石じじいの話です。

じじいの話の聞き取り末期の記録です。詳しい内容になっています。

願いをかなえてくれる家があったそうです。
マヨイガのようですね。
その家は廃屋で山の中にあります。
奥の間に祭壇があって、その前で一心に祈ると、自分の願い事が叶う、と。
その祭壇は仏壇でもなく神棚のようなものでもなかったそうです。
何もお供えをしなくても良い。
ただ行って、その前に伏して願えば良い。
願い事を口に出しても構わないし、念じるだけでも良い。
まあ、あやしい話なので、ほとんどの人は信用しませんでした。
ただ、ある男性は、それを行なって願いがかなったらしく、他人に、熱心にその効能を吹聴していました。
彼が言うには、その家にまっすぐ行くのではなく、あるルートを巡って行かなければならない。
それは、遠回りなのですが、そうしないといけないのだ。
この方法は、ある人が教えてくれた、ということでした。
しかし、教えてくれた人が誰か?また、その家に行く道順も教えてくれなかったので、他の人は全く信用しなかったのです。
当然でしょう。
変わり者の嘘つきだ、という悪い噂さえたったようです。
(つづく)