメリカンカー(いまでは、ヴィンテージカー)が走ります。 しかし、米国によって開発されたハバナ市内とは別に、結果的に古いキューバがいまの残る街がいくつかあります。 そのひとつがカルデナスです。 キューバ国内を移動していると、驚くほど多くの馬車に出逢います。 高速道路を堂々と走り、インフレによって高騰した上に、長蛇の列となっているガソリンスタンドを尻目に、長距離も移動します。 また、ハバナ市内を離れると驚くほどに物価が安い! これは、二年ほど前まで兌換ペソによる二重通過システムが廃止されたことにより、公的には1ドル=24ペソですが、地下銀行やストリート・エクスチェンジャーのレートは、現在1ドル=100ペソです。 つまり、あらゆる物価が4分の1。 ハバナ一番の5つ星ホテルのレストランで、ステーキを食べても700円。カルデナスのような街まで離れれば、200円を切ります。 産地直送のコーヒーが、15円です! 国営の安価なレストランに出向けば、パスタ4円です!! もし、キューバに旅行をお考えのかたがいらっしゃれば、米ドルを持ち込んで闇レートで換金すれば、驚くほどの物価安を感じることができるでしょう。 この夏、旅行をお考えの方は、ぜひキューバをご一考くださいませ。 ワクチン接種証明もマスク着用義務もありません。 今週もハバナにいます。 いまから数年前、「ハバナ症候群」と呼ばれる世界的な事件が発生しました。 2016年後半から2017年にかけて、在キューバアメリカ大使館および在キューバカナダ大使館の職員間で原因不明の頭痛、めまい、耳鳴りなどのさまざまな健康上の問題が発生。 翌年2018年には、在中国アメリカ領事館職員が同様の問題を報告し始め、米国務省は中国全土に健康警戒を拡大しました。 その後も被害は拡大し、「ニューヨークタイムズ」によれば被害者の数は130人以上に上ると報道。 昨年10月には米国ジョー・バイデン大統領が、「ハバナ症候群」の被害者を支援する法案に署名をしました。 しかし、原因は不明のままです。 そして本年1月、米国CIAは外国勢力による攻撃の可能性は低いとする中間報告書をまとめ、報告された約1000件のほとんどは環境や病気、ストレスなどに起因したものだと発表しました。 当初は、音響兵器などが疑われていましたが、実は携帯電話網5Gの実証実験が大使館内で行われていたことなどが判明しており、その後、この件に関して米国は新たなコメントを発表するに至っていません。 ちなみに、キューバの国営キャリアでは、5Gのサービスを展開していません。 かつて、初期にスペインから感染拡大の情報がもたらされたため、この名で呼ばれた「スペイン風邪」と呼ばれたパンデミックも、実態は米国発であったように、「ハバナ症候群」も米国の通信サービス実験の余波である可能性が高まっています。 ちなみに、もしキューバが本気で米国に対して音響兵器を使うなら、大使館などを狙いません。 狙う場所は、ハバナ新市街11丁目近辺にある「米国の裏大使館」を狙います。 年配のキューバ人なら誰でも知る公然の秘密なのですが、一見普通の住宅街にあるこの通りは、実はフィデル・カストロの秘書で内縁の妻だったセリア・サンチェスが住む愛の巣がある場所で、米国はそばに秘密の拠点を構えていました。 すでにセリア・サンチェスが亡くなって40年以上経ちますが、いまも軍人が24時間警備にあたっているのはそのためです。 さて、キューバは徐々にハリケーン・シーズンへと突入しつつあります。 訪れてからはじめての長雨のなか、僕も次の目的地に向けて準備をはじめました。 普段から荷物が小さいことから準備とは言っても、物理的な準備というより、心算のほうが大きく、余すところなくハバナを堪能する日々を送る今週です。 北半球全般で気候が変わりはじめ、移動の時期がやってきました。 カリブ海全域に近づくハリケーン・シーズンを前に、僕も別の島を目指します! どうしてテレビは自民党寄りなの?高城剛が日本のタブーに回答。対米従属から政官財癒着、製薬会社の錬金術まで 高城未来研究所「Future Report」 2022/5/13号、5/27号、6/3号より 世界を股にかけ様々なメディアで活躍するクリエーターの高城剛氏。今回はそのメルマガ『高城未来研究所』の読者Q&Aコーナーから、「日本のタブー」に切り込む衝撃回答をお届けします。 今週は、屋久島にいます。 ある時、理由も意味もなく同じ旅先に何度も通うようになることがあります。 90年代の屋久島は、僕にとってそんな場所でした。 その後、屋久島初の豪華リゾート「あかつき」(のちの「サンカラ」)が島外(神奈川)の土建業者によって建てられ、伝説とも言える民宿「晴耕雨読」の客層がガラリと変わったあたりから、僕の足も徐々に遠のくことになります。 そして今回、20数年ぶりに屋久島に訪れました。 この間、一時的な屋久島ブームによって年間観光客数は40万人まで膨らみましたが(ネイチャーガイドも10倍に増えましたが)、現在は来島者も15万人程度に落ち着き、オーバーツーリズムの懸念も拭われ、島は落ち着きを取り戻しているように見受けられます。 一方、面白い移住者は増えており、世界の文化や自然、旅のドキュメントを美しい写真とともに伝える屋久島発の雑誌『サウンターマガジン』編集部が手がける宿屋「アナンダ・チレッジ」をはじめとする島南部の移住者コミュニティが発する独特なカルチャーは、世界的にも類を見ない、「ポートランド以後」を感じるほどです。 あとは、この島ならではの食事処がほしい限り。 しかし、なぜか自分とこの島が「ピタッ」と来る感じがありません。 けっして、居心地が悪いわけではないどころか、むしろ居心地は良く、ただでさえ雨が多い屋久島の梅雨時にしてはたいして雨も降らず、気候は暑くも寒くもない適度な日々が続きます(エアコン入らず)。 いったい、僕がこの島に「ピタッ」と来ない理由はどこにあるのでしょうか? 一般的に屋久島といえば、屋久杉をはじめとする広大な自然などに目が行ってしまいますが、この島の魅力は「屋久島時間」にあると考えます。 沖縄のようなゆっくりとした「時間」もでなく、都会のようなあくせくしたような「時間」でもない、不思議な屋久島の独自のリズム感。 90年代に通っていた時にも、屋久島ならではの長い尺度を持つ独特の「時間」をなかなか掴みきれなかったことを思い出しました。 この20年で僕なりの旅路を経て再び来島した感覚を忌憚なくお話しすれば、屋久島とは強力な精神安定剤のようなものを放つ島で、多動な僕に「もっとゆっくり!もっとゆっくり!」と荘厳な山々が昼夜囁き続けているように感じます。 ところが、僕自身まだまだ落ち着けません! 多動と安定。 旅と雨。 そして僕と屋久島。 相反するふたつの間にある絶妙なバランス点を見出せるかどうかが、この島を心から楽しめる今週の(いまの僕の)課題です。 今週は、東京にいます。 久しぶりに東京に戻ると季節はすっかり変わり、曇っているのに湿度が高い梅雨らしい日々が続きます。 数ヶ月前に東京を出た時には、まだまだ肌寒い花粉症の季節でしたが、現在、長く滞在していたカリブ海とはまったく違う気候に身体がかなり戸惑いを感じています。 こんな時は、体調を崩さないように相当気をつけないといけません(特に発汗によるミネラル不足)。 さて、今週は夏至。一年のうち、もっとも日が長い1日として知られる夏至ですが、この日が昼の長さが一番長いからといって、日の出時刻が最も早く、日の入り時刻が最も遅いわけではありません。 実は、日の出が最も早いのは夏至の一週間ほど前で、日の入りが最も遅くなるのは夏至の一週間ほど後。 その中をとって、昼間の長さ(日の出から日の入りまで)が最も長い日が夏至です。 これは、地球が太陽のまわりを回る面(公転面)に対して自転の軸が傾いていることや、太陽のまわりを回る軌道(公転軌道)が真円形でないことなどによって起きる現象で、南北に広がる日本では日の出が最も早い日と日の入りが最も遅い日は南へ行くほど差が大きくなることから、夏至の日に国内で最も日没が遅いのは沖縄だと考えられています。 しかし、この時期に日が暮れるのは真東からではなく南東側からゆえ、意外なことに那覇より福岡のほうが日没時間が遅いのです。 ちなみに、東京より福岡のほうが夏至の日没時間に30分以上差がありますので、晴れていれば九州北部はサンセット撮影に最高の時期となります! 古来より冬至は「太陽が生まれ変わる日」として祝われ、為政者によって太陽神とキリスト教が習合し、クリスマスに変わった歴史があるように、夏至も為政者によってミッドサマーと呼ばれる習合祭事が催されてきました。 夏至は冬至生まれのイエス・キリストより半年早く生まれた(と勝手に決められた)ユダヤ教の預言者ヨハネの祝祭日とされ、夏至祭はユダヤ教とキリスト教の聖人の日と伝統の季節の祝祭が一緒になって、北欧を中心に盛大な祭りが行われています。 また、夏至の前夜に摘むハーブは、特に効果が高くなると言われていることから、近年は大麻を夏至の前夜に収穫するのが一種のブームで、カナダなど一部の夏至祭(ミッドサマー・フェスティバル)は、焚き火を囲む大麻祭の様相を見せています。 一方、日本では夏至を祝う風習はあまりまりませんが、この日の翌週に山開きが行われる場所が多々あります。 この場合の「山開き」とは、霊山などの登山を解禁することで、もともと神仏を祀る霊山に入れるのは修験者などの一部の人だけでしたが、江戸時代から夏至を境に夏の一定期間、庶民の入山も許されるようになりました。 この入山が許される日の儀式などを「山開き」と呼ぶようになり、山開きに倣って海水浴の解禁日を「海開き」と呼ぶようになるのです。 周囲を海に囲まれ、16000以上の山々を持つ世界でも類を見ない国。 今年も大自然を満喫できる日本の夏がはじまります! 今週は、京都にいます。 発汗力が高まってきた初夏のデトックス・ウィークと称しまして、今週は集中して解毒に励んでいます。 数日前まで滞在していた東京では、馴染みの医師と共に恵比寿に出来たばかりの個室サウナに入りまして、アルファリポ酸と大量のDMSAを飲んで、短時間に徹底して重金属デトックスに取り組みました。 その後、グルタチオン点滴をした後、宿便が出るまで2日間の断食を行い、過去一年分の水銀や鉛から有機溶剤まで押し出しました。 そして、仕上げに京都にお邪魔しています。 体の毒素を出す上で汗をかくことが必要不可欠なのは、改めて言うまでもありませんが、真冬に大量発汗するのは大変難しく、夏こそデトックスの季節だと痛感しています。 自著にも書きましたように、もう四半世紀以上通っている酵素浴が京都にありまして、正直、これ以上の発汗を望める場所は見当たりません。 念のため、酵素浴をご存知ない方にご説明しますと、米ぬかやおがくず、よもぎなどを使い自然発酵させ、それによって生じた発酵熱を利用して温浴する「乾式の温浴法」です。 専用の木箱に入って天然の発酵熱を利用し温まるのですが、50度から70度近くまで温度が上がることもあって、10分も入っていられません。 この間、驚くほどに汗ダラダラ。 いままで、フィンランドやハンガリー、スイスやトルコまで、世界中のサウナや温浴施設をまわりましたが、季節の薬草を使った自然発酵の酵素浴ほど、発汗効果がある場所は見当たりません。 ただし、大量の良い水とミネラル補給が絶対です。 僕は遺伝子的(SNPs)に解毒が苦手で、数年おきに有機溶剤や体内重金属の検査を行っていますが、せっかく解毒(キレーション)しても、その後の環境や食事によって、しばらくすると溜まってしまう一進一退を繰り返しているのが現状です。 だから、適宜強烈にデトックスする必要があるのです。 さて、春からはじまった撮影シーズンも、もうじき半分が過ぎようとしています。 後半戦に向けて立て直すために、徹底的にデトックス。 と、まあ仕事のためのようにお話し申し上げておりますが、実際のところは、夏を心ゆくまで満喫するための準備と言えなくもありません。 梅雨が明け、日本にも夏が到来しました。 今年も海に山にたっぷり楽しみたいと思います! 今週は、ロサンゼルスにいます。 独立記念日を含む連休ということもあって、今週はどこもお祭りムードでして、モールに出向けば人だらけ。 誰もマスクをしておらず、1年前とはまったく別の光景が見られます。 成田空港の発券カウンターで、ワクチンパスポートの確認などがありましたが、米国入国の際には一切の検査や書類提出等もありません。 以前と同じどころか、いつも長蛇の列となっていたロサンゼルス空港の入国審査はガラガラですんなり入国できました。 一方、1年前と別の光景はインフレです。 ガソリン価格だけを見ても、LA市内では1ガロン7ドル超まで高騰し、1年前の二倍以上。 モールで見かけた怪しい日本のサバ定食らしきものは、30 ドルまで値上がりしており(少し前なら18ドルから20ドル強程度)、それに税金と20%のチップを足せば、およそ40ドル。 円換算しますとランチのサバ定食らしきものが、およそ5500円となりドリンクは別料金です。 現在進行中の40年ぶりのインフレは、落ち着きを見せていると中間選挙を睨んだ政府は単に火消しとしか思えない発言を繰り返していますが、街中の飲食店やショップは例えインフレが落ち着いたとしても、一度値上げした価格を戻すとは思えません。 その上、サプライチェーンの影響で関連品が高騰しており、LAでピックアップしようとしていたヘッドフォンも、パーツの遅れから納期が大幅に遅れ、スケジュールがいつまでたっても見えないことから、入手を急ぐユーザーにより中古市場が活性化しています。 この現象は、昨年、中古車市場でも見られましたが、現在はエレクトロニクス全般に広がっています。 近年、中国の人件費高騰の影響もあって、HiFiオーディオ機器の製造は米国に戻りつつあり、なかでもLA南部に集中していて、米国職人魂の再燃が起きています。 ヘッドフォンのAudezeやオーディオインターフェイスを作るLinx Audioなど、古き良きメイド・インUSAを彷彿させる新興オーディオ・メーカーが、LA南部、特にコスタメッサ周辺に集中しています。 このコスタメッサには、7つのデパートを擁し、西海岸最大のショッピングモールで米国最大の売り上げを誇る「サウスコースト・プラザ」がありまして、独立記念日の前の日に訪れましたが、ここも少し前とはまったく違う光景が広がっていました。 ブランド店を中心にどこも大混雑しているのに、僕の体感ですがモールを行き交う白人も黒人もほぼ皆無で(3%以下)、ラティーノとアジア人しかいません! それもそのはず、コスタメッサに住む人の4割はすでにラティーノであり、そこに経済侵略しているのではないかと思うほど多くの中国人観光客が押し寄せて、事実上、モールを占拠しています。 この光景は、未来の米国に他なりません。 確かにいままでも日に日に増えるラティーノと中国人観光客急増を目撃してきましたが、白人も黒人もほぼ皆無な街並みを見たことはありませんでした。 1986年に開業したサウスコーストプラザは、もともとオレンジカウンティに移り住んで来た新興白人中間層をターゲットに作られたモールで、「The Ultimate Shopping Resort」とキャンペンコピーにあるように、近隣のディズニーランドより多くの年間来場者を誇ります。 ですが、客層は完全に入れ替わったのです。 これが「グレート・リプレースメント」です。 来月発売の新刊のテーマにも掲げている「グレート・リプレースメント」=民族の大転換は、ロサンゼルスに限らず全土で進行しており、米国は5年前とは違う国になったと実感する今週です。 (まだ、新刊は執筆中なんですが、、、、) 高城は創価を手厳しく否定していたけど 統一教会に関しては何か言っていますか 今週も、ロサンゼルスにいます。 南カリフォルニアの気候は地中海性気候に区分され、この時期は日々、素晴らしい気候に恵まれています。 人間の気分や精神状態に気候が影響することは言うまでもありませんが、近年は不動産価格にも反映されるようになってきたことは、あまり知られていません。 毎年ロサンゼルスの気候は、5月から10月までが最低気温18度前後、最高気温28度前後と快適な日々が続きますが、同じカリフォルニアでもサンフランシスコは緯度と海流の関係からロサンゼルスより6度ほど低く、5月から10月まで最低気温12度前後、最高気温21度前後とそこまで夏を体感できません。 また、ロサンゼルスと言っても広大で、場所によって天気も違い、交通事情が悪いことから海岸沿いのサンタモニカから気温が高いダウンタウンへ行くのに1時間かかり、広大ゆえ目的地が点在していたら午前ひとつ、午後ひとつの用事を終えれば、もうサンセット。 つまり、曇天の午前中に溜まった電話料金をサンタモニカへ支払いに行き、ランチを挟んで、快晴で暑い午後にシルバーレイクのオーガニック・スーパーで買い物をするだけで1日終わってしまうのです。 それゆえ交通渋滞が年々悪化し、1日あたりの平均渋滞時間が81分と「全米でもっとも酷い渋滞都市」として悪名を馳せています。 いまから30年ほど前、僕がロサンゼルスに住んでいた頃と比べても遥かに渋滞は酷く、解決する見込みはありません。 場所にもよるところですが、ちょっとランチに出かけて、戻るだけで4時間かかります、、、。 実は以前のロサンゼルスは、電車による交通網が全米一整った街でした。 しかし、1940年代から50年代にかけ自動車会社と石油会社のロビー活動(と裏金)に屈した為政者が次々と電鉄網を廃線にし、車社会の街へと変えていきます。 これが、今日まで続くのです。 こうして、大渋滞はロサンゼルス名物になり、光化学スモッグの原因となる大気汚染物質オゾンの大気中濃度が最も高い全米の都市になってしまいました。 また、頻繁にある山火事が起きると、中国とインドを上回る大気汚染が観測され、この時期でも午前中はスモーキーな日々が目立ちます。 このようなことからフレッシュな海風が吹き、常にスモッグのないビーチから3マイル(約5キロ)までの地価が高騰しているのです。 あわせてLAカルチャー発信源も、かつてのメルローズやロバートソンから海沿いのアボットキニーなどへ移り変わりました。 ロサンゼルスで海の近くに住みたいと思うのは、単に景色の良さだけでなく、実は健康被害から身を守るための手段なんだな、とつくづく実感する今週です。 同行したスタッフは、青い空の下でずっと咳が止まりません、、、。 これは場所とその方との前世を含んだ相性によるところです。 また、今世の魂の成長にもよるところですが、一般的に「地ぐらい」が低いところや多くの人がお亡くなりになっている場所、そして欲望が渦巻く歓楽街は、悪い周波数を放っています。 新宿ですと、貸し座敷があった2丁目や歌舞伎町はいまも欲望が蠢いており、敏感に「地ぐらい」を察知なされる方なら、日が落ちたら近寄らない方が身のためです。 かつては相当数の遊女と夜鷹がおり、彼女たちの駆け込み先がいまの靖国通りにある成覚寺でした。 いまも訪れるとわかりますが、山門から境内は通りに対して低い立地になっていて、これは「死界」に入ることを意味しています。 それゆえ、地獄から始まる「六道輪廻」からの救済の役割を持つ六地蔵が入り口に立っているのです。 もし、「気持ち悪くなって」しまったら、無理せず「すぐ移動」しましょう。 こればかりは、理屈ではありません。 今週は、屋久島にいます。 小説「浮雲」で「屋久島はひと月に35日雨が降る」と表現した林芙美子の言葉通り、ほぼ毎日雨が降ります。 それもそのはず、この島は九州最高峰の宮之浦岳(1936m)をはじめ1000m以上の山が45座並ぶ山岳島で、別名「洋上のアルプス」とも呼ばれる独特の地形が雨を降らします。 年間平均降水量は平地で約4500mm(山間部は8000~10000mm)と、日本の年間平均降水量の2倍をはるかに超える量が降り、その半分近くが5月から8月に集中しています。 しかし、なんとも言えない魅力がある島です。 事実、この雨ばかりの島はコロナ禍でも大人気の観光地。 昨年「Booking.com」が、ユーザーの口コミを基に授与した「Traveller Review Awards 2021」でも、「日本で最も居心地の良い場所」ランキングで第一位に輝きました。 なかでも一番人気の観光スポットが「縄文杉」。 樹齢1000年以上の杉を「屋久杉」と言いますが、そのなかでも一番古く大きいのが「縄文杉」です。 ただし、樹齢は極めて怪しく、2000年とも7000年とも言われており、その上、発見されてから50年ほどしか経っておらず、あまり調査もしていません。 発見当時、単に「大岩杉」と呼ばれていましたが、それでは島を代表するアイコンとして弱いということから、「縄文時代に芽を出した(可能性が高い)」ので、「縄文杉」と名付けられました。 