X



トップページ格付け
1002コメント175KB

アンパンマン強さ議論スレ Part2

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
0799格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:28:42.13ID:mpMazghg
わし達の馬の蹄鉄に打たれて、石高路から迸る明い火花の雨は、わし達の後に火光の径の如く輝いてゐた。
0800格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:28:57.99ID:mpMazghg
此真夜中に、わし達二人を見た人があつたなら――
0801格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:29:13.82ID:mpMazghg
わしの案内者とわしと――
0802格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:29:29.69ID:mpMazghg
その人は二人の幽鬼が夢魔に騎して走るのだと思つたに相違ない。
0803格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:29:45.43ID:mpMazghg
狐火は時々、路の行く手に明滅して、夜鳥は怖しげに、彼方の森の奥で啼き叫んでゐる。
0804格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:30:01.29ID:mpMazghg
其森には、時として山猫の燐火を放つ眼がきらめくのさへ見えるのである。
0805格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:30:17.19ID:mpMazghg
馬の鬣は益々乱れ、汗は太腹に滴つて、つく息も急に又苦しげに鼻孔を洩れるが、案内の男は馬の歩みの緩むのを見ると、殆ど人間とは思はれぬやうな、不思議な喉音を上げて、叱する。
0806格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:30:33.05ID:mpMazghg
すると馬は又、元のやうに無二無三に狂奔するのである。
0807格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:30:48.88ID:mpMazghg
遂に旋風のやうな競走が完つた。
0808格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:31:04.70ID:mpMazghg
多くの輝いた点が開いてゐる大きな黒い物が、急に眼の前に聳えた。
0809格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:31:20.57ID:mpMazghg
わし連の馬の蹄は、丈夫な木造の刎橋の上に前よりも声高く鳴りひゞいて、二人はやがて二つの巨大な塔の間に口を開いた大きな穹窿形の拱廊に馬をすゝめた。
0810格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:31:36.41ID:mpMazghg
城廓の中は確に一種の大きな興奮に支配されてゐた。
0811格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:31:52.15ID:mpMazghg
広庭には松明を持つた従者が縦横に駈け違ひ、頭の上には又燈火の光が階段から階段へ上下してゐた。
0812格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:32:07.90ID:mpMazghg
わしは此厖大な建築の形を、混雑の中に瞥見する事が出来たが――
0813格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:32:23.67ID:mpMazghg
丸柱や迫持の廊下や階段や段梯や――
0814格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:32:39.57ID:mpMazghg
それは誠に魔法の国にもふさはしい、堂々とした豪奢の趣致と楚々とした優麗の風格とを併せ有してゐるものであつた。
0815格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:32:55.42ID:mpMazghg
すると黒人の扈従が――
0816格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:33:11.31ID:mpMazghg
以前にクラリモンドの手帳を持つて来た男である、わしはすぐにそれと気が附いた――
0817格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:33:27.16ID:mpMazghg
わしの馬から下りるのを手伝ひに来た。
0818格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:33:43.02ID:mpMazghg
それから、黒天鵞絨の着物を着て首に金鎖をかけた家令も、象牙の杖によりながらわしに会ひに出て来た。
0819格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:33:58.75ID:mpMazghg
見ると大きな涙の滴が眼から落ちて、頬と白い髯の上に流れてゐる。
0820格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:34:14.63ID:mpMazghg
「間に合ひませんでした。」
0821格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:34:30.47ID:mpMazghg
と彼は悲しさうに首を振りながら叫んだ。
0822格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:34:46.32ID:mpMazghg
「間に合ひませんでした。
0823格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:35:02.06ID:mpMazghg
霊魂を救ふ事はお出来になりません。
0824格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:35:17.94ID:mpMazghg
