『振られた私に神様が降りてきた』

大学の同級生に告白して振られた挙句、大嫌いな女と付き合ってた事が判明し、泣きながら帰る私に神様が舞い降りてきて、こう言った。

「わたしは神様です。貴女に伝える事があって、やって来ました」

そりゃ、そうでしょうね。空から舞い降りてきた上にギリシャ神話風のヒラヒラとしたワンピース。
しかもキンキラキンの後光を背負った金髪碧眼の超美人さんがタダの人ってーのは流石に無理がある。
まあ、人外の可能性はあるかもしれないけど。伝える事があると神様は言うが、残念ながら今の私にそんな御大層な話を聴くエネルギーはない。

「すいません。そんな気分じゃないのでまた後にして貰えますか。」
と言って俯くと、素早く道を右に曲がって神様を華麗にスルーした。

早く帰って思い切り泣きたいけど、走る気力すら無い。人目が無いことを幸いにぐすぐすと涙を流しながら早足で歩いていると、なんと神様も急ぎ足でついて来た。

「ちょっと!!貴女!ここはひれ伏して話を聞くシーンですよ!!何無視してるのよ!」

しかもめっちゃ指さして私を叱ってくる。 出会ったばかりなのに指さしてくるとか、マジでムカつくんですけど。

神様はどうしてこんなに傲慢なんだろう。人間の行いは全てお見通しだとか言う癖に、私の精神的事情などお構い無しに突っかかってくる。ほっといてよ。
「すいません、私無神教なんで巻き込まないでください」
私は更に歩くスピードを上げる。神様から逃げられる訳が無いのは分かっているけど素直に聴くのは癪に障る。

「お待ちなさい!人の子、よっ……きゃあ!!」

神様が私を止めようとしてダッシュして前に出た瞬間だ。神様は小さな悲鳴を上げてが私の視界から消えた。

「はあ?……う、うそ!!か、神様?」

私は思わず声を上げる。
神様は消えたのでは無かった。捨ててあったバナナの皮を踏んですっ転んだのだ。