X



トップページ創作発表
849コメント715KB
あなたの文章真面目に酷評します Part107
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
0001創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/16(金) 02:13:26.81ID:OxQxjXnd
あなたが書いた小説・論説文・エッセイなどの文章を真面目に読み、感想・添削・批評を行います。

■過去ログ
前スレ
あなたの文章真面目に酷評します Part106
http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1515357787/

まとめwiki
ttp://www6.atwiki.jp/kata/

■投稿する人へ
投稿する前に読み返しましょう。
投稿が複数レスにわたる場合は、1/2のように、全体レス数がわかるようにしましょう。
投稿には「批評お願いします」等、投稿であることがはっきりわかるように書き添えましょう。
他人の文章のコピペ、作者になります行為は厳禁です。外部リンクを貼る場合はサイト内にその旨を表記する等、作者本人がアップロードしていることが分かるようにしてください。
文量が多い場合は外部リンクを貼ったほうがいいかもしれません。
もしも文章を無視されてしまったら、もう一度批評をもらえるように頼んでみましょう。目についたものから批評していくので、見落としもあります。
辛辣なことを言われても落ち込みすぎないように。批評をした人とあなたの相性が悪かったのかもしれません。ただ、あなたの作品をそういうふうに受け取る人もいるということを心にとめておいてください。

■批評する人へ
当スレは投稿者を育てるのが目的なので、できるかぎり良い所と悪い所を具体的に挙げて投稿者が納得する形で批評をしてあげてください。

■次スレ
スレッド容量が480KBを超えたら投稿を控えて次スレを立ててください。そうでない場合は>>980を踏んだ人がスレを立ててください。
0392フカ
垢版 |
2018/03/20(火) 11:22:48.86ID:wIPo7UN9
>>384
なるほど、何となくわかってきた気がします。
つまり、読者にもっと寄り添って書いて欲しいって事ですよね。
心に留めておきます。

ありがとうです。
0393フカ
垢版 |
2018/03/20(火) 11:23:57.70ID:wIPo7UN9
>>385
なるほど、ありがとうです。
もっと頑張ります。
0394フカ
垢版 |
2018/03/20(火) 11:24:48.92ID:wIPo7UN9
>>386
はい、気をつけます。
ありがとうございました。
0395フカ
垢版 |
2018/03/20(火) 11:26:03.96ID:wIPo7UN9
>>387
私は目が痛いですw
0396創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/20(火) 12:11:57.15ID:gDjBW/Hi
『むぎわらとんぼ』(未完) はフィクションとして成立しているので、改稿するなら「構成」を替えることだね。
人称とかそういうことは実は大したことじゃないよ。
0397フカ
垢版 |
2018/03/20(火) 12:39:12.34ID:wIPo7UN9
>>396
ありがとうございます。
なるほど、構成ですか。考えてみます。
今は他の、新人賞に出品したい作品が優先ですが、いつかまた書いてみたいです。
とりあえず、今は戦争に関する話を秋の〆切までに…と思います。
こちらでのアドバイスが生きてる筈なので、もし受賞したら、皆さんに何かお礼がしたい気持ちです。
頑張ります!(^^)ノ
0398創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/20(火) 14:34:01.81ID:gDjBW/Hi
「構成」とはなんですか? と聞き返さないところがめんどくさくなくて素晴らしいですねw
さて、老婆心ながら、
公募文学賞のトレンドのひとつは「戦争を知らない若い世代による戦争小説」らしいですよw
2014年新潮新人賞・高橋弘希『指の骨』、2016年太宰治賞・夜釣十六『楽園』なんかがそうだ。
だからどうした、なんだけど、一度、あなたの師匠に相談してみたらどうだろう。
オリジナリティをどこにおくべきか、とかについてね。
『楽園』なんかは、あなたの書きつつある作品とアウトラインが似ているかもしれないし。
だって、祖母が出てくるんでしょ? 
まあ、少なくとも参考までに読んでおいたらどうだろう。

>パチンコで稼ぎを食いつぶす三十歳の青年が主人公。
一枚のはがきをきっかけに九州の元炭坑村で“祖父”と暮らし、
不思議な南洋植物を育てながら太平洋戦争の体験を繰り返し聞くうち、
日本の過酷な現地支配や文化工作が自分の記憶と重なっていく。
(北陸中日新聞)
0399創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/20(火) 15:18:57.38ID:gDjBW/Hi
【投稿テキスト早見表】
>>6 「おむすび」 お題文芸 外部リンク
>>42 「猫とメガネと天気管」 詩的散文
>>127 -128 伝奇小説
>>166 -167-168 「し文学」
>>187 「サミクラウス」地の文縛り 外部リンク
>>195 「し文学」
>>196 バディものパロデ
0400創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/20(火) 15:19:21.51ID:gDjBW/Hi
>>203 エッセイ
>>221 -222-223 バディもの
>>233 「し文学」
>>234 「し文学」
>>240 「し文学」
>>257 −258-259 「し文学」 マイナー改稿・再投稿
0401創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/20(火) 15:19:39.60ID:gDjBW/Hi
>>263 -264 「し文学」 マイナー改稿・再投稿
>>272 -273 「し文学」 マイナー改稿・再投稿
>>275 -276-277 百合小説
>>319 「黒豹出版文芸部2〜赤い標的〜」 バディもの文言・白話(文語体・口語)
>>325 「し文学」
>>370 ファンタジー 外部テキスト
0402フカ
垢版 |
2018/03/20(火) 16:16:31.67ID:wIPo7UN9
>>398
アドバイスありがとうございます。

一応、一昨年に群像に出した作品をリライトしてます。本来なら新作を出すべきなのですが、どうしても力を出し切ってない感じがあったので。
内容は、傭兵(ボランティア兵士)とその恋人の女性の話です。傭兵に恋した女性の内面にクローズアップしたラブストーリーと言うか。私にとっては、戦う男たちへのラブレター、またはオマージュ的な作品です。

祖母というか、ミミさんも出てきます笑。戦争経験者として、さらりと、ですが。

戦争について、キャラごとに違う考え方があって、それぞれの立場から戦争を語る感じ?です。

『楽園』と『指の骨』ですか。チェックしてみますが、多分ネタは被ってないと思います。

情報、恩にきます!
てんきゅー!^ - ^
0403創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/20(火) 16:52:29.89ID:gDjBW/Hi
>戦う男たちへのラブレター
なるほど、これは意表を突かれた、オモシロイいテーマだと思うけど、
群像に出したとも言うし、どんなテイストの作品なのかなかなか想像ができないw
時代物なのかな?
まあこれ以上の質問は、ネタバレしるし、応募に支障がでるだろうから自重。
グッドラック!
0404フカ
垢版 |
2018/03/20(火) 17:08:13.79ID:wIPo7UN9
>>403
ありがとうです。
自画自賛ですが、過去最高傑作の予感です。

これで箸にも棒にもかからないなら、群像さんは…と他社に乗り換えるくらいの気持ちです。

いい結果、つまり群像新人文学賞受賞なら、一年後に、こちらにお知らせします。
予選通過なら、またネット公開します。皆さん、手ぐすねひいて酷評して下さい笑。

箸にも棒にもかからないなら、他社に放り込むので、一年半後の公開…かな?

なんにせよ、皆さんに早く読んで頂きたいです。
頑張ります!
(^^)ノシ
0405フカ
垢版 |
2018/03/20(火) 17:09:50.83ID:wIPo7UN9
>>404
手ぐすねひいてお待ちください、の間違いw
0406創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/20(火) 17:18:00.84ID:gDjBW/Hi
杞憂に終わればいいのですが、群像だったら「反戦」が底流にないとハネられるでしょ。
とか思っちゃいますね、大丈夫なんでしょうか? 傭兵になった理由にもよるかなあ。
師匠は一昨年、Go!サインだしたの? とかいろいろ興味あるマッチングですねw
「野性時代フロンティア文学賞」なんかどうかなあ。
できるだけフィットする賞を選んだほうがいいのは確かですが…。
0407フカ
垢版 |
2018/03/20(火) 17:27:02.03ID:wIPo7UN9
>>406
師匠は、一昨年の段階ではGoサインでした。
非日常と女性心理が上手く書けてると、褒めて下さいました。でも、なぜか予選敗退。

一応反戦小説をと思って書いてますが、夢物語な反戦小説ではなく、リアルな意味での反戦小説をと思って書いてますが。でも、思想面ではねられるんじゃ、とも心配ではありますが。
師匠が大丈夫だとは言ってますから、まず大丈夫かと。
野生時代も魅力的ですが、テーマが、女性心理なので、純文学だとは思います。

ご心配、ありがとうこざいます。
0408創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/20(火) 17:33:30.69ID:gDjBW/Hi
なるほど。
リメイクして同じ賞に出すのは筋が悪いと思うけどね。
まあ師匠が今年もGo!なら。
0409フカ
垢版 |
2018/03/20(火) 17:37:14.31ID:wIPo7UN9
>>408
下読みの人が被る可能性もあるので、不利ではありますが再応募を選びました。
他社に出して、これ群像落ちた奴じゃん!と思われたらもっと不利かなと。
とりあえず、完成したらまた師匠に提出します。
ありがとうこざいます。^_^
0410319
垢版 |
2018/03/21(水) 15:41:23.68ID:/EZlTalA
黒豹出版文芸部2を小説的に書いてみたのだけれど、面白いと言ってくれる人は戯曲的なものがよかったのだろうか、
とか、
鈴子のアンニュイ設定外したらめちゃ元気になってしまって、こんなのがっかりだ! とか思われたらどうしよう、
とか、
前のは戯曲的だったので内面描写皆無だったのだけど、やっぱり鈴子寄りで内面を書くべきか、などと迷いながら書いたら中途半端になってしまって、がっかりだ、
とか、
読み直せば読み直すほど訂正入って終わらない、
とか、
悩みはつきないのですが、三レス分だけお願いします。

あ、タイトルは「黒豹出版文芸部2〜赤い標的と緑の毒薬〜」に変更します。
割と神視点です。
ネタになった人は笑って許してね!

