サーファーとして生きる、ということ。vol.2
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とある物語のプロローグは一人歩き始めた
あの頃の僕達は
そう、あの頃の僕達は・・・・・
みちこぉーみちこぉーーww
おぉぉーーい みちこぉw
とうさんの歯ブラシどこだぁーー? あぁ・・・たぶんドラマだと思うけどな・・・
一匹のラマがそれぞれの人生を変えたりして・・・ww この流れの中で
始めちゃうのもいかがなものかと思うが、載せてみるよ・・・
前スレ読んでくれてた人達やこのスレの好きな人達からは
たぶん賛否両論あると思いますが
今回の奴は少〜だけ、エロ入れたw
とても長くなって、重くて落ちたらゴメン。。。
あと
仕事あるので、途中切り上げあるかもってことも。
ま〜、2ちゃんだからってことで許してねwww
本当に暇つぶし程度に読んでちょうだいよwww
素人いじめないでねw
《プロローグ》
何処かの宗教の言い回しではないけれど、あなたは神を信じますか?・・・・・
女は男に跨り、激しく体をよがらせていた。
男は揺れる女の乳房を下から眺め、考えていた。
(おいおい。明日は波があるからいい加減にしてくれよ・・・いい歳なんだからよ・・・。)
そして女は、より一層体をよがらせると、声にならない声を上げた。
「もうだめ!気持ちいい!あっ・・・・・。」
そう叫ぶと女は男の上に倒れこみ、男にキスを求める仕草をした。
男は優しくキスをすると
誰もが吸い込まれそうになるほどの「美しい瞳」で女を見つめ、こう言い放つ
「奥様、僕も最高に好かったです。奥様も満足して頂けたでしょうか?」
女は男の顔を優しく触りながら、男の「瞳」を見つめたまま、こう答える。
「あ・・・あなたは最高よ・・・。もっとしてくれたら、もっとボーナス弾むわよ・・・。」
「奥様・・・すいません。今夜はこの辺で許して下さい・・・。次にお逢いする時には、もっと御奉仕致します・・・。」
そう言うと男は、女の体を優しく寝かせ、キスをし、溢れた女の蜜を奇麗にした・・・・・。
男の名は「ジョージ」。
でも、彼を知る全ての人間は、男を「ジョー」と呼んだ。
外国人のような名前だが、容姿も黙っていればとても日本人には見えない。
何故かって?
それはジョーはハーフらしいから。
しかし、英語が堪能でもなく、母は間違いなく日本人であるということを
本人だけが分かっているだけで
父親は顔すら見たことが無いし、もちろん話したことも無い何処かの外国人らしい・・・。
「らしい」って曖昧な言い方をするのは、
幼い頃、母が言っていた憶えがかすかにあるだけだからだ。
そのことの真相はジョー本人さえも解らないが
ジョーの顔を見れば、誰もが納得してくれたし
今となってはありがたく思っているほどだ。 そんな、「なんちゃってガイジン」のようなジョーの恵まれた端整な顔立ちと
シャープで均整のとれた体は、男から見ても羨ましく、ムカつくほどに美しい。
特に、眺めていると、吸い込まれそうになる程の美しい瞳は
何色とも解らない不思議な色をしていて、
この美しい瞳で口説かれる女は、幸せすら感じるハズだ。
そして、その「瞳」をキラつかせて口説かれる股のゆるい女は
都会の「街」では、あとを絶たないでいるワケなのだ。
そう。
ジョーはその恵まれた美しい容姿を活かして、「男娼」をしている。
客は都会のセレブの「奥様方」。
もちろん、男の相手は絶対にしない。
ただ金のある、「股がゆるんできた女」に体を売り、生きている。
そんなジョーの哲学は
「波乗りとSEXほど、気持ちいいことは無い。」
だ。ハッキリ言って、どうしようも無い男なのだ・・・
見た目以外、中身は最低の奴なのだ・・・。 今夜もジョーは、
二十歳以上も歳の離れた、何処かの「金持ち奥様」相手に
しっかりと「仕事」をこなしていた。
というワケである。
二人はシャワーを浴び、服を着ると
女はタバコに火をつけ
ジョーにバックの中から取り出した封筒を渡し、語りかけた。
「またお願いね・・・。連絡するわ。大好きよ・・・ジョー・・・・・。」
「ありがとうございます・・・。僕も奥様からの連絡を楽しみに待っています・・・。
今夜はゆっくりお休みになって下さい。僕も明日は早いので、
今夜の奥様の夢を観ながら少し休みます・・・・・。」
心にも無い歯の浮くような台詞を、相手により使い分け
優しくキスをするのも、ジョーの営業スタイルなのだ。
二人はホテルを出る。
するとジョーは、女をすぐにタクシーに乗せ見送った。
女を乗せたタクシーが見えなくなると同時に、
ジョーは封筒の中の「諭吉」を数え、足早に少し離れた駐車場へと向かって行く。
時計を見ると、時刻はもうすぐ午前1時になるころだ。
「もう1時だよ!寝てる暇ねーじゃねーか!淫乱ババアが!
あ〜あ、このまま海に行ってねるべ。
こりゃ、アパート帰って寝たら起きれねーな!チッ!」
そう言い放ったジョーは、国産の白いワンボックスに乗り
これから2時間はかかる、ジョーの住む海辺の町の海岸まで
車を走らせて向かって行った。
ま〜、これが、この男の本性なのである。 ついでに言っておくと、ジョーに車のこだわりは無い。
波乗りに必要な道具がつめて、ご機嫌な音楽をご機嫌な「音」で聴ければ
車はなんでもよかった。
そんなワケで、「音」だけには、かなりの投資をした。
だけど車は、サーフショップのオーナーに安く譲ってもらった
お世辞にも綺麗とは言えない中古の白いワンボックス。
その程度だ・・・。
そして「仕事」のあとの長〜い、海のある地元までの道のりを
眠気を覚ますため、
お約束のように、「レッチリ」をフルボリュームにして帰る。
ジョーは訴えかけるように歌うアンソニーの歌が大好きなのだ。
なんせ、来日した時は「独り」で必ず観に行ってるくらいだから。
「独り」・・・。
そう、こんなジョーには、当然かも知れないが、
連れや友達と呼べる仲間は居ない。ジョーはいつも独り・・・。
海に行くのにも、大好きなアーティストのレイヴに行くのにも、独り。
それは、ジョーの性格の悪さも手伝って、仲間が誰も居ないっていうこともあるが
ジョーは子供の頃から独りでいることに慣れてしまっていた。
そのことにはちょっとした理由があるのだが、大ざっぱに言うと
ある時、独りにさせられてから、人を嫌い、今まで生きて来たから。
だから性格も見事にひん曲がり、基本的に人間が嫌いで
更に、「女」は性欲処理と生きるための「金の成る木」くらいにしか思っていない。
女を利用はするが
今までどの女にも「愛」はただの一度も感じたことは無いし与えたこともない。
寂しいヤローだ。
しかも本人がそんなことを微塵も感じていないってところが、かなりの重症。
これでもガキの頃の
波乗りを経験する前のジョーに比べれば、まだ「マシ」になった方なのだ・・・。
そんなジョーでも、一人だけ心を開いている人間がいる。
ん〜、正確には心を開いているというより、頭が上がらないだけの人。
それは、ジョーの乗る車の前のオーナーであり
ジョーの通うサーフショップのオーナー。
その人は「ガキ」の頃偶然出会ってから今まで
誰よりジョーのことを一番理解できた人で
何よりジョーを、一番ぶん殴ってきたのもこの人。
この人に出会ってなければ、ジョーはとっくに何処かで野たれ死んでいたと思うし
今となっては、大好きな波乗りもやることは無かったハズだ。
ジョー自身はやはりこんな性格だから、今まで口には一度も出したことは無いけれど
そのことだけは心の片隅に少しだけ感じていて
いまだにその人には頭が上がらないというワケだ。
そんなワケで当然その人にもジョーは、今の「仕事」のことは告げていない。