つまり、ブランディングなのです。 実は近年、樹高が25.3mの「縄文杉」を遥かに超える45mの杉が発見されましたが、せっかく築き上げた観光ルートやブランディングが崩れてしまうことから、その場所は秘密にされています。 かくありまして、屋久島では宿屋から水まで「縄文」の名を冠した商品やサービスが後を絶ちませんが、縄文杉が縄文時代となんら関係がないことから、これらの商品やサービスも縄文時代と無縁なのが実態です。 では、いったい「縄文杉」は、なぜここまで有名になったのでしょうか? それは、80年代に環境省が行ったキャンペーンで、屋久島の「縄文杉」の前に制服の女子高生を立たせた広告が話題になったからに他なりません。 広告コピーは「7200歳です。」 これより屋久島へ観光客が殺到し、縄文杉は一躍「スター」になったのです。 その後、林野庁が放射性炭素年代測定法で「縄文杉」を調査すると、結果は「2170歳」以下だったことが判明しています。 また、「仏陀杉」はじめとする樹齢数千年を誇る屋久島の木々も、は放射性炭素年代測定法で調べた結果ではなく、目見当で年代を公表しているのが実態です。 果たして屋久島が守っているのは生態系なのか、ブランディングなのか? 夏休みに入った今週、屋久島の主だったホテルはどこも満室です。 今週は、金沢にいます。 現在、石川県では新型コロナウィルス過去最多となる陽性が確認されています。 検査を受けた人々のおよそ7割が陽性判定となって、少しでも不調になると救急車を呼ぶ人が絶えません。 今週、熱中症などとあわせて救急車の稼働率が95%を超えました。 一方、英国をはじめとする欧州全般の国々や先日まで滞在していた米国では、コロナはすでに風邪同様に扱われており、マスクしている人はほぼいません。 さらに発熱しても政府はPCR検査を推奨しておらず、その理由は1.高額であること、2.陽性であっても政府は対処できないこと、3.この二年で検査結果の信憑性がそこまで高くないことがわかったこと、などが主だった理由で、風邪同様、個々の対処に委ねられるようになりました。 また、検査結果を政府に報告する義務などがないことから、日々の感染者数をテレビで報道するようなこともなく、隔離義務もなければ、各人自己判断での社会復帰を即しています。 英国ではすでに半年ほど前から税金の費用対効果も鑑み、コロナ対策の法的規制をすべて廃止しました。 また、今週「Nature」に掲載された数百万人を母数として調べたコロナ後遺症(Long Covid)分析の最新論文によりますと、既往歴の他の危険因子は、 喫煙(22.5%) 肥満(53.8%が過体重または肥満) さまざまな併存症(うつ病22.1%、不安症20.3%、喘息20.1%、湿疹19.5%、花粉症18.1%) などがコロナ後遺症(Long Covid)を発症するリスクが高いと報告されており、二年前には闇雲に恐れていたコロナの正体がかなり判明しています(https://www.nature.com/articles/s41591-022-01909-w )。 今週、フランス議会は、圧倒的大差でワクチンパス停止を可決しました。 理由は、病気の性質に対する社会制度が深刻なミスマッチを起こしていることにあると報じられています。 このように他国では感染者数をカウントしなくなった結果、ついに日本の新型コロナの新規感染者数が世界トップになりました。 発熱して不調に陥り、救急車を呼んでもすぐには来ません。 長らく日本では水と安全と医療は無料だと考えられていしたが、社会が疲弊して混乱すれば、今後はそうはいかなくなるだろうと思われます。 改めて自分の身は自分で守るしかないと、自己メンテナンスに励む今週です。 今週は、金沢、長野、山梨、東京、姫路、岡山と移動しています。 今週に限りませんが、僕は人生の大半を乗り物のなかで過ごしてまして、 必然と道中仕事することが多々あります。 近年は、車内などで利便性の高いワイヤレスのブルートゥース・ヘッドフォン(アクティブ・ノイズキャンセリング機能付き)を長く普段使いしていましたが、先日、スタジオに入って良質なヘッドフォンでモニタリングすると、すっかり安価なブルートゥースヘッドフォンに耳が慣れ、解像感が失われてるのを実感し、大きなショックを受けました。 言語の習得もそうなのですが、普段聞いている帯域に集中できるよう耳が自然とチューニングされてしまいます。 日本語と英語の違いは文法などもさることながら発声帯域に大きな違いあり、ロンドン大学やNTTコミュニケーションズなどが共同で発表した研究によれば、日本語は1500ヘルツ以下の周波数に対し、英語は2000ヘルツ以上の周波数を使って会話されています。 例えば時報でいうと、最初の「ピッ、ピッ、ピッ」という音は440ヘルツ、「ポーン」という音は880ヘルツ。 わずか440ヘルツの音の違いでもあれだけの音域の差がありますので、普段聞き慣れない周波数である英語がなかなか聞き取れないはずです。 一見、ただ周波数が違うだけで大した問題ではなさそうにも思えますが、実は日本語の周波数に慣れている日本人の耳は、英語の2000ヘルツ以上の周波数を「ノイズ」として処理するように後天的に形成しているのです。 つまり、日常聞いている音が、誰もの耳を作っていると言っても過言ではありません。 かくあって、利便性に溺れ、ワイヤレスのブルートゥースヘッドフォン(アクティブ・ノイズキャンセリング機能付き)を長く普段使いしていた結果、落とされた周波数帯域を聞く力が衰えてしまい、さらに加齢も加算されているのが現在の僕の耳の状態です。 そこで、久しぶりに日本に戻ってきた二週間ほど前から、まず、加齢で失っただろう周波数チェックを日々行い、秋葉原や中野にあるヘッドフォン専門店や高級オーディオ店に日参して、普段使いする解像感のあるヘッドフォンを探し求めました。 実は、コロナの影響でヘッドフォン業界は大きく躍進しています。 考えれば理解できるところですが、オンライン会議の急増や自宅で過ごす時間が増えたことから、市場ニーズが何倍にも増えました。 この十年、ヘッドフォン業界はスマートフォンの普及とともに大きく飛躍しましたが、コロナ禍でさらに大躍進。 次々と新製品が登場している珍しく勢いある業界です。 特にクラスターが発生しやすい密閉されたスタジオに行けないアーティストは、自宅で最終段まで仕上げなければならないことになり、しかし、家では大きな良音でチェックすることがなかなかできません。 そこで、スタジオでモニタリングする環境と近い高解像度を持つ高額な(日本円にして50万円程度の)ヘッドフォンが続々と発表され、また、スタジオのモニタリング環境をシミュレートするソフトウェアやサブスクリプション・サービスも各社から発表されました。 結果的に視力回復に大いに貢献したAppleのXDRディスプレイ同様、高解像度を持つヘッドフォンとダイナミックレンジを引き出すためのヘッドフォンアンプ、そしてモニタリングのためのソフトウェアを現在、徹底的に選んでトレーニングしています。 目に見えるディスプレイと違い、なぜか店頭で散々試聴したあと持ち帰っても、エージングなどもあるのでしょうが、同じ音で再生されないことも多々あります。 こうして、毎日のようにヘッドフォンやアンプを購入して、飛行機や新幹線のなかで試しながら、自分にとって良い逸品を探し求める「ヘッドフォン迷子」な今週です。 ちなみに今週、自動車運転免許の更新がありました。 視力検査はまったく問題ありませんでしたので、視力は衰えていません。 これも良質なディスプレイを愛用してきた成果だと考えます。 たぶんこの夏いっぱい、僕のヘッドフォン探しの旅は続くでしょう。 トレーニングに励み、聴力の解像度を以前に増して高めたいと思っています! 今週は、東京にいます。 久しぶりに東京に一週間ほど滞在していることもあって(日々、秋葉原に通ってます)、また、多くの方々からリクエストいただいたこともありまして、ヘッドフォンと聴力回復につきまして引き続きお話ししたいと思います。 ノイズキャンセリングの性能に関しては、BOSEはすでにトップグループから外れ、ゼンハイザーの追い上げはあるものの、現在はAppleのAir Pods MAXとSONYのWH-1000XM5の一騎打ちになっています。 そこで、この二機種のアクティブ・ノイズキャンセル・ヘッドフォンの性能を見比べてみましょう。 僕もこの数年愛用するSONYは実に優秀で、特に高域特性のノイズキャンセリングでAppleのAir Pods MAXを凌駕していますが、この秀逸な技術が裏目に出ました。 人の聴力は、使わなければ衰えます。 これは聴力に限らず、筋肉をはじめとする身体全般に言えることですが、「聞き耳を立てる」という日本語が示すように、こちらから意識して耳を使わなければ、脳が聴くことを忘れてしまいます。 先日、以前に何度か通っていた音楽スタジオで同じ音源を聴いたところ、明らかに感じが違うことから、急遽知古の耳鼻科で調べてみると、使用していたアクティブ・ノイズキャンセル・ヘッドフォン特性の逆位相で僕の聴力が急速に衰えていることがわかりました。これに加齢が加わります。 一般的にアクティブ・ノイズキャンセル・ヘッドフォンが良いとされているのは、都会や移動時の騒音に悩まされず、また、それを解消するためにインナーイヤー型イヤホンを大きな音=危険な音量とされる85dB以上で聴く必要がない、つまり音量問題によって耳を痛めないのを回避できるからだと言われています。 しかし、長年使用した後のキャンセリング周波数特性の問題ついて書かれた論文や研究はありません。 というのも、アクティブ・ノイズキャンセル・ヘッドフォンが一般的になったのはここ数年の話しで、中長期的なコフォート研究は行えないのが実情です。 そこで僕と同じように気になる方は、いきなり耳鼻科に駆け込まなくても、まず、自分の聴力を調べるためアプリを用いて簡易検査するのをオススメします。 最近はiPhoneなどの聴覚検査アプリもありますので、自宅にいながら簡易検査が可能です。 するとどうでしょう? 長らくアクティブ・ノイズキャンセル・ヘッドフォンをお使い、もしくはカナル型イヤホンをお使いであれば、特定周波数(一般的には高域)が聞き取れなくなってしまっている可能性も否めません。 また、高域の聴力は10年経つごとに、およそ1kHzづつ聞こえなくなっていくものです。 もしいま、高域が聞きづらくなっているとしたら、早めに回復するような手段を取らねばなりません。 次週、検査結果にあわせた聴力回復方法とヘッドフォン選びに続きます。 今週は、姫路、岡山、富士山麓と移動しています。 ちょうど「お盆」ということもありまして、まだまだコロナ禍だと言われる日本でも、夏の大移動の時期で各地が賑わいます。 「お盆」は、日本古来の祖霊信仰と仏教が融合した行事で、仏教用語の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」を省略し「盆」と呼ばれるようになりましたが、大元はサンスクリット語の「ウッランバナ」の当て字として漢字になり、さらに辿れば、人類初の文明が起きたと言われるシュメールの「霊魂」を意味する「ウルヴァン」が語源です。 古代中東で先祖供養していた文化が、ゾロアスター教を経て、インドで仏教と集合し、それが東に向かって漢字になったのが「盆」です。 古代中国では、お盆に行われる飾り付けを模し「皿を分ける」と書いて「盆」の字が当てられました。 また、丁半博打を開帳する賭場も「盆」と呼びますが、こちらはお盆の時期に仏壇に敷いてお供え物をするのと同じ茣蓙(ござ)を敷くことに由来します。 しかし、もととも違法行為だったこともありまして、現代社会で賭場はすっかり廃れ、同じく「お盆」の時に先祖をお迎えする飾り付けやお待ちする茣蓙も、いまや廃れているように見受けられます。 これもグローバリゼーションが本質的に内包する無宗教の現れなのかもしれませんし、すでに帰省タイミングと化したことから、100年後にお盆は完全になくなっているかもしれません。 さて、今週も聴力復活とヘッドフォンのお話しをもう少し。 それなりのご年齢の方や長年ノイズキャンセリングヘッドフォンを使ってきた方は、高域を聞き取る聴力がおぼつきません。 一方、長年直接耳に入れるカナル型のイヤフォンをお使いの方は、全域に渡って聴力が落ちている傾向にあり、左右差が生じてしまっている方も少なくありません。 そこで、iPhone用の聴力検査アプリをMacで走らせ、アプリの出力をDAWに流し込んで何度もテストしながらイコライザーを使って自分の耳を補正します。 まず、自分が聞き取れない帯域をイコライザーを用いて持ち上げ、また、左右差があるようならパンポットで適正値を探ります。 もし、右も左も全周波数帯域に渡って聴力が落ちているようなら、聴力検査アプリから聞こえるDAWのマスターレベルを上げる必要があります。 こうして何度もテストを繰り返しながら、適正音量で全域に渡ってフラットになるように調整を繰り返すのです。 この結果、得られた音が正しい音、つまり健康的な耳の状態といえます。 こうして普段から音楽を聴く際もイコライザーなどを駆使し、擬似的に健康的な音を聴かないと、聴きやすい周波数ばかり聞くようになってさらに偏ってしまい、本来の正しい値と乖離してしまいます。 また、全域を聴き込むトレーニングも必要です。 簡易的なものであれば、Youtubeにもアップされておりますので、適宜聴き込みます。 そして耳も他の筋肉と同じ、衰えたらトレーニングする必要がありますので、幅広い音域を聞きながら物理的に耳を揉むことで効果を高めます。 さらに、腸内環境悪化と難聴傾向に相関関係が見られることから、耳だけに注力するのではなく、クレアラボ社などのサプリメントを用いて、あわせて腸内環境を整え直すことも大切です。 東洋医学では、古くから耳の問題は腸の問題だと考えられれきました。 古い教えを忘れてはなりません。 翻って現在、盆踊りも騒音に対するクレームから各地で次々と中止が報告され、どうやら古くからの教えを忘れているように見受けられます。 いつか、全員がヘッドフォンして踊る「未来型盆踊り」も登場するかもしれません。 たとえ形は変わっても、古くからの教えには大切ななにかが必ずあるものです。 次週は、いよいよ自分にあったヘッドフォンの選び方につきまして、お話しします。 あわせて、私的なベストヘッドフォン2022夏を発表します! >iPhone用の聴力検査アプリをMacで走らせ そもそもiPhone用のアプリはMacにインストールできないよね? >>429 できるよ ノイズキャンセルってやっぱり耳に良くないみたいやな 今週は、東京にいます。 暑さのピークも越えたように感じますが、どこかホッとしたような、どこか寂しいような不思議な感覚の日々を過ごしてます。 さて、今週はいよいよ自分にあったヘッドフォン/イヤフォン選びにつきましてお話ししたいと思います。 最初にヘッドフォンをあまりご存じない方のために、ヘッドフォンの代表的な二種、密閉型と開放型につきましてお伝えします。 密閉型ヘッドフォンとは、その名の通り樹脂や木材による密閉されたハウジングにより、外部に音を漏らさない構造が特徴です。 それに対して開放型ヘッドフォンは、メッシュなどの開放されたハウジングを採用し、ドライバーユニットの後ろから発せられる音がハウジングの外にも出るように設計されています。 密閉型ヘッドホンのメリットは、構造に由来する遮音性につきます。 ヘッドホン内部の音が外部に漏れにくく、外からのノイズも耳に入りにくくなりますので、電車や飛行機など乗りものなどで音楽を聴く場合には密閉型が自分のためにも周囲のためにも最適です。 ノイズキャンセリングも構上密閉型ヘッドホンでなければ搭載できません。 その上、構造が胴のように共鳴するため、低音が出やすいので迫力があるサウンドが得られます。 かくありまして、よく知らない人にヘッドフォンを売ろう考えるメーカーは、安価な密閉型を量産するのです。 一方、開放型のメリットは音がハウジング内にこもらないため音の抜けがよく、広い音場感が出せること、つまりスピーカーのように聞こえる点にあります。 簡単に言えば、窮屈なヘッドフォンとは思えない「空間性」にあります。 伸びのある高音も出しやすい構造なのですが、音漏れが大きく外からのノイズも聞こえてしまうため、騒がしい屋外での使用には向かない上に、ユニットが大型で持ち運びにも適していません。 このようなことから、音楽産業では外から音が入っては録音に支障が出るレコーディングには密閉型ヘッドフォン、録った音をスピーカーとあわせて確認しながら進めるミキシングやマスタリングには、開放型ヘッドフォンが適していると言われています。 また、イヤホンは本体のサイズに余裕があり、大口径のドライバーを搭載できるヘッドホンに音質面で敵いませんが、なにより携帯性には優れています。 このイヤホンにも大きく二種ありまして、耳介に掛けて使用するインナーイヤー型と、耳の穴に差し込んで高い遮音性を持つカナル型の2種類が存在します。 カナル型とは、イヤホンの先端に耳栓に似た形状の「イヤーピース」が付いた密閉型イヤホンのことで、イヤーピースを耳の奥に入れ込んで使用するためフィット感に優れ遮音性が高く、密閉度がもたらす低音再生に優れます。 ただし、人によっては圧迫による疲労感から「ヘッドフォン難聴」になる人の使用が多いタイプでもあります。 長時間使用には、注意は必要です。 他方、インナーイヤー型はカナル型と異なり、耳の奥へ入れ込むイヤーピースがありません。 耳の入り口にある耳甲介と呼ばれる部分にイヤホンを引っ掛けて装着することから、聴く楽曲によっては周囲にシャカシャカ音を振り撒きます。 なにより安価に製作できますのでスマートフォンの付属で付いてくるのは、このタイプです。 このようなことから、通勤通学電車等、公共の場所で聞くなら密閉型ヘッドフォンかカナル型イヤフォンしかありませんが、後者は難聴に注意が必要で、密閉型ヘッドフォンも数週間に渡ってお伝えしてきましたように、ノイズキャンセリング機能つきは、高域が聞きづらくなってしまうリスクを孕みます。 その他、個別の耳型をとって作るIEM(インイヤーモニター)や骨伝導、さらには有線、無線などの違いがありますが、このあたりは使う場所と目的、例えばジョギングからライブステージ、DJ用、Youtubeの完パケなどによっても異なるところです。 さらには、聴く音楽のジャンルによってもヘッドフォン選びは異なります。 中音域と高音域が目立つ日本のポップスならイヤホンで十分ですが、より広域な再現性と解像感を求めるクラシックだと、開放型ヘッドフォンが望ましい。 とはいえ、実際には聞いてみなければわかりませんし、なにより装着感が大切です。 通常、ヘッドフォンやイヤホンを試聴する際には自分のお気に入りの楽曲を持ち込み、店頭で試し聞きします。 しかし、これだと可聴域が固定されてしまい、耳の衰えがわかりません。 そこで、聴力テストアプリをスマートフォンにダウンロードして家電量販や専門的で試聴するのです。 こうしてショップに出向いて様々なタイプのヘッドフォンを聴き比べ、勝手に店頭で聴力検査に勤しみ、自分の苦手な帯域が聞こえるヘッドフォンを探しつづけます。 この結果、僕は用途により、いくつかのヘッドフォンを分けて使うことにしました。 なにより、人が良いと言われるヘッドフォンが自分に良いとは限りません。 この点は、食事と似ています。 もし、いまお使いのヘッドフォンで聴きづらい帯域がおわかりでしたら、その帯域が聞こえるヘッドフォンやイヤホンをお選びください。 一般的に少し高額になりますが、外でも使用できる密閉型かカナル型(特にBAドライバー複数搭載)でご自分にフィットしたものがあれば、文字通り「世界が広がる」でしょう。 次週は、いよいよ2022年夏の私的なベスト・ヘッドフォンを発表します。 今週も、東京にいます。 秋の訪れを感じる中、秋葉原や西新宿に日参してパーツ屋でトランジスタを眺め、かつてハイテク大国だった残渣を楽しむ短い夏休みを送っています。 さて今週はいよいよ「2022年夏、私的なベスト・ヘッドフォン」の発表です。 この二ヶ月間、米国と日本で数百本にわたるヘッドフォンを聴き込みました。 以前もお話ししましたように、スマートフォンの世界的普及や新型コロナウィルス感染拡大によるライフスタイルの変化もあって、ここ数年のヘッドフォン業界は大変活況です。 毎月のように新製品が登場し、世界的なアーティストもスタジオに行かず、自宅でレコーディングやミックスを行うようになって、「スタジオがわり」ともいうべき高額なヘッドフォンが続々と販売されています。 