俺は結婚して、ガキもできて、いかにも良夫賢父!って感じだろ?
 え?違う?......冗談だよ。俺なんて、お前が居なかったら、ダメダメな、突っ走ることしか知らねぇガキのまんまだった。きっと冒険者業も長続きしなかった、すぐに死んでたに違いないだろうからな。
 お前は相変わらず魔法の研究に打ち込んでるよな。空き時間で。それすごくいいと思うぞ。正直、お前には冒険者じゃなくて研究職の方が似合ってると思うくらい――



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 ...............................................あぁ。

 ごめんな。お前も分かってたよな。だってお前、俺より頭いいし。

 今回話したかったのは、お前に、パーティをやめてもらいたい、っていうことだ。



 俺らのパーティはときどきSクラス級の依頼だって舞い込んでくるようにまで成長した。お前の助けがなかったら、絶対にありえなかった未来だ。
 だけど、お前は本当に、ほんとうによく頑張ってる。
 それは俺がガキんときからいっちばんよく知ってる。いつもお前とはいっしょだった。
 お前は本当に頑張って、頑張って.........だけど............でも.................

 ごめん。
 はっきり、言わせてもらう。

 お前の実力は、足りてないんだ。俺たちのパーティの水準に。


 勿論俺はお前が望むからいくらでも、どこまでもこのメンバーで行ってやるって思ってた。だけど、俺は........失うのが怖い。お前が死ぬのが、怖い。

 お前はだいたい、ギリギリBクラスの魔法士で、どちらかというとCクラスに近い。
 これから舞い込んでくる依頼をこなすにはもうそろそろ限界があるだろ。お前、賢いから分かってると思うけど。
 でも、お前が望むからって、このままいかせてしまうのが怖いんだ。死んだ時に、お前の顔も、自分の顔も見れなくなるんだ。


 ここまでついてきてくれたことには本当に感謝しかない。
 俺の無茶ぶりにつきあってくれて、ずっと嬉しかった。
 俺のわがままに、ここまで付き合ってくれてありがとう。


 ...........知り合いがさ、魔法の研究してるんだ。お前、それに興味とかないか?よければ紹介したい。
 もしかすれば、冒険者よりも、研究者っていう方がしっくりくるかもしれないし。
 でも、パーティを抜けたからって言って、お前と俺たちの縁が切れるわけじゃないから。
 俺はお前のことはいつまでも相棒だと思ってる。
 お前も、俺のことを親友だって思っててくれ。