僕は緊張と期待を胸にしながら、神父の祈りを見つめていた。厳密には魔法でもあるその祈りが進むにつれ、神父の老いた穏やかな顔を取り囲む様に何やら文字のようなものが浮かび上がってくる。

僕にはさっぱり読めない、文字というより記号に近いそれは、神父の祈りの言葉が終わると同時に動きを止めた。見えない何者かがペンを取り、祈祷に合わせて何かを綴りペンを置いた。そんなふうに見えなくもないな、等と思いながらぼんやり眺めていると、どろりと文字が溶けて無くなってしまった。

「あなたの魔術を授かる儀式は無事に完了しましたよ」
「ありがとうございます。それで、僕の魔術って一体なんなんですか?もう楽しみで仕方がなくて」

がっつく僕に神父は微笑んだ。

「ふふ、落ち着いて。魔術は逃げませんから……まあ、かくいう私も魔術を授かる時は大はしゃぎしたものです」
「にこやかな神父さんのはしゃぐところ……ちょっと想像できないです」
「まあ、昔の話ですから……さて、本題に戻りましょう。あなたの授かった魔法はーーーー」

神父がそこまで言ったところで、僕は不意に浮遊感を覚えた。見ると、僕らの足元が崩れ、真っ暗な奈落が口を開けていた。床の崩れはどんどん広がり、僕は寒気がする程の暗闇に飲み込まれていった。



>>4 主人公の魔法の系統(チート、現代科学系無し。これらの場合再安価)