いきなり夜勤が中止になったんで小ネタを投下

タイトル・妖怪釘集め

もう20年近く昔になるが橋の枕木全交換という作業を1ヶ月近くやった事がある
傷んだ木の枕木を抜いて樹脂製の合成枕木に延々と換えて行く作業
仕事自体は簡単だが足場が悪いのであまり捗らなかった

工期も後半に入り対岸の河川敷の真上で作業していたある夜
廃棄の犬釘を入れたカゴををひっくり返して中身を河川敷にバラまいてしまった
一瞬ヒヤリとしたが人家があるわけで無し道路でもないので作業が終わったら回収するようにと監督から指示が出た

終了点呼の後に作業員全員で夜明け前の河川敷に下りて暗い中で
落ちているはずの釘を探すが1本も見当たらない
人的被害が無いとは言え落下物があった事がバレると面倒な事になる

「おいお前らちゃんと探せ」

監督の叱咤が飛ぶが無い物は無い
結局1本も見付からずに諦めて会社に帰った
その後も部品や工具を落とす事がたまにあったが作業後に回収に行っても見つからない
社内でも問題になり元請けにバレる前に回収しようと昼間散歩を装って探そうと言う事になった

数人で草むらをかき分けて釘を探していたら奥に入って行ったベテランが帰って来た

「釘あったけどとりあえず帰ろう」

河川敷の土手の上で話を聞いたら草むらの奥にホームレスの小屋があって釘が山積みになっていたそうだ
面倒だから釘はあいつに任せて見なかった事にしようという話でまとまった

今では考えられないような話だが昔は結構いい加減だったと言うお話