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春を呼ぶ少女と夏を呼ぶ男
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0001創る名無しに見る名無し
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2019/11/05(火) 04:20:50.50ID:PAMkWiS0
少女
「こんにちは」

「何をしているんだ?」

少女
「にょっきっきー、にょっきっきー」

「だから、何をしているんだ?」

少女
「つくしの真似です。春を呼んでいます」
0002創る名無しに見る名無し
垢版 |
2019/11/05(火) 04:22:53.11ID:PAMkWiS0

「ほぅ」
少女
「なんですか?」


「いや、春は近くなったのか気になったんだ」
少女
「いえ、まだまだ来ませんよ?」


「それはよかった」
少女
「春が嫌いですか?」


「あぁ、嫌いだ」
少女
「残念です」
0003創る名無しに見る名無し
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2019/11/05(火) 04:24:45.84ID:PAMkWiS0

「君は好きなのか?」
少女
「いえ、嫌いです」


「じゃあなんで残念がるんだよ」
少女
「あなたと同じということに悲観しているんです」


「なんだ、俺が嫌いなのか」
少女
「いえ、そういう訳ではありません
初対面の人を嫌いになれる程、私は捻くれていないですから」


「なるほど。なら俺は少し捻くれているかもしれないな」
0004創る名無しに見る名無し
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2019/11/05(火) 04:26:23.56ID:PAMkWiS0
少女
「それは、私が嫌いってことですか?」

「君に限った話じゃない。初対面の人ってやつが嫌いなんだ」

少女
「どうしてですか?」

「昔、嫌な思いをしたからだ」

少女
「そうですか。それはお気の毒に」
0005創る名無しに見る名無し
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2019/11/05(火) 04:30:35.29ID:PAMkWiS0

「ところで、どうして声を掛けてきた?」
少女
「あなたが近寄ってきたからです。あなたはどうして近寄って来たんですか?」


「女の子が穴から顔を出していたからだ」
少女
「常識的に考えて、そこは見て見ぬふりをしませんか?」


「怪我をしているかもしれないと思ったんだよ。それで、底が見える程近づいたら君が声を掛けてきた」
少女
「なるほど、それは不運でしたね。もう少し身長が高ければ声を掛けられなかったかもしれません」


「これでも平均よりは高いけどな。ところで、学生っぽい君は今日休みなのか?」
0006創る名無しに見る名無し
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2019/11/05(火) 04:33:59.44ID:PAMkWiS0
少女
「カレンダー見てますか?もう夏休みですよ」

「あぁ、もう夏だったのか」

少女
「えぇ、七月も終わりです。フリーターっぽいあなたは、今日バイトは休みなんですか?」

「カレンダー見てるか?今日は火曜日で、俺の週に一度しかない休日だ」

少女
「休みの日に外へ出るなんて健康的ですね」

「今日の占いで外に出るなって結果が出たんだ。どんな不幸な目に遭うかと思えば、こんな不幸な目に遭うとはな」

少女
「バイトのない日でよかったですね」

「そうだな。健康的な不幸ってのも、たまには悪くない」
0007創る名無しに見る名無し
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2019/11/05(火) 04:37:09.99ID:PAMkWiS0
少女
「ところで、あなたは嫌いじゃないんですか?」

「何がだ?」

少女
「誰かと同じということが、です」

「別に、気にしない。世の中には数多くの人がいるからな」

少女
「ですが、その中で出会う人はごく僅かです」

「それでも誰かしらと出会うんだ。少しくらいは我慢するべきだろ」

少女
「嫌です。耐えられません」

「頑なだな。何をそこまで嫌うんだ?」
0008創る名無しに見る名無し
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2019/11/05(火) 04:39:35.11ID:PAMkWiS0
少女
「私は、孤独感に浸かっていたいんです
私の様な人は私だけだと感じていたいんです
だから同じ人も、似たような人も嫌いです」

「大丈夫だ。つくしの真似をしながら春を呼んでいるのは、間違いなく君だけだ」

少女
「知っていますよ。だからやっていたんです」

「君は不思議な子だな」

少女
「独創的と言ってください」

「そんなことをして、何か意味は生まれるのか?」

少女
「特には。ですが、何もしない無意味な人生よりはマシです」

「そんな醜態を晒すより、何もしない方がマシだと思うけどな」
0009創る名無しに見る名無し
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2019/11/05(火) 04:47:24.97ID:PAMkWiS0
少女
「何もしない方がマシだなんて、そんなの嘘ですよ。でなければあなたはここにいません」

「ほぅ、よくわかったな。実はさっき言われたことが気になって、少し背伸びしてみたんだ
どうだ、まともっぽかっただろ?」

少女
「…踵を持ち上げるより、私を引き上げてください」

「なんだ、出られないのか」

少女
「出られないことはないのですが、這いつくばる姿は見られたくありません」

「それはよかった。人並みに羞恥心があったんだな」

少女
「えぇ、ありますよ。実は今も少し恥ずかしいんです
なんとなく、高い木から降りられない猫の様ですから」

「そうだな。俺はなんとなく絶対値が頭に浮かんだよ」
0010創る名無しに見る名無し
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2019/11/05(火) 04:48:37.96ID:PAMkWiS0
少女
「猫は木の上で何の真似をしますかね」

「知らないけど、猫は何をしたって可愛いからなぁ」

少女
「こんなところで遠回しな告白ですか?恥ずかしい人ですね」

「直行で猫が好きって話だ。それに、恥ずかしい人は君の方が似合ってる」
0011創る名無しに見る名無し
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2019/11/05(火) 05:01:53.64ID:PAMkWiS0
続きは明日です
0012創る名無しに見る名無し
垢版 |
2019/11/06(水) 02:50:56.32ID:7BirlDMW
少女
「ありがとうございます」

