>>826
この作品は三人称じゃなきゃダメなんや…
度重なるお願いですまんが、作品のラストの文章だけもう一回採点してくれ。

 怜子の魅せた刹那の意味を、小坂は幾度となく考える。彼は今迄の人生で強烈な後悔を知らなかった為に、却ってその作業に憑りつかれてしまった。新雪を握りしめる時の、あの締め付ける苦痛と、ある快さの融解、喜悦の伴う凌辱。小坂にとって青春と呼べるものは、言うなれば追憶のことだった。
 記憶の中、怜子は光を放っている。摺り硝子に遮られ、彼女の姿は明瞭に見えない。怜子が揺れ動く度、瑪瑙のような、屈折した明かりが踊る。それは彼の居る暗闇を縦横に切り裂き、優艶な魅惑を溶かしていた。それは一方的な交流で、潰えた可能性の質量を、こちらへ不条理に叩きつけていた。彼は怜子の居ない反対の暗闇を、首だけを動かして見つめる。恐らくはその先に、いや確実に、本当の光が存在していた。しかし赤光は小坂を捉えて離さず、過ぎ去った日月が為に、却って時を超越していた。