酷評お願いします。
0411創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/21(水) 15:43:25.31ID:jrO0aWDA
楽しみだねー
0412319
垢版 |
2018/03/21(水) 15:43:40.70ID:/EZlTalA
 黒豹出版は、東京都○○区に八階建ての本社ビルを構える中堅出版社である。本社ビルといえば聞こえはいいが、竣工からかなりの年数が経っており、鈴子などは出社の折にそのビルを見上げては、
「やっぱりちょっと傾いてる気がするなぁ」
 とつぶやくのが常だった。鈴子の配属されている文芸部は六階にある。
 黒豹出版では年に一度、一般から広く小説を募集する新人賞を設けていた。有望な作家を発掘するためである。つい先日、その募集が締め切られ、選考作業に入っていた。
 鈴子ら若手編集者は、その一次選考の下読みという作業に当てられていた。応募作品を読み、いいと思った作品を次の選考段階へと送るのである。実力のある新人を発掘するとともに、力のおよばない者には引導を渡すことになる。楽しくもあり、また辛くもある仕事だった。
「これ、退屈であくびが出るよ、ふあーあ。あ、あくびしたら涙が出てしまった」
 花代はわざとらしく言うと、ティッシュで両目を拭った。めんどくさい男である。
「で、どうするんだ、それ?」
 そのティッシュで鼻を拭ってゴミ箱へ放った。
「うーん」
 鈴子は花代から受け取った応募作を両手にうつむいた。
 文章でいえば即アウトである。鈴子と花代、ふたりの文章のプロが脳内補正しながらやっと読み解いて内容を理解したのだ。しかし、その内容は素晴らしい。花代と鈴子の涙がそれを証明していた。
 ある程度の瑕疵ならば校正、書き直しを経て出版にこぎつけることは可能である。だが、この文章はどうか。ある程度どころではないのだ。編集者らが一言一句ああしろこうしろと言ってそれなりのものにすることはできるだろうが、それでは作品はこの作者のものではなくなってしまう。
 ちょっと前なら編集者自身が手を入れることもあっただろうが、今は時代が違う。少なくとも黒豹出版ではそうだ。この作者は書き直せるだろうか?
 鈴子は答えを出しかねていた。
「こんにちは」
 おだやかな声に鈴子は顔を上げた。にこやかに微笑む若い男がすぐそばに立っていた。鈴子よりはるかに若い。
「阿々楠《ああくす》くん」
 早熟の天才作家、阿々楠先生である。ふたりは担当していないが花代と馬が合い、よく訪ねてくる。すでに中ヒットを二本飛ばしていて、いずれ大当たりがくるとふたりは踏んでいた。作品もいいし、若いうえになかなかのイケメンなのだ。営業部に活を入れなければ、と普段花代は息巻いている。
「ごるぁ! 先生をつかまえて君付けとはなんだ!」
 花代が丸めた誰かの校正ゲラを振り上げた。
「あっ、す、すみません!」
 鈴子が体をすくめて花代のデスクからさっと離れた。
「や、やめてくださいよ、先生なんて。君付けで結構です」
 阿々楠先生は面映ゆそうな顔で言うと、ふたりの間に割って入った。
「いや、そういうわけには――」
「ところで花代さん、なんで泣いているんです?」
「泣いてねーし」
 先生にずいぶんな言いようであった。
「あ、これです。新人賞の応募作」
 鈴子がその作品を鼻まで掲げて阿々楠先生に示した。
「へー! そんなにいいものが送られて来たんですか!」
 目を輝かせる阿々楠先生の言葉に、ふたりはなんともいえない微妙な顔をした。
「読ませてもらえませんか?」
「えーと」
 鈴子が花代の顔を見ると、花代は小さく頷いてみせた。
「ではここ以外には持ち出し禁止でお願いしますね。パクったりしないでくださいよ」
 鈴子の果てしなく失礼な言葉に花代は一瞬にして青ざめた。しかし、当の阿々楠先生は気にした風もなく、もちろんです、とにこにこしている。
 壁際にあるミーティングテーブルに阿々楠先生を案内しかけた鈴子は、花代のデスクにあるティッシュの箱をひょいと取りあげた。
「あ、おい」
「いいじゃないですか、減るもんじゃなし」
「いや、減るし」
 花代の言葉を無視して阿々楠先生を案内し、鈴子は給湯室に行った。コーヒーメーカーのポットを嗅いで煮詰まっているのを確認すると、ドリッパーで新しくコーヒーを淹れ、阿々楠先生の元へ持っていった。
「あ、どうも……」
 いくらか読み進めたらしい阿々楠先生は困った顔をして鈴子を見上げた。文章のひどさに戸惑っているのだ。
「あの……」
「大丈夫です」
 鈴子は力強く頷いた。読めばわかる、という意味である。
「あ、そういえば阿々楠先生は、今日はどういう用むきでこちらへ?」
「ああ、次回作の打ち合わせに」
 そう言った阿々楠先生の顔はどこか憂いを含んでいるようだった。
0413319
垢版 |
2018/03/21(水) 15:46:27.55ID:/EZlTalA
「うまくいかなかったんですか?」
「前途多難なようです」
 阿々楠先生は寂しそうに苦笑した。作家の書きたいものと出版社が求めるものが食い違う場合がままある。そういうときに両者を上手にすり合わせるのも編集者の腕の見せどころだ。しかし、中には作家に有無を言わせない編集者もいる。阿々楠先生は若いのでそんな目に遭っているのかもしれない。
 鈴子は言うべき言葉を見つけられず、ただ黙礼すると、給湯室にお盆を下げに行った。
 戻ってくるときに阿々楠先生がぶつぶつ言いつつ応募作を読むのを見て、鈴子は笑いをこらえながら自分の席に腰をおろした。ふんっと鼻から息を吐いて気合いを入れる。読まなければならない作品は、まだまだたくさんあるのだ。

 阿々楠先生は最初こそ、うーん、とか、マジかー、などと唸っていたが、やがてやっぱり静かになり、最後には溢れる涙を拭ったのであった。
 その後すぐ阿々楠先生は帰っていった。なんだか元気が出たようである。応募作のコピーはしっかり鈴子が受け取った。
「そんなにすごいの? ちょっと見せてよ」
 デスクに戻った鈴子の手にした問題の応募作を、島の向かいの席からひょいとさらっていったのは、桃ちゃんこと坂下桃子《さかしたももこ》である。
 桃ちゃんは大きい。身長は鈴子よりちょっと高いだけなので百五十五センチくらい。横に大きいのだ。桃ちゃんの肩を横から押せば、くるんと回ってまた元通り立つんじゃないかと思うほどである。年齢は鈴子よりふたつ上だが、ほとんどの編集者は桃ちゃん≠ニ呼んでいた。鈴子も例外ではない。
「あ、ちょっと、桃ちゃん」
「いーじゃん。あたしの分はあまりピンとくるのなくてさぁ」
 そう言って桃ちゃんはどっかりとチェアにお尻を落とした。桃ちゃんも新人賞応募作の下読みを何作か当てられているのだ。ぎしりとチェアが悲鳴をあげた。
「ま、いっか」
 鈴子は次の応募作をデスクに置いて、背筋を伸ばすと鼻から息をふんっと吐いた。鈴子なりの下読みの際の儀式である。精神を集中させるのだ。ゆっくりと一ページ目をめくる。数行を読んだ鈴子の目が大きく見開かれた。
 桃ちゃんが向かいで「うわー、なんだこりゃ」と言うのも耳に入らない。
「こ、これはすごい――」
 鈴子は夢中でページを繰った。
 最後のページを読み終えてページをもどすと、鈴子はチェアに背を預け両の腕を組んだ。その顔に浮かぶのは戸惑いだった。眉尻が下がっている。
 ふと顔を上げると桃ちゃんがぽろぽろと涙をこぼしていた。
「どうだった?」
「泣けるわー。でも、これを通すのはなんというか抵抗あるねぇ」
 桃ちゃんが鼻の下にティッシュを当てて言った。やっぱりぶつぶつ言いながら読み進め、黙って、ほろりときたのだろう。そのまま出版しても話題になるのではなかろうか、などと考えたが今はこの新しい難題だ。
「なんだかまた難しい顔をしてるな。今度はなんだ?」
「あ、花代さん」
 すぐ後ろに花代が立っていた。
「今度のはですね、素晴らしい文章です」
「ほう、いいじゃないか」
「ええ、全体が、これ美文! という感じで、特にこの――」
 鈴子は応募作のページを繰った。すぐに目的のページを見つけ、花代に渡す。
「主人公が出かけるときに下駄を履くんですけど、下駄の描写が素晴らしくて――」
「は? 下駄? 一体なにを――」
 その部分を読む花代の言葉が止まった。
「これはすごい……下駄をここまでの言葉で語るとは……それに、まるで今実際に自分が下駄を履いているようだ……」
「その下駄が、戻ってきたときにはサンダルになってるんです」
「なんで?」
「わかりません」
 鈴子はふるふると頭を振った。鈴子は「でも」と言って、応募作を取り返すとふたたびページを繰って、花代に渡した。そのページを花代が読む。
「ああ、サンダルを擬人化してこう書くと、かくも美しくなるのか……」
 花代は体を震わせた。
「そ、それでどういう話なんだ?」
 興奮冷めやらぬ様子で花代が言った。
「話らしい話はありません」
 鈴子はまっすぐ花代の目を見つめた。
「……ないの?」
「ありません」
 鈴子は力強く頷く。
「話らしい話のない話かぁ」
 花代の肩がすとんと落ちた。
 話らしい話のない小説はあまり一般受けしないのだ。ひらたく言えば――。
「売れないんだよなぁ」
 花代の言葉を聞いた鈴子は、やや強い口調で言った。
「小説は売れないとならないんですか?」
「そりゃそうだろ」
「うわ、即答ですね」
 鈴子はのけぞった。なに言ってんだ、こいつ、というような花代の視線が刺さる。
0414319
垢版 |
2018/03/21(水) 15:57:07.08ID:/EZlTalA
改行が多過ぎて書き込めなかった。4スレになります。勘弁。

「で、でも、本当にいい物を出版するのがわれわれ出版社の義務だと思います」
「じゃあなぜその本当にいい物が売れないんだ?」
「う」
「読者が求めていないものがいい物なのか? 誰も求めない物をいい物だというのは欺瞞じゃないか? いや、それはむしろ驕りだ!」
「でっ、でも!」
 鈴子は食い下がった。
「でもなんだ?」
 花代は霜がつきそうなほど冷ややかな目で鈴子を見下ろした。
「――売れるかどうかは出版してみないとわかりませんよね?」
「う」
 花代が怯んだ。鈴子の目がきらりと光る。
「売れる売れないというのは結果論です。先の見えない世間に対して自分たちがいいと思った物を問いかける、それがわたしたちの使命です! 売り上げがなんだというのです。売れなかったらなにが悪いんですか!」
「それじゃ会社が潰れるだろ」
「それは困りますね」
「だろう?」
「この間買ったバッグのローンも残ってますし」
 なんだか小さい話になってきた。
 花代は大きく息をついた。
「俺だってなにも売り上げだけが正義だと思っているわけじゃない。どうしても世に出したいという作品を、幾度も上に掛け合ってなんとか出版にこぎつけたことだってある」
「ど、どうだったんですか?」
 花代の顔に暗い陰が差した。
「あ、いいです。なんとなくわかっちゃいました」
「いいと思うものを出すのも大事だ。しかし、売り上げを度外視するわけにもいかない。会社が潰れるということの前に、作家の生活もかかっているからな」
「そうですね」
 鈴子は素直にうなずいて視線を落とした。
 作家の小説での純粋な収入は、主に原稿料と本の出版による印税である。印税は発行部数に応じて支払われる。売れて重版がかかればそれだけ印税が発生し、作家の収入が増えるのだ。反対に売れなければ執筆に集中することが難しくなるだろう。
「それで、この小説は売れると思うのか?」
 鈴子の頭にぽんと話のない小説が載せられた。鈴子はそれを受け取り、
「デビュー作では難しいかもしれません」
「ほう」
「でも何作か出したあとだといけそうな感じはしますね」
「つまり?」
「最終まで残して担当をつけ、ほかの出版社に渡さない。名前が売れたころ、この本を出す」
 鈴子はやや邪悪な顔でにやりと笑った。
「じゃあそういうことで俺から言っといてやるよ」
 花代は自分のデスクに戻っていった。
「今度はどんなの?」
 桃ちゃんがまた向かいから話らしい話のない応募作を取り上げた。ほとんど自分のデスクに乗っている。
「あっ。もうー、桃ちゃんだって割り当てあるでしょう?」
「休憩だよーん」
 桃ちゃんはどこからかおせんべいの袋を取り出していた。
「下読みの休憩にほかの応募作を読むなんて、好きだねぇ」
 と鈴子は笑った。
「それくらいじゃなきゃ編集者とかやってられないでしょ」
「まぁねぇ。あ、汚さないでよ」
「わふぁっふぇるっふぇ」
0415319
垢版 |
2018/03/21(水) 15:58:33.56ID:/EZlTalA
 わかってるって、と言った桃ちゃんを疑わしげに見ながら、鈴子はデスクに肘をついた。開いた両手に顎を載せ、
「小説家ってさぁ」
 と言った。
「ん?」
「ストーリーだけでもダメだし、文章だけでもアレだし、大変だよね」
 応募作を読んで思ったことだった。物語を紡ぐ能力と文章を編む能力があわさって小説が生まれるのだ。どちらか一方しかないと一部の例外を除いて広く読まれるものは書けないのではないか。それをひとりの人間に要求されるのだ。ほかにも人物造形力や構成力などが必要となるだろう。大変だ。
「なにを今さら」
「でもほかのエンタメ作品なら分業みたいなことができるじゃない? 漫画なら原作と作画が分かれてるのって結構あるでしょう?」
「そうだね」
 桃ちゃんはおせんべいをぱきんと噛み割った。
「小説じゃそういうの、ないよね?」
「なくはないけど、あまり聞かないね」
「出来ないのかな?」
「ひょうふぇ」
 と言いかけて、桃ちゃんはおせんべいをごくんと飲み込んだ。
「小説のさ、ストーリーと文体って重なってると思うんだよね。その文章じゃなきゃ物語が成立しない、みたいな。だからきっと、原作と文章を分けちゃったら面白いものができない」
「そっかあ」
「多分ね。それに――」
 桃ちゃんは真面目な顔で鈴子の目をのぞき込んだ。鈴子の喉がごくりと鳴った。
「な、なに?」
「収入が半分になっちゃうじゃん!」
 破顔大笑する桃ちゃんだった。
「もう! 夢のない話! わたしも休憩!」
 鈴子はデスクに両手をついて勢いよく立ち上がった。
 そりゃあ悪うござんしたね、と笑う桃ちゃんを残して鈴子は給湯室に向かった。
0416創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/21(水) 16:50:23.52ID:6GXk0k5z
率直にいって、前回までの投稿は面白かったけど、今回はどうかな……。
パロディ的な面白さはないし、ありきたりだよね、やりとりが。
下手だけど泣かせる、上手いけど筋がない、良いけど売れない、とかさ。
書き方も前回みたいでよかったんじゃない?
きっと一番大きいのは書き方を変えたことだと思うな。
0417創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/21(水) 16:51:23.46ID:6GXk0k5z
「瑕疵」なんて表現は、編集の現場では使わないでしょ?
欠点という意味があるからといって、これってどちらかというと法概念用語だよね。
瑕疵担保責任とかさ。
それに、たかが編集者を「文章のプロ」とはいわんだろ。とくに当の編集者は尚更使わんだろ。
そんな編集者がいたとしたら、そいつは単なる「威張り」だろ。
あくまで「文章のプロ」は作家だよ。建前上でも。
社内にいるとすれば、それは編集者ではなく、校閲係が「文章のプロ」的な存在といえるかな。
黒豹出版では違うのだろうがw なんか読んでいてリアリティは削がれるのは、こんな細部の違和感だよ。
0418創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/21(水) 17:06:07.93ID:6GXk0k5z
あっ、続きがあったw
そうか、思い出した、バディ物のパロディだったから勢いがあってよかったんだな。
今回は編集部とかでありがちな、ダラダラ働くとかいう感じがよく出てけど、バディ物的要素はなかったね。
まあ創作論を読ませようとするテキストを、バディ物的に読もうとして文句いっていたことになるかなw
つうことは、まるっきりスレチだったかしら。
0419創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/21(水) 17:12:39.15ID:Tt97xsTw
売れる売れない、いい小説とは何か、ここに書かれているほど単純な話じゃないよね。編集だってこんな単純に選り分けているわけじゃない。失礼だよ。
百田の糞小説の劣化版みたい。
0420319
垢版 |
2018/03/22(木) 08:08:52.02ID:Eqjle/I4
>>416
ありがとうございます。

