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動画で解説される苦々しいバックグラウンドを知ったうえでもう一度映画を観てみると、それに抗わんとするキャラクターたちの健気さに一層心打たれること間違いないだろう。

また、一見しただけでは些細なものにしか見えない描写への拘りは、本番組で繰り返し採り上げれられるジブリの作品にも共通する特徴である。
世界的なアニメスタジオがいかにクリエイティブ上の圧倒的地位を得ているのか、その由縁をこの動画で垣間見ることができる。

そのためにもぜひ動画を観ていただきたい。


【3.構造の解釈『魔女の宅急便』特集】

●大人の鑑賞にも耐える作品とは

『千と千尋の神隠し』は『魔女の宅急便』の続編であると言ったら、どう思われるだろうか。
またジブリ映画にありがちな都市伝説の類か、と少し怪訝な顔をされるかもしれない。

しかし、捉え方によってはこれは筋の通った主張になるのだ。
どういうことか、見てみよう。

この回も例のごとくカットの分析から始まり、それらが「現代の社会で女性が遭遇するであろう話を描くんだ。」
という宮崎駿監督の言葉を裏付ける手がかりであるとして、『魔女宅』の本質に迫っていく。

ここで重要なのは、宮崎駿監督があらゆる演出を作品の意図に向けて設計しているという姿勢をとっていることである。

私はこの設計が機能した時、作品の中に「体系」とでも呼べるものが現れると思っていて、それが存在することが名作の条件だと思っている。
他の動画で何度も岡田氏が解説するように、高畑勲監督は特にこうした体系の構築に優れた作家であった。
また、最近だとポン・ジュノ監督の『パラサイト』はこの体系構築が秀逸な作品だったと私は考えている。