「たまに〈街〉で割りのいい、バーテンのバイトをしているだけっス・・・。」
なんて言ってあるだけで、「男娼」なんて口が裂けても言えない。
当たり前だ。殺される・・・。
そんなこんなで、ジョーはいつもの「仕事」のあとのロングドライブで
得意の「独り空歌レイヴ」をしていると
車は夜明け前の海に着いた。
ここはジョーのホームポイント。
ジョーは駐車場の、お決まりの場所に車を停める。
「そこ」は、ポイントを見渡せる駐車場内にある、公衆トイレの横の駐車スペース。
このポイントのことをよく知るほとんどの人間は
決して「そこ」には車を停めない。
「そこ」には必ずジョーが車を停めるからだ。
それ程「そこ」は、ジョーのために定着している駐車スペースなのだ。
今日は月曜日。
だからだろうか?ジョー以外の車は何処にも見当たらない。
海に向かい停めた車のヘッドライトをハイビームにすると
昨日よりも確実に波が上がっていることが確認出来た。
「よしゃ!な〜み〜あ〜る〜♪」
さっきまでのロングドライブの疲れがウソのように飛んでいった。
波と女さえあれば、この男はご機嫌なのだ。
窓を開けると通過した低気圧の影響もあったのだろう
初夏の訪れを感じさせる湿った空気の匂いが入ってきた。
時計を見ると、夜明けまでにはまだ時間がある。
ジョーは車のエンジンを切ると、隣のトイレを見つめた。
こんな季節になると
ジョーは昔のことを思い出さずにはいられない・・・・・。
「あの時も・・・今と同じ季節だったかな・・・・・。」
ジョーがまだ6歳の誕生日を迎える前、母に連れられこの海岸を訪れた日のこと。
この海岸は、当時ジョーが住んでいた「街」よりずいぶん遠い所だったことだけは憶えている。
ジョーの母は、一人でジョーを育てながら働いていた。
そして忙しいであろう時間を割いては、よくこの海岸へ小さい車を走らせ、ジョーを連れて来ては一緒に遊んでくれた。
まだ幼いジョーだったが、子供心に母に何か辛いことや悲しいことがあると、
決まってここにやって来るのが解っていた。
夜の「街」で働き、一緒に遊んでもらえる時間が少なかった忙しい母。
そんな母と二人きりで遊べるこの場所が、ジョーはとても好きだった。 その日、母はいつものように車から降りて、ジョーと一緒には何故か遊んでくれず、車の中から遠くの海を見ているだけだった。
ジョーはそれでも一人海岸で遊び、そんな母のために綺麗な貝殻を、小さな手で一生懸命拾い集めていた。
その小さな手で、小さなバケツに拾い集めた綺麗な貝殻を抱え
「ママ、きっと喜ぶぞ!」
と、満面の笑顔で、海岸を見渡せる公衆トイレの横に停めた母の小さい車に向かった。
「ママ!見て!綺麗な貝、いっぱい拾ったよ!」
助手席のドアを開けるとジョーは笑顔で母に言った。
しかし、母は海を見つめたままで、その頬には何故か涙がこぼれているのが見えた。
その母の、いつもと違う様子に、幼いながらも心配したジョーは尋ねる。
「どうしたの?ママ、お腹痛いの?・・・ね〜、ママ見てよ!貝!綺麗でしょ!まだいっぱいあるから一緒に拾おうよ!」
「・・・・・ごめん・・・ごめんね・・・ジョー・・・。」
どうして母が謝るのか、幼いジョーには分からなかったが、
そんな母の顔を見て、ジョーは今日、一人で遊ぶことを決めた。
「僕、トイレに行ってくる!」
ジョーはそう言うと、母のために集めた貝殻の入ったバケツを、車の助手席の足元へ置きトイレに向かった。
いつも母と約束している通り、ジョーは一人でキチンと用を足し、キチンと手を洗い、トイレの外へ出る。
トイレの外へ出るとジョーは、さっきと少しだけ違う風景に、少しだけ驚いた。
そこにあるハズの、母の車が無いからである・・・。
しばらくその場で小さな頭で考えていると
「ママ、きっとお弁当買いに行ったんだな!」
という答えが出たので、ジョーは母のための貝殻拾いの続きを思い出し
すぐに戻ってくるであろう、母を待たず、また海岸へ貝を集めに降りて行った・・・。
そして、その日
母は戻って来なかった・・・・・。
夕方、もう日も暮れかかる頃、小さい両手に貝殻をいっぱい握りしめ
もう何時間もトイレの横で座り込んでいる幼い男の子がいた。
その様子が地元のサーファーの目に留まり、不審に思ったそのサーファーの一人が声をかけた。
「どーした?誰か待ってるの?家近所?お兄さんが送って行こうか?」
首を激しく横に振りながら、男の子は言う。
「ママを待ってるんだ!知らない人について行ってはダメってママ言ってた!」
と、かたくなに答えるその小さな姿を心配したサーファーは、海岸近くの交番に行き事情を話すと
交番の警察官は、すぐさまその男の子の元へ駆けつけた。
そして、警察官の必死の説得が始まったのだが、男の子はまったく説得に応じず、ただひたすら母の帰りを信じ
頑固にその場所を動こうとはしなかった。
しかも、その男の子の容姿は、日本人なのか外国人なのかも解らず
プロであるハズの警察官も、ただ、お手上げ状態が続いているだけだ。
そうこうしている間に、日もすっかり暮れ、まだ春の夜の冷たさの残るこの季節。
警察官が駆けつけてから、どのくらいの時間が過ぎただろう。
夜の寒さが段々増してきた頃、この騒ぎを聞きつけたある一人のサーファーが現れた。
彼はこの海岸近くでサーフショップを営み
このビーチのサーファー達から「チョビさん」と呼ばれているボス的存在の、ローカルサーファーの一人だ。 頑固に、かたくなにそこを動こうとしない男の子と、困り果てた警察官の間に突如その男は割って入り、
腰を下ろすと同時に、その顔から想像できない愛くるしい笑顔で、その小さな男の子に話しかけた。
「どうした?名前言える?よかったらおじさんに君の名前教えてくれないかな?」
寒さからなのか、不安な気持ちをこらえているからなのか、少し震えた体で、小さな男の子は小さな唇を動かした。
「・・・ジョージだよ・・・。でも・・・ママは僕のことジョーと呼ぶんだ・・・。おじさん、だれ?」
「そうか。ジョージか。いい名前だね。おじさん、ママの友達で「チョビ」って呼ばれてるんだよ。」
「え?!ママのお友達なの?ママなんで帰ってこないの?ママどこに行ったの?」
「おじさんにママから連絡があって、ママ、急な用事が出来て遅くなるから、替わりに迎えに行ってと言われていたんだけど・・・
けど、おじさんも仕事があったから、すっかり遅くなちゃって・・・ゴメンな!」
そう言うとチョビさんと呼ばれる男は、小さい男の子に握手を求めると、またあの愛くるしい笑顔を見せた。
男の子は手に持っていた貝殻を丁寧にその場に置くと、目の前にいる鼻の下に髭を蓄えた男の手に答えた。
初めて体験する不安と寒さだったのだろう・・・。
男の子の小さな手は冷たく、そして震えていることが、男にしっかりと伝わってきた。
「寒いだろ?おじさんの店、すぐ近くだから、暖かいココアでも飲みながら、そこでママを待ってようか?」
小さい男の子は軽くうなずく。すると男は続けて
「ねー。おじさんもジョーと呼んでいいかい?」
「うん。いいよ。ママ、何時に帰ってくるのかな?」
「そーだなー。もう外が暗いから、道に迷っているだけかも知れないし、
ママがここに来たらおじさんのとこから見えるから、一緒に待ってようぜ。」
この「チョビさん」と呼ばれる男の言葉は全て虚言である。
つまり男の子に会ったのも初めてだし、当然、この男の子の母とも知人でもなんでもない。
ただ、このビーチを長く見守ってきた使命感から、「ウソ」をついて、寒さの残るこの場所から
小さな男の子のかたくなに母を待つ、小さく重い腰を上げさせたのだ。
そのことを男は、説得に困っていた顔馴染みの地元交番の警察官に説明し、
