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ロスト・スペラー 18
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0001創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/08(木) 18:42:15.87ID:S22fm2qA
夢も希望もないファンタジー

過去スレ

https://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1505903970/
http://mao.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1493114981/
http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480151547/
http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1466594246/
http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1455282046/
http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1442487250/
http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1430563030/
http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1418203508/
http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1404902987/
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1392030633/
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1377336123/
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1361442140/
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1347875540/
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1334387344/
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1318585674/
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1303809625/
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1290782611/
0002創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/08(木) 18:45:07.10ID:S22fm2qA
今から500年前まで、魔法とは一部の魔法使いだけの物であった。
その事を憂いた『偉大なる魔導師<グランド・マージ>』は、誰でも簡単に魔法が扱えるよう、
『共通魔法<コモン・スペル>』を創り出した。
それは魔法を科学する事。
魔法を種類・威力・用途毎に体系付けて細分化し、『呪文<スペル>』を唱える、
或いは描く事で使用可能にする、画期的な発明。
グランド・マージは一生を懸けて、世界中の魔法に呪文を与えるという膨大な作業を成し遂げた。
その偉業に感銘を受けた多くの魔導師が、共通魔法を世界中に広め、現在の魔法文明社会がある。

『失われた呪文<ロスト・スペル>』とは、魔法科学が発展して行く過程で失われてしまった呪文を言う。
世界を滅ぼす程の威力を持つ魔法、自然界の法則を乱す虞のある魔法……。
それ等は『禁呪<フォビドゥン・スペル>』として、過去の『魔法大戦<スクランブル・オーバー>』以降、封印された。
大戦の跡地には、禁呪クラスの『失われた呪文』が、数多の魔法使いと共に眠っている。
忌まわしき戦いの記憶を封じた西の果てを、人々は『禁断の地』と名付けた。


ロスト・スペラー(lost speller):@失われた呪文を知る者。A失われた呪文の研究者。
B(俗)現在では使われなくなった呪文を愛用する、懐古趣味の者。偏屈者。
0003創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/08(木) 18:46:26.56ID:S22fm2qA
魔法大戦とは新たな魔法秩序を巡って勃発した、旧暦の魔法使い達による大戦争である。
3年に亘る魔法大戦で、1つの小さな島を残して、全ての大陸が海に沈んでしまった。
魔法大戦の勝者、共通魔法使いの指導者である、偉大なる魔導師と8人の高弟は、
唯一残った小さな島の東岸に、沈んだ大陸に代わる、1つの大陸を浮上させた。
それが現在の『唯一大陸』――『私達の世界<ファイセアルス>』。
共通魔法使い達は、8人の高弟を中心に魔導師会を結成し、100年を掛けて、
唯一大陸に6つの『魔法都市<ゴイテオポリス>』を建設して世界を復興させた。
そして、共通魔法以外の魔法を『外道魔法<トート・マジック>』と呼称して抑制した。

今も唯一大陸には、6つの魔法都市と、それを中心とした6つの地方がある。
大陸北西部に在る第一魔法都市グラマーを中心とした、砂漠のグラマー地方。
大陸南西部に在る第二魔法都市ブリンガーを中心とした、豊饒のブリンガー地方。
大陸北部に在る第三魔法都市エグゼラを中心とした、極寒のエグゼラ地方。
大陸中央に在る第四魔法都市ティナーを中心とした、商都のティナー地方。
大陸北東部に在る第五魔法都市ボルガを中心とした、山岳のボルガ地方。
大陸南東部に在る第六魔法都市カターナを中心とした、常夏のカターナ地方。
共通魔法と魔導師会を中心とした、新たな魔法秩序の下で、人々は長らく平穏に暮らしている。
しかし、今――
0004創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/08(木) 18:46:57.19ID:S22fm2qA
……と、こんな感じで容量一杯まで、設定を作りながら話を作ったりする、設定スレの延長。
時には無かった事にしたい設定も出て来ますが、少しずつ矛盾を無くして行きたいと思います。
0006創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/09(金) 18:56:51.43ID:OdTAtG0g
コバルトゥスの冒険