でも、せめてどうかいらしつてお通夜をなすつて下さいまし。」
0825格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:35:33.82ID:mpMazghg
彼はわしの手を執つて、死者の室へ案内した。
0826格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:35:49.67ID:mpMazghg
わしの泣いたのも決して此老人に劣らなかつたであらう。
0827格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:36:05.55ID:mpMazghg
それは死者が、クラリモンド其人、わしがあのやうに深くあのやうに烈しく恋してゐたクラリモンド其人だつた事を知つたからである。
0828格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:36:21.42ID:mpMazghg
寝床の足の方には祈祷机が置いてある。
0829格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:36:37.16ID:mpMazghg
青銅の酒盞に明滅する青い光は、室内を朦朧とさした。
0830格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:36:53.02ID:mpMazghg
深秘な光にみたして、唯暗い中に家具や軒蛇腹の突出した部分を、其処此処に時々明く浮き出さしてゐる。
0831格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:37:08.78ID:mpMazghg
卓子の上にある、彫刻を施した甕の中には、一輪の素枯れた白薔薇が生けてある。
0832格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:37:24.51ID:mpMazghg
一つだけ残つてゐたが――
0833格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:37:40.39ID:mpMazghg
皆、香のいゝ涙のやうに落ち散つて、甕の下にこぼれてゐる。
0834格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:37:56.27ID:mpMazghg
壊れた黒い面と扇と其外肘掛椅子の上に置いてある様々な扮装の道具を見ても、「死」
0835格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:38:12.01ID:mpMazghg
が急に何の案内もなく此華麗を極めた城廓に闖入した事がわかるであらう。
0836格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:38:27.85ID:mpMazghg
わしは寝床の上を見るのに忍びないので跪いたまゝ「死者の為の讃美歌」
0837格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:38:43.71ID:mpMazghg
そして烈しい熱情を以て、神がわしと彼女の記憶との間に墳墓を造つて、今後わしが祈祷をする時にも彼女の名を永久に「死」
0838格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:38:59.58ID:mpMazghg
によつて浄められた名として、口にし得るやうにして下すつた事を感謝した。
0839格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:39:15.42ID:mpMazghg
けれ共、わしの熱情は次第に弱くなつて、わしは思はずある夢幻の中に陥つてしまつた。
0840格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:39:31.26ID:mpMazghg
一体其室は、死人の室らしい所を少しも備へてゐない室であつた。
0841格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:39:46.98ID:mpMazghg
わしが通夜の間に嗅ぎなれた不快な屍体の匂の代りに、ものうい東洋の香料の匂が――
0842格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:40:02.82ID:mpMazghg
わしは艶いた女の匂がどんなものだか知らないのである――
0843格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:40:18.60ID:mpMazghg
柔に生温い空気の中に漂つてゐる。
0844格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:40:34.46ID:mpMazghg
青ざめた光は屍体の傍に黄色く瞬く通夜の蝋燭の代りと云ふよりは、寧ろ淫惑な歓楽の為にわざと作られた薄明りの如く思はれる。
0845格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:40:50.32ID:mpMazghg
わしは、クラリモンドが永久にわしから失はれた瞬間に再び彼女を見る事が出来た、不思議な運命をつくづくと考へて見た。
0846格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:41:06.18ID:mpMazghg
そして、残り惜しい懊悩の吐息がわしの胸を洩れて出た。
0847格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:41:21.90ID:mpMazghg
其時、わしにはわしの後で誰かが亦吐息をしたやうに思はれた。
0848格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:41:37.63ID:mpMazghg
で、振返つて見たがそれは、唯反響にすぎなかつた。
0849格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:41:53.39ID:mpMazghg
けれ共、其刹那に、わしの眼は其時迄見るのを避けてゐた死者の寝床の上に落ちた。
