師子角弁護士

AKS側の主張は敗戦の弁に近い印象を受けます。
証人尋問(おそらく被告らの当事者尋問のこと)を実施したからといって被告らが真実を語るとは限らないことは、当初から予測できていたこと。

そもそも、山口氏の協力を取り付けられないまま訴訟提起した時点で、AKS側には被告らの主張の信用性を吟味・検討する方法は
なかったはず。裁判が被告らの言いっ放しになることは、想定の範囲内の出来事でしかありません。

「真実発見の見地からは、他のメンバーが本件には関与していないという、身の潔白が証明できた」というのも、
単純に原告も被告も他のメンバーが関与したという主張をしなかっただけで、何かの事実を勝ち取ったというのとは少し意味合いが違っている。

それに、原告も被告も他のメンバーが関与したとは主張していないのだから、この点を獲得目標にするのであれば、尋問を実施した方がより成果が明確になるはず。
更に言えば、元々、訴訟の目的は「このような事態に陥った原因を究明し、再発防止につなげたい」ということであり、他のメンバーの潔白の証明に焦点があるとは言っていなかった。
以上の理由から、原告が掲げる和解を決意した理由は、あまり実質的であるようには見えない。

 おそらくは原告にそれほど好ましくない心証が裁判所から開示され、このまま公開法廷での人証調べ(非公開の弁論準備手続では証人尋問はできません。
当事者尋問も同じ)や判決を言い渡されるよりは、現時点で和解をしてしまった方が、まだダメージが少ないと判断したのではないかと思う。