男(なんだあの子……どうしてこんな山奥に?)

男は半年前に、山奥に建つこの家にひとりで引っ越してきた。家の周りには木ばかりが立ち、他に家などなかった。町の喧騒が聞こえないこの家を男は気に入っていた。

彼は平日は朝早くから車に乗り、町中にある役所まで仕事をしに通っていた。その日、男は一週間ぶりの休日を過ごしていた。

幼女「こんにちは!」

男「はい。こんにちは」

幼女「えへへ」ニコニコ

男(ここから町までけっこう離れてるぞ……。こんな小さな子がひとりで来れるはずがない。もしかしてはぐれたのか?)

男「ひとりで来たの?お母さんは?」

幼女「お母さんもいるよっ!」クルッ

幼女「……あれ?」

男「……」

幼女「お母さん……?」

男「……お母さんも来てるの?」

幼女「……うん。さっきはいたの……」