安価で勇者の冒険譚書・描く(板ミスってたらごめん
・ただの創作好き
・さっきまでスレまとめ見てただけの5ch初心者
・亀レス
がお送りします
最初は生まれから決めてくよ
文か絵かは気まぐれ *「おきなさい。
おきなさい わたしの かわいい
ヘッポコや……。 「勇者よ、勇者よ、起きなさい」
う、ううん……あ、ココア。
ズズズ、あ、うめえ。
えっと、そうだ、挨拶しなきゃ。
ちらり、と見ると、そこには巨大な城があった。
見よ、この厳かな城を!
天を貫く尖塔は神の国にまで届くのではないかと思わせるほどに高く、絢爛たる装飾はこれまで見たこともないほどに豪壮華麗であった。城の外壁には様々な意匠の浮き彫り細工。それは我々の神話を反転させたような見るもおぞましい地獄を描いたものであったが、それが不思議と城の美しさを際立たせていた。
そして、その城は、なんと黒々と燃えていた!
……
私はココアを美味しく飲んで心は安らいだ。
うめえ。
(でもこれほんとはコーヒーなんだよね)
でも城が燃えていても私はココアが美味しいから関係なくて、たぶん世界がどうなっていても一杯の美味しいココアが美味しければ気にしない。勇者というのはたぶんココアを飲んだことないんだと思う。きっと。
人は欠乏を埋めるために必死に生きる。エロース。それなら最初からすべてを持っている人はどうなってしまうだろう。ズズッ。失うことが怖くて行動しようとしないだろう。ズズズッ。なにもしないことが衰退への道だと悟ったときにやっと行動を始めるのだろうが、そのときにはもう手遅れだ。ココア美味しい。神は沈黙していた。それは神が完全だったからだろう。そう思い込んでいたからだろう。世界の崩壊が近くなってやっと彼は重い腰を上げた。でも、そのときにはもう遅かった。魔王はこの世に絶望してココアを飲んでいた。そして魔王は元勇者だった。だからもう世界がどうなろうと関係ないしココアが美味しい。
(でも残念ながらほんとはコーヒーなんだよね……)
ちなみにココアにお餅は合いません!
城「あちち、あちっ。もうちょっと待ってね、あと三分で焼けるからね! 真っ黒に! おはようございます。これが朝食だと思わないでください。私は一日七食です。これは暁食(ぎょうしょく)です」
見よ、天は暁色(ぎょうしょく)に染まり、餅は黒色に焼け焦げた。空の焼けた色は焦げのような黒から逆に彩りを取り戻し、まるでこんがりとほどよく焼けた餅のように綺麗なきつね色に近い色合いに見えなくもない!
私は怒って真っ黒になったお餅を城の美しいステンドグラスに向かって投げつけた!
ステンドグラスには高笑いする魔族の王が描かれていた! 魔王に向かって飛んでいくお餅! そしてクリーンヒット! お餅は貫通することなく、魔王の口にすっぽりと収まったぁぁあ!
……!?
「もご……」
そう思った瞬間(いったい誰がこんなことを信じられるだろう!)私の口の中に『何か』が入っていた。
……なんと、それは餅だった! 唾液に濡れて黒々と光る焦げたお餅だった!
私は恐怖に襲われた。
が、なんてことない。事件は簡単に解決した。
あれは、ステンドグラスではなかった。
鏡だった。
魔王は鏡に写った私だった。
そういえば私、魔王だった。
そう、お餅は私が怒りに駆られて投げて鏡に当たるかと思いきや、その瞬間、私がお餅に込めた怒りのエネルギーを私に向かって「なにすんだこの野郎(怒)!」と言わんばかりに返してきたのだ。餅はその怒りのエネルギーに従って、私の方へ飛んできたというわけだ。
私も、まさか餅が意志を持つとは思ってもみなかった。
が、これは私にとっても好都合なことだった。なぜなら焦げたと思っていたお餅が実は焦げたのは表面だけだったからだ。ガリッと音を立てて表面の唾液で少々柔らかくなりかけたようなでもガリッって音がしたってことはなってないようなそんな半端な焦げを貫通すると、なんとそこには白く艶やかな光沢を放つ柔らかい美味しい焼き餅が!
「うんまい!」
神の国はいらない。
私の居る場所、此処が、此処こそが楽園だ。
ココア(コーヒー)とお餅だって捨てたもんじゃない。
ミスマッチ? 関係ないね。
完全だが狭量で怠惰な神なんかよりも、私はこの不完全なものを愛する。
すぐに調和できなくてもいい。時間さえかければ必ず共存できる。
焦げた餅だって、一見近寄りがたいけど、一皮(焦げ)剥けばそんなに食えない奴じゃない。
ココア(コーヒー!)との相性だって、さっきも言ったように、時間を置けば悪くない。水を挟めば邪魔をしないし。
お城だって、なんか燃えてて近寄りがたいけど、私のお餅を焦がしたけど、決して悪い奴じゃない(と思う!)。
そうだ、楽園は此処に在ったんだ!
城「おめでとう!」
餅「(怒)」
ココア「(コーヒー)」
神「……(沈黙を保つ)」
私「みんな! ありがとう!」