0850格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:42:09.14ID:mpMazghg
刺繍の大きな花で飾られた、赤いダマスコの帳が、黄金の房にくゝられて、うつくしい屍骸を見せてくれるのである。
0851格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:42:24.87ID:mpMazghg
屍体は長々と横になつて、手を胸の上に合せてゐる、眩ゆいやうな白いリンネルの褻衣に掩はれたのも、掛衣の陰鬱な紫と、著しい対照を作つて、しかも地合のしなやかさが、彼女の肉体のやさしい形を何一つ隠す所もなく、見る人の眼を、美しい輪廓の曲線に従はしめる――
0852格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:42:40.75ID:mpMazghg
白鳥の首の如くになよやかな――
0853格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:42:56.66ID:mpMazghg
其輪廓の持つてゐる豊麗な、優しさは「死」
0854格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:43:12.52ID:mpMazghg
すらも奪ふ事が出来なかつたのである。
0855格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:43:28.36ID:mpMazghg
彼女はさながら或巧妙な彫刻家が女王の墳墓の上に据ゑる為に造り上げた雪花石膏の像か、或は又恐らくは、眠つてゐる少女の上に声もない雪が一点の汚れもない掛衣を織りでもしたかの如く思はれた。
0856格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:43:44.11ID:mpMazghg
わしはもう、力めて祈祷の態度を支へてゐる事が出来なくなつた。
0857格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:44:00.03ID:mpMazghg
閨房の空気はわしを酔はせ、半ば凋んだ薔薇の花の熱を病んだやうな匂はわしの頭脳に滲み込んだ。
0858格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:44:15.94ID:mpMazghg
わしは休みなく彼方此方と歩きながら、歩を転ずる毎に、屍体をのせた寝床の前に佇んで、其透いて見えさうな経帷子の下に、横はつてゐる優しい屍の事を、何と云ふ事もなく想ひはじめた、わしの頭脳には、熱した空想が徂徠して来たのである。
0859格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:44:31.81ID:mpMazghg
わしは彼女が恐らく、本当に死んだのではあるまいと思つた。
0860格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:44:47.66ID:mpMazghg
唯わしを此城へ呼び寄せて、其恋を打明ける為に、わざと死を装つてゐるのだと思つた。
0861格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:45:03.51ID:mpMazghg
そしてわしは、同時に彼女の足が、白い掛衣の下で動いて、少しく捲いてある経帷子の長い真直な線を乱したとさへ思つた。
0862格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:45:19.24ID:mpMazghg
それからわしはかう自問した。
0863格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:45:35.08ID:mpMazghg
「これが本当にクラリモンドであらうか、之が彼女だと云ふ何んな証拠があるだらうか。
0864格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:45:50.93ID:mpMazghg
あの黒人の扈従は外の貴夫人に傭はれたのではないだらうか。
0865格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:46:06.79ID:mpMazghg
この様に独りで苦しがつてゐては、屹度わしは気が狂ふのに相違ない。」
0866格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:46:22.65ID:mpMazghg
けれども、わしの心臓ははげしく動悸を打ちながら、かう答へる。
0867格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:46:38.49ID:mpMazghg
わしは再び寝台に近づいた。
0868格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:46:54.33ID:mpMazghg
そして再び注意して、疑はしい屍体を凝視した。
0869格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:47:10.17ID:mpMazghg
あゝ、わしは之も白状しなければならないであらうか。
0870格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:47:26.02ID:mpMazghg
其すぐれた肉体の形の完全さは、「死」
0871格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:47:41.76ID:mpMazghg
の影で浄められてゐるとは云へ、常よりも更に淫惑な感じを起さしめた。
0872格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:47:57.60ID:mpMazghg
そして又、其安息が何人も「死」
0873格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:48:13.46ID:mpMazghg
とは思はぬほど、眠りによく似てゐるのである。
0874格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:48:29.21ID:mpMazghg
わしは、此処へ葬儀を勤めに来たと云ふ事も忘れてしまつた。
