>>826

風呂から上がって寝床に潜り込み、タケルはふーと息をついた。ポチポチとスマホを操り、明日の原稿のネタを探す。それが寝る前の日課になっていた。
タケルはいわゆる「ワーキングプア」だが、考え方は少し変わっていた。報酬の少ないクラウドソーシングを生業にしていて、生計も立てられたものではなく、いつも餓えていたのに、満足していた。貯金は減る一方で、恋人のような存在もいないのに、満足していた。
なぜなら、自分の好きな官能小説を好きなだけ書けるからだ。
タケルは、自分が打ち込んだ文字が踊るスマホのディスプレイを読み上げた。
「あらわになった胸の谷間がより険しく深くなっていく...圭子は俺の腹の上で悶えていた。」
タケルの股間は固くなり、風呂の残り香の中で隆起した。タケルはそれを握り締めると上下にしごきあげ、ゆっくりと果てた。汚れちゃったよ...。タケルは呟いた。
朝日が窓から射し込む。タケルはゆっくりと息を吸い、やがて静かに吐き出した。