戯曲的な書き方はそれはそれで結構しんどいのです。やっぱり説明や描写はしたいのです。
え? なんちゃって古文風のやつですか? あれで新人賞の説明をしようとして気が遠くなりました。
それでも今回の後半は戯曲的かもです。というか……。

>>417
「文章の瑕疵」という表現をどこかで見た気がするのです。それで「なるほど!」と思った気がするのです。
「欠点」というと、なんだか書き方の悪い癖のような感じですが、「瑕疵」だと誤字脱字やてにをはの間違いや書き方の悪い癖などを全部含むような感じです。
あと、一般的に使われていると思います。

編集者は「文章のプロ」だと思います。校閲も文章のプロ。作家は文章のプロという言葉では足らないような感じですね。
それぞれの役割というか、分野が違うというか。
プロという言葉をどう捉えるかにも関わってきますね。
とはいえご指摘のような違和感を覚える方もいるでしょうから、「読むことにかけては文章のプロ」とかにするのがよさそうですね。

リアリティ……求められていたんですか……ど、どうしよう……。

>>418
バディものを編集者でずっとやるのは難しいかなぁ。やるとしたら作家を交えたトリオで取材に行って、そこで……みたいな感じですかね。
目指すのは、シチュエーションコメディ、というかギャグマンガみたいなもの? 脱力系で。
今回は別ジャンルのパロディですかね。
創作論的なもの(というほどのものじゃないですが)はなんというか、雰囲気?
どんどん文句言ってください!
0421319
垢版 |
2018/03/22(木) 08:20:46.70ID:aOgRfD/S
>>419
ありがとうございます。

やっぱり中途半端というか、なんだこれ? みたいな感じですよね。
もっとふたりにポリシーをしっかり持たせるか、ジレンマを抱えたまま次の展開にもっていくか、そもそもなにも書かないか、ですかね。
削ったり付け足したり、いろいろしながら、なんかあまりに語りすぎるのも面白くならないかなぁと、変な切り方をしてしまいました。反省です。

書くなら、売り上げ度外視でも、売れりゃあなんでもいいんだよ! でもないふたりになると思います。当たり前か。
0422創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/22(木) 09:29:04.84ID:h67Jant1
>>412

>黒豹出版は、東京都○○区に八階建ての本社ビルを構える中堅出版社である。
>本社ビルといえば聞こえはいいが、竣工からかなりの年数が経っており、鈴子などは出社の折にそのビルを見上げては、
>「やっぱりちょっと傾いてる気がするなぁ」
>とつぶやくのが常だった。鈴子の配属されている文芸部は六階にある。

「詳細な説明」から「印象を語る台詞」へと移る順番に二度手間の冗長さを感じた
ここは、最初に「印象を語る台詞」で読者の興味を引いて、
「詳細な説明」に入った方がスムーズでは

>黒豹出版では年に一度、一般から広く小説を募集する新人賞を設けていた。有望な作家を発掘するためである。つい先日、その募集が締め切られ、選考作業に入っていた。
>鈴子ら若手編集者は、その一次選考の下読みという作業に当てられていた。応募作品を読み、いいと思った作品を次の選考段階へと送るのである。
>実力のある新人を発掘するとともに、力のおよばない者には引導を渡すことになる。楽しくもあり、また辛くもある仕事だった。

結末までの概要が全て語られている
読者に先を予測させ、展開の驚きを削る

>ある程度の瑕疵ならば校正、書き直しを経て出版にこぎつけることは可能である。だが、この文章はどうか。ある程度どころではないのだ。
>編集者らが一言一句ああしろこうしろと言ってそれなりのものにすることはできるだろうが、それでは作品はこの作者のものではなくなってしまう。
>ちょっと前なら編集者自身が手を入れることもあっただろうが、今は時代が違う。少なくとも黒豹出版ではそうだ。この作者は書き直せるだろうか?
>鈴子は答えを出しかねていた。

同じく全容の繰り返し

>おだやかな声に鈴子は顔を上げた。にこやかに微笑む若い男がすぐそばに立っていた。鈴子よりはるかに若い。

ややくどい
年齢差は鈴子の喋り方で分かるし、後で早熟とも表現される
キャラクターが登場する場面なので、想像させる余地を残しても面白いと思った

>「これはすごい……下駄をここまでの言葉で語るとは……それに、まるで今実際に自分が下駄を履いているようだ……」

楽しい

全体
神目線とのことだが、地の文で語り過ぎに見えるところが多かった
キャラクターはシンプルに描き分けられているが、
地の文との連携でミスしてテンポが悪いところがある
大筋として、「ストーリーは良いのに文章が稚拙な小説」「美文なのにストーリーが破綻している小説」の二項対立がある
それぞれについて「エピソード」や「言い合い」がもっと欲しい
作家にはどうにも得手不得手があって、それでも背負っていくしかないね、
という重みを話の中で増していくと最後の余韻は強くなるのでは
0423創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/22(木) 10:18:29.38ID:1B5kwAwy
人物を描くのが上手い。
花代と鈴子の話をもっと読みたいと思った。
業界ものは細部が肝要かと思います。
真実かどうかより、納得し得るものがあるかどうか。
内輪の要素があるので客観的にはなれないが、個人的にはこのシリーズのファンです。
あとは、内輪から脱したときに十分に楽しめるほど人物を描けるか、そういう部分になるかと思います。

でも、自作も内輪でお願いしますw
次は誰が登場するか、楽しみです。
0424創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/22(木) 10:50:58.99ID:MunEt03c
>>420
リアティティでいえば「黒豹出版リミッテッド」で行くなら止めないけどさw
そんなことより、
>戯曲的な書き方
>今回の後半は戯曲的かもです
こういう理解の仕方の方が気になるよ。
会話「」ばっかりだから戯曲的とか、地の文がほぼないから戯曲的とか。
そんな言い草は「なろう」のテンプレか、カルチャーセンターの第一回目の授業で教える程度の方便だろ。
エッセイ風だ、とかもそうだ。
しかし、小説と戯曲なんかはまったく別のものだろ。
ほぼ会話「」しかなかろうが、地の文がなかろうが、小説になっているものは小説なんだよ。
そのへんのところをちゃんと考えないと、今回の投稿テキスト書いてて、あれ? なんでこうなっちゃったんだ? 
と思ったりしなかったか?
0425319
垢版 |
2018/03/22(木) 11:43:39.37ID:aOgRfD/S
あ、これ、終わってません。すみません。

>>422
○出版社の説明のこと

 なるほど! と思ったんですけど、この場面は前の話からダイレクトに続いてるのでセリフが最初だと違うシーンに思われそうです。
 でも面白いと思うので、なんちゃって古文風の頭に入れたいですね。おんぼろ社屋は書いておきたいことなのです。
 そもそもなぜここで説明するのかってハナシですね。前書いてなかったせいです。

○新人賞の説明、瑕疵うんぬんのこと

 紛らわしいところで切ってすみません。

○若いがくどいこと

 確かにですね。まとめるか、削るか。

○下駄のところのこと

 ありがとうございます。

○全体のこと。

 うう、テンポ難しいですね。
 エピソード、言い合いで、小説のことだけの話しの方がよかったかなぁ。

>>423
ありがとうございます。
そろそろネタ切れです。あの人を書いたら怒りそうだし。
0426319
垢版 |
2018/03/22(木) 12:03:23.12ID:aOgRfD/S
>>424
戯曲というか、シナリオを意識して最初のは書きました。
柱があって、セリフがあって、ト書きがあって、内面描写はないもの。
柱をト書きに混ぜたり、ちょっとは説明を入れたりしましたけど、そういう風に書きました。
それで思ったことは色々ありますが、長くなりそうですので割愛します。
ト書きはシナリオなどではもっと少ないものかもしれませんが、ト書き的なものを書くのが好きなので。
ト書き的なものという言い方も変なのかもしれませんが、わかりやすいというかそんな感じで使ってます。

戯曲的と書いた理由は秘密です。
0427319
垢版 |
2018/03/22(木) 12:08:55.46ID:aOgRfD/S
>>424
あー! すみません!
ありがとうございます!
0428319
垢版 |
2018/03/22(木) 12:39:44.13ID:aOgRfD/S
もうちょっと時間を置くつもりでしたが、次を投げます。4レス。
字下げしてないところは改行してないところです。

