「スイミングスクールに通う子供達の形態的特徴に関する研究」
袴田 智子(日本体育大学大学院)
河田 聖良(函館大谷短期大学)
延国 毅(日本体育大学大学院)

長育、幅育、周育では同年代の一般男子学生と違いがみられなかったが、比率でみてみると違いがあらわれた。
腹囲・胸囲比、殿囲・胸囲比及び下腿・大腿比である。
いずれも一般男子より小さい値を示した。
体幹部における腹囲・胸囲比及び殿囲・胸囲比は、いずれも胸囲に対する腹囲、殿囲の割合をみている。
すなわちこの値が小さいほど胸囲が大きく、体幹下部の臍位腹囲や殿囲が小さいといった、いわゆる逆三角形のプロポーションであるということになる。
体幹部の周育では違いがあらわれなかったが、比率で違いが生じたことから、形態形状に違いがあるものと推察された。
ジュニア競泳選手
は、ジュニア期ですでに競泳選手特有の体型である逆三角形を獲得していることがうかがえた。
シニア選手の特性は、体脂肪率が高い。身長が高く特に上肢部で長い。頚囲、胸囲、上腕が大きい。
指極・身長比は大きく、腹囲・胸囲比、殿囲・腹囲比、前腕・上腕囲が小さいことであった。シニア選手では、ジュニア選手と同様に体脂肪率が一般男性より高く、腹囲・胸囲比、殿囲・腹囲比が小さいこ
とから逆三角形のプロポーションであることがみられた一方で、競泳選手の特徴といわれる身長などの長育に、一般男性と比較して違いがみられた。
長身であること、指極が長いことは、競泳選手においてストローク長に大きく関係する9)。長育の発育は、トレーニングなどの環境的要因ではなく遺伝的な要因が大きいと報告がある10)。
しかしながら古志ら,1998 11)は、第二次成長期前の競泳トレーニングによって指極が大きく変化し、遺伝的要因が強いとされる長育では、指極・身長比においては競泳トレーニング(環境的要因)からも影響することを報告している。
本研究の結果からも、上肢部(上半身)の長育で長く、統計的有意差がみられたことからも、幼少期からの競泳トレーニングが上肢部(上半身)の長育及び身長に対する指極の比率に大きく関与していることが示唆された。