昔来てくれていた家庭教師が霊感強い人だった話
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話はある程度脚色するが、事実に基づいて書くつもりなので
オチや幽霊と格闘、というような派手な展開はない。
ちなみに俺は霊感皆無だしそういう超常現象に居合わせたことも無い。
見てくれる方いらっしゃるようであれば、遅筆だが書いていこうと思う。 ある日、先生がいつものように授業に来てくれて授業をした後、また何か話をして欲しいと俺はせがんだ。
じゃあこの前あった事を、と
その時の事を先生は他愛もない世間話をするかのように笑いながら話し始めた。 ある喫茶店の店主から、知り合いを通じて先生に連絡があった。
最近雨が降ってもいないのに、お店の部屋の隅がずっと雨漏りしたようにぐっしょり水に濡れている。
部屋の壁が濡れた染みがずっと消えずに困っている。
そこには水道管が通っている訳でもない。
2階建ての1階でその濡れている箇所は建物の角でもなく、他の部屋と隣合ってる所の角にあるので外から水が入ってきたり、
どこかに貯まっていたものが染み出しているとも考えにくい。
しかも数年前からこのお店はあるとの事だか、この現象が数週間前から急に始まったという。 店主自身は霊感がある訳ではないが、何をしてもその水漏れは直らなかったため、
そういう何か良くない雰囲気は感じていたようで、
知り合いからその先生の話を聞いて今回依頼することになった。
先生は現場にいつもの除霊セット、数珠とお寺で清められた塩、御札を持って向かった。
向かう途中、先生は車の中で頭痛がしてたまらなくなった…
強い霊がいる時にいつもなるやつ…。何とか耐えて現場に到着した。 店に入った瞬間寒気がした。天気のいい昼間なのに心無しか薄暗いしジメジメしている。店の窓のある方角的に日当たりは悪くないはずなのに。
そして現場を確認する。 店主から事前に説明されていた状況と一致する…ただ、先生が店主から聞いていた以上にヤバい、と思った。
その濡れたシミがどう見ても女性の顔のように見えていた。
店主は何も言っていないので恐らくは気づいていない、女性は見えていないので先生は黙っておくことにした。 大抵濡れている、ということは水周りに何かあると先生は経験則で思った。
まず厨房を見せてもらったが、特に何も無い。
小さい喫茶店のため他の行けるところは限られている。
次は洗面台、トイレに向かう。
先生はここにいるなと確信していた。
そしてトイレのドアを開けた。
あった、これだ。 トイレの壁になんとも言い表せられない抽象画がかけてあった。
油絵の具で描かれたそれは、何なのか先生には全く理解が出来なかった。 大きさは横長、おそらくB3とかそれくらい。
普通に大人1人が持ち運べるようなサイズのものだった。
色もなんと言ってよいかわからない、黒、赤、緑ともとれるような色だった。
絵には詳しくないので実際にこの絵が何を描いてあったかまでは分からなかったが、
その絵に描かれたものがやばいもの、というよりもこの金色の立派な額縁に入ったそれは、禍々しい雰囲気を放っているように感じられた。
この絵を描いた人の怨念ではなく、この絵を手にしていた人に何か原因があるのかもしれない。 この絵はどこから手に入れてきたのかと店主に尋ねた。
店主はこの前の蚤の市で安くで買ってきたのよ〜いい買い物でしょ?と。
その店主のお気楽な返事を聞いて先生は呆気に取られた。
おいおい…こんな明らか怪しいもの買ってくるなよと。
店主曰く、この額縁が高級感あるし雰囲気出ると思ったからだと言っている。
なにか店主が悪いことしたのでは?とんでもない曰く付きの絵画なのでは?と
当時の俺もワクワクしたが、本当に大したことない理由だった。
まあ現実はこんなものである。 まあ、店主は何も感じられない方なので仕方がない。
原因はこの絵にある、と伝える。
ええ〜っと反応をする店主。
この絵は先生が然るべき所でお祓いし、焼却することになった。
いいもの手に入れたと思っていたのにな…と、
この期に及んで残念そうにする店主だった。 それから早速、絵を取り外すため固定していた釘を抜ことするが、
何故か全く釘がぬけず、バールなどで外そうとしても梃子でも動かず。
しばらくその絵を取り外すため先生は格闘することになった。 ひとまずその濡れてシミになっている店内の壁をお祓いをすることにした。
店主がどうこう、というよりもこの絵の前の持ち主におそらく問題があったのであろう。
でも今となってはその前の持ち主を見つけようもないので、
何かとりついている絵画がどうしてこうなったかは知るすべもない。
いつもやっているようにひとまず祓ってみるか。
持ってきた塩と御札、先生のお経でしっかり清めた。
女の顔と目が合う…でも続ける。大丈夫、この感じなら祓える…。
黒いモヤが立ち込めてくる、
いつもの頭痛がガンガンするけど、お経を続ける。
最後にお札を貼る。
特に具体的な姿や声を放つことなく、先生はくたくたになったが、
いったんこの何かを抑えることはできた。 これは余談だが、
当時先生の話もあってか俺は、結界師とかそういう妖怪退治ものにハマってて、
悪霊退散的なかかっこいいキメ台詞やポーズもしないのか聞いた。
そんなカッコつけてる余裕ないわ!って言われたわw
しかも先生がやる程度のお祓いなら霊感ない人がそばで見てても何にもわからない、
マジでそばで見ててもただお経唱えている人がいるだけで地味だと思うよ、実際に店主も横でただ見守ってただけだし…
と先生。
あのテレビで見るやつは演出だったのか… 特に霊が暴れてくるとかは多分なかった、と思う。
派手に格闘することもなかった。意外とすんなり先生のお祓いを受け入れたのであろうか?