 コーヒーメーカーのものは煮詰まっているし、自分のためにドリップするのは面倒だった鈴子は、インスタントコーヒーの瓶を取るとマグカップにふたさじ入れた。ミネラルウォーターをちょっとだけ入れるとスプーンでかき混ぜる。こうしてからお湯を注ぐとインスタントコーヒーでも美味しくなるのだ。テレビで得た知識であった。
「鈴ちゃあん」
 すぐ後ろから気持ち悪い猫なで声が響いた。
「うわあ!」
 鈴子は驚いて、危うくカップを落としそうになった。
 あわてて振り返ると、思った通りの人物がそこにいた。
 編集者の朱川《あけがわ》である。明るい茶色のジャケットに真っ赤なシャツ、ビンテージ風ジーンズである。本物のビンテージではないのは桃ちゃんが見破ったのだが、本人はそれを気づいていない。文芸部は服装規定はあまり厳しくないのだが、それでも朱川はちょっと浮いていた。あまり似合ってもいない。
 鈴子などはそういう服装を好まないのだが、花代はそんなことはなく、むしろかばうようなところがある。鈴子はその理由を知っていた。
 あまりに花代の机が散らかっていたときに勝手に片付けたことがあり、その際に写真を見つけてしまったのだ。朱川より派手な格好の花代が写っていた。今では地味なスーツばかりの花代だが、若いころは自身も朱川のような格好をしていたのだ。かばうのもさもありなん、である。
 笑っているところを花代に見つかってこっぴどく怒られてからは、もう鈴子は他人のデスク触ることはない。散らかっているようでいて、本人にはなにがどこにあるかわかっているのだ。だいたい勝手に触るなど失礼である。
「びっくりさせないでください」
 鈴子は胸元に手を当てて言った。
「おや、俺に会ってどきどきしてるね?」
「驚いたからです」
 鈴子が朱川を好まないのは服装や、にやにやした軽薄な態度や、それほど親しくはないのに鈴ちゃんなどと呼ばれることのほかにも理由があった。
「またまたぁ。それはそうと、例のこと、考えてくれないかなぁ?」
 例のこと――。
 鈴子が担当する作家のうち、ふたりがメガヒットを飛ばした。黒豹出版創業以来となる大当たりだ。鈴子がすごいことをしたというわけでもない。構想段階で感想を聞かれたり草稿を見せられたときに思ったことを言っただけだ、と鈴子は思っていた。
自分ごときが言ったことが参考になるのかと考えていたくらいである。すべては作家の力なのだと思うから得意になることもなかった。それでも人気のある作家の担当というのは嬉しかったし、一緒に仕事をするのが楽しかった。だが――。
 朱川は、その担当を変わって欲しいと言ってくるのだ。そもそも担当というのは編集者同士でやりとりできるものではない。業務命令によってなされるものだ。作家が、編集者と馬が合わず変更を申し出てくる場合はあっても、編集者から変わりたいなどと言うことはできない。作家と出版社との関係にもひびが入りかねないことだ。
「何度言わせるんですか。無理なことは無理です」
 鈴子はカップに電気ポットからお湯を注ぎながら言った。かき混ぜ具合は足らなかったが、一刻も早くここから去りたいと思っていた。
「そこをなんとかさぁ。怒らせるようなことをしたりとか」
 朱川がにやにやと笑いながら言った言葉に、鈴子はかっとなった。作家と編集者の、いや、人間同士の関係をなんだと思っているのか。コーヒーをぶっかけてやろうかと思ったが、かろうじて残っていた冷静な部分がそれをとめた。
コーヒーは熱い。朱川は火傷するだろう。そうなると悪いのは鈴子だ。傷害罪だ。さらに火傷の痕が顔に残ったりしたらいくら賠償金を取られるかわからない。バッグのローンもまだ残っているのだ。落ち着いてきた。
「馬鹿! なことを言わないでください」
 鈴子は朱川の顔を見ずに給湯室を出た。
0429319
垢版 |
2018/03/22(木) 12:41:58.15ID:aOgRfD/S
 鈴子がぷりぷりしながら自分のデスクへ戻っていくと、花代のデスクの前に真っ黒なスーツを着た男が立っていた。後ろ姿なので誰かはわからない。
 お葬式の帰りかな?
 デスクのそばまで来ると、桃ちゃんが今度はナッツをぽりぽりやりながら原稿を読んでいるのに気がついた。けしからん! あとで分けてもらおう。
 鈴子がデスクにコーヒーカップを置くと、黒いスーツの男が振り向いた。
「やあ、鈴木さん」
 さわやかに微笑むイケメンは欅道《けやきみち》先生であった。この人こそ、鈴子の担当するメガヒット作家のひとりだ。ハーレムハードボイルド小説が老若男女問わずうけて、シリーズ第三巻が先月刊行されたばかりだった。四巻は現在執筆中で締め切りはまだ先だ。ほかに依頼しているものはないはずだった。
 ちなみにもうひとりは、超メガヒットを放ったロム猫先生である。本屋大賞でふっちぎりの一位、ミステリーではないのにこのミス大賞で二位だったのだ。苦情は皆無だという。ロム猫先生はすごい人だったのである。バディものを知らなかったが。
「こんにちは、欅道先生。今日はどういった用向きですか?」
 鈴子は近づきながら言った。
「夕方からコンサートがあってね」
 欅道先生はさわやかに白い歯を見せると某アイドルグループの名前を言った。
「夕方からなんだけど、ここから近いのでみなさんのお顔を拝見にあがりました」
「あー、そうですか」
 鈴子の顔から表情が消える。
 いい歳してなんであんな小娘どもを鼻の下伸ばして見にいくかなー。
 もちろん本人にそんなことは言わないが、顔には出た。
「どなたといらっしゃるんですか? まさかおひとりじゃ――」
 鈴子が言葉を途中で切ったのは、花代の体がびくっと震えたからだ。デスクの向こうに立っていた花代は、鈴子と目が合うとロボットのようにぎこちなく視線を外した。
「まさか花代さん――」
「いや、どうしてもって言うから――」
「花代さんがですよ」
 にこにこしながら欅道先生が言った。
「どういうことですか! 来年は惑わなくなる歳でしょう!」
「ら、来年じゃない、再来年だ!」
「あんまり変わりませんよ! いいおっさんが若い女の子のお尻を追い回すような真似して恥ずかしくないんですか!」
「ちょ、ちょっと恥ずかしいけど鈴木には関係ないだろ!」
「まぁそうですけどね!」
「いいじゃないですか。花代さんだってたまには若い娘《こ》で目の保養をしないと」
「若くなくてすみませんねぇ!」
 うっかり欅道に鈴子が噛みついたとき――。
「うぐあっ!」
 背後であがった尋常ではないその響きに驚いて振り返った。オフィス中央付近の島のデスクから、明るい茶色のジャケットを着た人物がフロアに崩れ落ちるところだった。朱川だ。
 オフィスにいた十人ほどは動かなかった。なにが起きているかわからず動けなかった。
 朱川は背中を丸めてフロアに横たわり、弱々しくうめいていた。その口からは、緑色の泡が吹きこぼれていたが――うめき声がやんだ。
「あ、朱川さん……?」
 近くにいた若い男性編集者がおそるおそる朱川に近づいていく。
「触らないで!」
 鋭い声が響きわたった。欅道先生だ。若い編集者はびくっと体を震わせると動きを止めた。
「もう……死んでいます……」
 厳しい顔で欅道先生が言った。
 オフィスの空気が凍りついた。
「うう……」
 朱川がか細い声を上げた。
「生きてるじゃないですか!」
 鈴子が叫ぶ。
「あ、あれ……?」
 欅道先生は首をかしげた。
「救急車!」
「AEDはどこだ!」
「そんなの置いてましたっけ?」
「一一九番って何番!?」
 黒豹出版文芸部は怒号とお約束に満ちあふれた。
0430319
垢版 |
2018/03/22(木) 12:44:35.88ID:aOgRfD/S
 救急隊員が朱川を担架で運び出すのを、鈴子は花代のデスクのそばで見送っていた。朱川は意識はないものの、息はあるようだ。
「朱川さん、大丈夫ですかね?」
 鈴子は誰にともなく言った。答える声はなかった。
「口から吐いていたものを見たか?」
 ややあって花代が言った。さすがにいくぶん顔が青ざめている。
「緑色の泡でしたね」
 鈴子が花代を見つめた。
「あんなものは初めて見ましたねぇ。いったいどういうことでしょうか」
 そう言うと、欅道は朱川が倒れていた場所に歩いていった。まだフロアはそのままで、朱川の口からこぼれたものが残っている。鈴子らも欅道のあとをついていった。
 欅道は泡の痕のそばにしゃがむと、顔を近づけた。
「む、アーモンドの香りがします」
「アーモンド!?」
 鈴子は思わず声を上げた。こういう状況でアーモンドの香りといえば、青酸カリだろう。殺人未遂事件か!? このまま朱川が帰らぬ人になってしまえば――。
 ん、待てよ? と鈴子は振り返り、そこにナッツを噛み砕く桃ちゃんを発見した。手に持った袋にはまぎれもなくアーモンドの文字。
 においの正体はこれか!
「桃ちゃぁん、ややこしいこと、しないでよぅ」
「え、なにが?」
 桃ちゃんはきょとんとした顔で言った。
「んーん、なんでもない」
 鈴子はこっそりため息をつくと、
「アーモンド臭は事件と無関係です」
 と欅道に向きなおった。
「そっか」
 欅道は気にした様子もなく立ち上がると、朱川のデスクの上に目をやった。
「しかし、これは病気で倒れたというわけではなさそうです」
 欅道はくるりと鈴子らに体を向けた。
「これは殺人事件です」
 再びオフィスに緊張が張りつめた。
「ま――」
 鈴子は喘ぐように声を出した。
「――まだ死んでいません」
「まだ≠ニか言うな」
 花代が鈴子に体をぶつけた。
「あ、すみません! 朱川さんは死んだりしません!」
 いくら嫌な相手だといっても、死ねばいいとは思ったことはないことはないにしても、死んでいいという法はない。
「朱川さんというんですか。まあ生死は問題ではありません」
 いやいやあるだろう、と心のなかでツッコんだのはひとりやふたりではなかったが、誰も言葉にすることはなかった。
 欅道は朱川のデスクに歩みより、そこに置かれた白いマグカップを上から覗き込んだ。
「これが緑の泡の正体ですね」
 床の泡を踏まないように鈴子らはデスクに近寄り、同じようにマグカップをのぞき見る。そこには緑色の液体が入っていた。なんだかどろっとしているようで、カップのふちから二センチほどのところまで満たされている。その上一センチほどまで入っていたように、うっすらと緑色の痕があった。ふちの一カ所が汚れているのは飲んだからだろう。
「なんだこりゃ」
 花代が言った。野菜ジュースにしてはとろみがあり過ぎるようだ。
「あ、それは十日ほど前から持ってくるようになった、なんでも彼女の手製の飲み物のようです」
 朱川の隣の席の、近づこうとして止められた若い男性編集者がおそるおそる近づいてきて言った。田所という名前だ。
「彼女ですか。どんな方かご存じですか?」
 欅道が言った。
「いえ――そう言えば、はっきり彼女とは言ってなかったかな? なんとなくそう仄めかすような言い方だったかも」
「ふむ」
 欅道は考えこむようにこぶしを顎に当てた。
「これはいったいなんなんですか?」
 鈴子が田所に言った。田所は短く切ったくせっ毛をごしごしと撫でつけながら、
「たしか、野菜と海草と梅干しだったかな」
「うえ、まずそう」
 と言ったのは桃ちゃんである。鈴子と花代も顔をしかめた。
0431319
垢版 |
2018/03/22(木) 12:48:18.54ID:aOgRfD/S
改行なしで続いています

「桃ちゃんはもっと野菜を摂った方がいいよ」
「え、どういう意味?」
「い、言った通りの意味だよ。いつもランチで野菜を残すじゃん」
「いーや、今の言い方は他意があった。どういうことが言ってごらん? お姉さん怒らないから」
「ウソだよ。○○って言ったら怒るでしょ」
「○○って言うな! ぽっちゃりと言え!」
「ほーら、やっぱり――」
「うるさい!」
 花代が怒鳴った。
「おまえら、人が倒れてその原因を欅道先生が探ろうとしてるのになにをつまらないことを言ってるんだ! だいたいいつもおまえらは――」
「花代さん、静かにしてください」
 欅道先生が顎に手を当てたまま言った。えぇー、俺かよ? とぼやく花代であった。
「謎は解けました」
 欅道先生が静かに言った。おおっ、とオフィスに声が上がる。
「先生! 真相はどういうことなんですか!?」
 鈴子は勢いこんで言った。
「このジュースが手作りだとすれば、常温ではそんなに長持ちしないはずです。そして、マグカップに注がれていますが、このまま持ってくるはずはありません。なにか他の容器に入れて持ってきているはずです。その容器は――」
 欅道先生はオフィスのみなをゆっくり見回し、
「――冷蔵庫にある」
 と言った。オフィスに沈黙が流れた。欅道先生の次の言葉を待つがなにも言わない。やがて鈴子が、
「そ、それで?」
「いや、それだけです」
「なんの謎が解けたって言うんだよお!」
「あわわ、桃ちゃん、ダメ! 落ち着いて!」
 欅道先生に詰め寄ろうとする桃ちゃんを、鈴子が体を張って止めて下手《したて》を取った。
 オフィスに漂うがっかり感をどう著《あらわ》せばいいだろうか。しかし、欅道先生は気にしない。
「冷蔵庫はどこにありますか?」
「給湯室ですね」
 花代が答えた。
「給湯室に入ったものが犯人です」
 欅道先生の言葉にみなは息を飲んだ。
「せ、先生、ほとんどの人が給湯室に入ります!」
 桃ちゃんと組み合ったままの鈴子が言った。いつの間にか、がっぷり四つになっている。
「ではもっと詳しい話を聞かせてください」
 すました顔で欅道先生は言った。
0432創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/22(木) 20:40:38.63ID:wnCOF10Q
>>412-
毎度思うが、会話の合間の
--〇〇は言った。〇〇は○○した--が多すぎで、文章が非常に安っぽく見える。
加えて、ほとんどない地の文が、説明でしかない。
説明するんじゃなく描写しなくちゃいけない。それも安っぽくて下手に見える原因。
0433創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/22(木) 20:54:47.50ID:wnCOF10Q
>>411
毎度のことだけど、それほど書き込みのない板なのに今回も
書き込みの三分後に、「楽しみ」とか自演臭く見えるんだが?w
0434創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/22(木) 23:23:14.52ID:vPsgSnFT
楽しみなのは仕方ない
いちいち自演てそれはないだろ
0435創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/22(木) 23:25:03.33ID:wnCOF10Q
それにしても会話が多いと文字数多くても内容が薄くて
冗談半分で書いてるネタにしか見えないのが痛い。

ちなみに青酸系の毒物によるアーモンド臭ってのは
お菓子等の炒った後のアーモンドの甘いにおいとはちょっと違っていて
収穫前のアーモンドの甘酸っぱい香りでかなり違うものなんだよ
なのでアーモンドの袋ってネタにしか使えない。
0436創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/22(木) 23:29:00.35ID:wnCOF10Q
>>434
昼の三時に書き込んだすぐに三分で「楽しみ」ってレスがあると疑ってしまう。
こういう閑古鳥が鳴く様な板でそれはないわ。
もう少し遅らせてレスすべきw
0437創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/22(木) 23:34:04.45ID:vPsgSnFT
ごめん、たまたまなんだ。
過疎スレかもしれんが、常連には関係ないから。
0438創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/22(木) 23:58:03.46ID:MunEt03c
>>428 -431

殺人事件? を起こして、謎解きに持っていったあたりから俄然面白みがでたきたね!
でも、なんでも知っているナレーションとミステリーは馴染まないよ。
あなたのテキストが「神視点」かどうかはしらんがw こういう書き方では「謎」を読者と共有できないから。
どんどん書ける、ってのはかなりのアドバンテージだよね、とくにエンタメ系は。
だから一度ちゃんと小説の書き方をマスターしておかないともったいないよ。
いまはなんか行き当たりばったりの書き方だろ?
 