今週は、エチオピアのカファにいます。 8世紀中頃、カルディと言う名の羊飼いの少年が飼っていた一匹の羊が、突然ピョンピョンと飛び跳ねはじめました。 なにやら木に成っていた見慣れない赤い実を食べた様子で、カルディも恐る恐るその実を口に入れてみたところ、なんとも言えない甘酸っぱさがあって、しかも、なんだかウキウキ気分。 こうしてコーヒーの豆(アラビカ種)が発見され、カファ→カフェ→コーヒーと名を変え世界中に知られることになります。 コーヒー発祥の地、カファ。 ここは、いまでも世界有数のコーヒーの産地ですが、実はエチオピアのコーヒーの大きな特徴は、国内消費が非常に高いという点にあります。 年間生産量650万袋のうち約半分が国内で消費され、残り半分が輸出される地産地消農産物なのです。 エチオピアのコーヒーは一人で楽しむものではなく、家族や友人、仲間たちとテーブルを囲み、会話や交流を楽しむソーシャルツールです。 女性が鍋でコーヒーを炒って挽いた後、ジェベナと呼ばれる特殊な抽出用ポットでお湯と混ぜ合わせます。 香木をモクモク焚きながら濃い目のコーヒーを小さなカップに注ぎ、さらに新しい熱湯を加えて2回を抽出。 およそ1時間ほどかけて行うこの作業は、おもてなしの心や社会的な規範とされ、家族の団欒にも欠かせません。 また、エチオピアの農家の多くは1ヘクタール以下の小作農で、販売予定もない自分たちの分を自分たちだけで育ている人も多く、これらは「ガーデンコーヒー」と呼ばれています。 その他、輸出向けを狙い、英国のブランドマネージャーが携わるプランテーションも多々ありますが(日本の大半のサードウェーブ豆はこちらです)、平均的な生産者は商業販売用のコーヒーをほとんど栽培していません。 つまり、エチオピアに行かなければ、輸出向け大量生産とは異なるエチオピアン・ガーデン・コーヒーを飲むことはできないのです、と五年前に訪れた時にわかり、今回、やっと再訪することができました。 各家庭によって異なるフレッシュなコーヒーを独自製法で作るエチオピアン・コーヒー。 今週は、先週に引き続き「2022年夏私的なベスト・ヘッドフォン(アンプ編)」を発表する予定でしたが、すっかり日々コーヒー三昧で心臓もバクバクし、それどころではありません。 たぶん一種の急性コーヒー中毒で、頭のなかの85%がコーヒーに占められています。 それほど、エチオピアン・コーヒーと紫の煙の中で行われる「儀式」には、中毒性があります。 改めて考えると、どうやら僕の文章はその地に出向かなかれば書けない様子です。 秋葉原に行かなければ書けない文章があり、同じく、エチオピアに来なければ書けない文章があります。 確かに今年キューバで撮った映画脚本の大半も、行ってから書きました。 これは、昨今話される「どこでもできる仕事」とはまったく逆で、「そこじゃなきゃできない仕事」を、僕はいつも行っているんだな、とコーヒー中毒になったいま、自分なりに考える今週です。 まるでビート・ジェネレーションの作家のように。 ちなみに成田空港はガラガラで、日本から出るのも入るのも、まだまだ相当な時間がかかりそうです。 世界は変わりましたね、良くも悪くも。 今週は、エチオピアのイルガチェフェにいます。 近著でも書きましたように、エチオピアには「エチオピア時間」という、なかなか理解できない時間と暦があります。 先週金曜日、このメールマガジンを発行した日時は、日本時間では2022年9月9日16時20分でしたが、エチオピアでは2014年13月4日16時20分になり、本日は年が明けて2015年9月6日です。 何度教えてもらっても、サッパリわかりません! 今週日曜日が「エチオピア時間」では元日(9月1日)だったことから、そこらじゅうでハッピーニューイヤーの文字が掲げられ、一晩中大騒ぎ。 翌月曜の挨拶は、もちろんハッピーニューイヤーです。 みなさま、あけましておめでとうございます! さて、イルガチェフェ。 エチオピア南部ゲデオに属するこの地域は、世界一との呼び声も高いコーヒーの生産地です。 トリッシュ・ロートゲブが作った高品質を重視するーケティング・ワード「サードウェーブ・コーヒー」が、リーマンショック以降米国で大ブームとなり、スターバックスに代表されるアンフェアトレーディングが蔓延る大量生産大量消費型のセカンドウェーブ・コーヒーのカウンターとして持て囃されました。 しかし、エチオピアでは誰も「サードウェーブ・コーヒー」という言葉を知らないばかりか、「シングルオリジン」などと言っても不可思議な顔をされるだけ。 なぜなら、単一農園・単一品種で分けられたコーヒーを意味する「シングルオリジン」の実態は、僕が見る限り、相当怪しいからに他なりません。 一般的にコーヒー豆は、複数の農園で採れたものが混合しています。 出荷の段階で同じ場所に集められてしまうため、トレーサビリティが辿りにくく、風味の個性も生かしづらくなるので「シングルオリジン」が好まれるのですが、エチオピアを見る限り、「コーポラティブ」と呼ばれるユニオンや投資家が作った水洗式精製所にあちこちから持ち込まれるため、単一農園・単一品種とは言い難いのが正直なところです。 しかも、イルガチェフェは強いブランドネームのため、他地域からこっそり運び込まれたコーヒー豆も少なくありません。 こうのような現実を見ると、「シングルオリジン」とは単なるマーケティング・ワードで、その上、(主にエチオピアン・ムスリムの)投資家に農家は散々買い叩かれまくっていますが、なぜかフェアトレードの認証を受けているのが実態です。 しかも、この国では浅煎りでコーヒーを飲む人は皆無なことから、「日本で飲むエチオピア・コーヒー」と「エチオピアで飲むコーヒー」は、まったく別の飲み物です。 いわば、日本の素敵なカフェで飲むエチオピア・コーヒーは、「エチオピアの豆を使った(アンフェアトレードな)ニューアメリカンコーヒー」なのです。 現在、エチオピアのコーヒー産業は、胡麻を抑え同国最大の輸出品になり常に外貨を稼ぐため、コーヒー・ビジネスに携わる人たちの地位が想像以上に高い印象です。 この傾向は政治にも反映され、日本はゼネコンと近しい政治家が強い力を持っていますが、エチオピアではコーヒーに近い政治家が力を持ちます。 その代表が、デスタ・リダモです。 リダモは、イルガチェフェなどのエチオピア南部シダマを代表する地域政治家で、コーヒー産業の力を背景に、二年前にシダマを独立自治州として中央政府に承認させました。 これにより自動車ナンバーも差別的だった「SP」(サウスピープル)から「SD」に変更され、地域アイデンティティが一層強固になっています。 まさにコーヒーキング! また、シダマから首都アディスアベバへの幹線道路は、未舗装も多かったグラベルロードでしたが、アフリカ随一と言っても過言ではないほどの綺麗な有料道路に変わり、現在、シダマの首都アワッサまでの半分ほどが開通され、全開通は来年を予定してます。 これにより、6-7時間の航路が3時間に短縮される「コーヒーロード」が開通することになります。 さらに、地域独立した際、シダマ族ではないイルガチェフェを切り捨てました。 この背景には、イルガチェフェは多くの米国人投資家と組んで、コーヒーの値段を不当に釣り上げた事情などもあり、今後、エチオピア南部のコーヒー・トレンドは、品質も含め独立したシダマのイルガレムやディラに移ることが予測されます。 すでに大金を投じた農業研究センターの建築がイルガレムではじまっており、今後10年で近代化し、いままでとは違ったエチオピアのコーヒー豆(グレード1超)が登場するでしょう。 この様相は、わずか5年でTHC量が二倍になったカリフォルニアの大麻産業と酷似しています。 コーヒー立国エチオピア南部の地域国家シダマ。 値が上がらずに楽しめるのは、いまのうちだけでしょうからお早めに。 今週は、タンザニアのアルーシャにいます。 昨年もお伝えしましたが、タンザニアでは「コロナはない」ことになっており、一昨年5月以降、新型ウイルスの感染状況を公表するのをやめています。 当時、ジョン・マグフリ大統領が、パパイヤ、自動車オイル、ヤギのミルクなどをPCR検査に出すと、すべて陽性になったので正確さに欠けると発表。 あわせて「コロナフリー」宣言をしたため、ウイルスや感染事例の存在は公式的にはなくなりました。 この状況は現在も続きます。 また、新型コロナ・ワクチンに関しても「ワクチンは良くありません。もし効果があるなら、白人男性はいち早くHIV/エイズワクチンをアフリカに持ってきたはずです。ですが、そのようなことは起きませんでした。タンザニア人はこれらの輸入品(ワクチン)に注意する必要があります。彼らがあなたをとても愛しているとは思わないで下さい」、「アフリカには、コロナ以上の大変なウィルスが蔓延っています。問題はこちらなのです」とジョン・マグフリ大統領は発言しています。 今年に入って欧米諸国でもPCR検査の結果やワクチンに懐疑的な姿勢を示す国が増え、また、感染者のカウントをするのをやめた現状を鑑みるに、もしかしたらタンザニアの取り組みのほうが、一歩先を進んていたのかもしれません。 しかし、皮肉なことに昨年の春、コロナ(と思われる疾病)でジョン・マグフリ大統領が死亡。61歳でした。 コロナに関する言説からも強引な政治家だったことが伺えますが(あだ名が「ブルドーザー」)、シンパも多く、葬儀の際には反対派だった多くのミュージシャンたちも協力し「追悼歌」を作成しています。 このような文化的側面から国政を司ったトップの死に対する本当の評価が垣間見れるものだと感じます。 ジョン・マグフリ大統領が在任中に行った主な政策は、 ・大金がかかるとされた独立記念日の記念式典を中止し、その予算を衛生の改善やコレラの拡大防止の為の大規模な清掃活動を実施。 自らも路上でごみ拾いを定期的に行う。 ・議会の開会を祝う夕食会の予算や会食を90%以上削減。 浮いたお金を病院のベッド増設や道路工事の費用に充当。 ・大統領や副大統領、首相が飛行機のファーストクラスのチケットを購入するのを禁止。 ・公費でのクリスマスカードや正月のグリーティングカードの発行禁止。 ・遅刻した公務員を6時間収監。 ・政府の会議やワークショップは高いホテルではなく、政府の建物内で行うよう命令。 ・閣僚の数を30人から19人に削減。 などがあります。 なにより徹底した汚職の撲滅に力を注ぎ、賄賂に関して厳しい刑罰を課しました。 ジョン・マグフリ大統領の後任には、副大統領であったサミア・スルフ・ハッサンが選出されています。 タンザニアでは初めての、また、東アフリカ地域で2番目の女性大統領ですが、ジョン・マグフリ大統領のような剛腕はなく調整型のため、いつ政変が起きてもおかしくない状況です。 開発途上国から低中所得国に急成長したタンザニア。 この背景には、故ジョン・マグフリ大統領が命懸けで改革した汚職撲滅があったのは間違いありません。 今週は、東京にいます。 秋晴れが続く気持ちが良い季節になりましたが、この「秋晴れ」とは近著にも書きましたように、二十四節気の第16番目の節気「秋分」からはじまります。 「秋分」は昼と夜の長さがほぼ等しくなる日ですが、祝日法によって政府が定める「秋分の日」と同じとは限りません。 政治家が地方の地盤に少しでも長く帰れるように制定された2003年の「国民の祝日に関する法律」の改正以降、同じ9月の「敬老の日」をうまく使って、意図的に連休を作れるように策定されています。 それゆえ、国立天文台が定める「秋分日」と毎年政府が発表する「秋分の日」に違いが生まれるのです。 暦は、いつの世も為政者次第。 常々、自然に沿った暦で日々を送りたいと考えています。 さて、今週から秋葉原通いが復活しまして、遅くなってしましたが、引き続き「2022年夏私的なベスト・ヘッドフォン(アンプ編)」を発表したいと思います。 まずヘッドホンアンプとは、音声信号を増幅させ、イヤホン・ヘッドホンで迫力ある音量や高音質の音楽を聴けるようにする機器です。 実は、スマートフォンやコンピュータにも簡易なものが内包されていますが、こちらはあくまでもオマケ程度なものに過ぎず、ディバイスからデジタルデータ(つまり音楽)だけを取り出し、外付けのヘッドホンアンプで再生したほうが、はるかに良い音を奏でます。 この夏、南カリフォルニアと東京(秋葉原と中野)で数百本に及ぶヘッドフォンと同時に聴き込んだアンプのなかから、卓上(仕事用)とモバイル(持ち歩き用)の二種を僕なりに選びました。 今週も、東京にいます。 およそ二年半がかりで書き上げた自分の遺伝子を公開する最新刊「BIO HACKING」の出版にあわせ、また、多くの方々からお問合せいただいております僕の直近の食事内容につきまして、今週はお話ししたいと思います。 この一ヶ月のメインの食事といえば、ほぼ「粉」だけ。 こう書くと驚かれる方もいらっしゃると思いますが、実は自分でも驚いています、「粉」と「液」だけでもやっていけるんだと。 これを「食事」と呼ぶかはさておき、まず「粉」メニューは ・Jigsaw Healthの「Electrolyte Supreme」(レモン&ライム) ・Bulletproofの「GREENS」 ・THRONEの「Amino Complex」(レモン) のみっつです。 今週は、児島にいます。 いまでこそ世界的なデニムの生産地と知られる岡山県倉敷市南東部にある児島は、もともと岡山県本土と陸続きではなく、瀬戸内海に浮かぶ小さな島でした。 それが江戸時代の干拓によって陸続きになって本州の一部になります。 ですが、干拓地は海でしたので塩分が多く、稲作には向きません。 そこで、塩分に強い綿花栽培が盛んになりました。 こうして綿花の栽培から繊維産業が発達します。 明治時代には民間初の紡績所ができ、年間1000万足を超える大量の足袋が作られ、日本一の生産量を誇るまでになりました。 ところが、靴が一般化すると共に足袋の生産は斜陽になっていきます。 そこで、特産の厚織地を活用し街を上げて学生服の生産拠点へと方向転換し、国内シェア7割を占めるまで成長しました。 しかし、戦後になると学生服の生地は綿から合成繊維に変化し、徐々に衰退をはじめます。 あわせて1970年代になるとべブーブームが一段落し、学生服産業の先細りが懸念されるようになりました。 ここで、再び街を上げて大胆にも方向転換します。 それが、デニムだったのです。 当時使われていたアメリカのデニム生地は硬くゴワゴワしており、とてもはき心地が良いとは言えませんでした。 児島の人々はジーンズを日本で拡販する為にはき心地の良さを徹底追求。 そのなかから生地を柔らかくするための「洗い加工の技術」が誕生します。 1973年には、初めて国産のデニム生地の生産をはじめ、ついに輸入に頼ることなくジーンズ作りに必要な「生地・縫製・加工」全ての工程を岡山県内で完結させることが可能になりました。 こうして、稲作に向かなかった土地を綿花の栽培地に変え、日本一だった足袋の生産地から学生服、そしてジーンズへと、児島は次々と基幹産業を変化させ街を発展させてきました。 そして現在、シャッター通りも目立つ児島は、再び変化することができるのでしょうか? それともこのまま何もせず、「豊かな衰退」へ向かうのか? 答えが出るまでそう遠くないと、実質的に補助金で作られた「児島ジーンズ・ストリート」を歩いて感じる今週です。 今週は、八ヶ岳にいます。 登山シーズンも終わり、静かになった山麓は、もう紅葉の季節です。 今週、赤岳や天狗岳が初冠雪。 鷽(うそ)を見かけることが増え、ゆっくりと冬の足音が聞こえはじめました。 さて、ご質問を多々頂戴していることもありまして、今週は普段見ているドラマのお話し。 NETFLIXが韓国チャンネル化したことから徐々に関心が薄れ、最近はもっぱらディズニープラスとAmazonプライムで新作ばかり観るようにになりました。 なかでも、スターウォーズのスピンオフはすべて観ていまして、「マンダロリアン」、「オビ=ワンケノービ」から「アンドー」まで、アニメーション以外の実写は、時間を見つけて楽しんでいます。 今週は、東京にいます。 毎年春から秋まで北半球を巡っていますが、今年の撮影シーズンもほぼ終わり、撮ってきた写真や動画の編集、そして来シーズンのための準備がはじまりました。 都内を歩くと入国を緩和したこともあってインバウンド客が目立ち、秋葉原に出向けば円安を利用し爆買いする人が多く、言葉を聞く限りタイ人やインドネシア人もが増えているように感じています。 この爆買いには、不動産も含まれます。 近年、京都の不動産が外国人投資家と個人によって爆買いされたことで価格が高騰。 現在、京都の「簡易宿泊所」のおよそ6割が外国人オーナーで、その大半が中国人なのが実態です。 土地の購入は、持ち出しが厳しい中国からの送金ではなく、すでに海外に持ち出した資産をケイマンなどのオフショアを通じて日本の不動産に投資するか、ビットコインなどの仮想通貨に替えて、京都の不動産に投資していました。 こうした中国の規制によってビットコインは全世界的に高騰し、あちこちでクリーニングされながら、流れ着いた先のひとつが京都だったのです。 中国人に京都が人気なのは、日本を代表する観光地という理由だけでなく、もともと京都は唐の都を模したまちづくりで、一方、現代の中国の都市部には、当時の建物がそこま残っていません。 このため、中国人には哀愁を感じる場所として映っています。 また、不動産大手恒大集団の実質的破綻に伴った総量規制を受けての余剰資金が日本の不動産投資に流れ、2025年の大阪万博や2029年のIR予定地へのアクセスの良さなども含め、今後も当面京都の人気は落ちることがないという判断から投資熱が加速しています。 あわせて、中国では国内に不動産を所有できないこともあって、資産を分散する上でも子供に資産を残す上でも、京都の不動産は魅力的に映ります。 さらに、習近平が向かおうとする「あたらしい社会主義」政策が富裕層にとってマイナスになると判断し、資産を逃すことを急ぎました。 こうして、コロナ禍でもオンラインで購入する人が絶えなかったことから、京都の不動産も高騰し続け、地下銀行も増えているのが現状です。 しかし、京都市による外国人による不動産購入規制が数年後から行われると考えられており、現在、その資金は大阪中央区に向かい、その次に物色されはじめているのが、浅草や蔵前などの「東京の下町」です。 一般的には、東京駅に三菱地所が開発した「東京トーチ」などのあたらしい物件に目が行きがちですが、円安のいま、投資利回りから考えると「東京の下町」には良い物件が多数あります。 表には出ていませんが、下町の鮨屋がそのまま買われることも多々あり、今週、僕が目にしたのは、爆買い帰りに不動産売買情報に目を見張るタイ人やインドネシア人でした。 高層ビルの建築と違い、表層的にはまったく変わらないように見える東京の下町。 誰もが知っている街並みは、気がつくと外国資本になっているのかもしれません。 今週は、東京にいます。 いまから1万2000年ほど前、北米に隕石が衝突しました。 これが原因で温暖期だったベーリング/アレレード期が突如終わり、1000年間に渡る寒冷期ヤンガードリアス期がはじまります。 当時、メキシコにあった村々は壊滅し、北欧の森林はツンドラへと変貌。 大津波が世界中を襲い、地域によっては、ある日突然マイナス20度近く気温が下落し、大きな気候変動がおきました。 この隕石が衝突した日が、今週10月31日です。 古代ケルト人はこの「ジャイアント・インパクト」を区切りとし、11月1日を新年と定め、長年ケルト人の祭司ドゥルイドによって「戒めの日」として語り継がれてきました。 その後、ケルト人はカトリックに侵略されドゥルイドも習合されますが、11月1日は「諸聖人の日」(All Hallows Day)、翌11月2日は「万霊節」と名を変え、弔いの日は続きます。 当時、多くの死者を出したメキシコでも、毎年11月1日と2日は、いまも「死者の日」として盛大な鎮魂祭が行われています。 なかでも先住民族が半数近くを占めるオアハカでは、前夜から死者を迎入れる壮大な儀式が行われます。 この「ジャイアント・インパクト」があった前夜10月31日が「Hallows Even」、つまりハロウィーン(「Hallow’en」)なのです。 本来ハロウィーンは、鎮魂の時であり死者の魂をお迎えする踊りはあっても、無闇矢鱈に騒ぐ時ではありません。 ところが、プロテスタントでは異なります。 宗教改革者たちによってプロテスタントでは聖人への崇敬が廃止されたため、プロテスタント諸国では形式上11月1日を「聖徒の日」と位置づけていますが、重んじません。 