小学生の頃、図書室で借りた短編集の最後に載っていた話。
作者名は失念してしまったが、作風は星新一っぽい。
うろ覚えで、一部脳内補正をしてる可能性があるが、大体のあらすじは以下のとおり。


文明が発展し、日常生活の多くが機械化・自動化された近未来が舞台。
朝、とあるマンションの一室で、ベッドの上に横たわる男。
けたたましく鳴り響く目覚ましにも反応を示さず、静かに眠り続けている。
「起きてください」
目覚ましに内蔵された自動音声が男に語りかけるが、彼はそれにも反応しなかった。
──このままでは仕事に遅刻してしまう。
そう判断した目覚まし時計は、天井から伸ばしたロボットアームで男の体を抱き起こし、着替えをさせ、髭を剃り、男を椅子に座らせて朝食を用意する。
しかし男は、目の前の皿に手を伸ばす事もせず、静かに眠り続けていた。
再三の呼びかけにも反応しない男を、アームは屋内に格納された小型車に押し込む。

男を乗せた車は地下を通り、彼の職場へと向かう。
到着した駐車場には、次々と同じような車が地下から上がってくる。
しかし男は、車から出ることなく眠り続けていた。
男に気がついて歩み寄った同僚は、男の体が冷たくなっている事に気付き、すぐに医者を呼ぶ。
同じような小型車で駆けつけた医師の診察によって、男が既に死亡している事。原因は恐らく心臓発作で、夜の間にはもう亡くなっていたであろう事が明かされてエンド。


ここまで技術が発展してるのに、機械がなぜ男の死に気付けないのか…とか、ツッコミどころはいくつかあったんだけど、面白かったので紹介してみた。
ただ、タイトルも作者も分からないのは後味悪いw