講談社の手塚治虫漫画全集ジャングル大帝のあとがきで、手塚治虫は、

「おわびをしなければならないことがあります。
それは、ジャングル大帝のもとの原稿を、半分近く紛失してしまったことです。
それで、この全集に収録されたものは、はじめのほうはみんな最近になって描きなおしたものだということです。
なぜ紛失したかというと、
虫プロダクションでジャングル大帝をつくることに決まったとき、スタッフが、本を読んで絵を練習したいといって、ぼくの図書室から、かなりの単行本を持ち出していったのです。
そして、ある男は、原稿まで持っていってしまいました。
ぼくはハラハラしながら、なかなか戻ってこないその原稿を待っていたのですが、そのうちに、その男がお酒に酔いつぶれて、自分のアパートで死んでしまったのです。
この突破事故にびっくりしたぼくは、あわてて彼のアパートを探してもらいましたが、
アパートの部屋は既に整理されてしまい、貸した原稿は結局行方不明になってしまったのでした。
ぼくは、わが子のように大事な、このジャングル大帝の原稿を失ったことで、声をあげて泣きました。」

と書いている。
現存する原稿の大半は、手塚プロダクションでルミが管理していると思われる。
もし、わが子に、わが子のように大事な原稿を売り飛ばされたら、手塚治虫は声をあげて泣くのではないか。
ルミ取締役をはじめ、手塚プロダクションのお偉方は、くれぐれもそのような愚行はしないでほしい。