>>426
「あーあ、また今日も仕事かよ。めんどくせえなあ」
ベッドから起き上がったデュードの第一声はこれだった。
いつものグレイの絵柄がプリントされたTシャツに、黒いコートを着服すると、キッチンへ向かった。
「さあて、朝の一杯からと。え〜牛乳は〜っと・・・あれ?」
デュードが冷蔵庫を開けると、扉側のほうにあるべきはずの牛乳パックがなくなっていた。
その後ろのコンロの前で、翠星石は申し訳なさそうな顔をしてデュードのほうを見ていた。
「ごめんなさいですぅ。牛乳はスコーンを作るために全部使ってしまったですぅ」
その言葉にデュードの血管はブチ切れた。
「ふざけんなコラァ!俺の楽しみを奪いやがって!」
「ひぃ!でもせっかくデュードのためにスコーン作ったんですよ。食べてくださいですぅ」
そう言ってスコーンののった皿をデュードに差し出した。
「いらねえんだよこんなもん!」
デュードはそれを手で撥ね退け、下に落ちたスコーンを何度も踏み付けにした。
「ああ!せっかく翠星石が焼いたスコーンが!ひどいですぅ!」
「てめえが俺の牛乳を盗んだことに変わりはねえ!それに俺はドーナツ派なんだよ。スコーンなんて硬いもん食えるかボケ!」
「そんな・・・翠星石はデュードのためを思って・・・」
「盗み食いに容赦はしねえ!」
デュードは翠星石を頭から鷲掴みにし、窓に向かって放り投げた。
玄関から出ると、ガラスの破片まみれになった翠星石が横たわっている。
「俺が帰るまでにガラスと床の掃除しとけよ!てめえの責任なんだからよ!」
そう言い残してデュードは仕事場へ向かった。