依頼者は2階の物置部屋みたいなところに私達を案内してくれて、そこでちっさい箱を見せられた。
箱は丁寧に丁寧に包まれていて、開けると干からびた紐、臍の緒が入ってた。

「こちらは、僕の曽祖父の代からあるらしい物なのですが、最近この箱に呼ばれるような、そんな感じがするんです。」

聞くと、こちらのお宅では産まれた方の臍の緒を保管し、葬儀で一緒に燃やしてしまう風習だそうで。
うっかり棺に納め損ねた、誰のものかすら良く分からぬ臍の緒を、捨てるに捨てることができずずっと保管し続けてしまったとのこと。