長期に症状がある人に関する調査を行ったインディアナ大学医学部の研究者ナタリー・ランバート氏は、「症状のかなり多くが脳や神経系で起きている」と指摘する。


  カナダのウェスタン大学の神経科学者エイドリアン・オーウェン氏は取材に対し、最初の感染から数カ月後に認知的問題が出ているとの報告が殺到していると説明。「その多くが神経障害を患っていることが明白になりつつある」とし、「これが全体の1割だけだとしても、今後1年間は社会および経済に多大な負担になり得る」とした。
若い人も例外にあらず
  新型コロナの長期的な症状について確実な統計は得にくい。最近の連邦当局の調査では、陽性になった人の約35%は2−3週間後も症状が続いている。50歳以上は長期の症状に陥るリスクが最も高いが、35歳未満でも25%余りについて既往症がなかった人を含めて症状が長期にわたっている。
  ただその原因や影響はほとんど検証できていない。今のところ新型コロナウイルスが脳に感染することを確実に示す証拠はない。
  より可能性の高いシナリオはウイルスが消えた後も体の免疫システムが働き続けるというものだと、ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン病院(UCLH)のコンサルティング神経科医、ディパ・ジャヤシーラン氏は指摘する。こうしたケースではウイルスによって活性化した多くの抗体や免疫細胞が微妙にうまく働かないという。

  同氏は「それはウイルス自体ではなく、ウイルスに対する体の反応だ」とした上で、ウイルスへの攻撃で「体の反応は過熱状態となり」、撃退後も過剰反応が続くのかもしれないと分析している。