これにより、英米では「Hallows Eve」が形骸化し、新自由主義下における近年はパーティ需要を喚起するビジネスチャンスに変貌。 英米人が大騒ぎする韓国の梨泰院や東京の六本木、そしてテーマパークの集客マーケティングの材料として扱われ、この十年、単なる「仮装の日」としてアジア各国全土に急速に広がります。 もはや死者への弔いは、どこにもありません。 また、「ジャイアント・インパクト」は、アジアに新たな文明をもたらした区切りでもありました。 急激な気候変動により、豊富だった自然の恵みが手に入らなくなった人々は、自ら食料を生産することをはじめます。 それが、西アジアではじまった稲作です。 ここから有史における最古の文明であるシュメールへと連なり、世界で農地革命がスタートし、村を中心とした社会が出来上がるのです。 農暦と同じように、古くから「謂れのある日」は、表層ではなく本質的な意味が必ず潜みます。 それを忘れないために「古い暦」や「祭り」があるのだろうな、とオレンジ色に飾り付けられた街並みを歩きながら考える今週です。 今週も、東京にいます。 毎年撮影シーズンが終わって東京に戻る晩秋に、食事を大きく変えてmTOR遺伝子の切り替えを行っています。 mTOR遺伝子とは、細胞内シグナル伝達に関与するタンパク質キナーゼのことで、このmTORのスイッチングして、飢餓モードから蓄積モードへと徐々に切り替えます。 弁護士、起業家から転身した異色の生物科学研究者ジェームズ・W・クレメントによれば、遺伝子mTORの働きが抑制されオートファジーが起動する「細胞の自己浄化(飢餓モード)」と、mTORが活性化する「細胞の成長(蓄積モード)」の割合は、1年のうち約8カ月を飢餓モード(オートファジーをオン)に、4カ月は蓄積モード(オートファジーをオフ)になるような比率が理想であると、長年の研究結果から述べています。 この8ヶ月と4ヶ月のサイクルに沿うように、毎年北半球の太陽光が長く撮影&旅行している3月から10月を飢餓モード=mTORオフにして細胞活性化を行い、執筆や映像の編集が中心の11月から2月を、蓄積モード=mTORオンにして体調を調整するが、ここ数年のサイクルとなりました。 まず、飢餓モード=mTORオフの期間は、一日16時間食事をせず、以前は残りの8時間でナッツと肉ばかり食べていましたが、今年は「粉物」と僕が呼んでいる栄養パウダー中心の食生活を送っていました。 そして、mTOR遺伝子をスイッチングするにあたり、現在徐々に固形物を食します。 その固形物とは、良質な肉。 プラントベースではなく、アニマルベースの食生活を提言する医師ポール・サラディーノのベストセラー「カーニボア・コード」によれば、野菜中心の食事を一切やめ、肉食中心の生活に変えたところ、潰瘍性大腸炎やクローン病、ループス腎炎(全身性エリテマトーデス)、甲状腺疾患、乾癬、多発性硬化症、関節リウマチ、うつや双極性障害、不安障害等の精神疾患など、さまざまな病気が改善して回復した患者が続出したと言います。 人間のゲノム(DNAのすべての遺伝情報)は、太古の時代から約100万年のあいだに0.5パーセントしか変異しておらず、長い間、砂糖も乳製品もない生活を送ってきた人類は、がんや心臓病、虫歯などとは無縁でした。 約12万年前から3万7000年前にかけて、ネアンデルタール人は相当な肉食偏重で、食事からとるタンパク質の大部分は大型の草食動物の肉から得ていたこともわかっています。 その後、クロマニョン人など現生人類に近い人類の出現と同時に、食料に占める大型動物の肉を食べる割合がさらに増え、動物の肉が食事全体の5割を超えました。 ただし、近著「BIO HAKING」に書きましたように、食事内容は各人によって異なる遺伝子によることろで、人によって野菜を中心としたプラントベースが向く人と、肉食を中心としたアニマルベースが向く人に大きく別れます。 野菜は、動物と違って敵から逃げることができませんので、微量の毒を含み、自己を守っています。 この毒が積み重なって体内に溜まり、悪影響を与えています。 これは私見に過ぎませんが、古い遺伝子を持っていて、解毒が下手は人はプラントベースよりアニマルベースが向いていると感じています。 他ならぬ僕もその一人。 だからといって、肉ならなんで良いわけではなく、肉こそ野菜以上に良質な製品を選ばねばなりません。 それを探して、日本全国各地の生産者へ訪れているのです(まだまだ和牛のドキュメンター、撮影してます!)。 あたらしい肉食。 この冬は、アニマルベースの食事をどこまでも極めるつもりです! 今週も、東京にいます。 晩秋に食事を変えてmTOR遺伝子の切り替えを行うと先週お伝えしましたが、今週は多くのご質問を頂戴していることもありまして、もう少し食事についてお話ししたいと思います。 ホモ・サピエンスは、単に二足歩行できるだけでなく、進化の過程でそれまでよりまっすぐな姿勢で歩けるようになり、長距離走に適すよう進化しました。 他の動物と比べて短距離走は得意ではありませんでしたが、動物を追跡して狩るのに必要だった長い距離を歩いたり走ったりすることには、非常に長けていました。 今年、タンザニアに渡航した際、いまも伝統的な暮らしを守るマサイ族やハッザ族にお話しを伺いまして、地上最速と言われる時速120kmで走るチータを捕獲する際、瞬発力では敵わないが、何時間も追いかけることでチータを捕まえられると話していたのを思い出します。 つまり、人間の持つ基本走行性能は、瞬発力ではなく持久力に他なりません。 この持久力のエネルギー源が、ケトン体なのです。 ところが、現代人はお米やパン、麺などの糖質をエネルギー源にして活動しており、これらは本来人間が持つエネルギー回路=ケトン体を正しく動かすのを邪魔します。 人間は遺伝子的にも糖に弱く、すぐにインシュリン抵抗性に問題が生じ、他の病気を誘発します。 恐ろしい話ですが、現在、先進国の成人88%にインシュリン抵抗性と代謝機能に問題がみられています。 米国の進化生物学者で、「銃・病原菌・鉄」など他に類を見ない人類史を紐解くベストセラー作家ジャレド・ダイアモンドは言います。 「農業の導入が多くの点で大惨事であり、我々はそこからずっと立ち直れずにいる。 農業に伴い、我々の存在を呪う著しい社会的・性的不平等と病気と圧政が訪れたのだ。人は農耕民になるために進化したのではない」と。 ここで、人類の脳の進化を振り返ってみましょう。 およそ200万年前、突如として脳が、それまでよりはるかに大きなサイズへと急拡大しはじめました。 これにより、大脳新皮質が複雑になって感覚が鋭敏になり、知能が発達し、コミュニケーション能力の向上が目覚ましくなりました。 いったい、なぜ脳は突然大きくなったのでしょうか? 我々の祖先であるホモ・ハビリスが登場した250万年前は、石器を使用し、動物を狩っていたことを伺わせる最初の痕跡が見られる時代でした。 この時期の動物の骨の化石には、武器による損傷や最古の屠畜による切断跡が見られます。 どうやら人類は、動物を食べて多くのタンパク質と脂質を吸収したことによって脳が大きくなり、「ホモサピエンス」に進化したのだ、と現在では考えられています。 しかし、肉食だった人類が、菜食主義に転向せざるを得ない出来事が起きます。 それが約1万3000年前、地球に彗星が衝突したことによって多くの大型動物が絶滅。1000年以上続いた「ヤンガードリアス」(Younger Dryas)と呼ばれる小氷河期(気候寒冷期)が地球全土を襲います。この時、大型動物を捕獲できなくなった人類は、狩猟採集生活から農業を中心とした生活に移行し、定住地を作りました。ここから、メイズ(古代トウモロコシ)や小麦の栽培、稲作、野菜の生産がはじまります。 こうして安定的な食生活(と糖)に陥った人類は、わずか250年間で人口が十倍に膨れ上がりました。 ただし、農業導入以前と以後では、人類の健康状態が著しく悪化したことが近年の調査でわかっています。 調査によれば、農業導入以後は糖代謝の問題から抵抗力が落ち、集団で暮らしはじめたことで感染症が蔓延しました。 この様相は、現在と似ています。 現代社会では、コーンシロップや小麦は、糖と混じって形を変えてどこでも安価で購入できるようになり、都市に密集する生活スタイルが構築されました。 このような糖質過多な生活により、免疫力が激減し成人病が急増。 なにより、この350年間で人口は15倍以上に膨らんでいるのです。 こうして、感染症が拡大する下地が出来上がりました。 今週、新型コロナウィルス感染拡大するニュースを幾度となく街中で目撃しましたが、問題はウィルスなのか人間の社会なのか? いま吹き荒れる新型コロナウィルス感染拡大から身を守るためにも、人間本来の食事に戻し、良質な牧草牛だけを食べる今週です。 今週も、東京にいます。 明日から公開の映画「ガヨとカルマンテス」の最終仕上げのため、かつて世界に輝いていた日本映画を支えた調布や成城を、日々、往復しています。 調布はかつて「東洋のハリウッド」と呼ばれ、現在も映画・映像関連企業が集まっており、個人的にも馴染みの現像所や特機屋などが集まる産業集積地です。 都心から離れた場所にあるのは、フィルムの現像には綺麗な水が大量に必要だったこともあって、郊外の水源を求めてこの地に作られました。 その後、映画産業に牽引された調布の美味しい水は、深大寺そばを大きく広めることに貢献します。 雑木林だった「成城」を高級住宅街へとブランディングさせたのも、映画産業の力でした。 しかし、日本映画の衰退と共に、調布を拠点にしていた日活が経営破綻し、今週、東京で唯一フィルムを現像していた東京現像所が、来年で全事業を終了すると発表しました。 東京現像所が手掛けるDCP(劇場上映用デジタルデータ=デジタル・シネマ・パッケージ)と呼ばれる全世界共通の映画マスタリング・フォーマットの作成は、2023年3月31日をもって終了するとのこと。 この一週間だけでも数度通った馴染みの試写室も、見納めまで遠くありません。 実に感慨深いものがあります。 この感覚は、かつてDJとしてアナログ・レコードをリリース出来なくなった時に似ています。 気がつくと、徐々にアナログ用のカッティングやマスタリングができるスタジオが日本国内からなくなり、最後はロンドンで仕上げるようになった15年前を思い出しました。 その後、僕はロンドンに転居します。 また、私鉄沿線の街々を歩けば、新型コロナウィルス感染拡大もあってか、飲食店の「閉店のお知らせ」を目にすることが増えました。 お聞きすると、年末に期待していた大口忘年会のキャンセルが相次ぎ、補助金や協力金、支援制度が打ち切られたこともあって、早めの撤退を決めたと飲食関係者は話します。 しかし、「(仮想)仲間と宴会」という日本式システムを強固にしていた旧型社会の瓦解と、もう何年も前からお話ししていますように、サードウェーブ・コーヒーに代表される「夜型文化から朝方文化へのシフト」や、「お酒」そのものが世界的にトレンドアウト傾向にあるなど、新型コロナウィルス感染拡大とは関係ない要因のほうが強く見えます。 実は、飲食店への補助金や支援制度は店子救済というより実質的には地主への補助金であり、このあたりはゼネコン国家日本ならではだと、他国と見比べて実感するところです。 日本は、ゼネコンを中心とした不動産主義国家ですので、オリンピックを開催&安価で土地を払い下げた見返りに、都庁から大手不動産各社に大量の天下りがいくわけですが、飲食店への補助金や支援制度も本質には同じ構造を孕んでいます。 日本式飲食店「居酒屋」が急増したのは、バブル経済崩壊と共に、安く酒と料理を提供できる駅近な店として、この30年で全国的に定着しました。 大人数で集まることができ、少々騒いでもよく、様々な人の好みにあわせて飲み物や料理を選べる「歌わないカラオケ店」のように沿線都市の駅前に急増しましたが、現在、激減しています。 かつて映画館にとって変わった走馬灯のように輝くレンタルビデオチェーン店が風前の灯になったのと同じく、駅前にある居酒屋チェーン店の寿命も、長いようには見えません。 人出は戻っても、コロナ禍以前には戻らない生活様式と文化。 景気後退と共に、再び時代の曲がり角に差し掛かっていると感じる今週です。 今週は、ホーチミンにいます。 およそ3年ぶりに訪れたベトナムは、様相が大きく異なっていました。 コロナ政策の失敗と事実上のバブル崩壊と重なって、街にかつての活気がありません。 以前は昼夜問わず行われていた建設工事がストップし、中国同様、ベトナムも不動産市場を巡る危機に直面。 不動産会社の株価急落が雪崩を起こす形でベトナム全体の株式相場が大幅に下落しています。 なかでも不動産業界第2位のノバランドは、今週、株式が大暴落。 続いて業界首位で複合企業ビングループ傘下のビンホームズも大幅下落が止まりません。 実際にビンホームズが鳴り物入りで建てたベトナムかつ東南アジアでは最高層となるビル「ランドマーク81」周辺のタワーマンションを訪ねてみると、完売だったはずがおよそ3分の2の部屋に灯りが灯っておらず、投資目的で購入した不動産の実態が浮かび上がります。 中核施設である「ランドマーク81」は、高さ461.3mの地上81階、地下3階建てで、総床面積は20万5000平方メートルを誇り、5つ星ホテルのほか、マンション、オフィス、ショッピングモール、レストラン、バー、展望台、国内最大規模のアイスリンクなどが併設されていますが、どこも閑古鳥が鳴いています。 ビンホームズの親会社であるビングループ (Vingroup))は、ベトナム最大の私有企業コングロマリットで、事業は不動産、ホテル・リゾート開発、遊園地事業、小売業、病院事業、教育事業など多岐に渡る事業を展開しており、2018年9月末時点でビングループ傘下の子会社数は58社に上る、同国を代表する企業です。 近年、テスラとそっくりの電気自動車「ビンファスト=VinFast 」の開発および販売を手掛けており、同じように電気自動車の開発販売を目論んでいた中国不動産開発大手、中国恒大集団とも酷似します。 こうした景気後退の要因は、日本のバブル崩壊を彷彿させるベトナム中央銀行の引き締めにありました。 通貨ドン安阻止に向けて中央銀行のベトナム国家銀行が9月と10月に1%ずつ、合計2%分の急な利上げに踏み切り、総量規制同然の措置も行われました。 政府はローンの抑制策にも踏み切っており、これらの施策と金利高による販売難で不動産各社は頭打ちを食らったうえ、社債の発行難のため用地仕入れの資金調達ができなくなるトリプルパンチにより、不動産会社が相次ぎ青息吐息となっているのが現在です。 さらに、米国FRBなど主要国中銀による高金利政策が新興国からの資金流出を招いており、現在、勢いがあったベトナムからの資金流出が絶えません。 通貨ドン相場は最安値を更新し、商品高によるインフレ懸念も高まり、中銀は利上げ実施を余儀なくされ、このままだとバブル崩壊も否めません。 街の中心地を歩けば、空き店舗が目立ちます。 東南アジアでもっとも伸びが期待されていたベトナム。 この姿は、明日の世界絵図なのかもしれません。 今週は、バンコクにいます。 先週滞在していた札幌と気温差が、およそ40度。 時差ぼけより気温ボケのほうが堪えるもので、また、着込む服もまったく違うことから、どんなに重ね着して調整しても限界が生じます、と慌ただしく移動していると、ときたま人生がループしているような錯覚に陥ります。 今年出版しました「いままで起きたこと、これから起きること。~「周期」で読み解く世界の未来~ 」にも記載しましたように、人は想像以上に大きなサイクルのなかで暮らし、太陽や月の運行を人為的に変えることはできません。 本来、新年とは太陽が生まれ変わる日=冬至をさしていましたが、時の為政者(現代で言うところのプラットフォーマー)の都合によって暦は書き換えられ、自然のサイクルとかけ離れた生活を強いられることになっているのが現状です。 しかし、一般的な暦とは別に本来の暦を「こっそり」信奉していれば、誰しもが「波に乗る」ことができ、その結果が「幸運」と呼ばれるものにつながります。 そのサイクルが循環して再びスタートするのが、冬至なのです。 今年の冬至は、バンコクの「暁の寺」と呼ばれる寺院「ワット・アルン」(ワット・アルン・ラーチャワララーム)へ出向きました。 この寺はタイ仏教よりもヒンドゥー教色の強い寺院で、中央塔であるプラ・プランには古代ヴェーダの神インドラと3つの頭を持つエラワン(アイラヴァタ)が描かれています。 寺院の名前は、ヒンズー教の暁の神アルナ(Aruna)に由来し、朝昇る太陽の放射線を擬人化した神を祀っていることから、「暁の寺」と呼ばれるようになりました。 三島由紀夫の小説『豊饒の海』の第 3 部の主題のモチーフになった寺院でもあり、「ワット・プラケオ」「ワット・ポー」とともに三大寺院として知られ、10バーツ硬貨の裏面にも描かれているタイを代表する観光名所の1つです。 現在、タイの観光業界は、世界でもいち早くコロナ制限を撤廃したことから、多くの観光客が戻ってきて盛況です。 なかでも、ロシア人が目立ちます。 その理由は、ウクライナ紛争により欧州直行便が減便する一方、タイ政府は行き場がなくなったロシア人を確保しようとモスクワ-バンコク便を増便したからに他なりません。 街を歩けば、あちこちからロシア語が聞こえてきますが、経済制裁によりVISAなどのクレジットカードを使えない人が多い様子で、皆さん、タイバーツを現金で大量に持ち歩いています。 ホテルのチェックイン時にディポジットとして多額の現金をレセプションで積みあげている光景を何度も見ました。 タイ政府は、実益のためにロシアへの制裁を続ける欧米などとは一線を画し、今後も中立の立場を続けると発表しています。 今週は、タイの最北部チエンラーイ→チェンマイ→バンコク→東京→那覇→東京→ダラスと移動しています。 師走は、一般的に普段は穏やかな僧侶=師も走るほど忙しい時期だと思われていますが、この漢字は当て字にすぎません。 平安時代の古辞書の多忙な時期は「しはす」と呼ばれ、この季節は神職が神社の参詣者の案内をしたり、祈祷を行ったりするのに忙しくなることから、後年「師走」の文字が当てられました。 確かに僕もこの一ヶ月の総フライトマイルは、地球1周分を超えるほど走り回っています。 さて、久しぶりにタイ最北端の主要都市チエンラーイに訪れました。 はじめて訪れたのは、いまからおよそ35年前。 当時、この先の北部タイ、ラオス、ミャンマーの国境がルアック川とメコン川の合流点で接する地域は「ゴールデントライアングル」(CIA命名)と呼ばれ、世界有数のヘロイン生産地として名を馳せていました。 それもそのはず、この地を米国が「反共の砦」として、事実上お目溢ししていたからです。 第二次世界大戦後、共産党による中華人民共和国の成立により、国を追われた中華民国の国民党軍の多くは台湾に流れ込みましたが、国民党軍第27集団軍隷下の「第93軍」はこの地を制圧し、少数民族シャン族解放組織を作って「半独立国」を形成。 この兵士とシャン族女性の間に生まれたのが、のちに「アヘン王」と呼ばれるクン・サ(張奇夫)です。 クン・サは、アヘン栽培で手中にした資金を使って「アヘン・アーミー」を組織し、CIAから武器の供給と軍事訓練を受けながら、中国政府の支援を受けたビルマ共産党と争いつつ勢力を拡大します。 1980年代に入ると、シャン族・モン族の独立運動を大義名分とする兵力は、2万5000人まで膨れ上がりました。 当時、20代だった僕は、若気の至りもあって日本の月刊誌の仕事で「ゴールデントライアングル」に潜入。 クン・サから直接話しを聞く機会に恵まれました。 話しは「ゴールデントライアングル」に限らず、近代台湾の成立からCIAが取り仕切る世界の麻薬事情の裏側まで、一昼夜に及びました。 しかし、東西の壁が壊れ、冷戦が終結。 これにより日本同様「反共の砦」の必要性が薄れたことから、米国は一転、この地の麻薬ビジネスの取り締まりに力を入れるようになります。 クン・サには米政府から200万ドルの懸賞金がかけられ国際手配。 最終的には投降し、ヤンゴンで死去しました。 今週、かつて「ゴールデントライアングル」に住んでいた人たちにお話を聞く機会がありまして、皆さん、あたり一面に咲いていたケシの花を「あれほど綺麗な花は、世界のどこにもない」と口々に話すことから、同じ記憶を持っていた僕も珍しく当時に思いを馳せました。 この30年、世界は大きく変わりました。 第二次世界大戦後、もっとも大きな世界の節目となった冷戦終結。 このサイクルがいよいよ一回りしつつあり、僕の旅路も大きく二周目に入った感があります。 いま、一年が終わるだけでなく、ひとつのサイクルが終わろうとしているのではないか、とどこかで感じる今週です。 