右にいる先生を見て「この校舎は新しいし怖くないですねえ」と階段を登りながら
話しかけていました。3階につくとすぐに、先生はピタっと足を止めました。
真顔で真正面を向いています。「ん?」と僕も正面を見ると、視聴覚室の扉の前に
幼稚園から小学1年生ぐらいの子供らしき人の形が見え、こっちを向いて
微動だにせず、じっと立っていました。距離にすると10mぐらい先。

月明かりでよく見えませんが、数秒固まってその子供を凝視して見ると、視聴覚室の
白い左右に開く扉がうっすら透けて見えていました。顔はなぜかぼやけてよく見えませんでした。
僕はビックリしてLEDの懐中電灯を点けて照らそうかと思い、ONにしましたが
よくあるように、なぜか電池残量が無くなりかけのような、電池接触不良のような
点き方をしました。点いても暗いうえにチカチカして使い物にならないのです。

横にいる先生は僕の肩を触って(逃げるぞっていう合図)、一緒に登ってきた階段を
走るように降りて宿直室に戻りました。そして警備会社に通報し、警備会社の人が
電気を点けて見回りをしました。「侵入者(子供)はいない」という結論でしたが、当たり前です。
透けてる人が見つかるわけないって思いました。

この話は「口外するな」と言われました。用務員の人とか、他に宿直する先生は
見たりして知っているのか?と思いました。少なくとも教頭、校長はこの件について
警備会社のレポートを目に通すので、何かあった事は分かると思うのですが
僕自身は聞かれることはありませんでした。一緒に見回りした先生が言ったのか
も知れませんが。