0875格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:48:45.05ID:mpMazghg
いや寧ろ花嫁の閨へはひつた花婿だと想像した。
0876格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:49:00.93ID:mpMazghg
花嫁はしとやかに、美しい顔を隠して、羞しさに姿を残る隈なく掩はうとしてゐるのである。
0877格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:49:16.78ID:mpMazghg
わしは胸も裂けむ許りの悲しみを抱きながら、しかも物狂はしい希望にそゝられて、恐怖と快楽とにをのゝきながら、彼女の上に身をかゞめて、経帷子の端に手をかけた。
0878格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:49:32.51ID:mpMazghg
そして、彼女の眠を醒ますまいと息をひそめながら其経帷子を上げて見た。
0879格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:49:48.35ID:mpMazghg
わしの動悸は狂ほしく鼓動して蟀谷のあたりには蛇の声に似た音が聞えるかとさへ疑はれる。
0880格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:50:04.21ID:mpMazghg
汗が額から滝の如く滴るのも、丁度わしが大きな大理石の板を擡げでもしたやうに思はれるのである。
0881格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:50:20.07ID:mpMazghg
そして其処には実にクラリモンドが横はつてゐた。
0882格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:50:35.93ID:mpMazghg
わしの得度の日に見たのと寸分も違ひなく横はつてゐた。
0883格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:50:51.80ID:mpMazghg
彼女の姿は其時と変りなく美しい。
0884格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:51:07.71ID:mpMazghg
も彼女にとつては、最後の嬌態に過ぎないのである。
0885格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:51:23.56ID:mpMazghg
青ざめた頬、やゝ色の褪せた唇の肉色、其白い皮膚に黒い房をうき出させる長い睫毛、其等の物が皆彼女に悲しい貞淑と内心の苦痛との云ふ可らざる妖艶な容子を与へてゐる。
0886格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:51:39.43ID:mpMazghg
未だ小さな青い花で編んである長い乱れ髪は、彼女の頭にまばゆい枕を造つて、其房々した巻き毛は、裸身の肩を掩つてゐる。
0887格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:51:55.18ID:mpMazghg
聖麺麭よりも清く、浄らかな美しい手は組合せたまゝ、清浄な安息と無言の祈祷とを捧げるやうに、胸の上にのつてゐる。
0888格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:52:11.04ID:mpMazghg
未だ真珠の腕輪も外さない、裸身の腕が象牙のやうにつや/\と、円かな肉附きを見せてゐる艶めかしさに――
0889格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:52:26.81ID:mpMazghg
之のみが、反抗の意を示してゐるのである。
0890格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:52:42.57ID:mpMazghg
わしは長い間、無言の黙想に沈んでゐた。
0891格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:52:58.31ID:mpMazghg
すると、見てゐれば見てゐる程、わしには、「生」
0892格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:53:14.21ID:mpMazghg
がこの美しい肉体を永久に去つたと云ふ事が信じられなくなつて来た。
0893格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:53:29.95ID:mpMazghg
所が燈火の光の反射かそれはわしにも解らないが、(彼女はぢつと動かずにはゐるけれど)
0894格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:53:45.81ID:mpMazghg
其命の無い青ざめた皮膚の下では、再び血液の循環が始つたやうに思はれた。
0895格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:54:01.65ID:mpMazghg
わしは軽くわしの手を、彼女の腕の上に置いて見た。
0896格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:54:17.38ID:mpMazghg
が、あの寺院の玄関で、わしの手に触れた時よりも冷たくはないのである。
0897格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:54:33.27ID:mpMazghg
わしは再び彼女の上にうつむいて、温かな涙の露に彼女の頬を沾した。
0898格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:54:49.12ID:mpMazghg
あゝ、わしはぢつと彼女を見守りながら、如何なる絶望、自棄の苦悶に、如何なる不言の懊悩に堪へなければならなかつたであらう。
0899格無しさん
垢版 |
2018/05/08(火) 05:55:04.98ID:mpMazghg
わしは徒にわしの生命を一塊の物質に集めてそれを彼女に与へたいと思つた。
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

ニューススポーツなんでも実況