第五魔法都市ボルガにて


精霊魔法使いの冒険者コバルトゥス・ギーダフィは、旧い魔法使いが遺したと言われる、
財宝の在り処を示した秘密の地図を、怪しい浮浪者から受け取った。
この浮浪者は、ある魔法使いから地図を託されたのだが、自分で財宝を探し当てたくとも、
その力が無かった。
そこで「話に乗ってくれそうな腕利きの人物」を探していたと言う。
煽て上げられて好い気になったコバルトゥスは、何事も行動に移さなければ始まらないと、
地図に記された財宝の在り処へと向かう事にした。
財宝の在り処の周辺図と思しき物が描き記された地図の端には、以下の一文が添えられている。

「マンリガタリから西に、山を越え、川を越え、谷を越え、森を越え、断崖の洞穴に入る」

マンリガタリとはボルガ地方の西部にあるマンリガタリ町の事だ。
その西には確かに山があるが、山の向こうに何があると言う話は聞かない。
最新の町の周辺図を見ても、そこは山林しか描かれていない。
それでもコバルトゥスは浮浪者が持っていた地図を信じた。
伸るか反るか、危険を恐れないのが冒険者。
冒険心を失って何もしない者には、その資格は無いのだ。
0007創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/09(金) 19:03:30.58ID:OdTAtG0g
ボルガ地方西部、山林に囲まれた秘境の洞窟にて


コバルトゥスは精霊の導きを頼りに道無き道を進み、山を越え、川を越え、谷を越え、森を越え、
遂に小さな洞窟を発見した。
とても徒歩では到達出来ない断崖の高い位置に、大人が入れる程の洞穴が口を開けている。
コバルトゥスは風の魔法で跳躍し、洞穴の前にある3平方身の広い足場に上がった。
そこでは意外な人物が、彼を待ち構えていた。

 「おっ、コバギじゃないか!
  こんな所に何の用なんだ?」

それは旅商の男ラビゾー。
中肉中背の中年男性で、コバルトゥスとは長い付き合いだ。
コバルトゥスは吃驚して尋ね返す。

 「先輩こそ!」

 「僕は人の付き添いで」

2人が話していると、洞穴から新たに1人が姿を現した。

 「どうしたんですか、ラビゾーさん?
  こんな所に誰か……」

それを見て、コバルトゥスは二度吃驚。

 「君は、カシエ!?」

 「バル!!」

第三の人物はカシエ・フラシャルデン。
一時コバルトゥスと旅をした事がある女性だ。
「バル」とは「コバルトゥス」の愛称の一つ。
約2年振りの偶然の再会に、カシエの方も驚いていた。
0008創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/09(金) 19:11:37.08ID:OdTAtG0g
 「どうして、こんな所に!?
  いや、それよりも……、えぇい、何から聞けば良いのか!」

コバルトゥスの記憶では、カシエ・フラシャルデンは世間知らずで内気な女性だった。
一緒に旅をしたと言うのも、コバルトゥスが強引に彼女を口説いて連れ回した。
それが、「こんな場所」で何をしているのか?
混乱する彼に、カシエは笑顔で答える。

 「私、冒険者になったの」

 「何だってぇっ!?
  何で又!?」

コバルトゥスは仰天し、目を剥いて大きな声を上げた。
カシエは冒険者らしい砂色の「狩猟家」の服装に反して、凡そ「冒険者」とは言い難い生白い肌に、
鮮やかな朱色の長い髪を纏め上げている。
このアンバランスさが、如何にも駆け出しと言う風。

 「貴方と冒険して分かったの。
  私の人生に足りなかった物が何なのか!」

 「それが『冒険』だって言うのか?」

 「ええ、その通り!!
  今、私は生きている!」

気弱だった女の子が、数年で逞しくなった物だと、コバルトゥスは感心した。
彼は改めてラビゾーに向き直る。

 「それで、先輩は?
  何で、こんな所に?」

 「言ったじゃないか、付き添いだって」

 「そうじゃなくて、この洞窟が何なのか知ってるんスか?」

 「いや、知らない。
  財宝の洞窟らしいが、僕は雇われたんでなぁ」

 「――ってェ事は、カシエ!
  君が先輩を、ここに連れて来たのか!」

コバルトゥスがカシエを顧みると、彼女は素直に平然と頷いた。

 「そうよ」

以前の彼女からは想像出来ない行動力に、コバルトゥスは舌を巻く。
0009創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/10(土) 17:33:39.91ID:XkodYfGP
カシエは一々驚くコバルトゥスに、事情を話した。