お祓いの時に現れた黒いモヤもなくなっていた。
再度トイレに入って壁から絵を外した。
今度は普通に外すことができた。
先生はその絵をお世話になっているお寺でお祓い、焼却した。
その店主もおそらく大丈夫ではあったが、一応一緒にお寺でお祓いをしてもらったとのこと。
そうやって今回の依頼は無事に終わった。
後日、もう水漏れやシミは無くなったという店主からの連絡があり一件落着した。 喫茶店の壁の水漏れの具体的な原因、絵の真相は謎、答えもオチもない話。
見てくれてた方は盛り上がりが欠けるな、と思ったかもしれない。
でも子どもの頃の俺は、こういう先生の不思議な話が好きでよく聞いていた。
他にも色々と聞かせてもらったのに、もう殆どうろ覚えになってしまった。
ただ、この話だけはなぜこんなに鮮明覚えているのかと言うと
その話してくれた後、先生が見せてくれたものに原因があった。 先生はあのお祓いの後、お風呂に入って体を洗っていたらボディタオルが血に染っていることに気づいた。 なんでだろう?
怪我した覚えないのにと鏡を見ると、身体中が切り傷だらけ、
引っ掻いた後のような、みみず腫れだらけになっていた。
ありえない、服を来ていて露出していなかったところまで傷だらけになっている。 >29 ごめんな、先生一人称視点で語ってたから先生が見た話。 ああ、今日祓ってきたやつだな、とすぐわかった。不思議と痛いはずなのにそれまで気づかなかった。
でもその傷見たあとはすごく痛かったけどな!と先生。
俺はその傷を見せてもらった。 確かに、カッターで切ったような傷が先生の腕やら肩、自分では届かないようなうなじ、
ぺろっとシャツをめくって見せてくれた背中にまでその切り傷が及んでいた。
仮に先生が自分でしたにしても、絶対に届かない場所だ。
よく見たら手の甲とか、見えるところにも傷があったことに後から気づいた。
俺がその傷を見て、ぞわっと全身に鳥肌がたったことは想像に難くないと思う。
時間が少し経っていた傷とはいえ、異様な先生の傷だらけの身体は、
子どもながらに本当に怖かった。 なんで先生はこんな大変なことしてるの?ちゃんとお給料貰ってるの?
とその傷を見て、さすがに心配になって俺は聞いた。
でも先生は、
先生は専門家じゃないし、自分ができることをしてあげてるだけだから、
こういうことではお金を貰ったら良くないんだ。バチが当たっちゃう笑
と言っていた。それも印象的で、俺の中で未だに残っている。
結局この先生には大学受験までお世話になったが、
進学して地元を離れた俺はそれ以来連絡を取ることもなく、今どうしているかもわからない。
最後まで見てくれた人はありがとう。
これでこのお話はおしまい。 >35 ありがとう!急に先生のこと思い出して、誰かに聞いてほしくなったんだ。 >37 俺が高校の卒業する頃30ちょっとくらいだった気がするから、
多分今頃は40半ばから50くらいかなあ… このスレもうなくなっちゃいそうだけど、もしも
この先生の話また聞きたいって人いたら、何とかうろ覚えの件思い出して書いてみようと思う。
まあただ俺が当時、あの先生のことが面白くて大好きだったから、
みんなに聞いてほしくて、その自己満だけども…。
なんであんなに大好きだったのに連絡とらなくなっちゃったんだろうなあ。 なんでスレ立てちゃったの?
