石じじいの話です。

じじいが石探しの旅をしていたときに現地の人が話してくれたことです。
眠っている間に敷布団の下に絵が入っていることがあったそうです。
その布団の下に敷かれている絵は水墨画で、なかなかきれいな女性を描いていたそうです。
水墨画で美人画というのもちょっと変ですが。
絵は、墨が乾ききっていませんでしたから、描いて時間がたっていないもののように思えました。
布団を汚すということはなかったようですが。
それが続くので、その「美人画」はいくつもたまっていきました。
自分で床をのべて自分であげるので、寝る前や後に誰かが入れたのではない。
寝ている間に誰かが入れているのではないか?
家は雨戸を閉めて戸締りをしているので(そのような季節でした)外部からの侵入は容易ではなく、家人の仕業だと思われたのですが。
家人に確認しましたが、そのようないたずらをする者はいない。
また、それほどの絵心のある者もいない。
その人は眠りが浅いほうなので体が動かされたら目がさめるだろう、ということでした。
眠っている間に夢遊病のように自分が絵を描いて自分の布団の下に入れているのではないか?とも思ったそうですが、その人には絵の素養も無いし、筆墨も使われた形跡がない。
自分が一晩中おきていたり家人が不寝番をしていた夜には、もちろんそのようなことは起きません。
見張りはランダムに行われましたが家に誰かが来ることはない。
ただ、見張りをしている時には、たててある雨戸を小さく叩いたり、なぜていくような音がしたそうです。
この現象は二週間ほど続いて、大量の絵を残して収束したそうです。
「なんかの贈り物やったんかのう。そう