どうか皆様、良い次のサイクルを! 今週は東京は葛飾区、僕の実家でグルテンフリーの年越しそばを食べています。今年もどうぞよろしくお願いします。 あけまして、おめでとうございます。 今週は、グアテマラのアティトラン湖にいます。 標高1562mにある淡水のアティトラン湖は、約8万4000年前の噴火でできたカルデラで、深さは341メートルもある中央アメリカで最も深い湖です。 大きさは浜名湖の倍(東西が14キロ、南北6~10キロで面積128平方キロメートル)を誇り、周辺をアティトラン火山(標高3537m)、トリマン火山(標高3158m)、サンペドロ火山(標高3020m)などの標高が高い火山が囲んで、湖に映し出される山々が季節や風向きによって変わる水の色と合わさって、「世界一美しい湖」と言われるようになりました。 紀元前600年~紀元後250年頃、ここはマヤ文明の中心だった場所でした。 周囲に点在する村々の住民はマヤ文明の末裔として、いまも古くからの習慣や文化を守り、昔ながらの暮らしを大切にしています。 実は、およそ30年前にこの地で新年を迎えたことがあります。 「スターウォーズ・エピソード4/新たなる希望」で、ヤヴィン第4衛星の反乱軍基地のロケ地となったティカル遺跡を見た後、このあたりに残る古い石板のマヤン・カレンダーの実物を見たいと考え、訪れました。 昨年上梓した「いままで起きたこと、これから起きること。~「周期」で読み解く世界の未来~」にも記載しましたように、マヤ文明には紀元前5世紀から活用されていた独自の暦=マヤン・カレンダーがありました。 マヤン・カレンダーは、マヤ神話に登場する神イツァムナーが彼らの祖先に教えた暦法で、20日周期と13日周期という独立した2つの周期を持つ1周期が260日という独特のカレンダーです。 別名「ツォルキン」と呼ばれます。 さらに、「ハアブ」と呼ばれる1周期が365日(20日×18か月+5日×1か月)の太陽暦に近い暦法との組み合わせによって、1周期が52年(1万8980日)の長期暦法を形成。 この暦法は単なるカレンダーとしての機能だけでなく、未来を読み解くツールとしても活用されていました。 このマヤン・カレンダーから未来を読み解こうとする研究者が、この30年、次々と独自解釈を発表します。 なかでも有名なのはが、WHO(世界保険機関)のスウェーデン人医師でガン研究スペシャリストの毒物学者カール・ヨハン・カレマンです。 カレマンは、他の専任研究者と異なりマヤン・カレンダーを独自解釈し、次々と未来を読み解きます。 そのひとつが、2004年ごろに発表された「2007年11月頃に経済的な大波乱が起き、2008年11月以降にはドルの崩壊が本格化する」との警告で、実際、2007年にサブプライム・ショックが起き、2008年秋に起きたリーマン・ショックによってドルの崩壊がはじまりました。 また2010年前後、多くの研究者が「2012年12月21日にマヤ暦が終わる」と喧伝していたなか、カレマンはマヤ暦の始まる日付を見直し、2011年10月28日から2031年7月11日まで「夜」の時代が続くと定義。 この時に起こることは、反グローバリズム、独裁者の台頭、疫病、いくつかの文明や地域の終焉にあたると話しました。 事実、マヤンカレンダーの「夜」の時代に、マヤ文明は滅びます。 当時、森林を伐採して開発を進めたことにより、地力が弱まって食糧不足や疫病の流行が起こり、社会システムが崩壊したのです。 今週は、多くの人にとって暦を見なおし、一年間を考える機会がもっとも多い時。 果たしてそれは、単なる「計」なのか、それとも社会と自分の未来を読み解くことなのか? どうか皆様、本年も何卒よろしくお願いいたします。 今週は、東京にいます。 数日前まで滞在していたウエウエテナンゴとの気候の違いが身に沁みる日々ですが、グアテマラと日本が違うと感じるのは、気候もさることながら社会に漂う情報量の差です。 日本は良くも悪くも様々な選択肢があり、常に判断したり決めなければならないような感覚があります。 21世紀に生きる我々は、わずか100年ほど前に生きた人たち一生分の情報を一日に満たない時間で体験し、また、随時判断を迫られます。 その数、毎日およそ3000~5000。 久しぶりに東京の都心部を歩くと、年々輝度が高くなる情報看板の洪水で頭がクラクラするほどですが、二日もすればスッカリ慣れてしまいます。 地下鉄に乗れば、皆さん俯いてスマートフォンを凝視し、情報を浴びるように摂取しないとどこか不安になる1億総情報中毒が伺えます。 一方、グアテマラの山間部の街ウエウエテナンゴは、少し中心部から離れればコンビニもなければスマートフォンの電波もロクに届かないような場所ばかり。 果たして、一体どちらの環境が幸せなのか、と問われれば、このふたつの環境を行き来できる「幅の広さ」こそが、21世紀的な幸福なのだろうとあらためて実感します。 デジタルカメラにはダイナミックレンジと呼ばれる指標があり、一番暗い部分と一番明るい部分を同時に撮影できる「明暗の幅の広さ」がフィルムと違う現代的描写の秘密であり、テクノロジーがもたらした新しい可能性です。 一般的に人間の目は22段の明暗階調を見分けることができると言われますが、最新のデジタルカメラでは15段から17段程度のダイナミックレンジを持つまで高まっており、どこかで人間の目に追いつき追い越す日が来るかもしれません。 翻って、現代人の生活はどうでしょうか。 テクノロジーに則し、生活の幅に広がりを見せているのか? それとも、ネットワークの奴隷となり、固定化された暮らし(と見えづらい階級)を送るようになってしまったのか? ここに、移動が困難になった時代のリモートワークの本質が潜みます。 いまや世界的観光名所となった渋谷のスクランブル交差点と、スマートフォンの電波が届かないウエウエテナンゴの森の中。 いや、新型コロナウィルス感染拡大のニュースが街角の情報端末から溢れ出る世界と、心地よい風が吹く誰もマスクしていない世界。 このふたつの世界を往復するように暮らさなければ、真実を体感できるどころか、正気を保てなくなるのではないか。 かつて生活も視覚情報の描写にも「コントラスト」という言葉が当てられ、主には「対比」の意に使われていましたが、いまやカメラの「ダイナミックレンジ」同様、「明暗の対比」ではなく以前では考えられなかった「明暗が同時に存在できる」可能性が追求できる時代です。 今後、いままで考えられなかったような個々の可能性(つまり「ライフ・ダイナミックレンジ」)がもっと広がるのだろう、と感じる今週です。 今年は、再び移動距離を伸ばす一年になりそうです。 【台湾有事は起きない。中国防衛費は現行維持。なぜ日本は防衛費を増やすのか?】 ──まず2022年を振り返っていただきたいのですが、安倍晋三元首相が銃弾に倒れたことは世界的にも大きく報じられましたね。 「お亡くなりになられたこと、心よりお悔やみ申し上げます。 その後、日本の見えなかった部分で、さまざまな変化が起き始めていると感じますね。 格段、裏の事情を熟知しているわけではありませんが、東京オリンピック・パラリンピックや、統一教会の問題や日銀の事実上の金利引き上げまで、これまでフタされていたことが表出してきたのは間違いありません。 かつては、アンタッチャブルなものとして、見て見ぬふりをしていた事柄が少しずつ明るみに出てきています。 端から見ていて興味深く感じるのは、安倍派の議員たちが、ここ最近の防衛費増を意外にも反発していることです。 また、日本が真剣に台湾有事に備えるなら、もう二十年以上、この可能性を説いてきた石破茂が表に出てこないのもおかしいでよね。 つまり、現在台湾有事の可能性が浮上してきているのに便乗し、中国の動向も日本の国防とは別のポストコロナ時代の与党における新しい利権、いわば頭を失った安倍派利権の奪い合いが起きていると考えざるを得ません。 それゆえ、安倍派の議員が踵を返すように、増税による防衛費に反対しているのが目に着きます。 安倍派閥は、基本的には対米従属な方針かつ国内では愛国を振りかざすという、ある意味二律背反的な政権でした。 なのに、なぜ防衛費増に反発するのか。端的に言えば、安倍派の利権が他の派閥に動いたということだと思います。 防衛費があがっても、旨味がなくなったわけです」 ──政治のパワーバランスが変わったと。 「岸田政権は中国をけん制して5年で43兆円防衛費の総額を上げると血気盛んですが、中国の防衛費をGDP換算で見ると過去20年ほぼ変わっていません。 金額的に大きくなっているのはGDPが上がっているためです。 昨年の台湾地方選挙を見る限り、国民党が制しましたので、中国が武力攻撃するより実質的に経済支配が進むと考えます。 つい数週間前の台北市長選で勝利したのも、元総統蒋介石のひ孫で国民党から立候補した蒋万安でした。 また、日本では報道されませんが、台湾軍の現職大佐が中国のエージェントに取り込まれていたのが発覚しています。 そのエージェントも台湾軍の退役士官で、台湾軍は中国のスパイだらけだと考えた方がいいでしょう。 すでに台湾は、表も裏も親中ですから、いまは中国から仕掛ける必要がありません。 一方、昨年、北朝鮮からのミサイル発射数がこれまでの最多記録を更新するなか、DIA(アメリカ国防情報局)によれば統一教会が4500億円もの巨額の資金を北朝鮮に送金していたことが明らかになったと発表されました。 以前からお話し申し上げていますように、「米国=反共の砦である表の自民党+裏の統一教会=北朝鮮」のホットラインの存在が明らかになったのです。 現実的な東アジアの有事は、自衛権でも警察権でもないゾーンの法整備と「太平洋版NATO」の設立なのでしょうが、なぜか予算から取り沙汰されるのは、政権維持と財務省をはじめとする利権のためだと推察します。 安倍派の衰退と共に経済産業省主導だった官邸のあり方も変わりました。 あらためて日米関係を振り返ると、幕末に黒船が襲来した直後の1858 年に「日米修好通商条約」が締結し、1905年に「桂・タフト協定」によって、アメリカは日本による韓国併合と日本の支配権を承認し、日本はアメリカのフィリピンにおける支配権を確認しました。 これが、現在まで続く東アジアの安全保障のベースにあります。 その後、太平洋戦争敗戦によって、韓国とフィリピン、そして日本の実効支配が米国に移ります。 これ以降、今日まで各国と米国のパワーバランスは変わっていません。 そして、朝鮮戦争が勃発したこともあって、1952年に締約され、その後更新された日米地位協定が付属している「日米安保条約」。 1985年の「プラザ合意」によってバブルが発生後崩壊。これは「第二の敗戦」と呼ばれました。こう見ると、およそ40年前後で日米関係が大きく変わっていますので、次の節目もそろそろだと考えます。 2025年から2030年代初頭に日米で大きな関係の見直しが起きると覚悟したほうがいいでしょう。 これはあくまで私見ですが、増やした防衛費でテクノロジー開発推進に充てられるのであれば、サイバー戦が需要な現代においてまだ理解できます。 そもそもインターネットやgoogleアースも、そうした軍事技術から民間にスピンオフしました。 ですが、残念なことに日本の場合は、防衛費を増額しても、単にアメリカのミサイルを買うだけになるでしょう。 パワーバランスは変わっていませんから。 しかも旧式の武器を言い値で買うことになる。 軍事関連は儲かるビジネスですから、ここ最近は武器商人・・・いわゆるブローカーのような人たちが、プライベートジェットで東京にたくさん訪れていますね」 ──防衛費を増額しても、他国のようにテクノロジーの進歩には至らない? 「残念ながら、そうだと思います。 ところで、なぜアメリカは台湾を守る必要があるのか?それに対して、明確な答えは示されていません。 先日、米国のシンクタンクCSIS(戦略国際問題研究所)は、中国が台湾に軍事侵攻した複数の戦争シミュレーションを発表しました。 その中には、中国が日本への攻撃に踏み切り、自衛隊参戦と明記されています。 しかし、CSISは政策提言報告「アーミテージ・レポート」を作り、何度も「野球場に来たら観客ではなく、野手でも代打でもいいから試合に出ろ」と日本に迫ったロビイスト団体です。 2018年には第四次レポートを提出し、ここに書いてあった中国脅威論と北朝鮮脅威論を、そのまま日本のマスコミに喧伝させました。 主筆のリチャード・アーミテージは旭日大綬章を受章する、もう20年以上有事法制を日本に迫る軍産複合体の代理人です。 先日、「戦時体制への日本のシフト」という論文を軍事専門メディア「ウォー・オン・ザ・ロックス」で発表したメリカン・エンタープライズ研究所の上席研究員ザック・クーパーは、アーミテージ・インターナショナルのパートナーです。 米国が特に中国を許せないと思ったのは、習近平がサウジアラビアを訪問し、サウジがこれまで輸出原油のすべてを米ドル建てで売っていたのをやめて、輸出原油の多くを人民元建てで中国と上海機構諸国に売る画策をはじめてからです。 昨年、米軍制服組のトップ、ミリー統合参謀本部議長が「台湾有事が近い将来に起きる可能性は低い」と議会で証言しています。 外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」は、「中国軍には台湾本島への侵攻能力も、海空域封鎖や離島攻撃をする能力もない」と、有事論の虚構性を批判しています。 同時期、安倍前政権で安全保障の中心的役割を果たした兼原信克・元内閣官房副長官補が、産経新聞のインタビューで「台湾有事は日本の有事である。台湾は与那国島からわずか100キロ余りの島だ。先島諸島は物理的に巻き込まれる」と何度も語っています。 つまり、日本政府と米軍統合参謀本部議長の議会証言と真逆のことを話しており、日本政府になにか別の意図があると考えた方がいいでしょう。 ちなみに、台湾が新日国なのは、語られることは滅多にありませんが、遺伝子が近いのも理由のひとつです。 日本人の大多数と本省人は、Y染色体が韓国人や中国人より極めて近いのです。」 今週は、ニュージーランドのネーピアにいます。 北島東部ホークス・ベイ地方に位置するこの街は、南半球最大の羊毛産地を擁する巨大な畜産業と、ニュージーランド最大のリンゴ、西洋梨、ワイン用ブドウの一大産地でもありますが、日本では意外なことで街の名前が知られています。 1971年、王子製紙が家庭用紙事業に進出する際、同社がネーピアでパルプ事業を開始していた縁からティッシュペーパーに「ネピア」の名を採用したため、日本で知らない人はいないほど知名度が高い街名です。 しかしながら、その商標は日本語のローマ字表記に合わせて「Nepia」と和製英語化されており、本来の綴り 「Napier」とは異なっていることもあって、残念ながら由来はほとんど知られていません。 また、かつてネーピアにはニュージーランド最大の喫煙タバコ工場がある「タバコの街」としても名を馳せましたが、規制などで国家として禁煙を推進し喫煙人口が激減。 2005年に年間最大22億本のタバコを生産していた工場は閉鎖します。 その後、主要産業は食肉などの巨大加工工場へと移りました。 結果、ニュージーランドは、生産する牛肉の8割超を輸出に仕向ける世界5位の牛肉輸出国に躍り出ました。 スーパーに出向くとニュージーランド畜産の特徴が一目瞭然です。 店頭に並ぶ卵はフリーレンジ、牛肉や羊肉はグラスフェッドしか置いていません。 卵には、もともと「Cage Egg」=カゴで飼われている鳥が産んだ卵、「Cage Free」=鶏舎内の平たい地面の上で飼う平飼い、「Free range」=完全に制限なく、屋外に放たれている状態の3種ありましたが、つい先日、ニュージーランド政府は鶏の飼育環境の見直しを行い、「Cage Egg」は販売禁止=違法としました。 この背景には、アニマルウェルフェアがあります。 1960年代のイギリスで提唱された「工業的な畜産のあり方」の批判から生まれたアニマルウェルフェアは、感受性を持つ生き物としての家畜に心を寄り添わせ、誕生から死を迎えるまでの間、ストレスをできる限り少なく、行動要求が満たされた、健康的な生活ができる飼育方法をめざす畜産のあり方です。 近年、世界的な動きとして定着してきました。 いまから10年ほど前、英国系航空会社の機内食にも「Free range」の表記があって驚いたことがありますが、年々、味よりも環境や生命に対する責任を食す人間に問われるようになってきました。 しかし、日本の卵の95%以上は鶏舎内のカゴで買われている「Cage egg」であり、ニュージーランドのように「Free range」自体が生産されていないのです。 日本で「牧草牛」と呼ばれるグラスフェッド・ビーフも同じです。 人間の健康のために良いと言われるグラスフェッド・ビーフですが、ニュージーランドでは、人間本位の健康以前にアニマルウェルフェアのための取り組みとしてグラスフェッドが用いられています。 基本的にどの畜産家も牛舎などを置かず、広大な牧草地に牛を放し飼い同然にして育てていますが、畜産業が増加する近年、牛一頭あたりの面積にゆとりを持たせる取り組みが叫ばれています。 現在、ニュージーランド畜産が掲げる基準は、1ヘクタールあたり牛1頭としており、東京ドームほどの広さがあっても10頭程度しか飼いません。 同面積でこれ以上増えると、牛がストレスを感じてしまいます。 また、1ヘクタール当たりの牛飼養頭数の増加により、家畜排せつ物由来の窒素やリンなどの河川への流入が増加し、水質汚濁につながります。 国内の電力の85%程度を水力発電などの再生可能エネルギーで賄っている環境大国ニュージーランドで、自然破壊は「国富を破壊する行為」とみなされています。 動物の暮らしと環境負荷を、この星の食物連鎖の頂点に立つ人間に問うニュージーランド。 味やコストではなく、アニマルウェルフェアネスと環境意識が次の食文化を大きく左右するだろうな、と実感する今週です。 今週は、シドニーにいます。 およそ4年ぶりに訪れると、この街で起きている大きな変化に気がつきます。 コロナ禍で減ったと思われていたアジア人が、以前より増しています。 近年の国勢調査によりますと、シドニー在住の中国系オーストラリア人の人口が15%近くまで高まり、7人にひとりが中国系となる計算で、また彼らの大半が2008年以降の移住者です。 あわせて不動産価格も急上昇。この30年間でオーストラリアの不動産価格は15倍になり(同時期米国は4倍)、中国マネーがシドニーの不動産価格を押し上げているのがよくわかります。 しかし、中国人が好む不動産形態と欧州移民が好む不動産形態が異なることから、物件の価値が二極化。 中国系が求めるコンドミニアムは急増していますが、欧州系は一軒家を求めますので地域によっては不動産価格が暴落。 かつて栄華を誇ったシドニー南西部にあるイタリア移民が多かったノートンストリート周辺は、すでにゴーストタウン化しており、いまや見る影もありません。 また、コロナ禍が去ってもオフィス街に人が戻ってきません。 CBD(Central Business District)と言われるシドニービジネス中心街では空室が目立ちます。 現在、空室率は15%近くまで高まっており、オリンピックパークやシドニー・インナーウェスト、ロウアー・ノースショアでは、空室率が20%を超えました。 この傾向、つまりかつてビジネスの中心地やそこに通っていた欧州系が住む郊外型住周辺から人が去り、彼らはアジア化するシドニーを避け、別荘地やいままで注目を集めなかった「第三の土地」へと移る一方、新興住宅地ではコンドミニアムが立ち並び、そこに続々と中国人が次々と入り込んできてる如実な「グレート・リプレースメント」がシドニーで起きています。 「グレート・リプレースメント」(フランス語: Grand Remplacement)とは、フランスの作家ルノー・カミュが2011年に発表した著書『Le Grand Remplacement』によって広められた社会変革の概念で、フランスの白人人口、およびヨーロッパの白人人口全体が、大量の移民、人口増加、ヨーロッパの出生率の低下を通じて、非ヨーロッパの人々、特にアラブ人、ベルベル人、トルコ人、サハラ砂漠以南のイスラム教徒に、人口的にも文化的にも、徐々に置き換えられてしまう現象です。 しかし、オーストラリアでは移民に限らず、コロナ禍によって既存住民と言われた白人たちも移動しているのが特徴です。 この傾向はオーストラリア全土ではじまっており、パースのビジネス中心街では空室率が22%に達しており、明らかな「21世紀の民族大移動」がはじまっています。 