 「ボルガ市で変な小父さんに地図を買わないかって言われてね」

コバルトゥスはラビゾーを一顧する。
ラビゾーは不快感を顔に表して言った。

 「僕じゃないぞ」

そんな2人の遣り取りを見たカシエは、苦笑して続ける。

 「財宝の隠し場所が記されてるって言うから、安かったし買っちゃった」

 「俺と同じって訳か」

コバルトゥスの発言を聞いて、カシエは尋ねた。

 「貴方も財宝を探しに来たの?」

 「ああ。
  それで、どうする?」

 「どうするって?」

彼の唐突な問いに、カシエは理解が追い付かず、尋ね返した。
コバルトゥスは小さく笑う。

 「同じ目的を前にして、冒険者が2人」

彼はラビゾーに目を遣る。
ラビゾーは眉を顰めて一言。

 「僕は違うぞ」

コバルトゥスは真顔でカシエに向き直った。
0010創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/10(土) 17:35:17.34ID:XkodYfGP
冒険者同士は仲間であり、商売敵でもある。
同じ目的を前にすれば、協力するか、敵対するか選ばなくてはならない。
しかし、カシエが理解していない様子だったので、コバルトゥスは先輩振って教授した。

 「冒険者同士は仲間、そうでなけりゃ敵だ。
  俺と君は同じ財宝を狙ってるんだぜ?」

 「じゃあ、競争する?」

カシエが然して驚きもせず、普通に尋ねて来たので、コバルトゥスは逆に驚かされる。

 「競争……。
  いや、競争しても良いけどさ、君は冒険者と言っても駆け出しだろう?
  俺と競争して勝つ自信あるの?」

彼にも先輩冒険者としての矜持がある。
駆け出しの雛(ひよ)っ子に負ける気は更々無かった。

 「それは分からないけど」

 「そうだろう?」

勝負は止めておけと、コバルトゥスは暗に忠告する。
0011創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/10(土) 17:36:58.97ID:XkodYfGP
だが、カシエは聞かなかった。

 「でも、分け前が減るのは嫌かな」

 「それは嫌だろうけどさぁ……」

意外に強欲なんだなと、コバルトゥスは呆れる。
素人が欲張ると碌な事にならないのだ。
カシエは思案する素振りを見せた後、こう提案した。

 「7:3で、どう?」

 「……あのさ、念の為に聞くけど」

 「私が7」

 「正気か?」

幾ら何でも欲の皮が張り過ぎている、身の程知らずだと、コバルトゥスは憮然として溜め息を吐く。
それにも拘らず、カシエは真顔で強気に反論する。

 「先に探索を始めたのは私。
  バルは後発の分、私より不利な筈」

コバルトゥスと別れてからの約2年、彼女に何があったのか?
世間の荒波に揉まれて強くなったのか、今の態度が本性なのか……。
そこまで言われては、コバルトゥスも大人しく従えない。

 「君の考えは、よぉく解った。
  良いだろう!
  どちらが先に財宝を見付けるか、勝負だ!」

こうしてコバルトゥスはカシエと勝負する事になった。
0012創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/11(日) 18:00:14.20ID:YCUbLc5a
コバルトゥスを導いて洞窟内を探索し、カシエより先に財宝を見付けましょう。

コバルトゥス
探索1回目
調子:普通
耐久力:11
魔力:16
0013創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/11(日) 18:01:41.55ID:YCUbLc5a
コバルトゥスは勇んで洞窟に踏み込んだ。

 「行ってらっしゃーい」

先に洞窟から出たばかりのカシエは、呑気に手を振って彼を見送る。
それが「余裕」に感じられてならず、コバルトゥスは敢えて無視して歩を進めた。
洞窟の壁面が平らな所を見ると、内部には明らかに人の手が入っている。
それに幅も高さも共に1身半程度で、広さには余裕がある。
少なくとも、「天然の洞窟その儘」では無い。
洞窟に入って数身歩いた所で、下へ続く階段が見える。
階下は真っ暗で、外の明かりも入って来ない様だ。
コバルトゥスは魔法の灯火で周囲を照らし、階段を下りた。
暗闇が余り好きでは無い彼は、恐る恐る洞窟を行く。
湿った土と苔の臭いが漂う。
先ず、彼は魔法を使って、洞窟の全容を知ろうとした。