0439創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/23(金) 00:30:41.29ID:mOlhRZhm
>>319氏は小説を書く基本がなってないよな。
せっかく皆がアドバイスしても、当の本人は褒められないと気が済まないようで
いいアドバイスされても食って掛かって、受け付けないし
それでは、一向に上達もしないな。
あまり考えもしないで、行き当たりばったりネタで書いたような文章を
褒められたいだけで投稿するのなら、他のスレに投稿すればいいのに。
ここは、文章を酷評してもらって(自分じゃ気づかなかったアドバイスをもらって)
文章を書く腕を上げたい人たちのスレだと思うんだけどな。
真摯に聞く耳持った者が、うまくなれる。
0440創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/23(金) 00:48:03.67ID:mOlhRZhm
わざと戯曲っぽく書いてるとかいう言いも痛々しいし。
過去の投稿作でも、内容によって変えるわけでもなく
ずっとそういう書き方しかできてないのに。
しかも戯曲としても、ダメ出ししようとすれば全面改稿したくなるほど、異常に稚拙だし。
へたくそな文章が少しでもうまくなりたければ、もうちょっとはアドバイスを聞く耳持ったほうがいい、と思う。
0441創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/23(金) 00:54:19.89ID:mOlhRZhm
間違わないようにしてほしいのは、非難や中傷で書いてるんじゃなく、
せっかくこういうスレに投稿するんだから、向上心があると見込んで、
本人の上達を願っての書き込みなので、間違わないように。
0442創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/23(金) 02:25:20.86ID:5nOZHbJh
自分は>>438を書いた者だけど、行き当たりばったりと言ったのは内容ではなくて、話法のことね。
念のため。(まあ各フェーズによって書き分けている自由さがあるともいえるけど)
あなたの言い方では「視点」のことだけど。
その意味では>>430の文章が話法的に一番しっくりくるわ。
一番ト書き的だけど、物語内容にもっとも相応しいのは430だと思うよ。
全編、430みたいだったらもっと面白かったと思うよ。
430みたいに、というのは会話だけでいい、とかいう意味じゃなくて、話法のことだよ。
0444創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/23(金) 03:34:22.47ID:5nOZHbJh
日付変わるとID変わるぞw
あとはこのスレは横スレは無価値w
作家がスルーしたレスは死にレスw
0446創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/23(金) 03:53:33.17ID:mOlhRZhm
まあ、横レスでもなんでも、>>428-431が、へたくそなのは間違いない。
どこをどう変えれば出来が良くなるか指摘してやってもいいが、全編にわたって多すぎてめんどくさい。
0447創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/23(金) 04:04:41.65ID:mOlhRZhm
誰かも言ってるように、ト書きが出来の悪い説明文にしかなってないのが良くないな。

鈴子が言った。花代が答えた。だれそれは頷きました。だれそれが言うと……

うーん、下手すぎる。
0448創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/23(金) 08:54:42.52ID:ep3TwLWo
私はかなり上手いと思う。
何より大事なのは「書く内容が存在する」ことだ。
純文学の名を借りて内容のない小学生の作文を書いてるプロもいる中で
これは一線を画している。
0449319
垢版 |
2018/03/23(金) 10:18:34.37ID:PT3oClZQ
読んでいただきありがとうございます。

そんなひどく噛みついたかなぁ、と思って考えてみたら、ちょっと前の長文のことですかね。
あれは自分擁護ではなく、あまりにもひどい内容に万が一信じてしまう人がいたら大変だと思って書きました。

そもそも「1」の書き方については、誰かが「戯曲だ」と言ったことについて、ロム猫さんが課題の内容と文字数を言ってくれたので、ほとんどの人は「なるほどー」とか思ってくれたと思うんですね。
しかし、超短編の書き方として「1」がいいかと言えば決してそんなことはなく、むしろ悪見本です。ただキャラクターものだとかネタものだとかもあって他の人はスルーしてきた。

ところが彼は空気が読めなかったのです。「ネタとしか思えない」と言われてわたしがどれだけ戦慄したか――とても言葉ではあらわせません。今でもあの時のことを思い出すと――ああ! って、なに調やねん、といった感じですが、とにかく彼はアドバイスしてくれました。

一般的な書き方としても首を傾げざるを得ないような謎理論とわかりにくい書き方で。どこかネットで拾ってきたようなものを独自の解釈でヘンテコにして紹介しました。それで反論をしたわけです。

さて、レスについては全部に返レスすべきと考えていましたが、どうやらスルーすることもできるようなので、いくつかのものについてはスルーします。

>>434
ありがとうございます。
あまりに早くてびっくりしましたw
これも自演と思われるかもしれませんが当事者がわかっていればOKですよね。

>>435
アーモンドの情報ありがとうございます。
ネタっていうのは自分が思うものとは違う意味ですかね?

>>438
>>442
ありがとうございます。
内面描写的なアレですかね? 確かにキャラの内面をどこまで書くかはっきり決めてなくて、ちぐはぐ感はありますね。
地の文の語尾(?)なら、時間を置いたり長いレス書いたりすると変わったりします。ちょっとは変えたのですが、もっと統一すべきでしたね。

> いやいやあるだろう、と心のなかでツッコんだのはひとりやふたりではなかったが、誰も言葉にすることはなかった。
このへんが神視点。

>>448
ありがとうございます。
内容はあまりありませんw

さて、まだ続くのか! という感じですが、4スレ分ごめんなさい。
0450319
垢版 |
2018/03/23(金) 10:22:33.37ID:PT3oClZQ
 聞き取り調査でわかったことは、朱川は十時と昼食後と三時に例のドリンクを飲むこと、今日は朝からどこにも出かけてはいないこと、恨みをあちこちで買いそうだということ、恋人といわれる存在を誰も知らないこと、であった。
 欅道先生は、何者かが冷蔵庫の中のドリンクに毒物を混入したに違いないと言う。
「やっぱり彼女≠ェ怪しいんじゃない?」
「そんな、自分がすぐ犯人とわかるようなことするかよ」
「じゃあ内部の犯行ってこと?」
「うちの社員にそんなことをする者はおらん!」
「しかし、部外者が給湯室に入るなんてあり得ませんよ」
「じゃあやったのかな」
「お腹減ったなぁ」
「給湯室に誰が行くかなんて注意して見てないからねぇ」
「そもそも毒を入れたかどうかはわからないだろう」
「冷蔵庫にあるやつを飲んでみればわかりますよ?」
「やっぱり毒を入れたに違いないだろうな、うん」
 雑談モードに入った編集者たちがそれぞれ好き勝手なことを言っていると、欅道先生がおほんと咳払いしてみなの注目を集めた。
「田所さん、ランチのあとにも朱川さんはあのジュースを飲んだんですね?」
「あ、はい。いつも自分の席で飲みますから。今日も、まずそうだな、って思いましたから間違いないです」
「その時異常は?」
「特になかったと思います」
「つまり、ランチのあとから倒れるまでの間に給湯室に入った人です」
 編集長と副編集長が小さくセーフ≠フジェスチャーをした。偉い人は自分でお茶など淹れないのだ。
「あ、そう言えば」
 と言ったのは給湯室にいちばん近い席の長尾《ながお》という女性編集者だった。黒髪を後ろで束ね眼鏡をかけた地味な女性である。歳は三十半ばだ。
「三時ちょっと前に給湯室から『馬鹿!』って怒鳴る声が聞こえてきました」
「ああ、それ、わたしも聞いた」
 栗色の長い髪をゴージャスに整えた浜口《はまぐち》という女性編集者が言った。メイクも気合が入っている。歳は三十ちょっと。席は割と給湯室から近い。
「なんだか男女のもつれって感じの声だった。職場で痴話ゲンカかと思っちゃった」
「えー、そんなことがあるんですか?」
 鈴子はあきれた声で言った。朱川は女癖が悪いと聞いたことがあるような気がする。あんな男と付き合おうとする女《ひと》の気が知れない、と思った鈴子の顔を、ゴージャス浜口がじっと見つめた。
「あるんですか、って――あれは鈴ちゃんの声だったと思うけど?」
「えっ!?」
 鈴子は驚愕のあまり飛び上がった。鈴子が否定を求めて地味な長尾に視線をやると、睨むような眼差しにぶつかった。
「あれば間違いなく鈴木さんでした。声のあとすぐ怒った様子で給湯室から出てきました」
「ええっ! そんな馬鹿な――あっ!」
 鈴子は思い出した。給湯室で朱川に『馬鹿! なことを言わんどいておくれやす』と言ったのだ。ちょっと違う気もするが、最初の部分だけ外に聞こえたのだろう。
「鈴木、朱川とそういう仲だったのか……」
「花代さんまで! 違いますよ、あれは――」
 鈴子は朱川とのことを説明した。担当を変われとうるさく言ってくること、担当をはずされるようにわざと作家を怒らせるようにと言ったこと、お昼にラーメンをおごると言われて喜んでついていったら財布を忘れたと言って結局ふたり分を払わされたこと、給湯室で叫んだ言葉の意味。
「朱川め。そんなことを」
 花代が苦々しげに顔をゆがめた。
「なるほど――動機はあるわけですね」
 欅道の目がきらりと光った。
「ど、動機!」
 鈴子に朱川を殺す理由があるというのだ。
「そ、そんなことありません! そんなことで人を殺していたら、今までに何人を殺しているか! それに殺《や》るなら毒殺なんてしません!」
 おいおい、と花代がツッコんだ。
「あ、そ、そうだ! 朱川さんが一緒にいたのなら、毒を入れることなんてできないじゃないですか!」
「そのちょっと前にも給湯室に入ったよね?」
 と言ったのは地味な長尾である。
「え……?」
「わたしも見た! 結構長い時間いたよね?」
 ばっちりメイクの浜口も同調する。
「そ、それは、阿々楠先生のためにコーヒーを淹れてたからです!」
「コーヒーはコーヒーメーカーにあったでしょう?」
「煮詰まっているものなんか出せません!」
「なるほど、動機はあり、チャンスもあり、僕には煮詰まったコーヒーもなし――ですか」
0451319
垢版 |
2018/03/23(金) 10:27:08.67ID:PT3oClZQ
空行なしで続いています。

「あ、阿々楠先生といえば――」
 田所が声を上げた。
「なんだか朱川さんに新作の構想をひどくけなされたようです。朱川さん本人がちょっと得意そうに言ってました。あの人はそういうところ、ありますから」
「ふむ。阿々楠くんにも動機ありですか」
「そ、そんな! 阿々楠先生はそんなことしません! それに給湯室には行かないでしょう!」
「見たんですか?」
「え――?」
「給湯室に入っていかないところを見たんですか?」
 な、なにを言ってるんだ? 入っていないなら見えるわけがないではないか!
「そ、それは――」
「しかしまあ阿々楠くんの犯行とは考えづらいでしょう。その、新作の構想の話は今日のことなんでしょう?」
「ええ」
 田所が頷いた。
「今日のことなら阿々楠くんに毒物を準備できたとは思えませんからね」
 準備――この事件は計画的な犯行なのだ。鈴子の背中にぞくりと冷たいものが這い上がった。
「つまり鈴木さん、常日頃から被害者に恨みを抱いていたあなたが――第一容疑者なのです」
「あ……」
 鈴子を見つめるみなの視線が、背中を這い上がったもの同様に冷たかった。花代は鈴子の後ろにいたので顔は見えない。その顔がどんな表情を浮かべているのか――鈴子は見ることができなかった。鈴子の体が細かく震えた――。
 花代は半笑いで鈴子の背中を眺めていた。
「鈴木さん、正直に話すなら今のうちです。今ならまだ罪は軽い」
 欅道先生が低い声で優しく鈴子に言った。
「ひ、ひどい!」
 鈴子は片手で口元を覆うとオフィスを飛び出した。
「あ、鈴木!」
 あとを追おうとする花代の腕を欅道先生が掴む。
「け、欅道先生――」
 欅道先生はゆっくりと頭を振った。
「真実を求めるということは、時に非情なものなのです――」
 誰もなにも言わず、ただ静寂だけがオフィスを支配した。
0452319
垢版 |
2018/03/23(金) 10:36:53.76ID:PT3oClZQ
ごめんなさい、入らなかった。5レス。

