石じじいの話です。

じじいが子供の頃の話です。
じじいの家には広い畑があり、そこで、いろいろな野菜を作っていました。
毎年、初めての夏野菜(種類失念)がとれたときに、それを収穫して「水神様」に捧げるのが、子供じじいの役目だったそうです。
皆様のところに「水神様」の信仰がありますが?
私の子供の頃にも、たとえば、池や川にションベンをひりちらかすと、水神様が怒ってバチがあたる、と言われたものです。
チXコが腫れる、というのがバチである場合も、もっと「怖い」バチがあったことも記憶しています。
そのため、今でも、水がたくさん溜まっているところに小用を足すことをひかえます。
さて、毎年、子供じじいは、作物のいくつかを紐で縛って、近くの大きな川に流しにいったそうです。
それは、流れていくのですが、まあ、あまり距離を運ばれないうちにどこかに引っかかってしまっていたでしょう。
それでも、そうすることで水神様にお供えができるのだ、ということでした。
ある年、じじいは、思うところがあって、そこらへんの木の枝でナイフで「仏像」のようなものを彫っていました。
じじいは、かなり器用だったのです。
それを、そのお供えものの野菜と一緒に川に流したそうです。
別に、流すために「仏像」を彫ったわけではありませんでしたが、まあ、なんとなく、という感じだったと。
その仏像に、自分の名前や、お祈りの文句を墨で書き込んでいました。
(つづく)