 (……精霊が感じられない。
  淀んでいる。
  嫌な空気だ)

しかし、精霊の気配がしなかった。
どうやら魔法的な仕掛けが、洞窟全体に施されている様だ。
カシエの余裕は、これが原因かも知れないと、コバルトゥスは考える。
ここでは彼の自慢の精霊魔法も、ある程度は制限される。


耐久力:10
魔力:16

【行動表判定】
0014創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/11(日) 18:05:13.99ID:YCUbLc5a
【通常】

流石に財宝を隠した洞窟だけあって、一筋縄では行かない厄介な場所だと認めたコバルトゥスは、
慎重に洞窟を進む。
階段を下りると真っ直ぐの通路が続いていた。
それなりに長いらしく、明かりが突き当たりまで届かない。

【洞察力判定】
0015創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/11(日) 18:13:30.96ID:YCUbLc5a
【失敗】

コバルトゥスは先の見えない洞窟の暗がりにばかり気を取られ、足元の警戒が疎かになっていた。
踏み込んだ足の下にある筈の、地面の感覚が無い。
これは落とし穴系の罠だ。
凡そ彼らしくない見落としである。
魔法が思う様に扱えないと言う心配から、感覚が鈍ったのか?

【機敏さ判定】
0016創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/11(日) 18:28:37.76ID:YCUbLc5a
【失敗】

洞窟に入ってから、どうも調子が狂っている。
何とか罠を避けたかったが、反応が遅れてしまった。
一瞬の遅れが命取りに繋がるのだ。
コバルトゥスは危機を脱しようと、懸命に足掻いた。

【魔力を消費して再判定】
0017創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/11(日) 19:10:13.70ID:YCUbLc5a
【成功】

コバルトゥスは隠し持っていた精霊石の力を引き出した。
突風が吹き、落とし穴に倒れ掛かる彼の体を押し返す。

 「あ、危ねぇ!」

踏み出した足を引き戻すと同時に、思わず独り言が漏れる。
落とし穴の中を確認すると、深さこそ半身以下で浅かった物の、底には短くも鋭い棘が幾本も、
上に向けて設置されている……。
中に落ちていれば、致命傷とまでは言わずとも、負傷は避けられなかったであろう。
コバルトゥスは冷や汗を拭いつつ、安堵の息を吐いた。
彼は気を強く持ち、落とし穴を避けて壁際を歩きながら、通路の先に進む。


耐久力:9
魔力:15
0018創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/11(日) 19:21:44.19ID:YCUbLc5a
数身進むと、通路の突き当たりが見えて来た。
更に進むと、右側に通路が続いている事が判る。
右折している様だ。
後ろを振り返ると、幽かに階段が見えるも、地上から離れたと感じる。
コバルトゥスは軽く首を横に振って、悪い想像を振り払った。
通路の突き当たりに、特に仕掛けは無い。
素直に右折するより他に無さそうだ。


耐久力:8
魔力:15
0019創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/12(月) 18:23:36.44ID:KTdc6H44
洞窟内は静まり返っている。
魔法の灯りを頼りにしている所為で、暗闇に目が慣れる事も無い。
聞こえるのは、自分の足音と呼吸音、そして服が擦れる音のみ。
それに不気味な程、何の気配もしない。
少し歩いた所で、コバルトゥスは又も突き当たりに出会(でくわ)した。
先程と同様に、右側に通路が続いている。
ここにも仕掛けらしい物は何も無い。
右折するより他に無さそうだ。


耐久力:7
魔力:15

【行動表参照】
0020創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/12(月) 18:25:05.59ID:KTdc6H44
【不利判定】

角を曲がって暫く歩いたコバルトゥスは、分岐路に差し掛かった。
彼の目の前には真っ直ぐ続く道と、左に折れる道がある。

【洞察力判定】
0021創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/12(月) 19:08:55.71ID:KTdc6H44
【成功】

どちらの道を進もうか、コバルトゥスは迷って足を止めた。

 (さて、どうするかな……)

そこで何気無く辺りの床や天井、壁を見ていると、右側の壁に不自然な穴が開いているのを発見。

 (これは……?)

