山には気をつけろ。
京都府南部の山に行ったときのことだ。
滋賀や三重にも近く、場所はあいまいなんだが、娘をのせた車で脇道に逸れて走っていたんだ。ちょっと面白いだろうと思ってね。
でもタイヤが脱輪して止まってしまった。しかたなく車中泊することに。寝ていたんだが、なんだか音がする。
「テン、メツ、ソウ」だったか妙な声のような音が前の方からして、横をすぎて後ろにいった。
なんだろうと思って横で寝てる娘をみたら、そこの窓からへんなのがみてる。コラッと叫ぶと、そいつは消え、娘がつぶやきだした。
へんになってる。車にエンジンをかけ、アクセルを踏むと動いたので、そのまま近くの寺にかけこんだ。まだ人がいて、住職的な人にこれはいけないと預かってもらった。
しかし、娘は助からなかった。
おまえら、山には山城半分で行くな。