 鈴子は屋上にいた。この季節――三月半ばにしては暖かい風に鈴子のやわらかな髪が踊っていた。和毛がふわりと揺れる。西の空には沈みかけた太陽が仄かに赤く、いまだ青い中天には薄い雲が流れていた。じきに暗くなるだろう。
 屋上からの街並みを鈴子は眺めた。黒豹出版の社屋より高いビルは周りにいくつもある。どれもきれいで、まるで磨きあげられたお姫さまが、つんとすまして立っているようだ。
 背の低いフェンスのそばで鈴子は――アイスモナカをぱくりとかじった。安っぽい味のやつだった。近くのコンビニで買ってきたのだ。濃厚でこってりしたものよりもこっちの方が鈴子は好きだった。
「んー、んまい」
 アイスモナカは半分ほどになっていた。
「ここにいたのか」
 声に振り返ると花代が立っていた。手にはコンビニ袋を下げている。
「探したぞ」
「すみません」
 鈴子は頭を下げた。頭を上げると、
「なんですか、その袋?」
「ああ、鈴木の好きなアイスモナカ――ってもう食べてるし」
「いくらでも入りますよ」
 無遠慮に袋に手を突っ込む鈴子を見て、花代の顔に微笑みが浮かんだ。
「疑いをかけられて落ち込んでるんじゃないかと思ったが」
「まさか! わたしはやっていませんし、無実なのは自分でわかってます。なんだか可笑しくって」
 鈴子はけらけらと笑った。
「だよな」
「でもあの場で笑うわけにもいかず、体が震えるまで我慢したんですよ。花代さんの顔を見ると大笑いしちゃいそうだったし。それでも吹き出しそうになったので逃げてきました」
「下手な演技しやがって」
 花代は苦笑する。
「いやいや、ノーベル賞級の演技でしたよ。『ひ、ひどい!』」
「ノーベル演技賞とかねーよ」
 ふたりの笑い声が空に吸いこまれていった。
「それでどうなったんですか、あのあと」
「それがなぁ、知り合いの大学の先生に調査してもらうって、マグカップと冷蔵庫の容器を欅道先生が持って帰ってしまって」
「ええっ!? 大丈夫なんですか、そんなことして!?」
「大丈夫じゃないだろうな。もう証拠能力はなくなっただろう」
 海外の犯罪科学捜査ドラマでいうと、証拠が汚染≠ウれた、というやつだ。
「ま、まぁ毒が入れられたって、はっきりしてるわけじゃありませんし……」
 しかし、病院で検査したところ、朱川の体内からは毒物が発見されたのであった。
0453319
垢版 |
2018/03/23(金) 10:40:23.07ID:PT3oClZQ
 翌日の黒豹出版文芸部オフィスには制服私服問わず、大勢の警察官が詰めかけていた。朱川は一命を取り留めた。警察では殺人未遂事件として捜査しているようだ。
「それでその飲み物はどこにあるんですか?」
 強面の刑事が言葉は丁寧だがドスの効いた声で言った。さすが本物、もの凄い迫力だ。しかし、欅道先生をショッピカレるわけにはいかない。いざとなったら差し出すしかないのだが。
「ま、まさかそんなこととは思わず、洗っちゃいました!」
 声が裏返る。なぜか鈴子が対応することになってしまっていた。
「ええ? 怪しいとは思わなかったんですか? 困るなあ!」
「は、はひ、すみません!」
 やましいことがなければ警察といえども恐れることはないのだが、やましいことがあるので超怖い。
「じゃあそのカップだけでもお貸しください!」
「え、えーと、どれだったかなぁ……」
 鈴子はふらふらと、朱川のマグカップのない°挙虫コに向かった。
「もう証拠らしいものは期待できそうにないね、荒らされちゃってるよ」
 青い作業服のような制服を着た細身の中年男性が、銀縁眼鏡をかけた背広姿の男に言った。作業服の男はキャップを後ろ前に被っている。鑑識課員だろう。靴は白いカバーで覆われていた。ほかに何人かの鑑識課員が、朱川のデスクの周りに這いつくばってなにか≠探していた。
「昨日から普通に仕事をしていたんでしょうからね。なにがあっても証拠にはならないな、こりゃ」
 銀縁眼鏡の男は腰に両手を当てて頭を振った。一見どこにでもいるサラリーマンのように見えるが、その目つきは鋭い。
「鑑識はもういいでしょう。ここからは我々の仕事です」
 銀縁眼鏡の言葉を受けて鑑識課の中年男性が、もういいぞ、と声をかけると、床を這っていた鑑識課員は立ち上がり、わずかな証拠物件らしきものを納めたビニール袋を手にオフィスを出ていった。
 銀縁眼鏡の男はオフィス内の編集者たちに鋭い視線を投げかけている。
「どうしました?」
 残っていた中年男性が銀縁眼鏡の男に声をかけた。
「なんだかね、様子がおかしいな、と思って」
 デスクで校正ゲラに目を通す振りをしていた花代にもその声は届いた。
「どういうことです?」
「うまく言えないが、殺人未遂事件があったにしては同僚たちの様子が変だ」
「そうですか?」
「これは勘だがね、刑事の勘は馬鹿にできんよ」
 花代の頬がぴくりと引きつった。
0454319
垢版 |
2018/03/23(金) 10:47:24.47ID:PT3oClZQ
また間違った! あと2。

「どーもみなさん、お疲れさまでーす!」
 編集者たちそれぞれに事情聴取をすると刑事たちが言いだしたとき、オフィスに元気な声が響きわたった。欅道先生である。後ろには車椅子に乗った朱川とそれを押す阿々楠先生がいた。
「朱川さん! もういいんですか!?」
 と鈴子は言ったものの、酸素マスクをした朱川は真っ青な顔で目はうつろ、呼吸は苦しそうだ。とてももういいとは思えない。
「なんだあんたは!?」
 鈴子が相手をした強面の刑事が欅道に詰め寄った。すごい迫力だが欅道先生は涼しい顔をしている。
「あ、こ、こちらは弊社で小説を書いていただいている欅道先生です」
 鈴子が言うと、
「えっ!」
 と大きな声を出したのは銀縁眼鏡の刑事であった。鋭かった目がなんだか潤んできらきらしていた。
「なんだよ、おまえ、知ってるのか?」
「し、知ってるもなにも――だ、大ファンです!」
 後半は欅道先生に向けて言った。抱きつきそうな勢いだ。
「やあ、そうですか。ありがとうございます」
 はっはっは、と欅道先生は余裕の高笑いである。
「ふーん、まあなんでもいいや。その作家先生がなんの用だ?」
「サ、サインをお願いします!」
「やめろ、おまえ! 捜査中だぞ!」
「その捜査ですがね――」
 欅道先生は警察手帳にさらさらとサインしながら言った。
「事件は解決しました。と言うより、そもそも事件などなかったんです」
「はあ? なに言ってんだ、おまえ?」
「ありがとうございます!」
「うるせえな!」
 銀縁眼鏡の刑事は怒声に動じずにこにこしている。
「……す、すみません……」
 息も絶え絶えの声で言ったのは朱川だった。
「……死にきれませんでした……」
 オフィスは静まりかえった。やがて、
「えっ、自殺未遂だったんですか!?」
 鈴子が言った。
「ふ、ふざけんな!」
 強面の刑事の顔が一瞬で真っ赤になった。
「会社で勤務中に服毒自殺なんてあるかっ! 不自然だろうが!」
「しかし本人がそう言ってますし」
「おまえが無理に言わせたんだろう! なあ、あんた! そうなんだろ!?」
 強面の刑事が朱川の肩に手をかけて激しく揺さぶった。うつろな目をした朱川の頭がぐらんぐらん揺れる。ちぎれて落ちそうである。
「け、刑事さん、死んじゃいます! 今度こそホントに死んじゃいます!」
 鈴子が刑事の太い腕に手をかけてやっと止めた。
「こんな茶番は俺は――」
 刑事のポケットから電子音が響いた。
「ちっ、誰だ、こんな――」
 取り出したスマートフォンの画面を見た刑事の顔色が変わった。直立不動の姿勢を取り、太い指で画面に触れた。
「はい――ええ、私です――えっ、そんな! あ、いえ――はい――」
 刑事はスマートフォンを耳に当てたまま欅道先生をにらみつけた。
「わかりましたぁ」
 不服を含んだ低い声で刑事は言うと通話を終わらせた。
「いったいなにをしやがった――」
「さあ、なんのことだか」
 欅道先生は口元に笑みを浮かべている。刑事はしばし欅道先生をにらみつけたままだったが、やがて、
「帰るぞ」
 低い声で言った。ぽやんとしている銀縁眼鏡の刑事を引っ張って強面の刑事はオフィスをあとにした。若い刑事や制服警官が慌てて追っていき、文芸部の者と作家がふたり残った。
0455319
垢版 |
2018/03/23(金) 10:53:11.41ID:PT3oClZQ
空行なしで続いています。

 しばらく誰も言葉を発しなかったが、
「いやぁ、それにしても自殺未遂だったなんて」
 田所がくせっ毛をごしごしやりながら言った。
「そんなわけないじゃないですか」
 欅道が笑った。
「えっ、違うんですか!?」
「やっぱり。ところでどうして阿々楠先生がいるんですか?」
 鈴子が阿々楠先生を指さす。阿々楠先生は困ったような顔で笑っていた。
「そりゃあ容疑者のひとりですからね。犯人当ての場所には必要でしょう」
「犯人当て!」
「そう」
 花代のデスクのまわりに編集者たちが集まっていた。昨日いなかった者もいるが、容疑者となる者はみな揃っている。
「今回の事件は大変でした。みんなに毒を入れるチャンスがあり、動機があった」
 欅道先生は後ろに手を組んで、ゆっくりと編集者たちの前を往復しながら言った。ちなみに動機とは、担当する作家や好きな作家をけなされたとかその程度である。
「鈴木さん!」
 欅道先生がビシッと鈴子を指さし、不意を突かれた鈴子はビクッと震えた。
「が怪しいと思ったんですがね」
 ふたたび後ろ手にゆっくり歩きはじめる。
「鈴木さんには動機もあり、チャンスもあった」
 本人を目の前にして動機とか言わないで欲しい、と鈴子は思った。
「しかし、彼女が犯人ではピースがぴたりとはまらないんです」
 欅道先生は足を止め、体を編集者たちに向けた。
「詳細は省きますが――」
「省くんかい」
 桃ちゃんの声がぼそりと聞こえた。
 欅道先生はゆっくりと人差し指を上げ、ある人物にぴたりと当てた。
「――犯人はあなたですね、みどり≠ウん」
 みどり≠ウんは、わっと泣き崩れた。

(終わっていないという……)
0457モニ
垢版 |
2018/03/23(金) 15:43:09.06ID:/AykrStr
モニです。また書き込めるかもしれません。またよろしくです。
0458319
垢版 |
2018/03/23(金) 20:17:48.15ID:PT3oClZQ
モニさん、お帰り!