かつて先住民族を追いやった欧州系移民たちが、アジア系に押し出される現在のオーストラリア。 いま、移民大国は、大きくリフォーム中にあると感じる今週です。 高城未来ラジオ聴けなくなってるっぽいんですが、どこかで聴けませんか? 今週は、東京にいます。 久しぶりに東京の街を歩くと、飲食店が多いのに改めて驚きます。 その数およそ15万軒ほどあり、第二位であるソウルのおよそ2倍、美食の街パリの3倍、ロサンゼルスの5倍、ニューヨークの6倍、ロンドンの8倍、香港の12倍あり、人口比でみても世界の主要都市と比べてもダントツの店舗数です。 このように日本の飲食店が多い理由は、チェーン店にあります。 今週宿泊している都心のホテルから徒歩10分圏内に、ガストやサイゼリアなどのファミレス、すき家や吉野家、松屋、なか卯などの牛丼店、はま寿司やくら寿司、丸亀製麺、はなまるうどん、CoCo壱番屋、いきなりステーキ!、鎌倉パスタ、やよい軒、大戸屋、そして餃子の王将や幸楽苑などのほか、ファストフードと呼ばれるマクドナルドやモスバーガー、銀だこ、鳥貴族や魚民などの居酒屋などのチェーン店が軒をひしめきあって出店しています。 いったい、なぜ日本はこれほど飲食店過剰かつ、チェーン店が多いのでしょうか? まず、飲食店過剰な背景には、日本における営業許可の取りやすさがあります。 地区の保健所によって多少の違いはあるものの、建築設計上で満たすべき要件は実質的に決まっていることから、誰でも取得が容易です。 店舗ごとに食品衛生責任者を置く必要もありますが、これも1日講習を受ければすぐに取得できます。 一方、世界主要都市では、日本ほど容易に飲食店を開業することができません。 米国では飲食店における酒類販売に関する「リカーライセンス」の取得だけでも厳しいルールがあり、欧州では決まったエリアに出店できる数が限定されています。 美食の街として知られるバルセロナでは、ひとつのエリア内で飲食店の営業許可発行数が決まっており、どこかが潰れるか、営業許可ごと買取しなければ新規開業ができません。 さらに、地域における飲食店総数を制限するだけでなく、業種によっても制限をする場合があり、ひとつの基準として火を使うかどうか等、厳格なコントロールが行政によってなされています。 それだけ飲食店を出すにあたって超えるべきハードルが複数ありますので、店舗数も適正なラインに絞られます。 これによって需給バランスが保たれ、価格と人件費が一定のラインで維持されることから過当競争に陥ることはなく、あわせて皺寄せが従業員の人件費や労働環境に押しつけられることもありません。 また、日本にチェーン店が多い理由は、駅前の高い家賃と日本独自の商慣習である高額な保証金を支払えるのが、メガチェーンやナショナルチェーンしかないからです。 こちらは、支払いの面から大家サイドもメガチェーンへのリーシングを望みます。 メガチェーンは仕入れの効率化やセントラルキッチンで作った部材を店先で単に温め直して再構築することがほとんどですので、低価格を提供でき、オペレーション管理も徹底します。 結果、個人経営の店は淘汰され、日本全国どこでも均質かつ人の味覚を騙すような店ばかりになってしまったのが現在の状況です。 牛肉100%と謳っても、その実、味付けは牛脂(とショートニング)で行うようなことが大半です。 その上、店舗数は増えているのに、外食産業の市場規模は過去25年伸びていません。 こうして過剰な店舗供給とメガチェーンによって引き下げられたプライスラインが、低利益率、低賃金、長時間労働を常態化し、年々悪化する食材によりカスタマーは健康を害し、物件を所有する不動産業者だけが得する仕組みが出来上がりました。 およそ10年前に策定された国家戦略特区制度といった大規模再開発に関する法令改正などの後押しによって、東京23区の大規模オフィスビルの供給量は急増しており、現在、都心部へのオフィス集積が進んでいます。 ここに集う人たちの「ハラ」を満たす必要あるため、安価なメガチェーンやナショナルチェーンばかり駅前に林立しているのが、日本の飲食業の現在地です。 先日まで滞在していたオーストラリアでは、市民がインデペンデントなカフェを支持し続け、ついにスターバックスを締め出しました。 そして、休日にカフェで働く人の時給は、日本円にして5000円を超えています。 一方、日本ではスターバックス、ドトール、コメダ珈琲、タリーズなどのコーヒーチェーンは1万店舗を超える規模まで成長し、ますます寡占化(大企業化)が進みます。 「パンとサーカス」ならぬ、「チェーン店とスマートフォン」。 飲食業はその国の社会の縮図なんだろうな、と考える今週です。 今週は、神戸にいます。 先週起こったマグニチュード7.8の「トルコ・シリア地震」は、現在判明しているだけでも4万人以上が死亡。 避難生活を送る人は推計100万人に上り、21世紀に入ってから6番目に死者の多い自然災害となりましたが、このニュースを受けて神戸では災害準備に勤しむ人が急増しています。 というのも、1995年に起きたマグニチュード7.3の「阪神・淡路大震災」による甚大な被害を記憶する人たちが、いまも大勢いるからです。 「阪神・淡路大震災」は、第二次世界大戦後に発生した地震災害としては東日本大震災に次ぐ被害規模で、戦後に発生した自然災害全体でも東日本大震災が発生するまでは最大でした。 わずか30年にも満たない当時の記憶を持つ人がいまも多く、世界で大きな地震が起きる度、ホームセンターをはじめ、防災コーナーが人だかりになり、今回のトルコ・シリア地震も他ではありません。 また、日本政府は南海トラフの巨大地震が起きると、震度7の激しい揺れや九州~東海の広範囲で10メートル以上、高いところで34メートルの大津波が太平洋沿岸を襲い、最悪の場合は死者は32万人を超え、経済被害も220兆円を超えると想定しています。 一方で、対策を進めれば被害を大幅に減らせる可能性があり、防災の呼びかけに余念がありません。 なかでも、懸念されるのが群発地震の可能性です。 最初の地震で大きな被害が及んでいない地域でも、次の地震に備えて「住民はあらかじめ避難する」ことが大切で、最低でもその期間は「一週間」。 場合によっては「数年」に及ぶ可能性もある、と政府が公式に発表しています。 実は、南海トラフの震源域の半分程度がずれ動くマグニチュード8クラスの地震が起きたあと、残りの震源域で巨大地震が発生した事例が過去にも確認されています。 1944年(昭和19年)の「昭和東南海地震」が発生した2年後、西側の震源域で「昭和南海地震」が発生して甚大な被害が出ました。 江戸時代だった1854年にも「安政東海地震」が発生した32時間後に、西側の震源域で「安政南海地震」が発生し、各地が激しい揺れや津波に襲われたと記録されています。 また、地震のリスクは、南海に限りません。 政府によれば、首都直下地震が起きると、最悪の場合は死者がおよそ2万3000人、経済被害はおよそ95兆円に達すると発表。 国の想定では、今後30年以内に南海トラフもしくは首都直下地震が70%の確率で起きるとアナウンスされています。 日本では「阪神・淡路大震災」や「熊本地震」など、内陸の直下にある活断層でも大地震が発生し、局地的に甚大な被害をもたらしてきました。 政府の地震調査研究推進本部は、全国の活断層で地震が発生する危険度を、「S」や「A」などの4段階に「ランク分け」したうえで警戒を呼びかけています。 神戸に限らず、大自然豊かな日本のダークサイドである地震大国の側面。 それを忘れてはいけないな、と思う今週です。 今週は、インドのコインバトール(コーヤンブットゥール)にいます。 インド南部のタミル・ナードゥ州都チェンナイに次ぐ第2の都市コインバトールは、かつては「南インドのマンチェスター」という異名を持つほど、周辺の綿花畑に支えられた一大繊維産業集積地でしたが、その後、インドの自動車部品製造の中心地へと大きくシフト。 インドを代表する自動車メーカーであるタタ・モーターズは、現在、自動車部品の30%をこの地から調達しています。 また、ものづくり都市からの脱却のため、国内外のIT企業を数多く誘致し、未来へ向けてソフトウェア産業やITアウトソーシング産業の街へと急速に脱皮しつつあります。 州の名称タミル・ナードゥとは、「タミル人の国」やインド先住民「ドラヴィダ人の地」の意味を持ち、彼らドラヴィダ人が世界四大文明のひとつであるインダス文明を作り上げましたが、森林の乱伐等で発生した気候変動により文明が崩壊。 この時、イラン高原から移住してきたアーリア人に押し出され、それ以降、古くからの文化を保持するドラヴィダ民族は南インドで定住するようになりました。 こうしてインドに大きな南北間隔差が生まれ、今日まで続きます。 イラン北部からインドに移住してきたアーリア人は、背が高く、色が白いのが特徴です。祖先の霊魂を崇拝する原始宗教を発展させバラモン教を形成してカースト制度を作り、ヒンディーを話し支配者層に収まります。 一方、人類がアフリカを出てインドに居住した先住民族ドラヴィダ人は、肌の色が黒く、背が低くて手足が長く、縮毛なのが特徴です。 タミル語を話し、カラフルで極彩色のヒンドゥー寺院はドラヴィダ文化の象徴の1つですが、アーリア人流入後は被支配者層となりました。 この両者は数千年の間に幾度となく争い、それを避けるためにドラヴィダ人は海外へと脱出します。 そのひとりが、4世紀の熊野に流れ着いた行者「裸形上人」です。 熊野三山にある青岸渡寺や補陀落山寺は、ドラヴィダ人「裸形上人」によって開山した寺として有名ですが、「裸形上人」は那智大滝において修行を積み、瀧壷で八寸の観音菩薩を感得。これがのちの修験道となります。 そしてこの時、「裸形上」人がインド式「行」と共に日本へもたらしたものが、アーユルヴェーダだったのです。 世界最古の医療アーユルヴェーダは、5000年前にヒマラヤで生まれ、北部の支配的なアーリア人を避け、聖仙ダンヴァリや聖仙アガスティアが秘伝を持って南下し、南インドのタミル・ナードゥでシッダ医学と習合して昇華しました。 アーユルヴェーダは、人間の体質を三つの性質(ドーシャ)=カッパ(水)、ヴァータ(風)、ピッタ(火)とその組み合わせにわけ、五行と共にこれを整えることで、その人の病を治しました。 今日も主にドラヴィダ語は南インドとスリランカで話されていることから、アーユルヴェーダもこのふたつの地域で根付き発展します。 「超訳古事記」などで知られる作家鎌田東二は、ドラヴィダ人の行者が海外へ転出し、知見が日本の熊野に伝えられた歴史を鑑み、「修験道とアーユルヴェーダを同じもの」と話します。 古代に実在した役小角(役行者)を開祖とし、「裸形上人」がもたらした山岳修行をベースに、仏教や神祇信仰、陰陽道が習合して形成された修験道。 特定の霊場寺社に拠点をもちつつも、各地の霊山を渡り歩く「旅する修行者」たちは、訪れた村々で病に苦しむ人たちも助けました。 コインバトールの街から数時間離れ、どこかで見たような大自然豊かなインドの険しい山間部を走ると、熊野同様、かつてはここも行者の修行地だったのかもしれないな、と思う今週です。 >>491 高城さんだから行ってほしいんだよ 日本のメディアのニュースしか知らないから たぶん偏ってるだろ知らんけど 今週は、パナマのダビデにいます。 いまから十年ほど前、この地域から「21世紀の黄金」が出て大騒ぎになったことがあります。 その黄金の名前は「ゲイシャ」。 いままでになかったコーヒーの新種が、史上最高値で取引されたのです。 ゲイシャは、アラビカコーヒーの遺伝子多様性の世界的な貯蔵庫と言われるエチオピア南西部カファ地方にて、1931年にゲシャ山周辺で発見された品種です。 その後、検分のためタンザニアのTengeru(現Lyamungu)コーヒー研究ステーションに送られ、1953年にはリャムングでVC-496として栽培に成功したコーヒーノキがコスタリカのCATIE(Centro Agronomico Tropical de Investigacion y Ensenanza)に持ち込まれます。 これを当時パナマ農業省の職員がパナマに持ち帰り、パナマでゲイシャの栽培が始まりました。 しかし、ゲイシャは栽培と商業的な困難さのため、しばらくは放置されることになりました。 それもそのはず、ゲイシャは相当高度な地で育てなければ味を引き出すことができません(当時は知られていませんでした)。 その上、一般的な商用栽培品種のアラビカコーヒー種のコーヒーに比べて収量も半分程度しか獲れません。 こうして、長らく見捨てられた状態が続きました。 しかし、21世紀に入ると、スターバックスに代表されるチェーン店のコーヒーとは違う、本当のコーヒーの味を求める人たちが急増。 このムーブメントにあわせて、1960年代にバンク・オブ・アメリカの元社長ルドルフ・ピーターソンが買い取ったエスメラルダ農園の3代目ダニエル・ピーターソンが、ゲイシャを再栽培し、独特な味を引き出すことに成功します。 2004年にコーヒーの国際品評会である「ベスト・オブ・パナマ」にて当時の落札最高額の世界記録を更新して優勝し、一躍脚光を浴びるようになりました。 一見、ゲイシャと聞くと日本の芸者を連想しますが、実は縁も所縁もありません。 原産地だったエチオピアのカファ(コーヒーの語源)では、1990年代まで文字を持っていなかったため、発掘された地域「Gesha」が訛って伝わり「ゲイシャ」になりました。 一般的にゲイシャコーヒーは、花の香り、ジャスミン、チョコレート、蜂蜜、紅茶などの甘い香りを持つことで知られていますが、繊細でデリケートなことから、栽培だけでなく管理もしっかりしなければ、せっかくの風味が損なわれてしまいます。 価格は高値で取引されており、事実上パナマゲイシャに特化しているコーヒーの品評会「ベスト・オブ・パナマ」のオークションで1ポンド (450 g)あたりの生豆の価格が、エスメラルダ農園(Hacienda La Esmeralda )からゲイシャが出品された2004年は21ドル、2006年に50ドル、2007年に130ドル、2013年に350ドル、2017年に601ドル、2018年に803ドル、2019年に1,029ドル、2020年に1,300ドル、2021年には2,568ドルと年々高騰。 まさに「21世紀の黄金」なのです。 ちなみに、カリフォルニア等娯楽大麻合法地域のリテール大麻価格が、およそ10gあたり日本円にしておよそ1万5000円。 ベスト・オブ・パナマで落札したパナマ・ゲイシャは、コーヒー1杯10gあたり2万円程度のリテール価格で提供され、いまや大麻価格の値段を上回り、消費量が多いことから総売上高は娯楽大麻の比ではありません。 モチロン、世界中で合法です。 史上最高値をつける21世紀の農産物。 スペシャリティ・コーヒーの明るい未来は、もう少し続きそうです。 今週は、コロンビアのボゴタにいます。 都市圏人口1000万人を超えるメガシティであるボゴタは、アンデス山脈に囲まれた標高2640メートルに位置しており、赤道が近いにもかかわらず、気候は高山気候性に入るため、雨季である現在は暑くないどころか寒い日が続きます。 かつて、北部にあるグアタビータ湖では首長が全身に金粉を塗って水中に奉納品を沈める儀礼など「金」に纏わる祭事が多かったため、このあたりは「エル・ドラード」(黄金郷)と呼ばれていました。 先史時代からこの地を支配していたのはコロンビアの先住民族ムイスカ族でしたが、黄金郷の噂を聞きつけたスペイン人が、16世紀に次々と来襲。 ゴンサロ・ヒメネス・デ・ケサーダ率いる探検隊が大西洋岸のサンタ・マルタから南下してこの地にたどりつき、ムイスカ族を征服して、植民都市サンタ・フェ・デ・ボゴタを建設しました。これが、いまのボゴタの原型となります。 このような由来から年間4000万人近い旅行者が利用するボゴタ国際空港も「エル・ドラード国際空港」(Aeropuerto Internacional El Dorado)と名付けられています。 そして現在、パナマのコーヒー「ゲイシャ」のように、21世紀の黄金を求めて、この地に多くのハンターたちが訪れるようになりました。 その黄金の名は、「ユーゲニオイデス」。 コロンビアでしか栽培されない超希少品種のコーヒーです。 一般的にコーヒーの種類は、「アラビカ種」「カネフォラ種」「リベリカ種」の三種だと言われますが、「リベリカ種」は栽培地や生産量も限られていてほぼ流通していないため、実質的に「アラビカ種」「カネフォラ種」が、コーヒーの二大種です。 繊細で慎重に育てなくてはならないけど美味しい「アラビカ種」は、「ブルボン」「ティピカ」「ゲイシャ」など、その土地に適した品種が栽培され、高級コーヒーの代名詞と目されてきました。 一方、病気に強く頑丈な「カネフォラ種」は、アラビカ種ほど品種が多いわけではなく、その多くが「ロブスタ」なことから、一般的に「カネフォラ種」=「ロブスタ」と考えられていますが、最近は「ファイン・ロブスタ」と呼ばれる高級「カネフォラ種」も登場しています。 そんな中、人間の遺伝子解析で用いられていた次世代シーケンサーを活用してコーヒー豆の遺伝子を深く追いかけると、実は「アラビカ種」は原種ではなく自然交配種である、つまり親品種があるということが判明したのです。 では一体、世界中でエチオピア原種の超高級品だと思われていた「アラビカ種」の父と母は、どこのどの種なのでしょうか? 遺伝子解析研究によれば、父方=「カネフォラ種」と母方=「ユーゲニオイデス種」だと判明。 「ユーゲニオイデス種」はブルンジ、ルワンダ、コンゴ、ケニア、タンザニアなどに生息していましたが、樹高5mにまで成長するので収穫が困難な上に、1本の木からたった150gしか実をつけないこともあって、長年放置状態でした。 この栽培に挑戦したのがコロンビアのいくつかの農園で、長年かけて「実」を結びました。 こうして収穫された希少な「ユーゲニオイデス種」に目をつけた世界中のバリスタが、かつてのスペイン人同様いち早く黄金を求めようと、この数年、続々とエル・ドラード目指して訪れました。 そして、2021年開催の「ワールド・バリスタ・チャンピオンシップ」では、なんとトップ3位までのバリスタ全員が「ユーゲニオイデス種」を使って入賞を果たしたのです。 さて、僕がコロンビアまで来て飲んだ「ユーゲニオイデス種」のコーヒーには、なんとも言えない甘味がありました。 その上、カフェインが少ないことから何倍も飲めてしまう不思議なコーヒーでした。 ただし、現地価格でも一杯5000円以上します。 21世紀の黄金とも言うべきあたらしいコーヒーの巡る冒険。 僕の旅は、まだまだ続きます。 僕なら大脳新皮質の進化について、徹底的に考察します。 人は、「動物や植物、虫」と違い、自分たちのことを俯瞰的に考えることが出来る地球唯一の生命体です。 デカルトの言う「コギト・エルゴ・スム」(我思うゆえに我あり)は、まさにこの点にあります。 しかし、俯瞰的に物事を見れなかったり、時には自分を見失うことも多々あります。 これは、もはや動物に戻ることができずヒトがヒトとして生きるため、つまりは前頭葉を駆使して社会を構成する上で「自制心」を学ばねばなりませんが、環境、特に食環境が悪化する現代社会において自分を見失う人が多く、これではとても「やさしい未来」は訪れないと考えます。 また、社会や人間の進歩(進化)のためには、適宜難題が必要だとも感じています。 これが永遠に続くのです、たとえ「資本主義」が壊れたとしても。 だからと言って、悲観的になっているわけではありません。 おそらくそう遠くない先に、強烈な難題が人類に襲いかかった時、生き残る(進化する)人とそうでない人に大きく二極化するかでしょう。 僕は、皆さんと共に前者でありたいと常に願っており、残った人たちで次の社会が作られ、これこそが大きな「循環」と考えています。 人が成長するよう、社会も環境も進化を求められるのです、なにかによって。 今週は、ラスベガスにいます。 コロナ禍も去って世界中でイベントや展示会も開催されはじめ、「コンベンションの街」ラスベガスにも少しづつ活気が戻ってきました。 ラスベガスがカジノの街から「コンベンションの街」へと変貌した1990年代。 当時LAに住んでいた僕は、頻繁に開催されたコンベンションへ通うと同時に、この町の変貌を目の当たりにしてきました。 80年代までは典型的なギャンブラーのためのカジノの街でしたが、家族向けエンターテイメントとビジネスのためのコンベンション・シティへと脱却を計ります。 この背景には、カジノライセンスを厳格化したことで、仕切っていたマフィアを追い出し、代わりに大企業を招き入れ、資金提供は当時バブル経済真っ只中だった日本の金融機関の後押しによる取り組みがありました。 