愛媛県を拠点に活動していたアイドルグループ「愛(え)の葉(は)Girls」のメンバーだった女性(当時16歳)が自殺したことについて、遺族らが「所属事務所のパワハラが原因」などと記者会見で虚偽発言をしたため名誉を傷つけられたとして、所属事務所「Hプロジェクト」(松山市)と佐々木貴浩社長が、遺族や代理人弁護士らに計約3600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(野村武範裁判長)は2月28日、遺族と代理人弁護士5人らに計約560万円の支払いを命じた。


 訴状などによると、女性は2015年から同社に所属し、「農業アイドル」として活動。18年1月にグループのリーダーに就任し、約2カ月後に自殺した。遺族側は同年10月、女性は過重労働させられた上に脱退を申し出ると1億円の違約金を求められるなどのパワハラを受けたと記者会見で主張。同社と佐々木社長らに計約9200万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。この訴訟は1審・東京地裁と2審・東京高裁で事務所による過重労働とパワハラがいずれも否定され、遺族側の敗訴が確定した。

 これに対し、逆に事務所側が遺族側を訴えたのが今回の訴訟で、事務所側は過重労働させたり、パワハラをしたりした事実はないと主張。遺族側の記者会見を受けて「人殺し」「ゴミクズ」などとインターネット上で中傷が相次ぎ、事務所に包丁が送りつけられるなどしたため精神的損害を被ったと訴えた。一方の遺族側は「過重労働やパワハラはいずれも事実」などと反論していた。