コバルトゥスは穴の正面に立たない様に気を付けて、穴に近付く。
直径は1節程度。
試しに、短剣を穴の前に翳してみた。
直後、短剣に何かが当たり、その衝撃で短剣が手から離れ、転がってしまう。
カッと硬い音がして、何かが対面の壁に当たった。
灯りを向けると、小さな冷たい金属の輝きが反射する。
金属の針が壁に刺さっているのだ。

 (矢か!)

大きさからして、仮に罠に気付かず刺さっていた所で、致命傷にはならないだろうが、
毒が塗ってある可能性もある。

 (益々油断ならない所だな)

落とし穴に嵌まり掛けて、慎重になっていなければ、これに引っ掛かっていたかも知れないと、
コバルトゥスは警戒心を強めた。
0022創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/12(月) 19:16:52.02ID:KTdc6H44
同時に彼はカシエの心配をする。
この罠は何かが前が横切ると、即座に発射される仕組みになっている。
暗闇の中で、彼女は小さな射出口を発見する事が出来たのだろうか?
カシエは先に探索していたので、恐らく罠の事は知っているとは思うのだが……。

 (先には、もっと危険な罠が仕掛けてあるかも知れない。
  何としても彼女より先に行かないと)

コバルトゥスはカシエに対する競争意識より、先輩冒険者として彼女を守るべきだと言う思いが、
強くなっていた。


耐久力:6
魔力:15
0025創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/13(火) 19:05:23.53ID:kEUNRWfq
矢の罠を避けつつ、短剣を回収したコバルトゥスは、改めて2つの道を見比べる。
そして、余り時間を掛けずに真っ直ぐ進む道を選択した。
どちらの道が正しいのか判らないのだから、迷う事は無い。
そう割り切ったのだ。
少し進むと、又突き当たり。
今度は左側に通路が続いている。
右側は扁平な岩の壁で、特に見るべき物は無い。
コバルトゥスは左折して進んだ。


耐久力:5
魔力:15
0026創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/13(火) 19:06:53.22ID:kEUNRWfq
そこから真っ直ぐ行くと、更に下へと続く階段がある。
先の分岐路で左折した場合、何があったのかとコバルトゥスは気になった。
しかし、今から戻るのも面倒だと思い、取り敢えず階段を下りて、進めるだけ進もうと決める。
相変わらず、ここは生き物の気配がしない。
魔法的な仕掛けの所為で感覚が鈍っているのか、それとも本当に何も居ないのか……。
判るのは、陰気な土と苔の匂いのみ。


耐久力:4
魔力:15
0027創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/13(火) 19:08:00.87ID:kEUNRWfq
階段を下りた先には、2叉に分かれた道がある。
一応、ここが地下2階と言う事になるだろうか?
雰囲気は上の階と、そう変わらない。
行き成り罠があると言う事も無い。
分岐路は右と左。
左の道からは、微かに風が感じられる。
コバルトゥスの鋭敏な感覚を以ってしても、本当に風が吹いているのか、気の所為なのか疑う位、
微弱にではあるが……。
右の道からは、特に何も感じられない。
どちらも魔法の灯りが弱まる自身の周囲数身より先は暗闇で、何があるか見通せない。


耐久力:3
魔力:15
0030創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/14(水) 18:50:14.60ID:vrME2dTl
コバルトゥスは右の道を進む事にした。
少し歩くと、ここでも突き当たりに出会す。
道は左側に続いている。
これまで彼は何度も曲がり道を見て来た。
暗い洞窟内では、正しい方角も判らない。
普通の冒険者なら色々と道具を揃えるのだが、コバルトゥスは余計な物を持ち歩かない。
魔法で大抵の事は何とかなるので、重荷を背負うのは馬鹿らしいと考えているのだ。
この洞窟では、その魔法が余り利かないので、少し心配ではある。
道順さえ憶えていれば、地上に帰れる筈なので、心配は要らないと思うのだが……。

 (何があるか判らないからな……)

コバルトゥスは小さく息を吐き、心を強く持って左折した通路を行く。


耐久力:2
魔力:15
0031創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/14(水) 18:50:58.52ID:vrME2dTl
曲がり角の先は真っ直ぐな通路だった。
少しの間、罠を見ていないので、コバルトゥスは余計な事を考える。