この小さな男の子をやっと、暖かい場所へと移動させることができたのだ。
これが、「ジョー」とジョーの通うサーフショップのオーナー「チョビさん」との初めての出逢いとなった。
けれど、今の「ジョーとチョビさん」の関係になるには、まだまだ時間のかかる話になるのだ・・・・・。
《ジョー》
このあと、ジョーは無事、警察官に保護されたのだが、はっきりとした身元を証明できる物は何も無く、
肝心のママの行方も消息も何一つ分かることなく、時間だけが過ぎていった。
結局ジョーは、ママがいつか「ここ」へ迎えに来てくれると信じ、ジョー自身の強い希望もあり、
この「町」の、この海岸近くに建っていた施設で過ごす事となったのだ。
それでも、こんな小さな子に、そんな簡単に現実を受け入れられるハズも無い。
時間と日が経つに連れ、自分の納得のいかない環境に、知らない内に送り込まれたような気持ちになっていくようになる。
そしてジョーは、施設で暮らす年を重ねるごとに荒れていくようになってしまう。
ジョーが荒れてしまうのは、周りの子供達はもちろん、ジョーを取り巻く環境自体に馴染めなっかたことも理由の一つだろう。
それは、ジョーの容姿は他の子達と違うってことだ。目の色、髪の色が違う。
そんなことで、日本人なのに「ガイジン」と蔑まされ、歳の上の子達からいじめられれば、
どうしても施設や学校の環境に馴染むことが出来ないっていうのは当たり前。
そして
「ぼく、ほんとうは日本人じゃないのかな?・・・だからママに捨てられたのかな・・・・・」
と言う、ジョーだけが感じる見えないコンプレックスが自然と芽生えてしまったのだ。
そのため、周りの、どの大人にも甘えられない子供になってしまった。
これは子供達のせいでも何でも無く、狭い国に生まれた日本人特有の差別や偏見的なことを克服してこなかった、
当時の周りの「大人」達のせいでもあるのだ。
ジョーはまだ右も左も解らない小さな子供なのに、その直球を喰らいっぱなしで過ごして生きてきたワケだ。
そんなジョーの特異なところは、負けず嫌いで、けっして人前では泣いたりしなかったこと。
才能なのか何なのか、ジョーは子供なのに怖いくらいの根性があり、どんなにいじめられても泣くどころか、涙さえ、誰にも見せなかった。
それでも、小さな子供であることにはかわりないわけで、
辛いことがあった時は人知れず、あの海岸へ走り、トイレの横に座り、ママの車に似た色の車を見つけてはママの姿を捜し、
独りぼっちの寂しさに耐え、独りで生きてきた。
そんなジョーが、中学も二年目を迎えるまでになった時は、すっかりこの辺では有名な、
いわゆる「札付き(古いか?)」になっていた。
そう、お決まりのアウトローコースへどうぞってくらいのね。
喧嘩はもちろん、恐喝、万引き、窃盗・・・・・などなど。
まるで罪を重ねて名を売るように荒れていった。
当たり前だが、気が付けば、もう誰も、ジョーに同情し、優しい言葉をかける人間はいない。
ジョーに寄ってくるのは、気に入らない奴を押さえつける腕っ節だけが自慢の奴や、
力の無い者に対する小さな恐怖の植え付けだけが趣味の最低の奴とか、ジョーにへつらう上っ面だけの糞みたいな奴。
そして、そいつらとジョーを支えているのは、いつでも起きうる裏切りを覚悟した、屁よりも薄い友情だけ・・・。
この頃のジョーはサーファーが大嫌いだった。
あの日、あの時、あの口ひげを生やした男について行かなければ、ママがが迎えにきて、今もこんな所に居るはずは無いと思っていたから。
それに、嫌なことがあると必ず訪れていたこの海岸に来ると、
サーファー達が皆、笑顔で海に入り、海から上がっても笑顔でいる姿を見るのが、堪らなくムカつくからだ。
「こいつら、夏でもねーのに毎日海に入って笑ってるし、なにが楽しいんだ?アホか?」
そして毎日サーファーを観察している内に、あることを思いついた。
まるで無防備に海に入っていく「バカなサーファー」の車を荒らしてやろうと思いついたのだ。
ある者は鍵をかけず、ある者はバカでも分かる場所に鍵を置いて海に入る。
ジョーの考えは見事的中し、効果があった。
しかし計算外だったのは、ほとんどのサーファーの財布が軽すぎるってことだった。
「げっ!あいつら毎日海に来てるから、金持ってるかと思ってたら、貧乏人ばっかじゃねーか!」
そんな車上荒らしを繰り返していたある日、ジョーは運命の再会をすることとなる。
ビーチでの車上荒らしで調子にのっていたジョーは、「仲間」と呼んでいた数人と、いつものように
サーファーの車をターゲットにしていた・・・。
1台・・・2台・・・と繰り返し、3台目の車の鍵を見つけ開けた瞬間
突然ジョーのわき腹に重い一発が入った・・・。
不意に喰らったわき腹を押さえ、振り返った瞬間、次に飛び込んできたのはアゴに直撃した見事な左フックだった。
コレは効いた・・・。膝からくずれ落ちる。
「うぅ〜・・・・・。」
ジョーはすっ飛びそうになる意識を取り戻して反撃に出たいが、体は思いと反対にうなだれ、足もいう事を効かない・・・。
そりゃそうだ。わき腹とアゴにいいのが入ったら動けるワケがない・・・。
そのうなだれる後ろ髪をつかまれ、顔を上げさせられると
「何やってんだ!コラ!」
ジョーの目に映ってきた声の主は、忘れもしないあの顔だ・・・。
多少年齢を増したが、間違いなく「チョビ」と名乗っていた、鼻の下に髭を生やしたあのオッサンだった。
「お・・・お前・・・ジョーか?・・・最近「ここ」でチョロチョロ車上荒らしをしてるバカがいるって、お前らの仕業だったのか?」
「う・・・うるへ〜!だから何なんだよ!・・・・・」
ジョーはわき腹とアゴの痛みをこらえ、言わなきゃいいのに、必死の強がりを言った。
当然、このあとジョーは、反撃の余地も無く、見事チョビさんにボッコボコ。
気が付いた時には、仲間と呼んでいた奴らはとっくにいなくなっていたのは言うまでもない・・・。
これまで、喧嘩で負けたことは無かったジョー。
それなのに、これでもかってくらいにノされたジョーは悔しくて、悔しくて。
しかも相手があの「チョビさん」だったから尚更だ・・・。
そんなことからジョーは、止せばいいのに、次の日から毎日、毎朝、チョビさんにリターンマッチを挑みに行く。
ジョーの性根はひん曲がっているが、根性だけは無駄すぎるほどあったのだ。
しかし、あとでジョーも解ったことだが、チョビさん、高校の時代はボクシングでインターハイに行き、
更に入賞している経歴を持ち、プロライセンスも取得していた程のツワモノ・・・。
だから当然、たかがガキ相手の喧嘩程度でならしたくらいのジョーが、いくらリベンジに行っても、勝てるハズも無い。
それでもジョーは若いし体力もある。そして無駄にあるだけの根性を消費するように、しつこくチョビさんに挑んで行くのだ。
毎日、殴っても殴ってもゾンビのように、毎日しつこくやってくるジョー。
そんなジョーの相手をするのも、いい加減うんざりしていたチョビさんは、ある日、ある提案をする。
「ジョーよー。今度は違うことでオレと勝負しねーか?」
本当の映画のゾンビの顔のように、元の顔も分からないくらい顔面を腫らしたジョーは答える。
「違うことってなんだよ!」
「オレの乗ってたボードやるから、これで波乗りやってオレより巧くなったら、何でも言うこときいてやんよ!
なんだったら俺、人間サンドバックとかにもなっちゃうよ!マジで!」
この意見に、ジョーは最初こそ
「何言ってんだ!波乗りなんか絶対にやらねーぞ!ふざけんな!」
なんて、言っていたのだが、今度はチョビさんのしつこい巧みな言い回し攻撃で
「あれれ?散々俺に偉そうなこと言ってて、俺みたいなオッサンにできて、若いお前には出来ないのかな?サーフィン?
