では条約と憲法に矛盾が生じた場合、どちらを優先させるか。国際法学者には条約を優先させる論者がいるが、おおむね憲法優位論が優勢。

条約を締結する主体は、憲法で定められた政府。究極的には条約を破る権利が国家にはあり、国家の憲法で規定された存在である政府は憲法と条約に矛盾が生じた場合、前者を優先させる他ない。
仮に一国を代表する政府が条約を優先させたとしても、それは憲法の命じるところによったという原理に支配されている。

なお現在のオランダやオーストリアは憲法により条約優先を明記しているが、それも憲法に従ってのことで、ここまで説明した原理に変わりはない。