他ならぬ「長銀」(1998年破綻)もそのひとつです。 こうして、マフィアのボスに代わって日本から資金提供を受けた大企業がホテル、カジノ、ナイトクラブを所有するメガリゾート時代がスタートします。 これが今日、日本のIRの原型となります。 あわせて、ラスベガスではビジネス客を呼び込むために、コンベンションを充実させようと誘致に励みました。 そして、ラスベガス最大のコンベンションに成長したのが、コンピュータの展示会「COMDEX(Computer Dealer's Exhibition)」です。 のちに、この展示会を日本のソフトバンクに売却し、大きな資金を得た主催のシェルドン・アデルソンは、ラスベガスの古いホテル「サンズ」を買収し、跡地にメガリゾート「ザ・ベネチアン」を開業します。 そして、アデルソンは「サンズ」のブランドを、マカオ、シンガポールへと拡充し、「ラスベガスのグローバルチェーン化」を進めるのです。 こうして長年に渡って日本の資金に支えられながら、ラスベガスは街づくりを行って拡大してきました。 1990年には20万人強だった人口は、この30年でおよび三倍まで膨れ上がり、特に若い世代の流入が目立ちます。 あわせて不動産価格も上昇。 2018年9月にラスベガスの住宅価格は前年同期比13.5%増となり、全米平均の2倍以上となりました(シアトルに並んで全米第2位)。 一方、交通渋滞も増えてきましが、昨年、イーロン・マスクがつくった専用地下トンネルを専用車両が通り人々を運ぶという新しい交通システム「Vegas Loop(ベガスループ)」が誕生。 現在はコンベンション期間中にコンベンション参加者しか利用できませんが、やがては空港と街の中心地を結ぶ「50年計画の新型都市交通網になる」と発表し、今後の街づくりにも余念がありません。 コロナ禍も去ったこともあって、以前に増して活気付くラスベガスですが、景気の荒波を一番先に受けやすいのも事実で、ドナルド・トランプを資金面で最も支えてきた共和党の大口献金者であり、日本のIR法案成立等、安倍政権に多大な影響を与えたあった件のラスベガスの立役者シェルドン・アデルソンも一昨年にお亡くなりになりました。 アデルソンは、マカオを通じて中国共産党にも影響力を持っていたことから、中国と折り合いをつけるよう各国政権に働きかけていた存在でもありました。 そして、コンベンションもオンライン化が進む今日。 1990年代同様、いまラスベガスは大きな方向転換に迫られているのではないか、と考える今週です。 それにしても日中は暑い。 もともと何もない砂漠だけあって。 今週は、シアトルにいます。 この一ヶ月ほど、ニューヨーク、マイアミ、LA、ラスベガス、ポートランドを回りましたが、この街が一番コロナ以前と以後に大きな違いがあります。 数年前まで「Amazonの城下町」と呼ばれ活況を呈していたダウンタウンに、現在、まったく人がいません。 コロナ禍が明けても戻る人たちはごくわずかで、鳴物入りの「無人コンビニ」と話題になった「Amazon Goストア」も次々閉店。街そのものが、無人に向かっています。 2016年、シアトル・ダウンタウン本社近くに初のレジなし店舗を開業した「Amazon Goストア」は、わずか数年でシアトル、サンフランシスコ、ニューヨークで無人ストアを次々とオープンしました。 しかし、時代はあっという間に変わり、今月初旬に全米各地にあった8店舗を永久に閉店すると発表。 昨年もシアトルにあったリアルな書店「Amazon Books」他、米国と英国で68の実店舗型小売店を閉じた大規模閉店に続く動きです。 今年の第一四半期の時点でシアトル中心部のオフィスビルの空室率は25%を超え、依然としてテック企業は従業員を解雇しており、Amazon、Twitter、Metaはいずれもオフィス面積を縮小しています。 かくありまして商業不動産の空室急増に歯止めが効きません。 事実、平日の日中に街中を歩いても人がおらず、オフィスタワーの5本に1本が暗くなっているような状況です。 北米のダウンタウンの回復状況を調査した最新レポートによりますと、シアトルは主要62都市のうち56位にランク。 ちなみに、ポートランドとサンフランシスコはそれぞれ60位と62位と、栄華を誇ったテックの街が大きく変わっているのがわかります。 この背景にはリモートによる勤務体系の変化もありますが、それだけではありません。 米国では、ロックダウンやBLM運動を機に街の荒廃が加速し、昨年の発表では、シアトルが「全米治安悪化都市ワースト1位」に躍り出ました。 Amazon本社でも独自の警備員を配置しているものの、治安の悪化を理由にシアトル中心街にあるオフィスの閉鎖に踏み切りました。 恐らく、対面式のオフィスワークは、もう元には戻りません。 オフィスタワーを埋め尽くし、コーヒーショップやサラダバー、ハッピーアワー・スポットを支え、近隣に快適さと安全性をもたらす活気ある街並みを提供していた都市型勤務体系は過去の話。 そこで、市長や商工会議所はシアトルのホワイトカラー労働者が週5日ダウンタウンに来るという未来はもう望めないと決断し、あたらしい街づくりに舵を切りました。 そのひとつが、ダウンタウンを住居、公園、チャイルドケアセンター、学校、レストラン、食料品店などのアメニティがよりよく混ざり合った「都市村」に作り変えるというアイデアです。 すでにダウンタウンのオフィスビルを住居に変える不動産業者が続出しており、果たしてこれが功を奏すか不明です。 あらゆるものがオンラインに傾倒し、リアルなゴッサムシティとなったシアトル中心街。 ジョーカーの登場は、そう遠くないように思えてなりません。 今週は、東京にいます。 薫風香る(Sweetest days of May)日本ですが、中南米での劣悪な食事が続いたため、次の渡航までの数週間に食事を選べる東京で立て直ししなければなりません。 一見、デトックスに励み、正しい食事をする事がなにより大切のように思えますが、実はそれ以前に脳内を再構築する必要があります。 と申しますのも、劣悪な食事によって神経伝達物質のコントロールが甘くなってしまっているのを自覚しているからです。 癖になってしまったパターンを断ち切らねばなりません。 いままでも何度かお伝えしておりますように、荒れた食生活による糖中毒やついつい見てしまうソーシャル・メディア、過度な飲酒にギャンブル、そしてアルゴリズムによる課金ゲームに上がり下りの激しい仮想通貨やFXまで、これらは現代ビジネスの基本中の基本「人をドーパミン中毒にさせる」ことが本質にあります。 本来、人間は動物と違い、目の前の餌や美味しい話に飛びつかない「理性」を兼ね備える生き物です。 しかし、ちょっと気を揺るしてしまい、脳の側坐核が放出されたドーパミンを受け取る癖がついてしまうと(中南米で荒れた食事にかまけていると)、本来はブレーキの役割を果たすGABAを抑制します。 このパターンが海馬に記憶され、次に同じようなパターンを脳が少しでも認識すれば、いち早くドーパミンを放出するようになり、もっともっとと際限なく求めるようになってしまいます。 この結果、癖がついてしまったドーパミンが枯渇してしまうと、疲労や倦怠感に襲われ、解消のためにさらにドーパミンを求め興奮状態に陥ります。 その後、攻撃的になり、なにかの依存状態になって、冷静な判断が出来なくなってしまうのです。 この依存は、次のみっつに集約されます。 それが、物質的依存、プロセス的依存、人間関係的依存です。 物質的依存は糖をはじめ、合法非合法の薬物、酒などで、プロセス的依存はスマートフォンを通じた課金ゲームやパチンコ、FXに代表される賭け事全般に見られます。 そして、人間関係的依存は、恋愛やソーシャルだけでなく、過度な子供の教育(期待)なども含まれます。 これらに依存してしまうと、常にドーパミンを過剰に求めるようになり、結果、なにしても満足できないことから不安症に陥り、妄想、時間と記憶の喪失、やがて幻覚や鬱などへと進むのです。 つまり、現代社会を上手に楽しく生きるコツは、ドーパミン・ビジネスのカモにならないかどうか(距離を置けるかどうか)にかかっていると言っても過言ではありません。 そこでひとつの手段として、計画を立てることで自分と向き合って冷静になるという「ドーパミンからの脱却法」を適宜オススメしている次第です。 しかし、「計画を立てられません!」というご質問を毎週のように頂戴します。 理由は、明らか。 前述したように目の前の餌や美味しい話に飛びついてばかりいて、脳がその癖を忘れられないからに他なりません。 また、ストレスから安易に逃げるためにも、ドーパミンを求める人が絶えません。 このようなドーパミン中毒がもう少し進むと、ご自身では気が付かないかもしれませんが、時間と記憶の喪失がはじまり、冷静な判断はもとより、報告することもままならなくなってしまいます。 なにしろ、目の前の餌を食べてドーパミンが出てしまえば、あとはどうでもよくなるからです。 そして、不安、妄想、鬱へと進みますが、当人に自覚はありません。 僕が様々な事例を見る限り、また自己の経験からも激しいドーパミン中毒から脱するのに2年はかかります。 この間、次々と襲ってくるストレスと戦いながら、糖を落とし、「マイクロ欲望」やそれをもたらす人間関係を整理し、読書や研究に勤しみながら、自らの使命を真摯に考える。 これを、「自分と向き合う」とよくお話しします。 結果、ある時から物事を俯瞰的に見られるようになって、まともな計画を立てられるようになるのです。 これが本当の意味でのスタートアップ! さて、GAFAMをはじめとする大企業があなたの脳に仕組んだ「ドーパミン奴隷装置」の餌食になって一生を過ごすのか? それとも、そこから脱却して自由を得るのか? あなたの人生を幸せにするかどうかは、まだ今ならあなたが決められるのです、と考え、あらゆる刺激から距離を置く今週です。 今週も、東京にいます。 いよいよ本格的なデトックス・シーズンに突入したこともありまして、この数年、僕が提唱している「脳のオイル交換」に関する質問を多数頂戴いたしております。 なにに取り組むにも、まずは脳を変えること=集中力を高めるようにすることが第一歩です! やる気が起きなかったり、挫折してしまったら元も子もありません。 そこで、今回は最新の「脳のオイル交換」について、お話ししたいと思います。 自著「BIO HACKING」にも記しましたように、個人的な体感からもっとも効果的だったと実感したのが、僕が言うところの「脳のオイル交換」です。 ステップは、次の通り。 まず、フリースタイルリブレを用い、グルコース・モニタリングして血糖値の波のピークを作らず平準化したあと、Ketstixを使ってセルフ尿検査、もしくはフリースタイルリブレを発売しているAbbott社の血中ケト濃度を測るケトストリップを用いて「ケトン値」を測ります。 4ミリモルを目指しますが、厳しいと感じたら2ミリモルで次のステージに進んで構いません。 こうして第一目標に達したら、MCTオイルから抽出された良質なC8オイル=カプリル酸(リキッド or パウダー)を増量します(ここまで到達する過程で、お飲みになっていただいても構いません)。 この時の摂取量は個々によって異なりますので、お腹の調子をみながら適量を飲み続けます。 一般的にココナッツオイルや中鎖脂肪酸(MCTオイル)は体に良いとされますが、MCTオイルに含まれる中鎖脂肪酸にはC8(カプリル酸)、C10(カプリン酸)、C12(ラウリン酸)があり、ケトン体を素早く作り、エネルギー効率が良くて頭にしっかり届くのは主にC8で(お腹に負担も少ないので)、それゆえC8をたっぷり含んだ製品は、「Brain XXX」などと名付けられています。 なかでも、手軽に入手できるのは、Bulletproofの「Brain Octane」ですが、最近は国産でも良質なC8オイルが登場し、パウダータイプも増えてきました。 さて、他の栄養素との摂取割合は各人によって異なる遺伝子(SNPs)次第なのですが、糖質1、たんぱく質2、脂質3とした場合、たんぱく質は体重の1.2~2倍程度必要ですので、体重50kgの僕の場合は、最低でも1日あたりたんぱく質60g、糖質30g、脂質90gがひとつの目安になります。 脂質90gというと大変な量だとお感じかもしれませんが、C8オイルに限らず、グラスフェッド・ギーからフィッシュオイル、さらにはステーキなどの脂質も加味すれば、そこまで難しくありません。 場合によっては(各人のSNPsによっては)、タンパク質と脂質の割合が1:1でも構いません。 これで4~8ミリモルになかなか達しない場合、糖質20g、タンパク質60g、脂質120gなど割合を変えるか、この段階で数日間ファスティングすれば、まず、目的の数値に達します。 そして8ミリモルに達したと同時に、C8オイルをさらに多めにとると「脳のオイル交換」が本格的にはじまります。 こうして、脳を動かすエンジンを糖ではなくケトンに変えるのです。 機序としては、脳のエネルギーがケトン体中心になると、脳内の星状膠細胞、アストロサイト、 髄鞘をつくるオリゴデンドロサイト、希突起膠細胞などの様々な種類の細胞をグリア細胞がよりしっかりと固定するようになり、病原体を破壊および死んだニューロンを取り除く速度が高まります。 このクリーナップ機能を持つグリア細胞を活性化するのがケトン体で、脳血管の周囲に形成した配管システム=グリンパティック(グリア細胞+リンパ)システムを動かし、脳組織に脳脊髄液(CSF)が浸透するとブレインフォグが拭われ、驚くほどに頭がクリアになるのです。 これが、脳のデトックス=脳のオイル交換の仕組みです。 さて、続ける期間は糖中毒の程度次第ですが、ここまで来ると自分で頭の回転が早くなっているのを実感できるようになりますので、まず、気分が上がります! 結果、ずっと続けたいと思うかもしれません。 しかし、この過程で糖新生が起き、一時的に疲れるかもしれませんし、僕が「ケトフルエンザ」と呼ぶインフルエンザに近い症状が2~3日出ることもあります。 これは、体内と脳の毒素を出す過程で起きる一時的現象ですが、このヤマを超えると不思議とあらゆる欲欲望が減り、本来の自分を見つけ出せることから、「本当にやらなくてはいけないこと」を感じるようになるのです。 徹底すれば短期間で別人です! 発汗作用が高まり、本格的デトックスシーズン突入した今。 機会あれば、ぜひ、お取り組みくださいませ。 今週は、福岡にいます。 主要駅、空港、港が5km圏内にあり、都市圏人口がおよそ250万人程度と理想的なサイズ感から、いつしか日本を代表するコンパクトシティと呼ばれるようになった福岡。 コンパクトシティとは、都市的土地利用の郊外への拡大を抑制すると同時に中心市街地の活性化が図られた、生活に必要な諸機能が近接した効率的で持続可能な都市、もしくはそれを目指した都市政策のことで、環境問題などの近代都市特有の問題から都市のあり方を再定義する過程で生まれた概念です。 今後、急速に人口が減少する日本では、地方インフラが維持できないことが懸念となり、首都圏に人が固まって生活する人口動態が予測されますが、そのサイズ感があらゆる面から検討されてきました。 米国ではニューアーバニズム、新都市主義、英国ではアーバンビレッジなどとも呼ばれ、自動車中心の郊外住宅開発に意を唱え、鉄道やバスなど公共交通を基本とした都市構造を目指す、21世紀の都市のあり方として世界中で議論されているのがコンパクトシティです。 しかし、福岡がコンパクトシティになったのは、政策による賜物でも偶然でもありません。 この背景には、福岡ならではの日本式システム「七社会」の存在がありました。 福岡の「七社会」とは、文字通り、7つの会社で構成されている非公式の任意団体で、政治や経済の領域で圧倒的な力を持っている組織です。 具体的には、九州電力、福岡銀行、西日本シティ銀行、西部ガス、西日本鉄道、九電工、JR九州の7社で、いまや福岡県のみならず、九州全体の政治・経済に圧倒的な影響を持っています。 例えば、交通インフラを握る西日本鉄道を見てみましょう。 福岡での移動手段は電車よりもバス(西鉄バス)のほうがメジャーで、あらゆる方面に路線が張り巡らされ、保有バス台数は約2800台と日本一を誇ります。 普段、福岡の路線バスに乗り慣れてないとバスが突然高速道路に入っていく異様な光景に驚きますが、実は西鉄バスは国の規制緩和を受けて、特例中の特例として都市高速での走行を許可されています。 この独占事業のバス交通網を壊させないため、日々数万人が訪れるドーム球場へのアクセスも地下鉄の乗り入れを絶対に許しません。 現在、博多駅からドーム球場最寄駅(唐人町)までの時間より、駅を降りてからドームに着くまでのほうが時間が長く、1キロ以上歩かなくてはならないことから多くの人たちはバスを利用します。 こうして、交通インフラが周辺に拡大することはなく、結果的に福岡はコンパクトに成らざるを得ないのです。 また、鉄道のハブとなる天神一帯を事実上独占する西鉄は、空港からの近さから航空法による高さ制限を受けるため、博多駅周辺と同様に見上げるような超高層ビルはありませんでした。 しかし、第2次安倍内閣が成長戦略の柱の一つとして掲げ、国家戦略特別区域法により容積率を最大で800%から1400%程度に緩和したため、現在、西鉄本社をはじめ50棟あまりものビルが建て替えが行われ、九州一の繁華街である天神の景観が今後一変します。 この福岡大改造(通称「天神ビッグバン」)も、基本的に七社会が多くの利権を握ります。 このように、福岡は古いシステムの力学によっていまも支配されている地域で、利権を守るために街の構造的変化を認めず、結果的にコンパクトシティという名の「ムラ社会」が出来上がりました。 移住者が多い福岡ですが、実は高齢層の転入が多く、若年層はむしろ転出が増えつつあります。 何しろスタートアップに適したオフィス・スペースがありません。 路線バスが幅を利かせているため、外に向けての街の拡大は望めず、街(と新規事業)はこれ以上大きくなることは無い、結果としてのコンパクトシティ。 デジタル・テクノロジーを活用して、都市インフラ・施設や運営業務等を最適化し、企業や生活者の利便性・快適性の向上を目指す「スマートシティ」へ果たして脱却できるのか。 ポテンシャリティと既得権の間に、福岡は大きく揺れていると感じる今週です。 高城さんおそらくピーターティール好きだよね?リバタリアンの話が度々出てくる。でピーターティールの会社、データ分析企業のパランティアはヤバい会社のイメージがあるんよな。具体的に知りたい人はググってくれ。データ分析会社で顧客には米国政府、CIAの名も 今週は、フロリダ州オーランドにいます。 あまり知られていませんが、この街にあるディズニーワールドは、長年、治外法権同然でした。正式名称「ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート」は、6パークを有する世界最大のテーマパークとして知られており、総面積122平方キロメートルと北海道夕張市より大きな敷地を誇り、山手線内面積の1.5倍もの敷地があります。 従業員数だけで6万人を超え、まさにマジック・キングダムなのです。 歴史を振り返ると、1950年代の終り、カリフォルニアのディズニーランドの集客に成功したウォルト・ディズニーは、次の理想郷を作ろうと巨大な土地を探しました。 そこで、湿地帯ばかりで誰も手をつけないオーランドに目をつけ、州と条件付き契約を結び開発に着手します。 この条件とは、のちにディズニー法と呼ばれる「リディー・クリーク改善法」で成立した特別区の設置による、事実上の自治権の承認でした。 その自治権には、土地利用の規制と計画、建築基準法、地表水管理、排水、廃棄物処理、公共事業、道路、橋、消防、救急医療サービス、環境サービスなどのサービスなどが含まれ、さらには警察、事業免許等の交付、病院等の設置、アルコールの製造・販売の規制権限等も有し、上下水道、道路などの建設・管理・運営などを含む、司法と教育権を除く広範な特別権限があり、地区が郡や州に提出しなければならない唯一の分野は、固定資産税とエレベーター検査だけでした。 このような状況が21世紀に入っても続いていたのです。 しかし、「ミニ・トランプ」と呼ばれるロン・デサンティスがフロリダ州知事に当選してから事態は、急変します。 海軍出身のデサンティスは、2012年に下院議員に当選後、リバタリアン議員が集まる「ハウス・フリーダム・コーカス」を創設。 ティーパーティーを主導し、ここでドナルド・トランプと昵懇になりました。 その後、2018年にフロリダ州知事選に僅差で当選。 