 (どうせ、この先に罠があるんだろう……。
  楽観しては行けない。
  しかし、お宝にも巡り会えていないな。
  どうした事か……)

今までの分かれ道の先に、お宝があったかも知れないと考えると、コバルトゥスは気も漫ろだった。
だが、必ず財宝があったとは限らない。
単なる外れの道だった可能性もある。
寧ろ、そちらの可能性の方が高い。
カシエが先に探索しているのだから。
真に価値のある財宝は、幾度の困難を潜り抜けた向こう、洞窟の最深部に眠っている物なのだと、
コバルトゥスは自分に言い聞かす。


耐久力:1
魔力:15

【行動表参照】
0032創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/14(水) 19:51:06.94ID:vrME2dTl
【失敗】

暫く真っ直ぐな道を歩いていると、又々突き当たり。
今度は右側に道が続いている。
そろそろ罠があるだろうと、コバルトゥスは壁や床に不自然な所が無いか、熟(じっく)り観察した。
一見した所、罠らしき物は見当たらない。
奇妙な穴が開いていたり、或いは不自然な凸凹があったり、色の異なる場所があったり、
そう言う事は全く無い。

 (罠は無いのか?)

この洞窟では魔法資質が十全に働かないが、異様な魔力が感じられると言う事も無いし、
必ず罠があると決まっている訳でも無いのだから、通っても大丈夫だとコバルトゥスは判断した。
それが誤りだった。
0033創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/14(水) 20:13:37.28ID:vrME2dTl
角を曲がろうとした所で、コバルトゥスは魔力の流れを感じる。
その源は彼の持っている精霊石だ。
精霊石から魔力が漏出している。

 「何だ、こりゃぁ!?」

コバルトゥスは思わず声を上げた。
精霊石の魔力が床に吸い込まれる様に失われて行く。
彼は直ぐに魔力を吸う床から離れたが、遅きに失した。
それは丸で、水を注いだグラスを倒してしまったかの如く。
精霊石の魔力は、あっと言う間に空になってしまった。

 「はぁ……」

コバルトゥスは深い溜め息を吐いて、茫然とした。
そろそろ罠があると警戒していたのに、間抜けにも引っ掛かってしまった自分の愚かさが恨めしい。
どうすれば罠が見破れたのかと、後悔する。
目に見えて怪しい所は無かった。

 (――精霊か!)

コバルトゥスは閃く。
そう言えば、この場には精霊以前に魔力が全く感じられないと。
それが違和感の正体。
だからこそ、無意識に「何かある」と警戒していたのだ。
「魔力の流れが無い事」を、彼は「危険が無い事」と捉えた。
しかし、それは魔力が淀んでいた為では無く、魔力が全く無い為だった。
今少し彼が注意深ければ、判った事。
0034創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/14(水) 20:21:01.94ID:vrME2dTl
しかし、幾ら後悔しても遅い。
それにコバルトゥスは疲労を感じ始めていた。

 (頃合かな)

引き揚げるには良いタイミングだと、彼は前向きに考えた。
元々疲れて来たら帰ろうと思っていたのだ。
危険な罠がある以上、無理して進まない方が良い。
洞窟が一体どれだけ深いのかも判っていないし、こんな所で命を落としては詰まらない。
少し落胆しながらも、コバルトゥスは来た道を引き返す。


耐久力:0
魔力:0

【耐久力と魔力が尽きたので帰還】
0035創る名無しに見る名無し
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2018/02/15(木) 18:22:35.74ID:66u4vM5i
幸い、帰り道で迷う事は無かった。
コバルトゥスは記憶力には自信がある。
罠の位置が変わったり、新しい罠が追加されていたりもしない。
コバルトゥスが洞窟から出ると、カシエが迎えた。

 「お帰りなさい、バル。
  どうだった?」

彼女の問いに、コバルトゥスは肩を竦めて見せる。
何も宝を手に入れられなかったと言う意味では、収穫無しである。
カシエは余裕の笑みを浮かべて、コバルトゥスと擦れ違い、洞窟に入って行く。