なんだよ、なんだよ!喧嘩もダメだし、全然大したことないのね。ジョーちゃんは♪」
などと、散々馬鹿にされてから、そのあとチョビさんに見事言い包められ、結局ジョーは、サーフィンを始めることになってしまう。
前の話は途中で終わったんかい?ゴルァ( ̄▽ ̄;) この日から、暇さえあれば、喧嘩の相手を波に変え、ジョーの格闘の日々が始まった。
すでにこのビーチのローカルサーファー達の間では、すっかり人気者になっていたジョー。
本人はそんなことはつゆほども知らず、持ち前のひねくれ無駄根性で、本当に毎日波乗りに通った。
だけど、当たり前であるが、ジョーが思うほどサーフィンはすぐには上達するわけではない。
ある時はみんなに笑われ、ある時は死にそうになるくらいの苦しい思いもした。
途中で何回も挫折しそうになったが、その度にタイミングよくチョビさんが現れ、
「あれれ〜?!ジョ〜ちゃ〜ん、もうギブアップ〜?意外と根性ないのね〜♪」
なんて、バカにされる。
そんなこんなで奮闘していたある日、波待ちしているジョーの前を、縦横無尽に波を切り刻み
波のチューブを抜けて行くチョビさんの姿を見た。
ジョーは我を忘れ、そのチョビさんの姿に見とれてしまい、思わず
「スゲー・・・。なんであんなことできるんだ?・・・・・」
感情が言葉として出てしまうほど、その姿は感動的で、今までジョーが感じたことの無い、不思議な魅力を植えつけるシーンとなった。
そして、そんな体験と奮闘を繰り返す毎日が過ぎて行くにつれ、ジョーはいつの間にか、
寝ても覚めてもサーフィンのことばかり考えるようになっていた。
そればかりか、施設と学校と海以外に、通うところも一つ増えた。
ジョーは波乗りのことでイキズマルと決まってチョビさんの店へ行き、不器用な言い方で、
サーフィンに関するいろいろな知識を聞きに通っていたのだ。その度、チョビさんに
「口の利き方がなってねーんだよ!!」
なんて、頭が割れそうになるほどのゲンコツをもらっていたワケだが、
こんなやり取りがジョーには何とも言えない新鮮さと心地良さがあったのも、少しだけ感じていた。
けれど、ひねくれた性根は治らないままだ・・・。
そんなジョーを、影で支え続けていたのはやっぱりチョビさんである。
ジョーにウエットスーツなんて買えるワケでもないので、自分のお古のウエットを
「もうこれ飽きたから、おまえが着ろ!」
なんて言って、ウエットはもちろん、サーフボードさえも提供してくれた。
更に、ルールやマナー、ボードのことやリペアの仕方など、波乗りに必要な知識を全て、若いジョーに教え込んでいった。頭にゲンコツをくれながらだが・・・。
こうしてジョーは、持ち前の根性(性根は曲がってるけどね)と、運動神経がもともといいのか、それともジョーの中にある遺伝子の違いのせいなのか
気が付けば、地元のアマチュアの大会では負け知らずになるほど、サーフィンが上達して行く。
それより何より、ジョー自身がサーフィンの魅力に憑りつかれ、どんどんハマっていった。
そして今は、ただ単純にサーフィンが好きで楽しくて、仕方がないほどなのだ。
もうあの時の、チョビさんと交わした約束なんて、今のジョーにはどうでも良いこと。
しかも最近では、コンペでは全国にチョットは名を知られるくらいのサーファーにまで成長した。
と、ここまでは良かったのだが・・・・・。
ジョーの性根は、いくらチョビさんに頭をぶん殴られても
悪ガキの頃からのムラだらけの性格が今でもサッパリ治らなくて、流石のチョビさんも
「やっべー・・・。オレ、あいつの頭ぶん殴り過ぎちゃったのかな?」
なんて、悩んじゃうほど。
例えば、これはごく最近のことだけど、チョビさんに尻を叩かれ
やっと出場したプロアマの大会で、プロ資格も貰えるところまで順当に勝ち上がっていたのに、
「なんだよ!あのジャッジの採点は?!気にいらねー!なんで今のヒート、あいつが1位で俺が2位なんだ?!」
なんて言って、途中大会拒否。当然プロ資格も拒否して帰って来ちゃったりした。
そのあとチョビさんに、浴びるほどの説教喰らっても
「だって俺、別にプロ目指してるワケでも何でもねーもん・・・。」
なんてあっさり言う始末。これにはチョビさん返す言葉も無いほど頭にキテ、ひと月はジョーと口をきかなかったね。
それともう一つ、チョビさんの頭を悩ます問題がジョーにはあった。
これだけこのビーチに通い続けているのにも関わらず、ジョーはビーチの誰ともつるまないのだ。
そう、仲間や友達と呼べる者が誰もいないのだ・・・。
ジョーが中学を出ると同時に、チョビさんは自分の「店」のスタッフとしてジョーを働かせていた。
しかしジョーは、店の仲間達や他のスタッフとも会話することもなく、アイソも悪い。
なので、仲間からも客からもクレームがある為、店の裏でサーフボードのリペア仕事しかさせられない。
しかもそのことを、ジョー本人が別に気にするワケでもなく、淡々とボードのリペア仕事だけをこなしているだけだ。
「やっぱりオレが、ジョーの頭をぶん殴り過ぎたのかな?・・・・・」
と、落ち込むチョビさんのことなど何も知らず、ジョーは成長していく・・・。
ジョーは少年から大人に変化する過程を自分自身が気付くことなく、
いつもの海と店の往復を繰り返し、毎日を過ごしていた。
そんなある日の水曜日、店に「街」から来たという女性のお客さんが買い物に訪れた。
真っ赤な高級外車を乗りつけ、店内をくまなく物色すると、サーフブランドのレディース物を山のように買い込んでくれた。
その女性は誰が見ても美人のいい女。
そして何ともいえない雰囲気といい香りを漂わせている。
チョビさんは久しぶりの上客で、しかもすっごい美人ということもあり、鼻の下伸びっぱなしのウハウハ。
美人相手に緊張しているのが、誰から見てもバレバレで、
「お客さん、綺麗でありがとうございます!」
なんて、ワケわからんあいさつする始末。
それでもその女性の方は場馴れた感じで
「ありがとう。」
と、軽い微笑みで挨拶を返す・・・。これでオヤジは一発KO・・・。
そんなこんなで、女性は買い物が終わると、店の裏(横手にある)のリペア小屋で作業しているジョーに目を留めた。
そしてジョーの所に近づいて行き、何やら話しかけて、ジョーに小さな紙きれを渡した。
そしてジョーに手をふりながら、真っ赤な車に戻り、店を去っていった。
この一連をしっかりと見ていたチョビさんは、すぐにジョーに駆け寄り
「なに?なに?さっきの美人、なんだって?!」
と、オヤジっぷりを炸裂させる。そうとう気になって、仕方がなかったらしい・・・。
「あ〜、・・・ただ、歳と名前聞かれて・・・また来るって言ってたけど・・・。」
ジョーは、はしゃぐチョビさんに、首をかしげながら答えた。
「マジ?!また来てくれるって?!うは!お前しっかり対応しろよ!あんな美人の金持ちお嬢様なんか、この町に来ること事態、奇跡なんだからよ!」
「・・・・・・・・はい。」
その日から、この女性は水曜日になると必ずこの店に現れるようになった。
そしてその度に、チョビさんはウハウハのオヤジになるのだ・・・。
この女性、買い物はもちろんしてくれるのだが、それよりも、一番興味を示しているのはジョーのことらしく、
店の外にいるジョーを見つけては、声をかけていた。
この時ジョーは、18歳。同じ年齢の周りの子達は高校3年生。
ジョーはもちろん進学する意欲も目的も何も無かったため、義務教育が終わると同時にチョビさんのもとでサーフィン漬けの日々を送っていた時期。
季節は夏というにはまだ早く、外は春の涼しさがまだ残る頃だった・・・。 美人のお金持ちお嬢様の客がチョビさんの店に通い始めて数週間が過ぎ、季節は夏を感じ始めた。
今日は月曜日で、チョビさんの店は定休日。
ジョーにとっては、一日中大好きな波乗りを思い切り楽しむことが出来る休日。
しかし、こんな日に限って波のコンディションは、ほぼフラット。
いつもより遅く起きたジョーは、波の無い日の過ごし方を考えながら、もう一度寝ようか起きようか悩んでいた。
ボーっとしながら、ふと見つめた先のテーブルの上に無造作に置いてある、一枚の紙切れに目を留めた。
「なんだ・・・?これ?」
ジョーはその紙切れを手に取ると、それは紙切れなんかではなく、あの女性客がジョーに手渡した女の名刺であった。
名刺の表にはこう書いてある。
女性専用エステ (株)AI 代表取締役 間宮 愛
東京都○○区○○○○ビル4F−○○○ TEL030−○○○−○○○○
裏を見るとご丁寧にそこの地図が書いてあり、更に手書きで彼女の携帯の番号と、
〈いつでもいいからTELちょうだい。〉との文字が書いてあった。
「なんだ・・・あの女の名刺か・・・。」
ジョーはその名刺を、すぐそばに置いてあった財布に無意識に挟み、
「今日は波も無いし、暇だから、久しぶりに『街』でも行こ・・・。」
そう言うと、手早く身支度をし、駅に向かうためチャリに跨った。
「街」までは電車で乗り継いで約2時間。結構遠い。
駅に着き、「街」までの切符を買おうと、ジョーは財布を取り出した。
と、その時、ヒラヒラと財布の中からさっきの名刺が足元に落ちた。
(あっ・・・『さっき』の入れてあったのか・・・・・。)
ジョーは仕方がないように名刺を拾うと、それをシャツの胸のポケットに入れ、切符を買うと、ホームに向かって行った・・・。
ジョーの容姿は「街」に出ても一際目を引く。
高い身長にバランスの取れた理想の体系。そしてなんといっても、あの均整のとれた美しい顔と何色とも解らない美しい「瞳」。
本人はまったくといっていいほど、気にもしていないが、兎に角目立つ。
すれ違う女性はもちろん、ナンパに勤しむサカリのついたオス達までもが振り返るくらいなのだ。
そんなジョーは、「街」に出かけるた時は決まって立ち寄ることにしているCDショップに、この日も例外無く足を運んだ。
しかしこの日、ジョーにはいつもと違う例外が起きる。
ジョーはいつものように、長い時間をかけてCDをセレクトし、やっと吟味したCDを手に取り、レジに向かって歩いていると
尻のポケットに、あるハズの感触が無いことに気が付いた。
(あれ?・・・・・財布・・・財布が無い!!)
