>>244の続き)
(カリ城は)声優1年生で、かわいい声を作るテクニックもなく、ただ精いっぱい演じました
そう言えば私、最初の出番を忘れてスタジオを離れ、「あの子がいないぞ」って出演者を
困らせた失敗談があります(笑)
ナウシカ役のオーディションのお話をいただきました。指定された日に風邪をひいてしまって、
別の日にクシャナ役の榊原良子さんと2人だけでチャレンジしました。だから、ナウシカ役に
何人の候補者がいたのか知りません。ファンから贈られた原作漫画を読んで、私もこの役は
絶対やりたいと思っていたので、合格と聞いたときはとてもうれしかったですね
宮崎監督はオーバーな表現を求めていらっしゃいません。「王蟲(おうむ)の道…」という
最初のせりふを、いわゆるアニメ声で叫んだところ、いきなりNG(笑)。「独り言なんだから
大声はおかしい」と指摘されました。声優は、声に気持ちを込め過ぎるところがあるんですね。
それからは自然な演技を心掛けました。
試写会で完成作を見た時は、自分の下手さに加減に恥じ入って、終わった途端、会場を飛び出し
ました(笑)。それでも、腐海の底に沈んだシーンで、アスベルから「泣いてるの?」と尋ねられ、
ナウシカが「うれしいの」と答える、その演技を声優界の大先輩・永井一郎さん(代表作に
サザエさんの磯野波平役)に褒めていただいたことは、自分の中で誇りに思っています。

「天空の城ラピュタ」のシータ役もオーディションに挑んだんですよ。
「となりのトトロ」の収録の数カ月前に、私自身、出産を経験しました。現実はおぼつかない
新米ママですから、この役のように2人の大きな娘を持つことの実感はなかったのですが…。
母性を感じてくれましたか(笑)。声優は実際に母親になると、仕事でも急に母親役が増える
傾向があるみたいです。
「トトロ」は、ジブリ映画の中で一番好きな作品です。私のふるさとは高地なんですけれど、
自分の原風景が映画の世界と重なる気がします。
(続く)