 「フフッ、私が勝っちゃうかもね?」

コバルトゥスは眉を顰めて振り返り、彼女を呼び止めた。

 「カシエ!」

 「何?」

 「……気を付けて」

足を止めて振り返ったカシエに、コバルトゥスは注意する様にと忠告する。
カシエは小さく笑って頷いた。

 「分かった」

罠のある危険な洞窟から、果たしてカシエは戻って来れるのか……。
今のコバルトゥスには、無事を祈る事しか出来ない。
0036創る名無しに見る名無し
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2018/02/15(木) 18:26:31.37ID:66u4vM5i
コバルトゥスは洞窟の入り口から少し離れた所に居るラビゾーの傍に座って体力の回復を待った。
序でに、精霊石を取り出して、精霊力も回復させておく。
今回は珍しく、ラビゾーが自分からコバルトゥスに話し掛けた。

 「意外と早かったな」

そんなに直ぐに洞窟から出た覚えが無いコバルトゥスは、怪訝な顔をして尋ねる。

 「否々(いやいや)、結構長く潜ってた積もりなんスけどねェ……。
  どん位、時間経ってるんスか?」

ラビゾーは懐から時計を取り出して確認した。

 「んー、1角は経ってないだろうな。
  半角……も経ってないな、2針と少しか」

 「えぇっ、2針!?
  唯(たった)そんだけ!?」

驚くコバルトゥスをラビゾーは笑う。

 「どんだけ長く潜ってた積もりなんだよ」

彼の時計が正しい証拠に、太陽の傾きも余り変わっていない。

 (時空が歪んでる……?
  馬鹿らしい。
  そこまで大掛かりな物だったら、もっと精霊が騒いでる。
  俺の感覚が狂ってただけだろう)

コバルトゥスは事実を受け止め、強引に自分を納得させた。
0037創る名無しに見る名無し
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2018/02/15(木) 18:34:43.30ID:66u4vM5i
コバルトゥスは暇潰しに、ラビゾーと話を続ける。

 「先輩、カシエと会ったのは、どこで?」

 「ボルガ市だよ。
  僕が旅商だと知って、付いて来て欲しいって」

ラビゾーの答にコバルトゥスは呆れ顔で言う。

 「そんで付いてったんスか?」

 「急ぐ用事があった訳でも無いし、報酬は貰えるし、悪い話じゃ無かったんでな」

 「で、何してんスか?」

 「何って、商売だよ。
  冒険に必要そうな物を用意して、売ってるんだ」

 「例えば?」

コバルトゥスはラビゾーの商売人らしい所を、見た事が無い。
仮にも自分より年上の男性に対して、本当に商売が出来るのかと疑っている。
ラビゾーは面倒そうな顔をして、大きなバックパックを開き、中の物を取り出して見せた。

 「携行食、飲み水、薬草、傷薬、方位磁針、紙、縄、提燈(ランタン)と油、『燐寸<トーチ・スティック>』、
  布、ロッド、他にもあるが、こんな感じの物だな」

商人を捕まえて道具を用意させる等、丸で昔の本格的な冒険者の様。
カシエは道楽では無く、本気で冒険者になったのだと、コバルトゥスは感心した。
0038創る名無しに見る名無し
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2018/02/16(金) 18:47:52.63ID:BeIP2iSU
 「へー、中々本格的ッスねぇ……。
  先輩、俺にも呉れませんか?」

感心序でに、コバルトゥスはラビゾーに頼んでみる。
ラビゾーは快く頷いた。

 「良いよ。
  何が欲しい?」

 「んじゃ、先ず食い物を」

腹が減っては戦は出来ぬと、コバルトゥスは携行食を要求する。

 「1つ300MGだ」

携行食は手の平に乗る程度の箱に入った、棒状の『乾餅<ビスケット>』に似た『軽食<スナク>』。
1箱6本入りで、1食2本の1日分である。

 「えっ、金取るんスか?」

予想外だと言う顔をする彼に、ラビゾーは呆れ果てた。

 「当たり前だ。
  何で只で呉れてやらなきゃ行けない?」

 「えー……、でも、何時もは只で食い物分けてくれるじゃないッスか……」

 「これは『商品』だ。
  僕の私物じゃない」

 「吝々(けちけち)しなくても良いじゃないッスか」

 「吝嗇(けち)以前に、お前、今はカシエさんと勝負してる最中だろう?
  彼女は丁(ちゃん)と代金を払っているぞ。
  扱いは『公平<フェア>』じゃないとな」

ラビゾーに正論を言われて、コバルトゥスは反論出来ず、不満気に口を閉ざした。
0039創る名無しに見る名無し
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2018/02/16(金) 18:49:17.81ID:BeIP2iSU
コバルトゥスは少しの間、黙っていたが、やがて思い付いて言った。

 「あっ!
  じゃあ、先輩、付けって事で」

 「誰が信用するか!
  お前、今まで一度も僕が貸した金を返した事が無いだろう!」

良い考えだと思っていたのに、即ラビゾーに否定されて、コバルトゥスは面食らう。

 「えっ、借金なんかしましたっけ?」

 「何度もしているぞ。
  小額だから直ぐに返すと言いながらな!」

自分に都合の悪い事は直ぐ忘れられる、実に都合の好い記憶力を持っているコバルトゥスは、
借金の事を悉(すっか)り忘れていた。
悄気るコバルトゥスを慰める様に、ラビゾーは言う。

 「紙と筆なら貸せるぞ」

 「えっ、要らないッスよ」

 「洞窟を探索するなら、地形とか記憶する必要があるだろう?」

 「俺、記憶力は良い方なんで」

 「じゃあ、借金の事も憶えてるよな?」

 「いや、それは全然……」

「こいつ何なんだ」とラビゾーは憤然とした表情で口を閉ざした。
0040創る名無しに見る名無し
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2018/02/16(金) 18:50:46.16ID:BeIP2iSU
コバルトゥスは切り替えて、違う話を始めた。

 「話は変わりますけど、先輩、カシエの探索って、どの辺まで進んでます?」

ラビゾーは素直に答える。

 「幾らか財宝らしい物を回収していた。
  未だ洞窟全体を探索し尽くした訳じゃないみたいだけど」

 「地下何階まで行ってるんスか?」

 「確か、3階まで進んだと言ってたかな。
  僕は洞窟に入ってないから、どんな所かは分からんのだが」

そんなに差は開いていないと、コバルトゥスは安堵した。
探索が順調に進めば、追い付けるだろう。

 「あの洞窟、結構危険な罠があるんスけど、カシエは大丈夫なんスかね?」

 「罠があるとは言っていたけど、そんなに危険なのか?」

ラビゾーの表情が少し曇る。
彼もカシエが危ない目に遭う事を、好ましく思っていない。

 「即死はしなくても、重傷を負う位はあり得ますよ」

 「……コバギ、お前は大丈夫だったのか?」

唐突に自分の心配をされ、コバルトゥスは慌てる。

 「あ、あぁ、その……俺は平気ッスよ!
  これでも熟練の冒険者なんスから!」

落とし穴を見落としたり、魔力を失ったりと、危ない場面があった事は、見栄の為に言わなかった。
0041創る名無しに見る名無し
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2018/02/16(金) 18:58:44.19ID:BeIP2iSU
間違えました。
>>39>>40の間には、以下の文章が入ります


沈黙が気不味くなって、コバルトゥスは自分から口を利く。

 「そう言や、先輩。
  あの『女の子<ロリータ>』は?」

彼は以前会った時にラビゾーが連れていた、女の子に就いて尋ねた。

 「今は家で留守番だ」

 「本気で拾った子を育てるんスか?」

 「ああ」

 「独りで?」

 「家族が居る」

 「やっぱり、『あれ』ッスか?」

 「何だよ、『あれ』って?」

 「理想の女に育てて、大きくなったら嫁にするって言う」

コバルトゥスはラビゾーが結婚している事を知らなかった。
独身男性が幼い女の子を育てる事を、下心抜きには考えられない。

 「哀れな奴だな」

ラビゾーに哀れまれ、コバルトゥスは動揺する。

 「えっ、何で」

 「お前は女が絡むと、それ抜きでは考えられないのか?
  相手は幼い子供なのに」

 「悪い事だとは思わないッスよ?
  別に先輩を非難したい訳じゃないッス。
  実際、悪くないっしょ?」

ラビゾーは静かに首を横に振って、口を閉ざした。
この話題は良くなかった様だ。
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