ジョーは慌てて店中を探し、そして店の店員の協力も仰いだ。
・・・が、そんな必死の大捜索の結果も空しく、大した中身も入っているワケでも無い、ジョーの大事な財布は
持ち主のもとへ帰ってくることは無かった。
(ヤッベー!・・・帰りの電車賃もねえ・・・・・。どうするか?・・・・・)
ふと、シャツの胸のポケットにある名刺に気が付き、それを手に取る。
よく見ると、その名刺に書かれている場所は、今、ジョーがいる場所からいけない距離ではない。
時間はかかるが、ここからなら十分歩いて行ける場所だった。
ジョーにはすがるものが今、この手にある、たった一枚の名刺以外無い。
果たしてこの名刺の場所に、今日あの女が居てくれるかどうかは、行ってみなければ分からないが
ジョーに選択の余地は無い・・・。
「なんだよ!マッタク!ついてねーな!今日は!・・・・・」
何度も一人でそうつぶやきながら、名刺を頼りに、納得がいかないながらもジョーは、「街」を歩いていた。
見かける先々の交番で道を尋ね、歩くこと何時間が過ぎたのか、気が付けば
「街」は夜の姿を見せ始めていた。
「腹減ったし・・・一体何処にあるんだよ!ここは?!・・・」
そんな奮闘が続き、ジョーはやっとの思いでそれらしきビルの前まで辿り着くことが出来た・・・。
「やっと着いた・・・・。腹減った・・・。頼むぜ!あの女いてくれよ!・・・・・」
祈る思いと、この先のことなど考える余裕も無く、ビルの玄関の前に立ちすくんでいると
偶然、ガラスの向こうのビルの中に見覚えのある、あの女の姿が見えた。
「いた!!居てくれた!あの女だ!!・・・・・」
やっと見つけた女の姿は、いつも店にやってくる雰囲気とはまた違った様子だった・・・。
けれど、そんな彼女も、ビルの玄関の前で立ちすくんでいる美しい青年に気が付いたのだ・・・。
これが、今のジョーがサーフィン以外の
ある意味全く別の才能を開花させることになる全く別の世界に、足も体もどっぷり漬かる
きっかけとなってしまう運命の再会となるのだ・・・・・。
おーおおぉぉーーい みつこぉぉーー
父さんのメガネ知らんかぁー? 「そんなに慌てて食べることないのよ・・・。すっごいおいしいでしょ?ここの料理?」
目の前に並んだ高級中華料理を、一心不乱にガッツク日焼けした美青年に
これまた透き通るほどの美人の女性が微笑みながら話掛けている。
ここは「街」の一角の、とあるビルの最上階ラウンジの有名高級中華料理店。
そんな処に、少々場違いに見える青年と馴染みの雰囲気を出している女性が、一つのテーブルに向かい合っていた。
女の名前は「愛」。
その容姿は名前以上に美しさと愛らしさが想像できるほどの色白の美人だ。
パッと見も年齢不詳。若くも見えるし、落ち着いた婦人のようにも見える。
「ねぇねぇ。やっぱり私に会いに来てくれたの?何にも連絡無しで来るからビックリしたけど・・・すごい嬉しいな。」
愛は可愛らしい笑顔を見せ、目の前の青年に話しかけた。
この青年の名はジョー。やっとの思いで愛のもとに辿り着いたジョーの発した第一声は
「腹減った・・・。もう歩けね〜・・・なんか食わせてくれ・・・。」
だ。そんなワケで、ここまで辿り着くいきさつも大して話す間もないうちに愛に連れられ
おそらく、いや確実に今まで食べたどんな料理より高級かつウマイ「飯」にありつくことになったのだ。
ジョーは愛の注文した料理を取り皿も使わず一通り平らげると、勢いそのままにコップの水を喉を鳴らしながら一気に飲み干す。
そして軽くゲップをし、大きく息を吐き出した。 「あぁ〜食った・・・。つか、ありがとう。マジであんた居て良かったよ。オレ、街ん中で財布無くしちゃってさ・・・。
けど、たまたまあんたの名刺があって、それ頼りに来たわけ。そんで・・・・・・
ついでなんだけど・・・絶対返すから、帰りの電車賃も貸して貰えないかな・・・・・?」
この言葉に、愛の眉が一瞬吊り上がった。当たり前だ。
しかし、一瞬だけですぐに微笑みに変わり、今度はその美しい顔に似合わないほどの大きな声で笑った。
が、すぐにハッと我に返り、周りを伺い、恥ずかしそうな顔を浮かべると、涙交じりの笑顔のまま
「ごめんなさい・・・。てっきり私に会いに来てくれたのかと思っちゃった。そうじゃないのね。
でも、これも何かの運命だし・・・、今日はもう少し私に付き合ってもらうわよ。
それに心配しなくてもあなたをきちんとあの海辺の町まで届けるから。」
「えっ?・・・マジサンキュ。ほんと、あんた居なかったらマジで歩いて帰ろうと思ってたからさ・・・・・。
でもほんと、電車賃だけあれば、ここの飯代と一緒にすぐ返すから・・・。ほんと、ワリーね。」
不器用と失礼極まり無い言葉だが、これでもジョーはそれなりに精一杯言葉を選んだのだ。 愛はまた顔に似合わない高笑いをすると、すぐに手を口に当て
「あなた面白いし、とても純粋で可愛いわ・・・。ここは私がおごるから気にしなくていいのよ。
それに、メニューを見ればすぐに撤回したくなるわよ。さっきのセリフ・・・。」
と、愛は微笑みながらテーブルの隅にあるメニューに視線を落とすと、それに気付いたジョーがメニューを手に取り
開いて中を見つめると同時に、ジョーは固まってしまった・・・。完全にフリーズだ・・・。
愛は爆発しそうな笑いをこらえ
「ね?・・・だから、ここは心配しないで。それより、
貸しと言ってはなんだけど、今夜はせっかくこうして二人きりになれたんだから
もう少し私に付き合ってもらうのは、OKだよね?」
この言葉でやっとフリーズが解かれたように、ジョーは口を開いた。
「わかった・・・・・。そ・・・そうするよ・・・。」
「それじゃー、デザートを頂いてから行きましょう。ここの杏仁は、とっても美味しいのよ!私、大好きなの。」
少しはしゃぎながら、続けさまに店員に注文する愛とは裏腹に、メニューの金額を見たとたん
腹よりも胸が一杯になってしまったジョーは
軽く作り笑いをし、黙ってただうなづくだけしかできなかったのである。
おーい太郎ぉ〜太郎ぉ〜
お父さん、眼鏡は額にあるじゃないですか、いやだわもぅ ∧_∧
( ` ∀´)
まぁまぁ、ここらで一息、茶でも飲んで
( つ旦O
と_)_) リリーさん&新作さん
とてもおもしろいでつよ
つづき楽しみにしてまつ
+ +
∧_∧ +
(0゜・∀・)
ワクワクテカテカ
(0゜∪ ∪ +
と__)__) +
「ほら、いいから、遠慮せずに中へ入って。」
愛は高級マンションの一室の玄関の前で、中に入るのをためらい、躊躇しているジョーに優しく催促した。
「もう遅いし・・・帰りの電車なくなっちまうし・・・帰れなくなっちまうし・・・・・。」
ジョーは、生まれて初めて女性の部屋に招かれたことに動揺していたのはもちろんだが
何故か頭の片隅に「チョビさん」の顔がチラついて、そのことが一番気になって仕方が無く、愛の部屋に入るのをためらってもいた・・・。
「どうしたの?らしくないのね。いいから早く入りなさい。私がちゃんと送るから心配しなくていいの。兎に角、ドア閉めて。」
「・・・わかったから、ちゃんと送ってくれよ。・・・オレ、仕事サボったことは一度もねーからさ・・・・・。」
選択の余地も無く、諦めながらジョーは部屋の中に入りドアを閉めた。
初めて入る女性の部屋だった。
それに何より、都心の高級高層マンションの一室ということが、どれ程ジョーを現実から遠ざけたのか自分でもよくわからなかった。
廊下を抜け、部屋のリビングに入ると、そこから見下ろす都会の夜の景色にこの部屋に入るのを躊躇した自分を呪った。
「すっげー・・・・・。」
初めて海で得た感動とはまた違う感動を感じたのはこの時だった。
「どう?綺麗でしょ?ここが私の部屋なの。私もこの景色に憧れて・・・ここまで来るのには本当に大変だったわ・・・。」
