>>721
つづき:
じじいは地面に伏せて、銃を構えました。
すぐに、左腕にするどい痛みを覚えて、手ににちゃにちゃした液が垂れてきたそうです。
じじいは撃たれていました。
弾丸は、上腕をかすめて肉をえぐっていたそうです。
痛みをこらえて火を見た方向に銃を構えていましたが、その後、なんの動きはなく、まったくの無音でした。
じっとしていましたが、風も吹いていないので、相手が動くとススキの音と動きでわかる。そこで反撃できると思ったそうです。
風も吹かず、音もせず、完全な無音だったそうです。
じじいの頭がパニックでおかしくなっていたせいで音が聞こえなかったのかもしれませんが、普通は、そのような時は音に敏感になるのだとか。
かなり時間がたって、風が吹き始めてススキ原は騒がしくなりました。
じじいは警戒しながら腕に止血帯をして、銃を構えてその狙撃者?がいたと思われる方向に近づいていったそうです。
どこにも、人がいた痕跡はありませんでした。ススキも倒れていなければ足跡もない。
あたりを見渡していると、じじいを撃ったと思われる小銃の薬莢が1つ落ちていたそうです。
じじいは、それを証拠として拾いました。
人家のあるところに出て、本格的に手当てするために旅装を解いてみると、じじいの腕をかすめた銃弾は、背負っていた背嚢にくい込んででいたそうです。
拾った銃弾とその弾丸はサイズが一致しました。
つづく: