交通系ICカードの普及で、鉄道各社で回数券の販売をやめる動きが広がっている。一部鉄道では、通信制の学校の生徒が広く利用してきた通学用の割引回数券もなくなる。経済的に余裕がない生徒の負担軽減のため、学校側が見直しや代替措置を求めている。

 回数券の廃止は、昨年から今年にかけて全国の鉄道で相次いでいる。ICカードが普及したことで回数券の利用者が減ったことを、主な理由に挙げる鉄道が多い。

 通学用の割引回数券は、通信制高校の生徒や放送大学の学生のために各社が販売している。通信制の学校は自習やリポート提出が基本で、定期券を買うほど登校頻度が多くないためだ。通信制高校の生徒は、一般的に運賃が5割引きになる。

 普通回数券を廃止しても通学用の割引回数券は引き続き販売しているJR各社のような鉄道もあるが、すでに通学用も含めて廃止した私鉄もある。首都圏では3月17日に西武が販売を終了。近畿では南海や泉北交通が3月末、阪急が4月末で通学用を含む回数券の販売をやめる予定だ。

もし通学定期が廃止なら 「差別」に怒りの声
 通学用の割引回数券の廃止について、大阪府内で唯一公立の通信制がある府立桃谷高校(大阪市生野区)の木戸裕二教諭は「しんどい状況で頑張っている生徒たちを見捨てないでほしい」と見直しを鉄道各社に訴える。