まだ世の中の酸いも甘いも分からなかったジョーには、愛のこの言葉の中にある本当の「重み」も分かるはずもなく
ただ目の前にある現実葉離れした光景に酔い、胸を震わせていた。
「ジョー・・・。あなた、ここが気に入ったならいつでも来ていいのよ・・・。私もここに来てから誰かをここに招いたのも初めてなの。
それよりもいつかあなたをここに呼ぼうと、あなたに逢った時から決めていたから・・・。
何か飲みたかったら冷蔵庫の中のモノ勝手に飲んで構わないから・・・。グラスはそこの棚に入ってるわ・・・。
私、シャワーを浴びてくるね・・・。」
そう言うと、愛は浴室の方へ消えて行ってしまった。
ジョーは上の空で返事をするだけで、窓の景色に釘付けになったまま時間も忘れていた・・・。
部屋の明かりもつけず、どのくらい窓の外の景色を眺めていたのだろう。
ジョーの背後から不意に声が響き、ジョーは体を跳ね上がらせた。
「あら?まだそこに座ったままだったの・・・?あなたもシャワーを浴びてきなさい。
沢山歩いたから、汗でベットベトでしょ?」
ジョーがハッと振り返ると、バスローブ姿の愛がグラスを片手にジョーのすぐ後ろに立っていた。
ジョーは時間も場所も忘れ、窓の景色に見とれていたため愛の気配に気付きもしなかったのだ。
「えっ?・・・・・オレ、いいよ。シャワー。・・・だって、もう帰るし・・・。」
そのジョーの言葉を聞いて愛は笑いながら
「あはは・・・本当に可愛いわね。ジョー。もう電車も無いだろうし、今夜はここに泊まっていくしかないのよ。
今からのドライブは私も疲れて無理だしね。だから、言われた通り、早くシャワーを浴びて、今日の疲れを流してきなさい。」
少し考えたが、愛の言うとおり、ジョーにはどうすることも出来なく、軽くうなずくと浴室の方へ向かって行った。
今日は愛に会ってからいろいろなことを体験し、何故か愛の言うことに断りきれない負い目のようなものを感じ
若すぎるジョーは、この女の言うことに従うしかないことを理解した。
ジョーはシャワーを浴び、愛の用意してくれたバスローブに身を包み、リビングに行くと
そこにいるはずの愛の姿が見あたらなかった。 真っ暗な部屋に、窓の外の「眠らない街」の明かりだけが頼りの中、ジョーは慌てて部屋の明かりのスイッチを探す。
すると、リビングと仕切りの無いベットルームの暗闇の方から愛の声がした。
「いいのよ。ジョー。明かりをつけずにこっちにいらっしゃい・・・。」
声のする方へ目を向けると、暗闇の中に愛の影があることに気付いた。
言われた通りにそのまま愛のそばに近づいていくと、愛がその美しい体に何も付けずにいることが分かった。
そのことが分かるとジョーはその場で動けなくなり固まった。またもやフリーズだ・・・。
目が暗闇に慣れてくるうちに、「街」の明かりよりも眩しく見えるような愛の姿に、どうしようもない恥ずかしさと緊張が体中に走るのを
心臓がチャドのドラムより激しくビートを刻んでいることで、余計に感じさせてくれた。
ビデオや雑誌で女の裸を見るのとワケが違う。
今、ここに、目の前に居るのは本物の女性。
しかも、誰がみても美しい女性だし、初めて見たナマの女性の裸。
更に、その裸の女性に自分も今、裸にされている・・・・・。
気持ちが・・・意識が、混乱するのさえ分かった・・・。
そして、若いジョーの「ムスコ」も立派に反り上がり、ビートを刻みながら脈打っている・・・。とても恥ずかしい・・・。
「やっぱり、初めてなのね・・・。可愛いわ・・・。ジョー・・・。
ジョーは美しいし、私の理想とする男よ。ココも想像以上に立派なのね・・・。
そんなに硬くなるのはココだけにして、体の力は抜いて私の言うことを聞いて、全て私に身を任せればいいの・・・。」
愛はそう言うと、ジョーの唇に自分の唇を重ね、ジョーをベットへといざなった。
愛のSEXは素晴らしかった。
初めてのジョーには当たり前だが、それより何より初めてのジョーに対するエスコートの仕方が素晴らしいのである。
不器用に欲するジョーを優しくなだめながら、女の悦ばせ方を自然にカタチにさせ、ベットの上でのジョーの魅力を引き出していったのだ。
そんな愛に、ジョーは当然溺れていった。初めて女性を経験する悦びもあったが、愛の巧みなリードで
男に生まれてきた悦びさえも感じさせてくれた。
初めてのSEX。若いジョーはどのくらい「イッタ」のだろう・・・。
それこそ、時間も場所も明日のことも忘れ夢中になった。
そんなジョーに愛も優しく答えていった・・・。
ひとしきりの行為が終わり、愛がシャワーを浴び、ベットに戻るとジョーは男の儀式を終えた悦びなのか
笑顔のような顔で眠ってしまっていた。
愛はその美しい悦びに満ちた寝顔に軽くキスをした。
「ジョー・・・。あなたをもう離さないわ・・・。これからは私のために生きるのよ・・・・・。」
そんな言葉を残し、愛もジョーの横に体をつけて眠りに落ちた・・・。
次の日、ジョーはいつもと変わらず、開店前の朝、チョビさんの店の前にいた。
店の外のコンクリートの上で空を眺めながら口を開け、ぼーっとしていると、たまに思い出したようにニヤけるジョーが。
その姿を見ていたチョビさんは後ろからジョーの頭を引っ叩いた。
「イテッ!」
「イテッ!っじゃねーんだよ!へんな面しやがって!
昨日、波がねーから、夜、美味いもんでも食わせてやろーと思っておまえんとこの部屋にわざわざ呼びに行ってやったのに
居やしねーし。そんで今日は仕事だっつーのに朝から変な面して空見ながらぼーっとしてやがるし。
つか、おまえ、昨日の夜は何処行ってたんだよ?」
「なんだ・・・。チョビさん・・・おはようっす・・・・・。」
「「なんだ・・・。チョビさん・・・おはようっす・・・・・。」じゃねーっつうの。
話聞いてたの?オレの?ジョ〜ちゃんは一体何処に行っちゃってたのかな?昨日?」
「あ〜・・・。昨日っすか?波が無いから、ちょっと「街」に行ってたんすよ。・・・・・そんだけっす。」
「ふ〜ん。「街」ですか。つか、おまえさ〜、変な面して店の前に座りこんでたらよ〜、営業妨害よ。
ったく、せっかくこのチョビさんが美味いもんでも・・・・・・・」
と、ブツブツ言ったまま、チョビさんは店の中へ入って行った。
「フ〜・・・。(あぶね〜。昨日の夜のことは絶対チョビさんに話せね〜・・・・・。)」
ため息の後、そっと薄ら笑いを浮かべるのを堪えた。
ジョーは今朝、約束通り愛に、この町まで車で送ってもらったのだ。
寝起きに、夜の行為が忘れられず、愛の体を求めたのは言うまでもないが・・・・・。
なんだかんだ言っても、ジョーをしっかりこの町まで送り届け、次の約束までされたことがとても嬉しかった。
若いジョーはすっかり「愛」の虜状態になっていた。当然だ。
そしてその日から、愛との付き合いが始まった。もちろん、チョビさんには内緒でね。
愛のジョーに対する教育は完璧だった。
女を悦ばせるテクニックはもちろんだが、言葉使いからエスコートのマナーやその他いろいろ。
ジョーには決して強制すること無く、あくまで自然と身に付けさせたのだ。
ジョーも、なんともいえない愛の言い回しに、初めて自分の存在を必要とされた喜びを知り
更に愛との官能的な夜の行為に溺れ、愛の言うことは全て聞き入れるほどになったのだ。
気が付けば、ジョーは全ての女性を悦ばし、虜にするためのテクニックを備える、一つの商品になっていた・・・・・・。
after a longtime ago
vigor?
everybody!
lily&brandnewman
thanks you!
yoursBOOK is
so fine
let's reading aseries!