昨年11月のフロリダ州選挙で再戦を果たし、地盤を盤石なものとしました。 いまでは、来年の大統領選への出馬まで囁かれています。 現在の後ろ盾は、世界ヘッジファンドの創業来利益ランキング1位「シタデル」の創業者兼CEOで、ビルダーバーグ会議のメンバーであるケネス・グリフィン(年収5000億円!)です。 「シタデル」は、大手投資銀行を押しのけて米国全体の株式取引の25%、個人投資家だけに限れば40%を占めるため、米国最大のマーケットメーカーとして君臨します。 グリフィンのような超富裕層急進保守派に後押しされ、保守陣営から大きな支持を得ることに成功したデサンティスは、州立学校で性的少数者に関する教育の制限に乗り出します(州立大学でジェンダー研究や批判的人種理論を禁止)。 ところが、これにディズニーが猛反対して両者が対立。 今年の2月、州議会でディズニーに対する報復措置として、特別区域の監督機関の委員5人を知事が指名できる法案を可決し、事実上の自治権を剥奪したのです。 フロリダ州最大の雇用主であるディズニー・カンパニーを、あまりにも「覚醒している」という理由で処罰したデサンティス。 今後、保守とリベラル戦争に巻き込まれ、魔法が解けた「マジックキングダム」は、夢から「目覚めた」普通の国になるのかもしれません。 今週は、ベルリンにいます。 現在、ドイツ全土で金融緩和とウクライナ紛争の影響から、高いインフレ率やエネルギー料金の驚くほどの高騰が見られます。 先月のインフレ率は+6.1%、エネルギー消費者価格+6.8%、食料品消費者価格17.2%と国民の生活を直撃しており、デモが増え、不満が高まっているのが街角でもわかるほど緊張が漂います。 また、街を歩いてもコロナ後の目に見える大きな変化を感じないかもしれませんが、引き続きリモートワークが続いていることから、鉄道に乗る人が激減。 リストラなどもあって、ドイツ鉄道のサービスが著しく悪化し、かつては正確さを誇ったドイツ鉄道ですが、いまでは定刻通りに走ることの方が稀になってきました。 同じく、空港やフライト便数の減少による混乱も続きます。 このような背景には、「出社」や「出張」というビジネス業態が大きく変化したことや、企業側がインフレ社会に対応すべく「徹底したコストカット」等が挙げられますが、勤務形態を変化することができず、インフレによって賃金交渉が難航する病院や学校では、ストライキが多発しています。 今週、ベルリンでは3日間も教員組合によるストライキがあり、大半の学校が閉鎖しました。 治安も悪化しています。 外国人が関わる重大犯罪が後を絶たず、大量移民のコストももはや無視できなくなってきていますが、ドイツ政府は国の予算を節約し、あたらしい労働力によって年金を支払うために大量移民が必要だと主張しています。 しかし、2023年だけでも、移民のための住宅や社会保障が年金支給額を上回る360億ユーロほど費やす予定であり、政府の主張は大きく崩れていると報道されています。 また、数年前にドイツが掲げた無人化政策「インダストリー4.0」(第四次産業革命)は着実に進んでおり、コロナ x インフレ x 人手不足 x AIの急速な進歩により、情報産業に限らず、全産業の自動化が進んでいることから、移民はもういらないと本来はリベラル寄りだったIT産業に従事している人たちも考え始めました。 このような現状および国民生活レベルが著しく下がっているため、現政権に対する不満が高まっており、あたらしい右派と目される「ドイツのための選択肢(AfD)」の支持率が急速に上がりつつあります。 先週公開された独公共放送ARDの世論調査によりますと、反移民政策を掲げる「ドイツのための選択肢」の支持率は18%と記録的な数字を叩き出し、ショルツ首相率いる社会民主党と同率の2位に急浮上しました。 現在、ドイツ経済は2四半期連続でマイナス成長ですが、「ドイツのための選択肢」は、移民排斥によって既存国民の生活を安定させることと、既得権を壊して成長することを掲げて人気を博しています。 AfDのクルパラ共同党首は、「(国民の)利益を最重視するわれわれの方針が認められた」とコメントしています。 一方、シュルツ首相が所属するSPDの祭典では、ウクライナ戦争支援反対の聴衆から「盗賊、嘘つき」と罵声を浴びせられ、退却する事態に追い込まれました。 今週公開されたBild紙世論調査データによりますと、人口の18%(1090万人)がAfDに投票することを示し、人口の26%(1570万人)が、AfDに投票することに前向きであると答えていることが判明。 あわせて、ウクライナを支持する人が激減し、ロシアを支持する人が急増中です。 政党支持率の最新の世論を地域毎に色分けした地図を見ると、黒系が中道右派のキリスト教民主同盟、赤系が中道左派の社会民主党、青系がAfD(ドイツのための選択肢)ですが、明らかに新連邦州(旧東ドイツ)で青系が優勢になっているのが分かります。 元々東に属するベルリンも他ではありません。 いま、ドイツ国民の多極分断化、いや右傾化は急速に進んでいるように見える今週です。 気候はいいんですけど、それもあって街角はデモやストばかりですが。 今週は、サンセバスチャンにいます。 いまから十年以上前に出版した自著「人口18万の街がなぜ美食世界一になれたのか─ スペイン サン・セバスチャンの奇跡」は、年々版を重ね、おかげさまでいまも売れ続けている一冊です。 当時スペインに住んでいた僕は頻繁にこの街に通い、観光資源のない街がたった10年で変われた理由を独自の視点でまとめました。 なにしろ車で10分もあれば一周できる小さな円の中に、ミシュランの星は16個もあるような街は世界中どこにもありません(次点は京都)。 アルサック、アケラレ、マルティン・ベラサテギなどの三つ星レストトラン、ムガリッツ、アメリアはミシュランの2つ星、ココチャ、アラメダ、エルカノは1つ星を獲得していました。 さらにこの十年で、サンセバスチャンは欧州のみならず、世界的な美食の街としての名声を確かなものにしましたが、新型コロナウィルス感染拡大以降、いまは様相が少し変わっています。 まず、トータルで19個もあったミシュランの星は、残念ながら2023年度版ミシュランガイドではミラドール・デ・ウリアの一つ星が失われて、スベロアとエメ・デ・ガロテがコロナ禍を乗り切れず、2022年末をもって閉店してしまったので、星の数が少なくなっています。 一昨年の2022年にアメリアのシェフ、パウロ・アイラウドがミシュラン2つ星を獲得しましたが、実はサンセバスティアンでの2つ星は16年前にムガリッツが獲得して以来のことで、正直、サンセバスティアンのレストランのピークは過ぎ去った感が否めません。 この背景には、新型コロナウィルス感染拡大だけではなく、この15年間サンセバスチャンを牽引してきたトップシェフたちの高齢化問題もあります(三ツ星シェフ3人のうち二人が70代)。 また、「美食の街」の看板を狙って、世界的なチェーンも進出。 今年、ロバート・デ・ニーロが出資することでも有名な「NOBU」ホテル&レストランがラ・コンチャ湾を見渡すサンセバスチャンの一等地にオープン予定で、「ラグジュアリーなファストフード」と揶揄されながらも「環境に配慮した食の提供」を謳い、大きなトピックとなっています。 一方、バルは活況です。 コロナ禍のなか、苦境で喘ぐバルを助けるために地元の人たちが足繁く通い、2020年度の多くのバルの売り上げは、驚くことに過去最高の売り上げを記録しました。 また、美食を目的にきた観光客もサンセバスチャンの流儀を理解し、レストランよりバル廻りを楽しむようになってきたのも近年の特徴で、こうしたことから、サンセバスチャンではレストランよりバル巡りをするのが定着しています。 しかし、反動もあります。 それが、あまりに人が増えすぎた観光公害=オーバーツーリズムです。 もともと小さな街ですが、近年は明らかなキャパオーバーとなり、事実、地元の人たちは観光客でごった返す旧市街の小さなバルに行くのを避けるようになりました。 先週末、ラグビーの試合が開催されたこともあって、人口20万人に満たない街に8万人以上のフランス人が押しかけ、旧市街は事実上「占拠」される事態が発生。 このような現状と賃料が年々高くなるのと相まって、バルの中心地がグロス地区へと移行しています。 ムガリッツのシェフ、アンドニが「Muka」と「Topa Sukalderia」という2軒のバルをオープンするなど、グロス地区には続々と意欲的な新店がオープン。 個人的には、三つ星レストラン「アケラレ」ラボの人たちが、趣味同然で手がける「MATALAUVA」は、特筆すべき一店だと思います。 わずかな食材だけを使って、火を一切使わず、素晴らしい一皿を作り上げています! 食材は、「アケラレ」と同じ。 これぞ、サンセバスチャンという一店です。 高齢化したシェフが率いるレストランからバル巡りへ。 オーバーツーリズムにより、意欲的なバルは旧市街からグロス地区へ。 来客数とレストランがピークを超えたサンセバスチャンは、いま、大きくかわりつつあると感じる今週です。 今週は、バルセロナにいます。 いまから5年ほど前、まだ新型コロナウィルス感染拡大する以前のバルセロナでは、サンセバスチャン同様、オーバーツーリズムが大きな問題になっていました。 その後、新型コロナウィルス感染拡大によって、観光都市バルセロナは大打撃を受けましたが、この春の観光客数はコロナの反動もあって以前に増した人々が押し寄せるようになりました。 あわせて、形を潜めていた外国人観光客を標的にした排斥運動が広がっています。 なにしろ今年の予測値だと、人口160万人に対して1800万人の観光客が訪れると予測されているからです。 この背景には、航空運賃や宿泊施設のデフレ化があります。 LCCと呼ばれるローコストキャリア航空会社は、バルセロナ空港が欧州最多発着便数を誇り、コロナ以前の1年間で空港に降り立ったLCC乗客数は、首都マドリードの約2倍となる1100万人を超えるまでに膨れ上がりました。 また、総ホテル客室数が不足していたところにエアーB&Bが跋扈し、不動産会社は空き部屋をお金の無いバルセロナ市民に貸し出すよりも、お金を持つ外国人観光客に短期レンタルするほうが利益につながると判断。 エアーB&Bおよび外国人向け短期サブレントが急増し、市内全体の家賃が高騰します。 近年は、なんと年平均4000人が立ち退きを迫られる事態に発展しています。 こうして、外国人観光客を標的にした排斥運動が再び燃え上がるようになりました。 スペインのセビリア大学の経済学調査チームは、こうした格安ビジネスが「ロークオリティーカスタマー」(LCC)を招いたと示唆。 ではいったい、どのようにして「ロークオリティーカスタマー」を減らせばいいのでしょうか? そこで市政府が導入したのが、観光税です。 いまから十年ほど前に導入したバルセロナの観光税ですが、本年後半から大幅に値上げが予定されています。 実は、バルセロナ以外にもアムステルダムをはじめ、オーバーツーリズムに苦心している欧州主要都市が多いことから、今年の11月からEU全体で観光税を本格的に導入します。 その他、バルセロナやヴェネツィアなどの各都市ごとにも観光税を導入。 こうして1日ごとの滞在に、大幅に滞在費=税金がかかることになる予定です。 また、バルセロナ中心部での新規のホテルの出店禁止と厳しい民泊の取り締まりも強化しています。 このような動きは、移民排斥と似ており、バルセロナのオーバーツーリズムの行方は、そのまま欧州が抱える移民問題の未来に思えてなりません。 フラりと通い慣れたボケリア市場に出向けば、観光客ばかりか、観光客用の値段に設定され、正直、年々安価だから楽しいバルセロナらしさが失われているように実感します。 グローバル時代ならではのビジネスと言われた観光業。 世界の先頭を走る成功例として知られたバルセロナは、欧州全体の右傾化同様、選民的になってきたと感じる今週です。 今週は、アテネにいます。 リーマンショックからはじまった世界的金融危機により、事実上、国家財政破綻したギリシャは、通貨ユーロ全体の足をひっぱりながらも、EU政府の財政支援により徐々に復活。 2018年には、EUからの金融支援も終了し、少しづつ健全財政を取り戻すようになりますが、この中心的政策が観光業でした。 数字を見ると、2010年に年間観光客数1500万人ほどでしたが、その後、急成長して2018年には倍以上の3200万人を突破。 ギリシャ経済全体の成長率2%に対して観光分野は6.9%の伸びを見せ、収入総額はGDPの20.6%まで高まって、観光関連雇用は全就業者の4分の1を占めるまでになりました。 こうして数字だけ見ると素晴らしい業績のように見えますが、実はこの間、不動産から土産物、そして企業の株式まで、あらゆるものの叩き売りが行われていました。 通貨はユーロでも、依然としてギリシャ人の平均給与は月900ユーロ程度で、ドイツの2.5分の1程度しかなく、他国から見るとあらゆるものが割安です。 当然、物価差によるオーバーツーリズムも深刻です。 特にエーゲ海の離島に人が殺到し、最大の人気を誇るサントリーニ島では、宿泊客が2012年330万人が2019年には700万人近くまで増大。 クルーズ客は1日で1万8000人に達し、島内の古いシステムに縛らたタクシーの台数が増えないことから、せっかく訪れても移動がままなりません。 この様相は、いまから十年近く前に取材した自著「人生を変える南の島々。<ヨーロッパ編>」でもいち早くお伝えしました。 今週は、まだ夏の旅行シーズンのピーク前ですが、すでにアテネ最大の観光地パルテノン神殿に事実上の入場規制がかかっています。 午前中に行くと炎天下のなかで2時間以上待ちの長蛇の列で、翌日9時開館前を睨んで朝7時から並びはじめても、もう満杯。 これから本格的なサマーシーズンが訪れることを考えると(8月15日の聖母被昇天祭がピーク)、せっかくアテネに訪れても観光地に入れないゲストが相当数になると考えられます。 しかも、中国政府の入出国規制が完全解禁されていないことから、中国人は以前に比べて圧倒的に少数です。また、経済成長にあわせてインド人観光客は急増中。 今後、以前と同様に中国人が大挙して観光地を訪れ、いまや中国を抜いて世界一の人口になったインド人が観光地を次々と訪れはじめると、世界的な大問題に発展するでしょう。 この背景には、LCCやAirB&Bだけでなく、SNSの「映え文化」も問題として上がっています。 アテネの神殿や欧州で人気の観光地である各地の大聖堂の中で、音楽を鳴らしながら踊る人たちを撮影し、それを見た人たちが同じように音楽を鳴らしながら踊って撮影するような「悪いソーシャル・ループ」が巻き起こり、現在、大きな社会問題になっています。 巡礼者が訪れる場所で大音量で音楽を流して撮影する迷惑行為が頻発していることから、場所によっては「Tiktok禁止」「Instagram禁止」と書かれた看板が目立つようになってきました。 また、ギリシャ料理の要であるオリーブオイル不足も深刻です。 世界でもっとも消費量が多いギリシャで、コロナ禍による金融緩和の反動でインフレが加速し、気候変動や高値で買う観光客の買い占めなどから、オリーブオイル不足が起きています。 原価がこの二年で二倍以上になっており、レストランに出向いても、以前は机上にボトルで提供されていたのが小皿にとりわけられて供給されるようになっており、ギリシャ名物のオリーブオイルが存分に楽しめません。 いま、世界中に広がるポストパンデミックな現実。 グローバリゼーションやシェア、そして大観光時代の終焉。 もはや、日本も他ではありません。 今週は、オスロ、イビサ、フォルメンテーラ、ロンドン、フランクフルト、東京、那覇、阿嘉島と移動しています。 現在、沖縄では那覇への国際線本格乗り入れと本島北部本部港へのクルーズ船寄港が始まったこともありまして、昨年比3.5倍のオーバーツーリズムが顕著になっています。 県内唯一の公共交通手段である空港発のモノレール(ゆいレール)では、朝のラッシュ時に場所を取るスーツケースを持った旅行客が車内の出入口周辺にとどまってしまい、満員でないにもかかわらず、他の利用客が乗車できません。 朝の通勤時間と空港へ向かう旅行客が重なる午前9時前後の那覇市中心市街地の駅で乗車待ちの客を乗せられない「乗り残し」が頻繁に起き、事実、僕自身もあまりの混雑ぶりに辟易して一便パスしました。 市内のゴミ箱は入り切らず周囲に溢れ出したため、自動販売機周辺のゴミ箱は撤去され、ガラガラだった離島への船は満員になり、地元の人たちが帰島できなくなっています。 かつては誰もいなかった阿嘉島もインバウンドに占拠されてしまって宿がなく、平日でも連泊できませんでした。 また、人材不足やサービス欠如も深刻です。 コロナ禍で飲食店から離職した従業員が戻らず、レンタカー業者も廃業したこともあって、観光客の6割以上がレンタカーを利用するにも台数がコロナ前の約2万2000台から約1万5000台と約30%も減少。 一方、タクシーもドライバーの高齢化や台数の減少により、需要に応えられていない状況が続いています。 こうして、あらゆるモノと場所の取り合いが起きていますが、対処にあたろうとする県や市の観光課のスピードでは、もはや爆発するオーバーツーリズムの速度に対応できません。 先月、世界一の観光大国であるフランス観光相のオリビア・グレゴワールは、同国が長い間迎え入れてきた旅行者の数を減らす戦略をとることをついに発表。 この政策について「悪化した環境、地元の人々の生活の質」に対応するものであると述べました。 これを受け、マルセイユのカランク国立公園では、有名なスギトンの入り江への1日の訪問者をわずか400人に制限する予約システムを導入。 ブルターニュのブレハ島は、1日の訪問者数の上限を4700人に設定しました。 ここ数週間お伝えしておりますように、ポスト・パンデミックにおける顕著な話題として、世界各国でオーバーツーリズムが深刻で、時間も金もあまり使わない客で観光地があふれかえっていることが世界各国で問題視されています。 その結果、地域社会が観光業からの恩恵を十分受けられず、経済力を失い、社会システムの崩壊に直面していることが大きな課題として急浮上しているのです。 なかには、市民生活が破綻する恐れがあることから、世界遺産を返上する可能性も取り沙汰されている地域があるほどです。 例えば、竹富島では住民329人に対し観光客は年間50万人を超え、特に環境破壊への影響が高く、大きく掲げていたサステナブル・ツーリズムと反する状況に陥ってしまっています。 モノから体験へとシフトした現在の観光業。 世界をまわって痛感するのは、過去四半世紀に渡ったグローバリゼーションの影が、いま、急速に世界中の観光地を覆っているように思えてなりません。 世界中のコーヒー農園を回っていると、日本から買い付けや視察に来た「コーヒーロースター」の皆さんとよくお会いします。 同じ「豪州のコーヒーロースターで」長年「焙煎師として働いて」、少し前に大阪で小さな店を開業した「バリスタマップ・コーヒーロースター」の方々とも、先日パナマでお会いしました。 その前にはコロンビアにも行かれていたようで、「一箇所に縛られ動けなくなる」ような職種ではないと思いますよ。 ただ、ロースターにもAI化の波が押し寄せていまして、先日オスロでお目にかかったTrond Simonse率いる「ROEST」が開発中の大型次世代Aiロースターは、業界を揺るがすものになるでしょう。 この観点から考えると、コーヒー業界は明るいですよね。 「手に職」を持った人たちへの高額な人件費がかからないビジネスになりますので。 一方、ロースターの方々には脅威ですが、無人化の波には逆らえません。 時代は、とっくに「個人の時代」から「無人の時代」へとシフトしたのですから。 それを踏まえ、7年後のご自身をご想像ください。 きっと、大切なことは「スキル」ではないとお気づきになるでしょう(茶の道の基本です!)。 Kindleで新刊出たね レビュー見てると迷える子羊さんが多いこと 自己投資こそノーリスクノーリターンとか書いてる頭おかしい人もいるし 高城さんの視点や取り組みは参考にしたいけどメルマガ会員とは絶対に関わりたくないわw こんな面白い人だったのかw インチキ臭いとこがもう少し減れば、、、惜しい 最近のはあんまり面白くないな どこかで見たようなネタだし、分析的な部分も同感できん read.cgi ver 07.5.5 2024/06/08 Walang Kapalit ★ | Donguri System Team 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