5ちゃんねるのルールも知らないの? >42 何か俺があなたの気に障るようなことをしてしまったのでしょうか?
もしそうだとしたら教えてほしいです、無知で申し訳ありません。 >43 うーん、中肉中背だったw
たぶん小さいって思ったことないから170はあったと思う。 >>44
すでに存在するスレに書き込める内容ならそちらに書き込むのがルール
無駄にスレを立てて板のリソースを消費しないこと
一つの体験談ごとに一つのスレを立ててたらとんでもないことになるのぐらいわかるだろ >>47
申し訳ありませんでした、
ご指摘ありがとうございました。 >>42
言うなら早くしなさいよ終わったあとにうだうだ言いなさんな
所詮ここはチラ裏、息苦しくなるような無駄な正義感出さないでいただけるかな? >>49
スレが立つのを24時間監視してるわけにもいかないからね
さっき気づいたから書いたってだけ オレは他のも聞きたい
スレ主よ、思い出しながらでいいからよろしく頼むわ 専スレが必要なくらいたくさん投下すればいいんだよ
だから他の話はやくするんだよ また先生の話聞きたいって言ってくれみんな、ありがとう!
俺の大好きな先生だったから、興味を持ってくれた人がいて嬉しいよ。
スレ立ての件は無知で申し訳なかった。
指摘してくれた人も、庇ってくれた人もありがとう。
ひとまず、せっかくなのでもう少しこの先生の話思い出して書いていこうと思う。
この前書き出したことによって色々と芋ずる式に思い出してきた。
ただ、うろ覚えのところもあるので俺の想像も入るかもしれないが、楽しんで貰えたら幸い。
思い出しながら書くので、気長に待ってくれると嬉しい。 ありがとう!聞きたい!
あとトリップつけた方がいいぞ〜 そういや、俺全然心霊とか体験したことないって言ってたけど、アレ嘘だった…ごめんw
今まですっかり忘れていたが
先生の話をしていたら、そういう経験があったのを思い出したので、
先生の話を交えつつ、次の話は俺視点中心で話を書いていこうと思う。 >>57 本当だ、ID変わってた…
気づかなかったお恥ずかしい。教えてくれてありがとう。 >>58 また遅筆でお待たせするけど、また見てくれると嬉しい。 俺は学校行事、研修旅行へ行く頃になっていたので、
その話をいつもの授業後の雑談タイムで先生に話していた。
先生は「お前も、ついに行くことになったんだな…」と
なんだかしみじみしてる反面、心配そうな雰囲気も醸してた。
少しひっかかる感じはしたが、その時は自由時間はどこへ行くだとか、
先生はお土産何がいい?とか他愛もない楽しい話をしてその日は終わった。 そしてその次の授業の後、
渡しておく物がある、とジップロックに入った謎の粉を先生は渡してきた。
ヤバい薬か……?遂に先生…と俺は一瞬思ったが全くそんなことはなく、
先生がいつもお祓いの時に使っているお寺で特別に清めてもらった塩だった。 なんだなんだ?先生の弟子にされるのか?と、
ちょっとだけ期待したが、俺の想像とは全く違う話をしてきた。 「あのな、今度俺ちゃん(俺はちゃん付けで呼ばれてた)
が研修旅行で泊まる予定のホテル……出るんだよ」と。 俺が通ってたA高では、毎年研修旅行の際は
いつも同じ旅館に宿泊するらしいのだが、
決まって金縛りや霊が見えたりだとか、そういうことが起こったのだという。
先生は家庭教師の他に、塾講師もかけ持ちをしていた。
その塾生の中には俺の先輩に当たる人たちも沢山いて、
先生は毎年その話を聞いていたんだそうだ。 先生が怖いくらいウチの学校通だったのはそのためだった。
何故か俺の知らない情報もよく知っていたし、しかも霊関係の話。
…もう俺に疑う余地は無かった。 うっわ〜俺にも遂に心霊体験をすることになるのか!?