and
surf
is
nice communication,
初めて客の相手をしたのは、愛と出会ってから1年が経つか経たないかの
愛と出会った頃と同じく、まだ夏前の春の涼しさが残る時季だった。
相手はキョウコと名乗る中年の、何処の誰かも知らない、香水の臭いのキツイ金持ち奥様だった。
ジョーは愛に施されたスーツを着こなし、指定されたホテルに送って貰い、長い時間
この中年の婦人を満足させると、帰り際に封筒を受け取った。
その封筒を愛に手渡そうとすると
「ジョー。それはあなたのモノなの。受け取って、好きなように使いなさい。」
ジョーは封筒の中を覗くと、諭吉が10枚入っていた。
ただ愛に言われるがまま、教えられたまま、何処かの中年の婦人と
「愛」の無いSEXをしただけなのに、金を貰った・・・・・。 今まで小遣い程度に愛から少々金を貰ったことはあるが、こんなにまとまった金を貰ったことはない。
そりゃそーだ。「チョビさん」の店で懸命にリペアして頑張っても、月に貰う給料は12万程度。
でもそんな金のことよりいろんなことでサポートされているジョーは何も文句があるわけが無い。
むしろ、ジョーでも分かるほどの貧乏サーフショップなので
「チョビさん、オレこんなにいらねーよ・・・・・。」
と言ったことがあるくらいだから。当然その時
「バカヤロー!独りで自立して、バカだが一生懸命やってるおまえの報酬なんだよ!」
って、やっぱり頭を殴られたことがあった。
なので、たかが一晩のSEXでこんなに貰えるとは夢にも思わなかったことだ。
しかも相手は愛では無く、愛の言うがままに初めて会った誰かなのに・・・・・。
ジョーはもう一度その封筒を愛に返そうとすると
「ジョー。私はあなたのこと本当に好きだし愛しているわ。でもねジョー、これはジョーにしか出来ないビジネスなの。
そして大事なお客様から戴いたそのお金はそのままあなたの報酬になるの。
だからこれはあなたが貰っていいお金なの・・・・・。」
ジョーは驚いた。自分が商品にされたことにここで初めて気が付いた。
そして愛の生活力や、なんで自分に近づいたのかも納得できた。
これまでの愛のジョーに対する接し方や行動を考えてみても、たかが女独りの力でここまで派手な生活を送れるワケが無い。
男も「商品」もジョーだけでは無いはずだ、他にもたくさんいるのだろう。
ジョーはそのことを、自分が疑問に思う全てを愛に問い質した。
そんなジョーの問いに愛は顔色も変えず、すんなり認めた。
ジョーはそんな愛が、何処か自分に似た寂しさを抱える者の独りだと感じた。
そしてジョーは、それ以上愛に何も聞くことは無く、遠くを見つめる愛の横顔に
これからも愛に尽くし、愛の言うがまま客の相手をすることを、自分から約束したのだ・・・・・。
こうして、ジョーの「サーファー」としての生活と「男娼」としての生活が始まった。
今では、愛の抱える「客」のセレブ婦人の中では人気NO,1の「男」として稼ぐようになった。
愛との関係も相変わらず続いている。
そして「チョビさん」の店は今もあの頃と同じように付き合わせてもらっているが、リペアマンとしてのジョーの姿はもう無い。
当然だが「街」の婦人との「仕事」は食べていくには十分過ぎる程の報酬があるからだ。
だけどジョーは人並み以上に生活水準を上げようとも思っていないし、そうしてもいない。
ただ好きな時に波乗りが出来、たまに好きな海外の波に乗りに行ければそれでよかった。
紛らわしい人付き合いも、時間の流れの速すぎるこの世の中も、そんな世の中では意味の無さ過ぎるこの国のルールにも
ジョーはどれも馴染むことも溶け込むことも出来ないことを、自分が一番分かっていたからなのだ。
そして「街」に出て、色々な人々とすれ違い、「客」と「仕事」をし、愛と寝る。
その度にジョーは思っていた。
「こいつら、なんだって持っているのにこれ以上何が欲しいんだ?・・・・・・」
そんなジョーも、今は24回目の夏をむかえようとしていた・・・・・・・。 thanks to lily!
beer is good!
zzz... 「さ〜て、そろそろウエットに着替えようかな〜♪」
辺りはだんだん薄明るくなってきていた。そろそろ夜明けだ。
ジョーはまだ日の昇る前の、特に波と天気の良い日の海への一番乗りがとても大好きだ。
けれどあいにく今日は曇り空。空を見ると今にも泣きそうな雰囲気を漂わせている。
「天気予報は晴れるって言ってたしな。低気圧が思ったより早く抜けなかったかな。
でも、波あるし、一番乗りだし、風もそんなに吹いて無いし、「仕事」のケガレを落としちゃお〜かな〜。」
周りに誰も居なかったりすると、意外とおしゃべりになったりするのだ。この男は。
ウエットに着替える前に、お決まりのトイレを済ませ、「きちんと手を洗い」、「きちんと手を拭く」。
波のコンディションはセットで頭から頭オーバー。形は少し早めだが、潮目の良さと重なり、時折抜けられそうなバレルになる波も現れる。
こんな波を見てしまうとサーファーなら誰でも心躍るはずだ。この男もそれは例外ではない。
辺りに民家も車も人影もなかったので、着替えながらも良質のセットが入る度に
「ヒュ〜ヒュ〜!イエ〜イ!!」
とわけのわからない奇声を上げ始めた。
ジョーはシーガルに身を包み、最近お気に入りのラウンドノーズのクアッド5’7”に丁寧にWAXUPし、ビーチに降りゆっくりと準備体操をしながらまた奇声を上げている。
「イ〜じゃん!イ〜じゃん!たまにいいの来るじゃない!誰も来ないうちに乗りまくっちゃうよ〜ん!」
多少ゲットの位置を考えアウトに出るが、このくらいのコンディションではジョーにとってなんてことは無い。
そしてアウトに出てからセットを待っているとかなり良さそうな波が入ってきた。
ファーストブレイクは乗らずに見送り、2本目のもう少しサイズのあるピークがワイド気味のセットに乗った。
かなり速めと思われた波は、ジョーの思惑通りテイクオフしてすぐにバレルとなった。
それを難なく抜けるとそのままショルダーまで走ったかと思ったら豪快にレールを切り返し大きなカットバックをした。
更に「バコン!」とリエントリーをかますと、今度はフィンが抜ける程のリップを3発入れ
最後のインサイドセクションにボードを当て込みながら体をレイドバックさせてフィニッシュ。
「ん〜。9.25ってところか?しかし、波、い〜んじゃね〜!?」
このボードでこれだけのパフォーマンスを見せることが出来るのは、このビーチではジョーしかいないだろう。
一般社会的な基準で人間性を考えると、ジョーはかなりのランク外と思われるが
海の上ではサーフィンを知っているものならば誰もが気にするパフォーマンスを見せる。
本当にサーフィンはかなり巧いし目立つ。しつこいようだが容姿もやはり目立つ。
ジョーが海に入り30分あまり経った頃。
すでに何本もの良質のセットを乗りまくって、少し長めのセットを待っていると、海面に空から涙がポツリと落ちてきた。
「ゲッ!雨じゃん!これで天気が良ければ最高なんだけどな〜。」
と、もっともなことを言いながらビーチの方へ目をやると丁度1台の車が駐車場に入ってきた。
良く見覚えのあるその車は、チョビさんであることがすぐに分かった。
チョビさんは慣れたようにジョーの車の隣に着けると海に向かってパッシングをした。
それに答えるようにジョーもアウトに体を向けたまま右手を大きく上げた。
「やっぱり2番手はあのオッサンか。波がいい時はいつも1番取り合ってるからな・・・・・。
残念だが、今日はオレがビーチ入りトップだぜ。
・・・・・ん?・・・・・あれ?」
しょーもないことを一人でブツブツ言っていると、ジョーがウエイティングポジションを取っているところより
更に20mくらい沖のうねりの中に何かが浮いているのが見えた。
「なんだ・・・・・あれ!?・・・・・オイオイ・・・・・ウソだろ!・・・マジかよ!・・・違っててくれよ!」
ジョーが驚くのも無理がない。
ブレイクする前のうねりに持ち上げられ時折カタチを見せるその物体は人くらいの大きさで
更に見れば見るほど、人間そのものにしか見えないのだから・・・・・。
「ジョーのヤロー・・・。いい時には必ず居やがるな。今日も1番乗り取られちまったぜ・・・・・。」
チョビさんは車の中からアウトに一人でセットを待っているジョーにパッシングをしながら独り言を言っていた。
そして、ジョーが沖に浮かんでいるものに気が付くと同時にチョビさんも「それ」に同じく気が付いた。
「なんだ〜?あれっ!?・・・・・おっ、ジョーが向かって行ったぞ・・・。」
そんな海を覗いていたチョビさんの車のフロントガラスに雨のしずくがパラパラと落ち始めた。
たまらずチョビさんはワイパーのスイッチを1回だけ下に下げた。
とその時、目の前に突然閃光が走ったと感じた瞬間、ものすごい轟音が頭に響いた。
その衝撃にあまりにも驚いたチョビさんは飛び上がり、車の天井におもいっきり頭をぶつけた。
痛む頭を押さえながら何が起きたかも分からず、ワイパーのスイッチをいじった途端の出来事だったので
単純に車がイカレタのかと思い、ビビリながらワイパーのスイッチを入れたが今度は何ともない。
更に外に出て、ビクつきながら車のボンネット辺りを見回したが何でも無かった。
とその時、空が光ったと思ったら、さっきと同じ轟音が響いた。
「ひっ!」
不覚にも引き声を上げてしまったチョビさんだが、これでさっきの閃光と轟音の正体が分かった。
「雷」だったのだ。
「オイオイ・・・・・!突然の雷かよ・・・・・。」
と言った瞬間、一瞬で最初の閃光が「落雷」であることに気が付き
「あッ!」と思い、海を見返すとその光景に一瞬固まった。
沖に浮かんでいるジョーの体はボードの上にうつぶせに倒れ
ジョーの右手はすぐ近くに仰向けで浮いている女性と思われるその衣服を掴んでいた・・・・・。
・・・・・が、二人は動くことは無かった・・・・・。
そして、雨が激しくなったビーチにチョビさんの叫び声が雷のように響き渡っていた・・・・・。
「ジョーッ!!!」
はいはい。ど〜も、リリーです。
長くなりましたが、これで「第一章(ジョー篇)」は終わりです・・・。
この後の続きは、後はみんなの想像におまかせ!ってなこと言ったら怒るかな〜?www
仕事や、海に行きたい都合等いろいろあるので、また暇が出来て、機会があれば載せてみようかと
位に思ってますが、あまり面白くなかったかな?
え〜っと、長々こんな素人の話に付き合ってもらって、みなさんありがとうございました!
