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米国株式市場でアップルの下落が続いている。最高値を付けた9月から約25%下落。同じ期間のS&P総合500種指数.SPX(約7%下
落)と比べると、下げのきつさは歴然としている。売りの要因は、キャピタルゲイン税が来年上がる可能性だ。

米国で1位のアップルの時価総額はこれまでに約1700億ドル減少。コカ・コーラの時価総額を若干上回る規模が吹き飛んだ計算だ。
それでも2位のエクソンモービル(XOM.N: 株価, 企業情報, レポート)には約1000億ドルの差を付けている。

減税の失効と自動的な歳出削減で来年から財政が大幅に引き締められる「財政の崖」問題。キャピタルゲインや配当にかかる税率が
来年から上がる公算のため、アップルのように上昇していた株について利益を確定する動きが強まっている。「財政の崖」回避に向けた
政府・与野党の協議の行方が見通せないため、押し目を拾う勢いも乏しい。

BB&Tウェルス・マネジメントのシニアバイスプレジデント、バッキー・ヘルウィグ氏は「売りの要因の一つが税率の問題だが、買いの方
も、協議の行方が不透明で先延ばしされている」と述べた。

減税措置の対象となっているキャピタルゲイン・配当税は現在15%だが、年末で失効し元の税率に戻ると35%になる。

アップル株は2003年から、金融危機に見舞われた08年の除いて毎年上昇してきた。今年も、最近下げているとはいえ、年初来では約
30%上昇している。

ウェルズ・ファーゴ・プライベート・バンクの副最高投資責任者(CIO)デビッドソン氏は「アップル株のように上昇してきた株は売りの対象
になる」と指摘した。

アップル株は14日や50日の移動平均を1カ月以上の間下回っている。これは短期、中期なモメンタムがネガティブなことを示す。

トムソン・ロイター・スターマインの予測によると、アップル株の本質的な価値は1株=約833.90ドル。16日の市場終値は522.678ド
ルだった。

フェデレーテッド・インベスターズの株式チーフストラテジストのフィル・オーランドは、アップル株の価値が市場価格より高いとすれば、最
近の株価低迷は税問題への懸念が原因、と指摘する。同氏によるとアップル株の価値は「750ドル相当」。「今後1─2年間に50%上昇
するはずだ。今の水準はとても魅力的」と述べた。