と怖がりつつ、不謹慎だかちょっとワクワクもしつつ、
詳しく先生から話を聞いてみた。
だか俺自身はどうやら守護霊にしっかり護られているみたいなので、
その霊がヤバいものは見せないようにしてくれてるから恐らく大丈夫とのこと。 先生が俺に頼んできたのは、
旅行中にもしそういった霊障に苦しむ人が出て、
助けてあげられる状況ならば助けてあげて欲しい、ということだった。 でも、そんなの俺は初めてだし、霊なんて見たこともないし
どうしていいか分からない。
俺なんかに何かできるとも思わなかった。
ひとまず何かあったらその塩を撒いたり、盛り塩をしたり、それが難しい状況なら
舐めたりするだけでも効果があるのだそうだ。 あとはこれを……と
先生はカバンから某神社の御守りを取り出した。
この神社の御守りはそういう悪い物を祓う力がかなり強力らしくて、
これを持ち歩くだけで効果があるから持っていきな、と俺に手渡してくれた。 なんだか霊験あらたかな感じがするその御守りが頼もしくも思いつつ、
先生がこんなものを渡して来たという事実が、逆に俺に不安にさせた。 それを感じたのか先生は
「これは念のため、保険だからそこまで気にするな。
しっかり折り畳み傘を持って行った日に限って雨が降らなくて、
何も持ってない日に限って時雨が降るのと同じだよ。
先生は一応渡して怖がらせたけど、そういうことが起こるとは限らないから。
せっかくの旅行だし、しっかり楽しんでおいで!」
と、笑って言った。
それから先生は買ってきてほしい欲しいお土産へ話を移した。 前置きが長くなったが、
俺は先生が渡してくれた塩入りジップロックと御守りをしっかりと携え、
1泊2日の研修旅行に向かうことになった。 ひとまず前半戦終わり。
他の用事あるからいったん落ちます。
待ってくれてる人ごめんね。 明らかな嘘や矛盾点を指摘するとそこは脚色だと言い訳するんだろうな
脚色ってのはオチも無いクソ駄文を最低限読ませる為にするもんだろ 待っててくれた人ありがとう。
ちょっとだけ続き書き溜めたので載せてく。
駄文でごめんな。一生懸命書いてるんだが;;
俺の文章が合わない人は今回はご縁がなかったということでそっとこのスレを閉じてくれ。 旅行出発前は、色々と何かあった時カッコよくクラスメイトを助けられるよう
脳内シュミレーション()したこともあったが、旅行当日になった頃にはすっかり忘れてて、
友達と騒ぐのに忙しかったし、
実際目的地に到着した後も学級委員だった俺は雑務に追われてそれどころではなかった。 そしてグループ行動した後、例の旅館に到着した。
ごく普通の中流の旅館だった。
流石に旅館に入る時には先生に言われたことを思い出したが、それよりも腹が減ってたから
飯何かな〜が脳内の殆どを占めていた。 ひとまず自分たちの部屋へ入った。
同じ部屋のひとりの奴が、こういう絵の裏に御札とかあったらヤバイよな〜www
ってひっくり返したり机の裏とか見てたりしてたけど、特に何もなくて俺はちょっとホッとした。
先生に言われたことをみんなに言おうかと考えもしたが、
何となく塩とか御守り持ってたら、からかわれる気がして言えなかった。 そして特に何事もなく飯と大浴場を満喫して、
消灯時間を迎えることになった。
消灯後も話す奴やら、女に電話してる奴もいた。
俺は明日バス酔いしたら嫌だから、早々に眠りにつくつもりで布団を頭まで被った。 だがしばらくすると、隣の部屋が騒がしくなりだした。なんだよもう早く寝ろよ、うるせぇな〜と
俺はイライラしたが、
部屋にいた生徒が先生を呼びに行った様子で、
なんかヤバいことでもあったのかな?と部屋の奴らも起き上がって外と隣の部屋の様子をうかがいだした。 俺も他の奴らと一緒にその部屋へ向かった。
ただ、ふと何となく
鞄のすぐ出せるところに入れていた
先生の塩と御守りを持って向かっていた。 扉が空きっぱなしだったので部屋に入らずとも中の様子がわかった。
そこにはM君が泡をふいた状態で布団の上で、息苦しそうに、身体を硬直させていた。
M君は独り言をよく言う、ちょっと変な奴だった。俺が苦手なタイプだ。
猫背気味のガリガリ体型でテニス部所属。
いつも一人でいる、いわゆる陰キャ。 俺も全然しゃべったことなかったし、同じ部屋の奴らも彼の普通でない様子を見て、不憫に思いつつもドン引きしているようだった。
その時のM君は正直、気持ち悪かった。
でも先生の顔が浮かんだ。
これまで熱中症とか貧血で倒れた人は見たことはあった。
でも今まで見たそれと違って、わからんけど普通じゃないやつだ、
って思った。 確かに気持ち悪いし、何をしてあげたら良いのか分からないにしても、
M君がこんな状況になってるのに
教員を呼びに行く以外誰も何もしてやっていないのが可哀想だった。 野次馬やら同室の奴らを通り過ぎ、
物凄くビビっていたが、
俺はM君の耳元で声をかけた。
俺の聴こえているような反応だが声が上手く出ないようだ。
息苦しそうで、上手く呼吸が出来ていない。
何からしたらいいかわからなかったが、
ひとまず先生の御守りをM君に握らせた。
彼の手はぶるぶると痙攣していた。 俺はそれから塩も撒くためにジャージのポケットからジップロック出した瞬間、
旅館の布団に塩ぶちまけるのもな…と妙に冷静な考えが出てきてしまい俺の手は止まった。 するとその隙に担任が到着してM君の様子を見て、
お前らこの部屋から出ていきなさい!!!自分の部屋に戻りなさい!!!
