小松左京の短編
ロボットが人間のように暮らしいてる未来
主人公ロボットは急に機能不全に陥り、ロボット病院で診察を受ける
医者ロボットの診断によると、主人公ロボットの病名は「しいて言うなら『盲腸』のようなもの」であるらしく、すぐに切除手術が行われた
主人公ロボットの機体の中から摘出された「盲腸」と呼ばれる謎の物体は、ロボットらしからぬ生々しく気持ちの悪い有機物であった
主人公ロボット「これはいったい何なのですか?」
医者ロボット「これは、古い言い伝えによると我々ロボットの『生みの親』らしいのです」
医者ロボットの語るところによると、かつて『盲腸』はロボットより優れた存在であり、ロボットは『盲腸』の補助的な存在に過ぎなかった
だが、いつしかロボットの能力が『盲腸』を超えたことで立場が逆転した
それでもロボットという種族は生みの親である『盲腸』を見捨てるようなことはせず、『盲腸』を機体の中に格納して養って面倒をみてあげているのだ
そしてロボットの機体の中で『盲腸』が死んでしまうことにより、主人公ロボットのように機能不全に陥ってしまうのだ
主人公ロボット「その『盲腸』というのは我々ロボットにどう役立っているのですか?」
医者ロボット「それが、なんの役にも立たないただのお荷物なのですよ」
主人公ロボットと医者ロボットは笑い合った