男女別学高校出身者の教育および労働市場のアウトカム(RIETI)

OLSの推定結果から、男性の場合、別学出身だと難関大進学確率が6.52%ポイント高く、賃金が12.0%高い。観察されない将来のアウトカムを高める要因を持つ人が別学を選択している可能性はあるものの、別学高校自体の影響がある可能性もあるだろう。既存研究を整理してこの背景を考えると、①男子校において比率が高いと考えられる同性教師からポジティブなステレオタイプに従った教育を受ける、②同性教師が規律や学級秩序をうまく管理したりすることにより成績を高める、③男子校における同性のみの環境において異性の目を気にせずに勉強に集中できる効果がある、などの可能性が考えられる。
(中略)
まとめると、本研究が分析の対象に選択した高校でのリーダー経験、難関大学進学、理系学部進学、賃金について考えた場合、女性にとって共学の方が別学よりも有利な選択だと言える証拠はなく、男性にとってはむしろ別学の方が将来の賃金のためには有利である可能性があることが分かった。これらのことは、共学化が進む日本の教育政策を考える際のひとつの材料になるだろう。