あんたにはその時、確かにそう見えたのだろう。
しかし、自分も含め、幼児の記憶はことのほかいい加減だ。
いや、否定的な意味ではない。
当人にしてみれば、そのような体験をしたという記憶は動かしがたい事実なんだ。
ただ、それが実際にどのような現象だったのかというと、やはり何かの見間違いや記憶違い、錯覚などがほとんどだと思う。

俺も、幼少の記憶としてそういうことはある。
記憶の中では、夢でも錯覚でもなく、それは事実なんだ。

だから俺は、よくある怪談でも、小学低学年以下の話は現実の体験ではないと思ってる。
もちろん、話としては否定しないし、楽しんでいるが。