「あぁ。それにしても、随分と深くまで掘ったな」

少女
「いえ、これは元々掘られていました」

「そうなのか。立ち入り禁止の看板もないし、不用心だな」

少女
「私有地って看板ならありますよ?」

「子どもからしたら空き地と変わらない。現に子どもが遊んでいた」
0013創る名無しに見る名無し
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2019/11/06(水) 02:52:32.66ID:7BirlDMW
少女
「私は遊んでいたのではなく、探していたんです」

「そうだったのか、それはすまない。それで、この穴に何か落としたのか?」

少女
「いえ、落し物はしていません」

「じゃあどうしてこの穴に?つくしの真似をする以外に何か理由があったのか?」

少女
「穴に入っていたのは、ここがこの町にある唯一の土だからです。それとつくしの真似は思い付きです」

「よくわからないな。結論を言ってくれるか?」
0014創る名無しに見る名無し
垢版 |
2019/11/06(水) 02:54:42.44ID:7BirlDMW
少女
「私は蝉の抜け殻を探しています」

「成虫の蝉じゃなくて?」

少女
「はい」

「またどうして?」

少女
「理由、ですか。そうですね
ではあなたにとって、夏の始まりとはなんですか?」

「そうだな。理想は、すれ違う学生が語る夏休みの計画だな
だが現実は、スーパーに並ぶ野菜で夏の始まりを感じる」

少女
「あなたの夏は随分と早く始まりそうですね」

「そうでもないさ。現に今年の夏はついさっき始まったばかりだ」
0015創る名無しに見る名無し
垢版 |
2019/11/07(木) 03:12:00.49ID:seVBETFF
少女
「あれ冗談じゃなかったんですか。まぁですが、私の夏はまだ始まっていないので私よりは早いですよ」

「ほぅ、君の夏は夏休みよりも遅いのか」

少女
「昔は夏休みよりも早かったです」

「それは興味深いな。ぜひ君にとっての夏の始まりを教えてくれ」

少女
「えぇ、いいですよ。私にとっての夏の始まりは、蝉の鳴き声が聞こえたら、です」

「ならもうとっくに始まってるだろ」

少女
「いえ、まだです」

「そうか?」

少女
「今年に入ってから、あなたは蝉の鳴き声を聞きましたか?」

「バイトに行く時はイヤホンをしてる。家に居る時はスピーカーだ。虫の声より人の声の方が好きでな」
0016創る名無しに見る名無し
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2019/11/07(木) 03:13:17.63ID:seVBETFF
少女
「でしたら今日、ここへ来るまでに蝉の鳴き声を聞きましたか?」

「意識してないからよく覚えてないが、確かに今は聞こえないな」

少女
「私は梅雨に入る前からずっと意識していましたが、今年はまだ蝉の鳴き声を聞いていません」

「そうなのか。まぁ、たまにはそんな年もあるだろ」

少女
「いえ、これは必然的に起きていることです」

「と言うと?」

少女
「あなたは気付いていないと思いますが、ここ数年で地面はコンクリートかアスファルトになってしまいました」

「どうりで歩きやすいわけだ」
0017創る名無しに見る名無し
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2019/11/07(木) 03:15:06.25ID:seVBETFF
少女
「さらには去年、市が近隣の山に大量のモグラを放ちました。これは蝉の幼虫を根絶して、静かな夏を過ごすためです」

「随分と大規模なことが行われたんだな」

少女
「この町に住むほとんどの人が賛同しましたからね
近頃の人は我慢ができないようです。いえ、楽しむことができないんでしょうね」

「蝉の鳴き声が聞こえないのはわかった。だが、どうして成虫の蝉ではなく蝉の抜け殻を探しているのかがわからない」

少女
「少し積極的に、夏を迎えに行こうかと思いまして。理論上、蝉の声より蝉の抜け殻の方が早く見つかるので」

「それなら蝉の幼虫を探した方がよくないか?」
0018創る名無しに見る名無し
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2019/11/07(木) 03:15:58.08ID:seVBETFF
少女
「虫は苦手なので、幼虫を探す気にはなれません」

「なるほどな。ようやく納得できた」
0019創る名無しに見る名無し
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2019/11/14(木) 21:23:12.94ID:3ofnhiEp
終わり?
0020創る名無しに見る名無し
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2019/11/19(火) 05:58:47.47ID:ytn+q0gI
いえ、実は結構長くなる予定なんです
0021創る名無しに見る名無し
垢版 |
2019/11/20(水) 22:10:43.36ID:UKOSTD80
楽しみにしてるで
0022創る名無しに見る名無し
垢版 |
2019/12/20(金) 13:20:21.67ID:JTYQVYSj
オカマ「わたしのお誕生日は、もちろん4月4日」
0023創る名無しに見る名無し
垢版 |
2019/12/21(土) 10:05:19.82ID:sjCtNEm6
少年「ボクもオカマになりたいですかも」
0024創る名無しに見る名無し
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2019/12/22(日) 00:10:50.63ID:HISKjAt0
あ~〜
0025創る名無しに見る名無し
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2019/12/22(日) 00:12:24.10ID:HISKjAt0
♪♫♬♬
0027創る名無しに見る名無し
垢版 |
2019/12/23(月) 14:49:13.64ID:8ICULnBb
固めてナタリー
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