と部屋で怒鳴り散らしていた。
「 この御守り、効くらしいからずっと持っててな」
とだけM君の耳元で伝えて先生の言われるままに俺は自室に戻った。 怒られるのを厭わずに強引に塩撒いてたらもっとすぐに解決してたかもしれないけど、
いい子ちゃんだった俺は、怒られるのに慣れてないし、塩なんて撒いて変人扱いされるのが怖かった。
せっかく持ってきた塩は、その時は使うことなかった。
後から思えば、もし霊関係でM君がこうなってたわけでなかったら
御守り持たせてた時点でヤバい奴だけど。 その後はみんなコソコソと何があったんだとかそういう話で盛り上がったが、
俺は何もしてやれなかった自分にちょっとだけ自己嫌悪した。
何かしたところで解決していたとは限らないけども。
先生の不思議な話は大好きだったし信じてたのに、
なんかガチで信じてる周りに思われるのはその時は恥ずかしく感じた。 俺はぼんやりそんなこと考えながら、適当にみんなと会話をして、
そのままいつの間にか眠りについていた。
翌朝、朝飯の時にM君を見かけなかったので、
早速その後の様子を同室だった奴らに聞いてみた。
まあもう既にうちのクラスはその会話で持ち切りだったんだが。 あの後、どうやら過呼吸だったM君は教員に適切な処置を受けて、
しばらくしたら落ち着いて会話もできるようになったので、
そのままその部屋を離れ、別室でM君は眠ることになったらしい。
旅館を出る前のロビーで、やっとM君の姿を見かけた。
みんなと離れた所にいた。
俺は彼に話しかけた。 俺「あの後、大丈夫だった?」
M「うん、何とか。」
俺「昨日のあれ、何だったの?」
M「えっと、あの…金縛り…俺、よくなる体質で、今回のこの旅館、何となく噂あったし…。
絶対にみんなの前でなっちゃダメなのにって思って意識してたのになって……
それで余計にテンパって…過呼吸にもなって…
でも、あの、御守りありがと、返す…」 M君は話をするのが苦手なようで、どもりながら喋った。
そしてM君が取り出した御守りはものすごい力で握られていたのか、中の御札?が折れて
全体的にぐしゃっとなっていた。 M「…ごめん。」
こんなくしゃくしゃの御守りを俺がまた持って帰るのも嫌だった。なんか怖いし。
俺「いや、大丈夫、なんかM君が持ってた方がいい気がする。
俺もこれ人から貰ったんだけど、ちゃんと事情話しておくから」
M「あ、ありがとう…」
俺、 M「………」 その後、俺は塩入りジップロックを取り出した。
俺も昨日のことでちょっとビビってて、
ちょっとは手元に残しておきたかったのでまるまる渡すことはしなかった。
大型バスに大抵ある緑色のエチケット袋を俺はゴミ袋用に取っておいてあったので、
それに先生から貰った塩の半分ほどを入れて口を縛り、渡してあげた。
この塩の効果自体よりも、これを持つことで
M君が少しでも精神的に安心できるなら、と言う俺なりの思いやりだった。 M「あ、あの、俺……。こんな金縛りによくなるとか、そんなことみんなに言ったら、
キモがられると思って、言えなくて……それで…」
俺「そっか。」
俺は昨日悶々と考えてたことを思い出した。
俺もその気持ちなんとなくわかるよ、
と言葉に出してM君に言ってあげることは
その時の俺には出来なかった。
結局、幽霊のせいだったとずっと俺は思っていたが、
今思うとM君の精神的な問題もあったのかもしれない。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています