石じじいの話です。

さらに海の話を。(知り合いの漁師の話と朝鮮での話が混じっているかもしれません。)

船が20頭ほどの鯨に取り巻かれたことがありました。
その鯨たちは1時間ほど「歌」をうたっていましたが、それはとても不気味だったそうです。

直径1メートルほどのクラゲが何百匹も一斉に船の周りに浮かび上がってきたことがあり、これも不気味だったそうです。

霧にかこまれた時に、船の周りを、たくさんの船が取り巻いたことがあったそうです。
それらの船からは、人の声が聞こえて、灯りも見えたのですが、すぐに消え去りました。
港で尋ねても、その海域で漁をした船はいなかったのです。

車ほどもある大きな亀を見たことがあるそうです。
船の脇をゆうゆうと泳ぎ去ったと。

港の近くの海で、漂っている古い船に出会いましたが、そのマストから死体が吊り下がっていたそうです。
その死体は、随分腐っていたんでいました。
首吊りではなく、からだがロープで縛りつけられていました。
苦労して港まで曳航したそうです。
(その人物の身元についてはメモにありません。)