すっげ〜反響あったりしたら、また続きをチンタラ載せようかと思います。
ま〜、そんな反響なんかね〜と思うけどwww
ではまた!
∧_∧
( ` ∀´)
おちかれさま〜
お茶でもドゾー
( つ旦O
と_)_)
>>250
なんか、想像におまかせも何も最後のところ意味がよくわからないのですが みなさま、ごぶさたしております。リリーさん、おつかれさまでした。
故障したPCも復帰しましたので近々再開したいと思います。
みなさま再びよろしくです。 ok!
let's go!
trip the your world!
and
surf is ballance!
それではみなさま、またぼちぼちアップしていきます。
では、>>89からの続きとなります。
「台風が来る」
携帯の気象サイトに見入っていた少年が呟いた。本を読んでいた華子は少年の携帯電話を覗き込むとそこには台風を
示す円が見え、その後の進路予想が表示されていた。
華子と少年は買い物を済ませると海まで戻ったが風はまだ止んでおらず、ワーゲンバスの中でぼんやりと時を過ごしていた。
太郎は車の影に寝そべり眠っている。午後になると日差しはさらに強くなり、それを避けるかのように人の姿はほとんど見られず
風と波の音が聞こえるだけだった。
少年は雑貨屋で買った麦わら帽子がよほど気に入ったのか車の中でもかぶったままでいる。華子はそんな少年を見て微笑した。
「華子、予定変更だ」
少年は携帯から顔を上げるとこれから次のポイントに移動するという。
「どこへ行くの?」
「とっておきの台風ポイントさ」
そこは三年前に少年がトリップに出たとき偶然見つけた場所らしい。普段はまったく波がたたないが発達した低気圧や台風が来ると
とんでもないうねりが入る特別なポイントだと少年は言った。
「すごい!そんな場所があるんだ」
「まあな。ただ台風のコース次第でまだ何とも言えないけどね」
「いいよ、行こうよ。でもあんまり大きいとわたし乗れないけど大丈夫かな?」
「うーんそうだな、場合によっては見学になるかもしれない」
少年は何かを考えているようだったが強い視線で華子を見つめるとぽつりと言った。
「けりをつけに行きたいんだ」
「どういうこと?」
「おそらくこの台風であいつもそのポイントに現れる。そいつとの決着さ」
少年は三年前にそのポイントで初めてその人物に会ったらしいが、それ以上のことは華子には話そうとしなかった。
「なんかよくわかんないけど、つき合うよ」
華子は少年とそこに現れるという人物との間に何があったかわからなかったが、敢えて聞きこうとも思わなかった。
しかし、そこが今回のトリップの最終目的地なることだけはなんとなくわかった。
サーファーとして生きて、で、社会人としてはどうよ? バカじゃねーの
サーファーとして生きてる奴などネットしかいない
自分は生きてるがサーフィンもやれる、それだけだ。 逆にいうとサーファーとして生きてる奴はネットをしない。 そんなことはない。
ネットしないでサーフィンばかりやってるのは頭が悪いから。
賢いサーファーは波乗りもうまいし稼ぎもいい。
サーファーだから・・で何でも済ますのやめてくれない?
馬鹿っぽいから。 バカ?
ネットがなんぼのもんじゃい?
ヒキオタの主張かよ。
移動のために高速道路をいくつか乗り継いで一般道に降りた頃にはすっかり陽が暮れていた。
そこは幹線道路で沿道にはレストランやパチンコ屋、大型スーパーなどが点在しており派手な電飾看板がいくつも見えた。
華子は自分たちがどこにいるのかまったく見当もつかなかったが、まだ海からは程遠い場所にいるのだろうと思った。
昼間の灼けつく太陽のせいかアスファルトから立ち上る熱気はいまだに消えず、
車窓から入ってくる湿った風にはこれから訪れる夏の香りが微かに匂った。
「ねえ、お腹空いたよ」
街道沿いに建つチェーンのレストランを目にした華子は少年に言った。
「そうだな。この町を過ぎたらしばらくコンビニもなさそうだからどこかで夕飯にするか」
少年はしばらくきょろきょろと辺りを見ながら運転を続けると
不意にウィンカーを出して整備された広い駐車場にワーゲンバスを乗り入れた。
そこはファミリーレストランのような建物だったが店名には見覚えがなく、どんな料理があるのかよくわからない店だった。
車を降りると太郎にリードをつけてワーゲンバスに繋ぎ、水を与えてから華子と少年はレストランに入った。
太郎の様子が見える窓際の席に向かい合って座り、
注文を済ませると華子は海まであとどれくらいの時間がかかるのか少年に聞いた。
「たぶんここから3時間くらいで着くと思うけど、ちょっとやっかいな場所なんだ」
「何がやっかいなの?」
「車を降りてから20分くらい山道を歩かなきゃならない」
「山道って、一体どんなところなの?」
なぜ海へ行くのに山道を歩かなければならないのか、それが結びつかない華子は少年に尋ねた。
「3年前のことなんだけどな、そのときもやっぱり台風が来ていた。俺はたまたま近くにいたんだけど
地図を見ていたらどうしてもその界隈で波が起っていないか海を見たくなったんだ」
少年は道路マップを頼りに海に近い道を辿ったが、そこは山道ばかりで到底海まで出られそうな場所は無かったそうだ。
おそらく陸路は無いのだろうと諦めかけていると、路肩に停まっていた一台の軽トラックが視界に入った。
「それで最初は一度は通り過ぎたんだけど、なんか気になってその軽トラックまで引き返して辺りを散策したら見つけたんだよ」
+ +
∧_∧ +
(0゜・∀・)
ワクワクテカテカ
(0゜∪ ∪ +
と__)__) +
ツヅキマダァー?
少年はガードレールの切れ間から山へと分け入る小径を発見したときの様子を少し興奮しながら話し始めた。
「あれは車で走ってたら絶対気づかないような道だったな」
しばらくその小径の入り口に立って山の中を覗き込み、はたしてこの先が海に繋がっているのだろうかと少年は考えた。
それは道といっても幅40cm程度で草が倒れているだけの''道らしき''代物だったからだ。
しかし行ってみる価値はある。それは、おそらく軽トラックの主もこの道を通りどこかへ向かったことは間違いないと思ったからだった。
少年は意を決して山へ入る小径を歩き出した。鬱蒼と茂る木々の間から僅かな光しか差し込まない薄暗い道は緩い勾配で下っていたが
しばらく歩くとその道は急勾配に変わり先へと続いていた。
大丈夫だろうか?このまま進めば山の奥底へ迷い込んでしまい二度と戻れないような不安に陥り、少年は何度か引き返そうと思った。
だが今まで下ってきた道のりを考えると何の成果も得ずに引き返すほうが馬鹿らしく思えて前へ進むことを選択した。
「それで、それでどうしたの?」
「一本道だったから迷うことはないだろうと思ってとにかく進んだんだ。それにあいつも一緒だったからな」
そう言うと少年はワーゲンバスの傍らで伏せっている太郎の方を見た。
急勾配の道を注意しながらさらに進むとある地点を境に道は急に平坦に変わり、その先には木々の間にぽっかりと口を開けた
山の終わりを示す出口が見えた。そしてそこまで辿り着くと少年の視界に紺碧の海が飛び込んできた。
遥か彼方の沖合には白い波頭がスローモーションでも見るようにゆっくりとブレイクしていた。
少年はあらためて辺りを見回した。自分がいる場所を確認すると、そこは崖の中腹で下を見るとまだ10m位の高さがあり
両サイドは見上げる程高い切り立った崖に囲まれた小さな海岸だった。
「それでさあ、どうやって下に降りようかしばらく考えてたら、あいつが崖の岩をつたって下に降りていったんだ」
再び少年は太郎を見て言った。驚いたことに太郎は逡巡していた少年を傍目に崖に飛び出た階段状の岩を見つけあっさりと
小さな海岸に降り立ったのだった。
「そうなんだ。太郎を連れてって正解だったわけね。それで波はどうだったの?」
「すごい沖でブレイクしている波が見えた。それってどういうことかわかる?」
「わかんない。どういうこと?」
「かなりでかかったってことさ」
少年はまるでそのときのことを思い出したように視線を漂わせ、再び華子を見ると言った。
「そこには一人だけサーファーがいて、そのでかい波に乗っていたんだ」
おっ!久々覗いたら、新作君復活じゃん!
新作君の連載が終わったら続きを載せっかな・・・。
それまでに書き終わるかが、問題。。。
つーことで、新作くん乙!
また読ませて頂きます。
ヨロシク!
サーフィンしてるだけやろ。くくるなサーファーって。サーファーってバカバッカシ。目の前の波だけ考えろ おぉーいwwみつ子
とうさんのたこ焼きはどぉーした?
∧_∧
( ` ∀´)
アリガトサン ξ
( つ旦O
と_)_)
桜 is beutiful!
my heart is relax!
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