石じじいの話です。

朝鮮の山野を歩いていたときに、不思議な声を聞いたそうです。
夜、野営をしていたときに、遠くから女性の呼び声が聞こえてきたそうです。
「おんまー」
「さりょー」
じじいは、誰か助けを呼んでいるのではないか?!と思いその声の方向に向かおうとしましたが、それを朝鮮人の同僚が止めました。
「行くな、行くな」
じじいは、あれは助けを呼んでいる声だろう!どうして止めるんだ!と言うと、
朝鮮人は、「やめたほうがいい、あれは違う」と。
二人は黙ってその声を聞いていました。
「おもにー」
「あっぱー」
「サリョ・・」
じじいは、声を聞きながら、同僚の顔を見ました。朝鮮人の同僚の顔はこわばっていました。
呼び声は、いつの間にか子供の声に変わっていました。
「おっぱー、オッパー」
「あっぱー」
「アボジー」
「ぱりー」
「おせよー」
同僚は、じじいの腕を握って「無視しろ、考えるな!」と言いました。
その声は、女性の声や子供の声で、小一時間続いたそうです。
じじいも、ついにおかしいことに気がつきました。
こんなに長時間、あんな声は出し続けられないだろう。
つづく: