いち早くサハリン2からの撤退を表明した英国シェル社は今年1〜3月決算で42億3500万ドル(約5500億円)の損失を計上したと発表している。

 では、日本の商社が撤退を余儀なくされた場合、どれくらいの損失が出るのか。

 三菱商事は今年3月期決算でサハリン2の投資価値を500億円減額、三井物産もロシアLNG事業の総資産を806億円減額した。

「三菱商事のロシアでの天然ガス事業はサハリン2だけで、銅や石炭などの資源開発は行なっていない。影響は比較的軽微とみられます」

 経済ジャーナリストの有森隆氏はそう語り、影響が大きいのは三井物産だという。

「三井物産はサハリン2に加えて、ロシアの北極海に面したギダン半島の『アークティック2』というもう一つの“爆弾”を抱えている。

 年産約2000万トンの巨大LNG事業で、物産は独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構と共同出資して10%の権益を持っている。2019年に調印されたばかりで、三菱商事も参加を打診されたものの、リスクが高いと判断して参加しなかった。