あと3スレ。これで終わりです。長いことお騒がせしてすみませんでした。

 朱川とみどりさんは別室で話し合いを持つことになった。
 ふたりがオフィスを出たあと、ミーティングテーブルについた欅道先生を、鈴子ら編集者たちと阿々楠先生が囲んでいた。
「すごい推理でしたね、欅道先生。はい、お待ちかねの煮詰まったコーヒーです」
 鈴子がコーヒーカップを欅道先生の前に置いた。
「お、ありがとう」
「それで、詳しい推理をお聞かせ願いたいんですが」
「ええ。まずは動機なんですが、まぁなんだかんだ言いましたが、結局誰かを殺そうとするなんて男女のもつれ以外にはあまりないんです」
「身も蓋もありませんね! しかもそんなことないと思いますし!」
「しかし、そう考えるといろいろ見えてきます。特製ドリンクを作ったのは彼女≠セという話でした。そして毒物を混入させたのはこの編集者のうちの誰かです。彼女≠ニいうのはここの編集者ということになります」
「はあ、くどい説明ですけどそうですね」
「あ、そうそう。カップと容器からは毒物が検出されました。悪用されると困るので詳しくは言えませんが、充分に人を殺せる、どこででも手に入るものでした」
「そこをなんとか!」
「桃ちゃん、ダメだよ!」
「冗談よ」
「今はそんな雰囲気じゃないでしょ!」
 欅道先生はにこにこして先を続けた。
「鍵となるのは特製ドリンクです。健康にいいのかどうかは別にして変な飲み物ですね」
「ちょっと待ってください。まさかそのドリンクの――」
「そうです」
 欅道先生はにっこり微笑んだ。
「みどりさんは緑色のドリンクを自分に見立てて毎日朱川さんに飲ませようとしてたんです」
「おぇ」
「あ、急ぎの仕事があったんだ」
「下読み下読み」
 何人もがミーティングテーブルを離れていった。
「それって推理じゃありませんよね?」
「でも当たってたよ?」
 当たりゃあ推理じゃねえんだよ、と桃ちゃんが自分の席でぼそっと言った。
「それで、病院で生死の境をさまよい中の朱川さんを問い詰めたんです」
「鬼か!」
「まあ編集者イコール彼女が当たってたら聞けばわかったんだけどね。でもみどりさんの名前を出したときはめちゃ驚いてましたね。あの顔、見せたかったですよ」
 欅道先生は声を立てて笑った。もうミーティングテーブルにいるのは鈴子と花代だけだ。阿々楠先生は鈴子の席で桃ちゃんと談笑している。
「でね、詳しく話を聞いたんです。最初は言い渋ってましたけどね、弱ってたからちょっとアレすればぺらぺらしゃべりましたよ」
「アレってなんですか、アレって!」
 この人のほうがよっぽど犯罪者じゃないだろうか、と思ったりした。
「でね」
 欅道先生の顔がふっと翳った。
「ここでは言えないほどのひどいことをしていたんですよ、あの朱川って男は」
 朱川の呼び方が変わった。
「僕には、みどりさんだけが罪に問われるのは許せなかった。だから――」
「自殺を失敗したことにした――」
「それしか彼女を救う方法は思いつかなかったんです」
 欅道先生は寂しそうに笑った。
「あ、そういえばあの刑事さんへの電話! あれはなんだったんですか?」
「それは企業秘密」
 欅道先生はいつもの明るい笑顔に戻って言った。
「えー、教えてくださいよ!」
「だめだめ。僕にだって秘密はあるんです」
 欅道先生はコーヒーカップを手に取った。
「うわっ、本当に煮詰まってる!」
 顔をしかめながら笑う欅道先生を見ながら、本当はすごい人なのかしら、と鈴子は思った。
0459319
垢版 |
2018/03/23(金) 20:19:55.94ID:PT3oClZQ
 欅道先生と阿々楠先生が帰ったあと鈴子と花代は屋上に上がった。前日より早い時間で、空はどんよりと曇っていた。
「欅道先生には驚かされますね」
「そうだな」
 しばらくふたりは黙ったまま風景を眺めた。すましたビルの間に立ち並ぶ家々。ときおり驚くほど古い建物が見え、諸行無常の響きがあった。ごーん。近所のお寺の鐘の音が聞こえた。
「これでよかったんですかね?」
「ん?」
「事件をなかったことにしちゃって」
「よくないだろ」
「え、それじゃあ」
「今さら言ってもしかたがないことだ」
「そんな……」
「誰も死ななかったし、毒を盛られたのは朱川だし、いいじゃないか」
「それもそうですね」
 ふたたびしばしの沈黙が訪れた。
「ふたりは幸せになれますかね?」
 朱川とみどりさんは一緒になるようだ。
「さあなあ、ふたりのことはわからないが、文章がいまいちの応募作がものになると俺は幸せになる」
「あー、はいはい。仕事に戻りましょ」
 そして屋上には誰もいなくなった。
0460319
垢版 |
2018/03/23(金) 20:24:25.34ID:PT3oClZQ
「書き直しを依頼して再度応募してもらうことにしたいと思います」
 二日が経ったお昼前、鈴子が問題の応募作についてどうするかをデスクの花代に報告していた。
「うん、それがいいだろうな。担当をつけるんだろ?」
「そう思ってるんですけど」
 鈴子はちらりと上目づかいに花代を見た。
「俺は嫌だぞ」
「えー、そこをなんとか」
「無理だ。俺は忙しい」
「ほかにないほどの人材ですよ!?」
「あれ、朱川さん!?」
 田所の声に出入り口を見ると、松葉杖をついた朱川が決まり悪そうな顔をして立っていた。なかなか中に入ってこようとしない。
「もういいんですか?」
 田所が近づきながら言った。
「ああ、うん、足がまだうまく動かないんだけどな……」
 朱川が小さな声でぼそぼそと呟くように言った。
「ちょうどいいのがいたな」
 花代が鈴子に言った。
「え? まさか?」
「なに言ってんだ、朱川は優秀だぞ。おい、朱川!」
 朱川がびくんと体を振るわせた。松葉杖でゆっくり近づいてくる。花代の方も歩いていき、ふたりは向かいあった。
「花代さん、今回はご迷惑をおかけしました」
 朱川があたまを下げる。
「ん、なんのことだ? それよりお前に仕事がある。やりがいのある仕事になるぞ」
「あ、いや、俺もう、ここにはいられないかなって」
 朱川は首が直角になるくらいうつむいた。
「それは駄目だ。お前じゃないとできない仕事だ」
 花代は手のひらを上に向けて朱川に差し出した。なんの意味があるのか鈴子にはわからなかった。しばらくそのままの状態だったが、やがて朱川が観念したように言った。
「内ポケットに」
「取るぞ」
 花代は朱川の深緑色のスーツの内側に手を入れた。出てきたときには白い封筒を持っていた。鈴子には筆で書いた退≠フ字だけが見えた。
「もういらないな?」
「……はい」
 花代はびりびりと封筒を細かく破き、鈴子の上着のポケットに入れた。
「ちょ――!」
「新人賞の応募作だがちょっと文章に難がある。書き直してもらうよう依頼しようと思うが、お前に相談役として担当して欲しい。だが、お前が指導するのは文章だけだ。内容に口出しすることは許さん。相手の個性を――生かせ。できるか?」
「はい――」
 花代が朱川をかばうようにしていたのは、自分の昔の服装とおなじだということだけではなかったのだ。花代は朱川の編集者としての実力を買っていたのだと、鈴子はやっとわかった。
「もしこの人を潰したら――その時は覚悟しとけ」
 地獄の底から響いてくる声が可愛らしく感じるほどの声で花代が言った。
「は、はい!」
 朱川が血の気が引いた顔で頷いた。
 将来文芸関係のほとんどの記録を塗り替えるほどの才能、それを黒豹出版が獲得した瞬間であった。各賞など彼の作品の前では意味をなさなかった。ノーベル文学賞が小さくなって、ぼくなんかを貰ってくれるかなぁ、とつぶやくのである。
世界が、これほどの才能が日本で生まれるなんてずるい! と嫉妬することになるのだ。売れに売れ、傾いた社屋を建て替えるのに多大な貢献をもたらすことになるその人の名は――。
「しかしまずは連絡しないとな。名前はなんだっけ?」
「あ、はい、えーと」
 鈴子は応募作の表紙に書かれた名前を確認して言った。
「○○さんですね」

 おしまい

※最後の名前は決まってたんですけど、デフォルメとはいえ扱いが失礼かなぁと思って伏せました。ロム猫さんお気に入りの、道場で血だらけで倒れていたあの天才です。伏せてないじゃんっていう。
※ここまで書いて準備していたらまさかの!
0461創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/23(金) 20:35:46.48ID:6DIO+Fm7
ね?モニは「持ってるひと」なんだよ(笑

時間を作って感想をいうね。
0462創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/24(土) 08:54:43.51ID:IivskU9r
>>450

>「まさか! わたしはやっていませんし、無実なのは自分でわかってます。なんだか可笑しくって」
>鈴子はけらけらと笑った。

この段階では犯人が特定されておらず目的も凶悪性も分からない
朱川の容態も不明で事態の深刻さは未確定
周到な計画によって濡れ衣を着せられている可能性もあり、鈴子のライトな反応がやや不思議に思える
加えて前の場面で「半笑いで鈴子の背中を眺めていた」花代が、この場面で鈴子の演技を知って「苦笑する」のも同様に不可解

>本人を目の前にして動機とか言わないで欲しい、と鈴子は思った。

推理ものの非常識が暴かれていて、楽しかった

>「みどりさんは緑色のドリンクを自分に見立てて毎日朱川さんに飲ませようとしてたんです」
>「おぇ」
>「あ、急ぎの仕事があったんだ」

「緑色のドリンクを飲ませる」みどりの必死さを言い表すエピソードを追加で入れると良いのでは
「そんなものを朱川はなぜ飲んでいたのか」という読者の疑問を消化しておかなければならないのと、
同僚が興味本位で聞いていられないほどに話の文脈を気持ち悪くする必要がある

>花代は朱川の深緑色のスーツの内側に手を入れた。出てきたときには白い封筒を持っていた。鈴子には筆で書いた退≠フ字だけが見えた。
>「もういらないな?」
>「……はい」

展開が早すぎる
花代が担当を任せることに朱川が納得する、その前段があってこそ「もういらないな?」になるのでは

全体
>>428以降は>>412より地の文が馴染んでいて、筆が乗ってきているのを感じる
>>412にあった台詞で想像できる情景が地の文で二重に説明される、という感触が減少している気がした
キャラクターは多いが混乱を感じない
内輪ネタの力も活きている
構成として、鈴子がみどりを発見するなどしてもう少し謎解きに絡んでも良かったのでは
そうであれば「ふたりは幸せになれますかね?」が他人事ではない、感情のこもった印象を生むだろうなと思った
読者を安堵させるラストは筆致に合っている
0463創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/24(土) 09:27:10.12ID:h8GQlv2d
結局、作者がスルーした論点はスルーされるw
ナラティブについてピンとこない人はまたナラティブで躓くよ。
類は友を呼ぶ、という結末になっていたのには笑ったなw
0464319
垢版 |
2018/03/24(土) 13:12:42.02ID:Y8Z3vg6j
>>462
ありがとうございます。

○鈴子のけらけら笑うこと。
 やっぱり軽すぎますかね。もうちょっと抑えた方がよかったか。
 花代の苦笑は、ヘタな演技を思い出して、のつもりだったんですが、そうなると前のシーンの終わりが変かな。
「どこがだよ。それにノーベル演技賞なんて〜
 にして「自分もあの場から逃げようと思ったけど、欅道先生に捕まった」みたいなセリフを言わせようか。うーん。

○動機のこと
 推理ものの非常識なんて考えなかったw

○同僚の離れていくところ
 これは推理じゃなかったことで、だったんですけど、わかりにくかったですね。もうちょっとわかりやすくします。

○封筒のところ
 なるほどですね。
 最初は花代がなにも言わず封筒を取って破く流れだったんですけど、さすがに横暴で花代が嫌われたら困るな、とか、封筒をありかをなぜわかった? とかで書きかえたんですけど、そうなると順番が悪かったか。
 どう書くかはいろいろありそうですね。考えます。

○全体から
 ありがとうございます。
 ちゃんとした謎解きはない謎解き風≠ネ話ですけど、鈴子の何気ないつぶやきで探偵役が気づくみたいなお約束でもいいかもですね。でも入れるところがないなぁ。練り直し?
0465319
垢版 |
2018/03/24(土) 14:57:19.09ID:Y8Z3vg6j
>>463
「黒豹出版文芸部番外編〜天空のナラティブ〜」

「花代さん」
 鈴子は花代のデスクへいくと声をかけた。
「んー?」
 花代は読んでいた誰かの校正ゲラから顔を上げた。
「ナラティブって知ってます?」
「知らんなぁ」
「そうですか……」
「そういうときはネットだよーん」
 聞こえていた桃ちゃんがノートパソコンのキーを叩く。鈴子と花代は桃ちゃんの席の後ろに移動した。
「んー、なんだかわかりにくいね。いろいろ意味があるみたい。どこで聞いたの?」
「校閲の人が言ってた。その場は知ったかぶりしたけど」
「じゃあこれかな。ひらたく言うと語り口≠セね」
「そうなんだ。けっこうおいしいよね。わたしは目刺しが好き」
「それはカタクチイワシな」
「テへ」
 鈴子はテへのポーズをした。
「なんでそんな難しい言い方するかなぁ」
「察しろ」
「話が進まないよーん」
「語り口というと地の文の調子みたいなことですよね?」
「そうだな。同じストーリーでも地の文でずいぶん印象が変わるもんだ。例えば桃太郎だって書き手が違えばガラッと雰囲気が変わるだろう」
「むかしむかしあるところに」と鈴子。
「むかーしむかしのことじゃったぁー」と桃ちゃん。
「なるほど、違いますね」
「えーと、うん、まあそんなところだ。またストーリーによっても、それにふさわしい語り口というのがある。泣かせる話で『ガーッと開いた自動ドアを抜けて、どたどたと廊下を歩いていった』とか書かれると『ちょっとなー』と思うだろう?」
「オノマトペが悪いんですか?」
「そういうことじゃない」
「例えがひどすぎっす」
「…………」
「花代さん、ドンマイ。作家じゃないんですから。ふさわしいのはどんな感じですか?」
「鈴ちゃん、それ、追い打ちをかけることになるから」
「まぁそういうのがあるんだろうよ! とにかく物語によってそれにふさわしい語り口があるだろう。また、どういう印象を読者に与えようとするかによっても変わってくる。それらを勘案して――なんだっけ?」
「ナラティブです」
「ナラティブっているんだよ、作家は」
「そんな使い方、ありっすか?」
「知らん」
「うーむ」
 その後解散して各々の席に着いたが、ふと思いついた様子で鈴子は顔を上げた。席を立ち、ちょうど外から帰ってきた若い編集者のもとへ行く。
「田所くん」
「はい?」
「ナラティブって知ってる?」
「ナラティ……も、もちろんですよ。それがどうかしましたか?」
「今度みんなでナラティブを食べに行こうって話なんだけど一緒にどう?」
「いいですね、大好物です!」
 黒豹出版文芸部は今日も平和だった。

こんな感じ?
0467創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/24(土) 16:15:37.19ID:6syIlyoC
あーあー連載はじめちゃったのか

馴れ合い(特定のメンバーによるスレの閉鎖的な使用)の温床になるから
酷評スレではほどほどにたのますよ。
0469創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/24(土) 16:42:57.19ID:mnWg1V4L
自分の文章が上手いのか下手なのかさえ分からない素人です。最近文章に興味を持ち始めました。評価・添削お願いします。


ピアノを弾いていた。暗い部屋だ。カーテンから透けて射し込む夕陽以外にこの部屋を照らすものは何もなく、手元の鍵盤が少し見えづらかった。でも、問題はない。弾き慣れた指の感覚が視覚に頼らずとも正確に音を鳴らしてくれた。
少しだけ憂鬱な気分だった。この頃の自分には、訳もなく気分が沈み、ピアノと呼吸以外は何もする気が起きないといった日が、毎日のように続いている。
壁の時計を見ると、午後五時三十七分。今日も学校には行かずに、ただただ陰鬱な一日を過ごした。さみしいわけじゃない。ただ何となく、この頃は気分が優れないのだ。
学校には、二年前――中学一年の辺りから、殆ど通っていなかった。元々クラスでぽつんと過ごすタイプだったから、もう僕のことを覚えている人間なんていないだろう。
ふと、このピアノの部屋が、世界の全てであるような錯覚を覚えた。
いや、多分それは、錯覚などではなかった。
試しにカーテンを開けてみると、しかしそこには夕焼けの街並みが広がっていた。
0470創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/24(土) 17:30:56.19ID:6syIlyoC
>>469
起承転結があって内容的に読みやすい文章だと思います。

>ピアノを弾いていた。暗い部屋だ。

ブツ切り感覚を受けました。鬱状態の演出としてなら後の文でもそれっぽさを継続すべきでは?
一般的な文に直すと
→暗い部屋でピアノを弾いていた。

>弾き慣れた指の感覚が視覚に頼らずとも正確に音を鳴らしてくれた。

読み辛いです。
→視覚に頼らずとも、弾き慣れた指の感覚が正確に音を鳴らしてくれた。

>この頃の自分には、訳もなく気分が沈み、

校正漏れ?
→最近の自分は、訳もなく気分が沈み、

>試しにカーテンを開けてみると、しかしそこには夕焼けの街並みが広がっていた。

「夕焼けの街並み」はありきたりですが、転から結へまずまず歯切れが良いです。
二文に分けたらどうなるか試しておいてもみても、と少し思いました。
0471319
垢版 |
2018/03/24(土) 20:20:41.02ID:smcZ5Lrq
>>467
すみませんでした。
どこか投稿サイトを探そうと思います。
地味なところで。
0472創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/24(土) 20:25:47.14ID:CwEXDIMJ
>>471
いろいろあるし、無料だからね。
「.なろう」か「カクヨム」がいいとは思います。
なんといっても、読みやすいし、直せるし。
ぜひ使って欲しいな。
0473
垢版 |
2018/03/24(土) 21:10:53.80ID:QCPM/+Ng
いろいろな人の小説読んだけど、特に、森絵都の小説技法というか、なんていうかわからないけど、一番参考になるわ。

会話文と会話文を繋ぐ地の文「〜は言った」「〜は呟いた」みたいなのはまったく書かないのな。
ちなみに、村上春樹なんかは「〜は言った」系多い。

例えば「いつかパラソルの下で」

「お兄ちゃんもそう言っていた。うかばれないよねえ、お父さん」
そうぼやきながはも妹自身、キリについては異論を唱えようとしない。

「え……はい」
彼女さやっぱり、という目をして一人納得し、それから丁重に一礼した。

「何してるの?」
声をかけると、そこいら中に積み上げられたダンボール箱の一つを前にしていた兄が振りむき、右の拳を突き出した。

唸らせるわ。最後まで情景描写が巧み。
0474創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/24(土) 21:13:56.86ID:CwEXDIMJ
し、の七不思議。創作以外の文章のレベルはめちゃくちゃ高い。
何故なのか!
0475創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/24(土) 22:00:26.92ID:smcZ5Lrq
>>469
うまいと思います。

> ピアノを弾いていた。暗い部屋だ。カーテンから透けて射し込む夕陽以外にこの部屋を照らすものは何もなく、手元の鍵盤が少し見えづらかった。
 「暗い部屋だ。」は「暗い部屋だった。」か「部屋は暗かった。」の方が雰囲気が出るような気がする。最後が「た」の三連発は嫌う人もいるのでアレだけど。
 「鍵盤が」は「鍵盤は」の方がいいような気がする。理由はうまく説明できないけど。問題ないからかな?

>でも、問題はない。
 一見「だが」にしたいと思うけど、あとに出てくる「さみしいわけじゃない」が十五歳(?)っぽくていいのでこのまま。もし変えるならあとの文章も変える必要があるだろう。

>弾き慣れた指の感覚が視覚に頼らずとも正確に音を鳴らしてくれた。
 弾き慣れた指の感覚が、視覚に頼らずとも正確に音を鳴らしてくれた。
 ここに点があるとわかりやすいかも。

>この頃の自分には、訳もなく気分が沈み、ピアノと呼吸以外は何もする気が起きないといった日が、毎日のように続いている。
 読点を打ちすぎかなぁ。「の自分に」は取った方がすっきりしそうだ。
 この頃は訳もなく気分が沈み、ピアノと呼吸以外は何もする気が起きないといった日が毎日のように続いている。
 これでいいんじゃないだろうか。

> いや、多分それは、錯覚などではなかった。
 「多分」がなんか中途半端。一人称なので本人がそう思ったら言い切ってもいいのではないか。と、思ったけど、そうするとあとが難しくなる。

>試しにカーテンを開けてみると、しかしそこには夕焼けの街並みが広がっていた。
 「、」からの「しかしそこには」がいい感じ。分けるとなんか普通になる。
 前文の「多分」に対応すると思われる「試しに」を削ると自分にはうまくまとめられない。前文を考えたいけどもう頭が煙吐きそう。ごめんなさい。

 あと、「何」の漢字は開く人が多いと思う。理由は多分「なん」と「なに」の読みがあるから。何月、とかの場合は人によるかな。
0476創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/24(土) 23:18:08.83ID:h8GQlv2d
文章といってもいろいろあって、これは小説の一部ですな。
小説を書いているつもりでも、小説としてオカシイものがいっぱいあるからね。
「僕小説」としては破綻なく書けているよ。
表現としてうまいかどうか、はわからないw
0477創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/25(日) 00:19:23.54ID:V1Ozv+K2
>>470
>>475
>>476
ありがとうございます!こんなに詳しく丁寧な評価を下さるとは思っておりませんでした。少し恐縮するくらいです。
ご指摘頂いた点を踏まえて、再度この文章を練り直してみようかと思いましたが、今日はいまいち筆が乗らない様子なので、また後日調子の良い日に推敲することにしました。
文章を書くのって楽しいのですね。これからもちょくちょく小説を書いて精進したいと思います。
0479創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/25(日) 00:36:53.51ID:V1Ozv+K2
文章としての上手い下手もいまいち分からないけど、表現としての上手い下手はもっと分からない。
いい表現だなーって思わせられたら「上手い」ってことでいいんでしょうか……?
0480創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/25(日) 00:53:54.52ID:mIQExYiW
なにせ短いテキストだから、判断が難しいけど、
2人も「うまい」とレスしているんだから、悪くないんじゃないかな。
他人の評価というのは貴重だからね。
文章一般じゃなくて、小説表現としてどうなのか、ということが大事だと思うな。
小説って、なんでもないようだけど、いろいろ独特だよ。
たとえば主人公がいるとかねw
で、その主人公が生き生きと描けているとしたら、その作家には表現力がある、ということだろ。
0481創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/25(日) 09:02:09.98ID:m6Re/Dgc
>>476の人も言っているけど部分でならおkって感じではあるか。
(「僕小説」ってのは「私小説」のもじりで、語りの主人公が若年ってことかな?)

もし推敲するなら、
話の起伏をさらにキツくしてみるとか
具体的なエピソードを追加するとか
心理描写を厚くするとか
(或いは、方向性をガラリと変えて、星新一のSS風に鋭いオチを持ってくる)

掌編としての完結性を高める方向で検討してみると練習台的にはいいかもしれない。
ただ、コンパクトにまとまっているものを一旦崩すことになるので結構やり辛そうではある。
(今はあまりハマらずmax半日程度で)
0482モニ
垢版 |
2018/03/25(日) 19:49:20.65ID:FhFdjZov
たぶん、来月には書けるかも。かもですが。
0483創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/25(日) 23:14:23.77ID:jNz8J1pB
「29歳既婚、2年前に会社を辞めた。ボードゲーム作りを始めて3700万円を
売り上げたけど何か聞きたいことはある?」回答いろいろ
http://labaq.com/archives/51880196.html
日本ボードゲーム界の異端児に聞く!ボードゲームデザイナーとして生きていくには?
https://bodoge.hoobby.net/columns/00013
はじめてボードゲームを作ってはじめてゲームマーケットに出店した ので、ひとり反省会をしてみる。
http://datecocco.hatenablog.com/entry/2015/11/26/000000
はじめて作ったボードゲームを売った話
http://nrmgoraku.hateblo.jp/entry/2017/05/17/210000
ボードゲームイベント「ゲームマーケット」から業界が見えた!
https://entertainmentstation.jp/61107
ゲームマーケットに挑む人向けガイド
http://spa-game.com/?p=4830
ボードゲームはどう作るのか、自分なりに考えた
http://roy.hatenablog.com/entry/2014/07/09/124824
オトナも遊べるボードゲーム!自作するといくらになるのか
http://www.d-laboweb.jp/special/sp312/
ボードゲームの展示イベント「ゲームマーケット」の成長記録からこれからの
市場に必要なことを妄想してみた。6年間の来場者数推移(2016年4月時点調べ)
https://bodoge.hoobby.net/columns/00001
ボードゲーム市場がクラウドファンディングの出現で急成長を遂げ市場規模を拡大中
http://gigazine.net/news/20150820-board-game-crowdfunding/
0484創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/25(日) 23:44:38.41ID:aErFcnCC
へえ
0485創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/26(月) 20:57:46.86ID:USZtGLCa
>>450
指摘されてからト書きの、--○○は言った。-を減らしたのはまずまず。
でも、ト書きを減らした分、その代わりに、やはり会話が多すぎバランスが悪い。
もう少し、情景や心情を写する地の文を入れて会話進行中心なのを是正すべき。

あとね、わかってない人が多そうだが、シナリオじゃないんだから
小説の書き方としてはキャラ造形ってのは会話で作るんじゃなく、
地の文で描写すること。そっちへシフトしていけば、少しは良くなりますよ。
0486創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/26(月) 21:07:23.53ID:USZtGLCa
>>469
前々から、カーテン開かない暗い部屋からはじまる話が多いが、同じ作者さん?
主観で書く場合でも、--でも、問題はない。--はちょっと良くない。
たとえば、--問題はない、そう思った。--とでもしたほうがいい。
自分だけのための書き手自身の日記じゃなくて、読者がいるんだから、
自分の思ったことを"書きおく"のではなく、読む人に"伝える"という書き方を心掛けるべき。
ブログと小説の書き方の違いを勉強しなきゃ。
0487創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/26(月) 21:14:34.97ID:USZtGLCa
>>473
>ちなみに、村上春樹なんかは「〜は言った」系多い。

それは、そう感じさせない内容と読み進みやすい筆力といった、バランスがあってのこと。
0488創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/26(月) 21:19:11.26ID:USZtGLCa
>>479
肝心なのは、最低限の小説の文章を書けるスキルと
少しばかりのオリジナリティーと、読者の心を動かし読後に何か残るものを書けるかどうか。
0489創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/26(月) 21:27:58.73ID:USZtGLCa
ブログと小説の書き方の違いの件では
ちなみに、今でいうブログ風ともいえる独白での小説を確立したのが
ハードボイルド小説で、あそこまで独りよがりなら、逆に潔く思えてくるが
(ハードボイルド小説も初期のころは、こんな書き方は良くないと相当叩かれたw)
で、作者が内容を吟味して意図してそう書くならともかく、
そこまでいかないで、作者もわかってないままに、なんとなく小説っぽく書いたら日記調の書き方になってしまったとかは
基本的には下手な作品になるだけです。
0490創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/26(月) 22:46:56.22ID:/PMIxmR+
ハードボイルドの硬質なとか渇いたとか表現されるような文体ってどうすれば書けるようになるんだろう
もっと言うとあれと日記を分ける差はなんだろう
ごまかしがきかないから筆力がモロに出てコレジャナイ感がでてしまう
0491創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/03/26(月) 23:12:39.02ID:USZtGLCa
直接的な表現にせず、仄めかし、比喩、皮肉混じった回りくどい言い回しを多用すれば
それっぽく硬質に……、クールに……、書ける。
あくまでそれっぽくであって、それが出来が良いかどうかは才能の良し悪し如何である。
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

ニューススポーツなんでも実況